プロローグ
「・・・ん?」
ふと気がつくと、辺り一面真っ白な空間に居た。
「・・・えっ・・と・・・?」
白、白、白、どこまでも続く、果てしない真っ白な空間、見渡す限りそれ以外一切何も見えない。
あまりに非常識な光景に思考回路が上手く働かない。
「何処だ?ココ・・・。」
少なくとも、自分が居た場所とは明らかに違う、少なくとも自分の記憶にはない場所であるのは間違いない。
「俺は、どうしてこんな所に・・・?」
最も強い疑問が無意識に口から発せられた直後、
「その疑問には私が答えよう。」
「ッ!?」
不意に背後から荘厳な声が聞こえた。驚いて振り返ると、そこには
威厳を感じさせる真っ白な長い髭を蓄え、
おとぎ話の魔法使いが持っているような木製の杖を持ち、
自身の髭と同じ真っ白なローブを身に纏った、
赤ん坊が宙に浮いていた。
「・・・・・・・・・・・はい?」
その後、その赤ん坊(本人曰く神様らしい。姿は髭生やした赤ん坊だけど、声がえらく渋い。)から話を聞いてみると、どうやら自分は死んでしまったらしい。
何でも、俺が家で寝ている所に文字通り、天文学的確率で隕石が落ちてきて、家に直撃。
結果、俺は勿論即死。俺の家の周りも大変な事になったそうだ。
幸い、俺以外に死傷者は出なかったらしいが。
「・・・へぇー・・・。」
としか言えなかった。
そんな奇跡的な確率で奇跡的な死に様を迎えてしまった自分の一種の喜劇とも言えるような最期に対してもっと他に言う事があるだろうに、とも思うが、起こってしまったものは仕方ないと、割とすんなり受け入れてしまった。
「で、なんで俺はこんなトコに居るんですかねぇ?」
「こんなトコ・・・まぁ、人間からしたら普通ではないからな。仕方ないか。」
そりゃ、こんな真っ白で他に何にも見えない上、どこまで続いてるか全くわからんようなだだっ広い空間なんて、俺の知る限り地球上にないからな。
というか、こういう空間には心当たりがある。
生前(まあ、未だに死んだという実感はないが)、ネットで読んでいた二次小説でこういった描写はよく使われていたし、自分が何故ここにいるかもなんとなく予想がついていた。
「そう、君には転生をしてもらいたいのだよ。」
「人の思考を勝手に読まないでくれません?」
「お約束というやつだ。」
「さいですか。」
さすが神様、心を読む事もお手の物ってわけだ。けど、やはりそういう事か。
転生。
二次創作で度々目にする言葉。
所謂『強くてニューゲーム』の事である。
転生を題材にした作品の全てがそうとは限らないが、大抵の作品では転生する奴は前世の記憶を持っていて、場合によっては『転生特典』なるものをもらって新しい人生を面白可笑しく存分に謳歌していくのである。
多少語弊があるかもしれないが、大体の人はこういう認識だと思う。
「けど、なんで俺が転生を?まさか、よくある二次創作宜しくアンタのミスで間違って死んじまったみたいな?」
転生というなんともテンプレな展開にこの後の大体の流れが予想できてしまい、一応神様に確認してみると、
「失敬な。私はそんなとんでもないミスはせん。何もかも創作と同じと思うな。」
「違ったのか、それは失礼―――――」
「ミスしたのは私の部下だ。」
「どっちでもいいわ!!」
やっぱりテンプレでした。
「ったく・・・まぁ、いいや。」
「何?」
「転生すんだろ?どうすればいいんだ?」
「・・・何か他に言う事はないのか?私がいうのもなんだが、お前はこちらのミスで死んだのだぞ?本来ならもっと長い人生を送れたはずのお前を、こちらの勝手な都合で理不尽にも死なせたのだぞ?」
「そりゃ、全くなにも思わない訳じゃねえさ。けど、文句言ったとこでなんも変わんねぇんだろ?生き返らせろって言えば生き返れるのか?だったらそっちのが良いけどさ。」
例えば、俺の死因である隕石の落下をなかった事にするとか。
神様ならそれくらいできそうなもんだけど。
「・・・いや、残念ながらそれはできん。それではあの世界の理に反する事になる。仮に事象を書き換えたとしても、世界の修正力がそれを許さんだろう。」
「ゲームやアニメの中だけかと思ってたけど、そういうの本当にあんだな。」
予想はしてたけど、やっぱり駄目か。
まぁ、それが出来るならわざわざ転生しろなんて言わないわな。
どうでもいいけど世界の修正力と聞いて某赤い弓兵とかSS級死神のヤンデレ弟を思い出したのは俺だけじゃないはず。
「なら、ごちゃごちゃ言ったってしょうがねぇじゃねぇか。理不尽な死なんざ普通に生活してても起こる時は起こるし、要は事故みたいなもんだろ?転生するしかないってんならさっさとしようぜ。」
「・・・なんというか、マイペースな奴だな。」
「俺は元々こんなんさ。」
いつだって何処だって俺は俺らしく在り続ける、これが俺のモットーだからな。
「では、改めて説明しよう。お前にはこれから転生してもらう。」
「ああ。」
「予想はついていると思うが、お前が転生するのはお前の前世の世界で言う、所謂アニメ漫画の世界だ。」
やっぱそうなるのか、ある意味お約束ってやつだな。
「で、どの世界に行くんだ?」
「まぁ、待て。それは今からお前が決めるのだ。」
「ん?俺が決めていいのか?」
「あぁ。と言っても、こちらが掲示した世界から選択してもらうというだけだが。」
「十分だよ。それで?その選択肢は?」
「これだ。」
そう言って持っていた杖で床(?)をトン、と小突いた瞬間、空中に文字が現れた。
なるほど、この中から選ぶ訳か。
えっと、見た所、選択肢は4つか。どれどれ・・・?
1、リリカルなのはシリーズ
まぁ、定番だな。
二次創作で転生モノって言ったら真っ先に浮かぶ作品の一つだ。
チート特典もらってオリ主が俺TUEEEしてる作品は結構見た。
2、インフィニット・ストラトス
こっちも定番だな。
リリなのと比べるとチート特典もらっても使う機会なさそうだ。
『王の財宝』とかもらっても使い道限られるだろうし。
そういう作品がなかった訳じゃないけど。
3、Fate/シリーズ
『王の財宝』とか言ってたらこれだ。
でもぶっちゃけ、俺Fateの知識って二次創作とタイころ位しか知らないんだよな。
で、最後は?
4、女神転生/異聞録シリーズ
これはまた・・・、二次創作ではかなりマイナーな部類の所が来たな。
いや好きだけどさ?ソウルハッカーズとか、デビルサバイバーとかさ。
とまぁ、ざっと見てみたけど、一先ず言わせてもらうと、
「見事に死亡率高いのばっかだな。」
「まぁ、全て戦闘モノだからな。」
リリなのは非殺傷設定があるとはいえ、バリアジャケットがないとかなり危ないし、ISは言っちまえば兵器を乗り回してるようなもんだし、Fateと女神転生はそもそもそういう事が前提の世界だからな。
「こん中から選べ、か。」
「あぁ。」
こちとら生前は只のしがない会社員だったってのに、無茶言ってくれるぜ。
とはいえ、転生させてもらえる以上文句は言えねえし、言わねえけどな。
「どうすっかねぇ・・・。」
「どうしても決められなければこちらで決めてもいいが・・。」
「んー、それはちょっと・・・ん?」
まてよ?それもいいかもしれない。
万全の準備をして俺TUEEEもいいが、半端に準備して放り出されて右も左も分からず、手探りで生きていくってのもそれはそれでありかもしれない。
「・・・よし!」
「決まったか?」
「あぁ。転生先はあんたに任せる。」
「ほう・・・、一応理由を聞いてもいいかね?」
「理由ってほど大したもんじゃないけど・・・。」
色々考えたが、一番は―――――
「その方が面白そうだろ?」
「―――――」
目を僅かに見開き、固まる神様、あれ、俺なんかマズイ事言った?
「・・・は」
「は?」
「ははははははは!」
いきなり笑い出した。・・・何事?
「面白い、か。そんな理由で簡単に決めてしまうとはな。」
「駄目か?」
「構わんさ。お前の事だ。そう決めたのなら、私もその意思を尊重しよう。」
よかった~、いきなり笑い出すからどっかおかしくなったのかと思ったけど、そんな事はなさそうだ。
「では、転生先はこちらで決めさせてもらおう。」
「あぁ。頼んだ。」
「では次に、転生に際し、いくつか能力を付加していく事ができるが、どうする?」
「所謂『転生特典』か。」
「そうだな。」
さて、どうしようか。
転生先が決まってない以上、下手な特典は選べない。
Fateの世界に行って『無限剣製』なんか使える訳ないし、そうだな・・・。
「じゃあ、取りあえず身体能力を上げて欲しい。」
「ほう。具体的には?」
「そうだな・・・。家庭教師ヒットマンREBORN!の沢田綱吉の超直感、アイシールド21の金剛阿含の神速のインパルス、黒子のバスケの青峰大輝の敏捷性、ってとこかな。欲を言えばゾーンに入れるようにしてくれるとありがたい。」
超直感は身体能力とはちょっと違う気もするけど、大丈夫か?
「また随分とぶち込んできたな・・・。」
「流石に難しいか?」
「いや、構わん。採用しよう。」
「やった!」
ちょっと憧れてたんだよな、ああいうの。
なんていうか現実においての人間の可能性の究極って感じ。
「で?他に何かあるか?」
「うーん・・・、いや、特にこれと言ってはないな。あとは転生先で必要そうな要素を付けてくれると助かるかな。」
「了解した。では、転生の手続きはこれで終了だ。」
「そうか、いよいよ転生するんだな。」
「あぁ、そうだ。」
神様がまた床を小突くと、俺の前に穴が現れた。
この空間とは対照的に真っ暗で底が見えない。
「その穴の先が転生先の世界に繋がっている。」
「あ、いきなり落とすとかではないんだな。」
「流石にそこまでテンプレではないぞ。」
「あはは。」
なんかスゲードキドキしてきた・・・。はてさて、どの世界に転生するのか・・・。
「では、行くがいい。」
「あぁ。色々ありがとな。」
「礼など言うな、私は私のするべき事をしたまでだ。」
「それでも、な。」
「・・・達者でな。」
「おう!」
一度大きく深呼吸して、俺は躊躇いなく穴に飛び込んだ。
この先に待つ、新しい世界に僅かな不安と大きな期待を抱きながら。
初めまして。Y・O・Uと申すものです。
今まではずっと読専だったのですが、自分の中の溢れる妄想と厨二心を抑えきれず、ついに執筆に手を出してしまいました。
文才の欠片も持ち合わせていない豆腐メンタルな貧弱一般作者ですが、どうか生温かい目で見守ってやって下さい。