まさか、誘拐編がここまで長くなるとは・・・。
ではどうぞ。
部屋の中は緊迫した空気に包まれていた。
時折チュパカブラ達の声が聞こえるが、誰一人気にも留めていない。
それだけ俺の一言が予想外だったという事だろう。
さて、肝心の各人の反応は二つに割れた。
まず、アリサ、すずか、恭也さんの三人は俺の言葉の意味が分からず、困惑しているようだ。
これは少し意外だった。すずかは忍さんが気を遣って教えていないとして、恭也さんには教えていると思ったんだけどな。
それと対照的な反応を見せたのがその恭也さんの隣に居る忍さん、そして、おっさんの二人。
誰が見ても分かる位に敵意、いっそ殺意と言っていい感情を込めて俺に視線を向けている。
まぁ、仕方ないけどね。
得体のしれないガキが自分たちの最重要機密、いっそ禁忌と言える内容を知ってるんだから。
ぶっちゃけFate、というより型月の世界観が混ざってる事を知らなかったらこの質問は出来なかった。
何言ってんだこいつ、と思われて終わりだっただろう。
長い沈黙の後、おっさんが口を開いた。
「・・・何故それを知っている?」
(食い付いたッ!!)
心の中でガッツポーズをする。
だが、まだ気を抜けない。
ここから可能な限り話を広げて少しでも時間を稼がなければ。
しかしまぁ、随分と余裕無くなったな。
雰囲気は勿論、口調まで変わってら。
こっちが素なんかな。
「おいおい、ちょっと焦り過ぎなんじゃねぇか?さっきまでの余裕はドコ行ったよ?口調変わってんぞ。」
「質問に答えろ。何故知っているのかと聞いている。」
さっきより僅かに語気を強めてそう返してくる。
あんまり焦らすと爆発しちまうかな、こりゃ。
「はいはい、答えますよ。って言っても、俺も人づてで聞いただけなんだけどな?」
「・・・何だと?」
言いつつ眉間に皺を寄せるおっさん。
「この世には科学の力だけじゃ説明が付けられない事が溢れかえってるんだよ。夜の一族を始め―――――」
そこで一度言葉を切り、おっさんの周りのチュパカブラ達を指しながら、
「あんたの連れてるそいつ等や―――――」
今度は俺のそばに居るアプサラスとハンサに目を向け、
「俺が
俺の言葉におっさんが目を見開く。
「使役・・・だと?まさか、そいつ等は・・・ではお前は・・!」
何かを察したおっさんが若干狼狽える。
如何やら『これら』が何なのかはわかっているらしい。
「悪いけど、名乗れる程大層な名前じゃないんでね。けど強いて言うなら―――――
―――――通りすがりのデビルサマナーだ。別に覚えなくていいぜ?」
微妙にネタに走ってしまったが、問題ないだろう。
この世界に仮面ライ○ー無いし。
「デビルサマナー・・・お前のような小僧が・・・?」
おっさんが訝しげに見返してくる、デビルサマナーについては知ってるらしいな。
こんな子供のデビルサマナーなんて普通は考えられないし、しょうがないけどさ。
ふと、その後方に目をやると恭也さんと忍さんが何やら話しているのが見えた。
恐らくデビルサマナーについて話してるんだろう。
「ちょっと、何なのよ?そのデビルサマナーって。」
俺の後ろに居たアリサも尋ねて来た。
見るとすずかも聞きたそうにしている。
何というか、忍さん過保護すぎるだろ。
すずかは立場的に色々危ういから、ある程度そういった事の知識だけでも付けておいた方が良いと思うんだが。
「今は詳しく説明出来ないから、後でな。」
そうアリサに返事しながらおっさんに再び問いかける。
「で、納得してもらえたか?」
「・・・デビルサマナーならば、人外や超常の事象について知識があるのも一応説明は着く。そこに居る女と鳥も、お前が使役する悪魔だと言うならこの状況も、まぁ、納得は出来る。ただの人間どもに悪魔の相手などまともに出来るハズがない。まして悪魔の存在を知らない―――――いや、信じていない連中なら尚更な。」
一人納得した様子でそう言うおっさん。
「それは何より。それで?俺の質問には答えてもらえるのか?」
「何故そんな事を教えなければならない?」
「ですよねー。」
まぁわかってた事だし、期待もしてなかったが。
「だが―――――」
そう言うとおっさんはチュパカブラ達に目を向ける。
「お前は生かしておくと危険だという事が良く分かった。」
おっさんがそう言うとチュパカブラ達が俺の方を向く。
あれ、なんかマズイ?
「ひっ・・・!」
「ッ・・・!」
後ろのアリサとすずかが怯えている様子が伝わってきた。
無理もないか、あんな化け物どもが一斉に自分を見てたらそりゃビビる。
しかも、もれなく命の危険のオマケ付きと来たもんだ。
嬉しすぎて泣けて来るぜ、クソッタレ・・・!!
「待て!その子たちに―――――」
「恭也ッ、駄目!!」
その様子を見て、恭也さんがこちらに向かって来るが、
「ワィ;うSG;いALSえTびほSJH!」
「くっ・・・!?」
チュパカブラの内の一体が遮るように立ちはだかる。
「君は大人しくしたまえ。後できちんと相手をしてやる。」
やっぱり今の恭也さんじゃ低級とは言え、悪魔の相手は厳しいか・・・!
万事休すってか・・・!?
クソッ・・・まだ
「では、気の毒だが消えてもらうとしようか。」
おっさんが手を挙げる。
チュパカブラ達に指示を出すつもりなんだろう。
これ以上は無理か・・・!
「ハンサ!アプサラス!その子たちを死んでも守れ!!」
二体にそう命令して、駆け出す。
「え!?」
「ちょっと、アンタ!?」
後ろで二人が何か言ってるが、知らん!
気にしてる暇もねぇ!!
「殺れッ!!!」
おっさんの命令によって一斉に俺目掛けて飛びかかって来るチュパカブラ達。
何処にも逃げ場などない。
いや、端っから逃げる気なんてねぇ!!
「ああぁぁぁぁぁぁ!!」
やれるだけやってやらぁ!!
そして俺とチュパカブラ達が接触する直前―――――
ガシャァァァァン!!
突然窓が割れ―――――
ザシュ! ドシャッ!!
何かが切れる―――――いや、切られる音がした後に何かが床に落ちる音がして―――――
誰かが俺の前に立っていた。
「「「「「「ッ!?」」」」」」
俺は急停止すると、急いで状況を確認する。
まず床にチュパカブラが一体倒れている。
恐らく切られる音はこいつが切られた為だろう。
肩口から斜めにバッサリいかれていた。
そして、それをやったのが恐らく俺の目の前に立っている人物。
「無事か?要。」
目の前の人が振り向かずに声を掛けてきた。
後ろ姿で分かってはいたが、やはりそうだった。
まぁ、当然といえる。
それは俺自身が良く理解している。
「・・・はい、大丈夫です。助かりました―――――
―――――千冬さん。」
抜き身の刀と鞘を手に、千冬さんがそこに立って居た。
何だか千冬や啓自が便利キャラというかお助けキャラになってますが主人公はまだそんなに強くないので、しばらくこういった流れが多くなると思います。
個人的に必要なステップだと思っているので、何卒ご容赦を。
では、また次回。
次はもう少し早く上げたいと思います。