ある男の転生人生   作:Y・O・U

15 / 20
大変遅くなってすみませんでした・・・。
10年選手であったノートPCがイカレ、データがご臨終してしまったショックで、制作に中々手が付かなくなってしまいました。
遅れたくせに相も変わらず稚拙極まりない出来ですが、広い心で読んで頂けたら幸いです。
では、どうぞ。


11/3 誤字修正


幕間9

「はぁ・・・は・・ぁ・・・。」

「大丈夫?恭也・・・。」

「ふぅ・・・あぁ、何とか、な。」

 

たった今自分が打ち倒した化け物に目を向けたまま、忍の言葉に答える恭也。

常人に比べて遥かに強靭な肉体と驚異的な身体能力を持つ彼をして目の前の化け物を倒すのは容易ではなく、かなり息が上がっている。

 

もっとも、その化け物―――悪魔を生身の人間が倒す事自体が既に普通ではないのだが。

 

「・・・しかし―――」

 

一息ついてそう呟くと、恭也はある方向に目を向ける。

 

「・・・凄いわね、彼女・・・。」

「・・・あぁ。」

 

それに釣られて忍もそちらを見ると、その視線の先では、突如としてこの場に乱入してきた、確実に自身より年下―――恐らく、上の義妹と同い年位であろう少女が今まさに悪魔達と戦っていたのだが、

 

(何がこちらを気にする余裕はない、だ。)

 

その戦いは一言で言い表すなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(『圧倒的』じゃないか・・・!)

 

それは戦いというにはあまりにも一方的なものだった。

いっそ蹂躙といってもいいかも知れない。

少女―――千冬のそばには悪魔達が全て倒れており、そのどれもが原理は分からないが、消滅していく所であった。

 

「あの数を相手にあれほどの戦いが出来るとはな・・・。」

 

恭也自身、気にする余裕がなかった為、正確な確認は出来ていないが、ほぼ一撃で倒されている。

あるものは最初の一体とは逆の肩口から、またあるものは胴体を真横に、さらにあるものは頭頂部から真っ二つにされていた。

何れも高校生の、それも少女がやったとは到底思えない形で絶命していた。

 

「・・・俺も、まだまだ未熟って事か・・・。」

 

その呟きを最後に、恭也と忍は目の前で繰り広げられる戦いの行く末を静かに見守るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り、恭也が悪魔と戦い始めた頃。

 

 

「byつycうぇgぽghきいrg!!」

 

チュパカブラの内の一体が向かって来る。

並みの人間では反応する事さえ難しい速度で突っ込んできたそれを、千冬は驚異的な身体能力を持って冷静に躱す。

このようなやり取りをもう数回繰り返している。

獲物が思うように仕留められず、苛ついているのか、チュパカブラ達は最初よりやや興奮状態にあるようだ。

千冬としてもさっさとケリをつけたいのは山々だったが、曲がりなりにも悪魔と戦っているこの状況で勝負を急ぐような危険な真似は避けたい、千冬は敵であるチュパカブラの観察に努めていた。

 

そしてそれが功を奏し、一つ分かった事がある。

 

 

(こいつらは魔法による攻撃をして来ない。)

 

 

悪魔との戦いが危険極まる物である事は言うまでもない事なのだが、その理由の一つに超常の力『魔法』の存在がある。

先の人質救出の際、要の仲魔二体が使用したのがソレである。

しかし――――

 

チュパカブラ達はどいつもまっすぐ突っ込んでくるだけで、魔法を一度も使ってこなかった。

攻撃魔法は勿論、補助系魔法すらもだ。

 

攻撃魔法は大きく分けて7つの属性が存在する。

すなわち、『火炎』『氷結』『疾風』『電撃』『呪殺』『破魔』『万能』の7つである。

稀にこれらに該当しない特殊な属性も存在するのだが、基本的にはこの7つの属性が悪魔達の使用する魔法である。

 

そして、補助系魔法とは自身や味方の身体能力を向上させるものや、反対に敵の身体能力を減退させるもの、対象に状態異常(バッドステータス)を引き起こすものなどだ。

要がアプサラスに使わせた『ドルミナー』がこれに当たる。

 

 

何度も繰り返した攻防の末、そのどちらも使う様子すら見せなかった事から、確証はないものの千冬は奴らは魔法を使えないものだと結論付けた。

 

(となれば――――)

 

飛びかかって来たチュパカブラ達を全て躱し、千冬はチュパカブラ達から距離を取った。

 

「おやおや、威勢の割に避けてばかりだねぇ。最初の一匹がまぐれで倒せたからっていい気になっていたのかな?」

 

その様子を見ていた男が馬鹿にした様子でそう言い放つ。

最初こそチュパカブラを仕留められ内心動揺していたが、千冬の立ち回りをみて防戦一方と判断したのだろう、余裕すら見える。

 

「かもしれんな、全くもって面倒な事だ。」

「それはそれは・・・。だが残念ながら同情も手加減もするつもりはない。恨むのなら人間の分際で愚かにも私に歯向かった己の愚を恨むが良い。」

 

そう言うと男はチュパカブラ達を一瞥し、

 

「――――やれ。」

 

命じた。

それを合図にチュパカブラ達が一斉に千冬に向かって行く。

しばらくしたら、少女の無残な姿を目にする事となるだろう。

男はそう確信していた。

しかし、数秒後――――

 

 

 

 

 

男が目にしたのは、真逆の光景だった。

 

 

 

 

 

何が起きたのか理解できない。

 

何故襲い掛かった筈のチュパカブラ達が全てやられているのか。

 

何故自身の首筋に刃が付きつけられているのか。

 

 

 

何故少女が無傷で目の前に居るのか。

 

 

 

「な・・・何故・・・。」

「何故こんな事になっているか判らない、か?」

 

男の様子を見てそう告げる千冬。

何故彼女が無事なのか。

その答えは至って単純明快。

 

 

 

ただ全てのチュパカブラを一瞬で切り伏せただけの事。

 

 

 

彼女はまず、魔法による攻撃が来ないと判ると、チュパカブラ達から距離を取り、相手の出方を待った。

そして一斉に飛びかかって来ると見るや、走り抜けながら自身に向かって来るチュパカブラ達を全て切り捨て、男の前に立ったに過ぎない。

口で説明するのは簡単だが、実際に常人がコレを実行するのは至難の業、いや、最早奇跡と言える芸当であろう、それを千冬は当然のようにやってのけたのである。

これだけで彼女が如何に人間離れしているかが理解出来よう。

 

「まあ、答えは自分で考える事だ。幸い、時間はこれからたっぷりとある筈だからな。」

「ぐっ・・・!」

 

千冬がそう告げると、男は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた後、

 

 

 

 

何かに気づき、はっとした後、薄く笑みを浮かべた。

 

 

 

 

「何が可笑しい?」

 

千冬が怪訝そうに思い男にそう尋ねると、

 

「ふっ・・・、勝ったつもりのようだが――――

 

 

 

 

 

――――私ばかり気にしていていいのかね?」

 

男がそう呟いたと同時に、

 

 

 

 

「千冬さん!危ないッッ!!!」

 

 

 

 

不意に要の声が響いて顔だけ後ろを向けると、

 

 

 

 

 

 

瀕死のチュパカブラの1体が飛びかかって来るのが見えた。

 

 

 

 

 

 

千冬が切り伏せたチュパカブラの中に、運悪く致命傷を免れた個体が居たのだ。

その個体が律儀にも命令を遂行しようとしたのか、単に切られた恨みか、全身全霊を持って、(ちふゆ)に攻撃してきた。

 

ふと視線を動かすと、自分が助けに来た自身の大事な相棒(パートナー)の弟が必死な顔で叫んでいるのと、その両隣にいる人質と思われる二人の少女達が目を見開いている様子が見えた。

 

 

(全く、半年も一緒に居てまだ判っていないのか・・・そう心配するな。

 

 

 

 

 

 

私達(・・)はそう簡単にやられはしない。)

 

 

 

 

 

 

千冬がそんな事を考えながら思わず苦笑した瞬間、

 

 

 

 

 

爆発とともにチュバカブラが後方に吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

「・・・は?」

 

目の前で起こった事を理解出来ず男が間抜けな声を上げる。

その場に居た他の者達も、突然の事に頭が追い付かない。

唯一何が起こったか理解している千冬は不動のままそれを眺め、激しい既視感(デジャブ)を覚えた要は、もしやと思い周囲を見回す。

そして男が呆然としていると、

 

バチィィッ!!

 

「がっ・・・!?」

 

突如、そんな音が聞こえて男の体に鋭い痛みが走った。

痛みの発生源は背中、まるで電気が走ったような痛みに男は耐えられず、その場に倒れる。

そこで初めて他の者達も気づいた。

 

 

 

男の後ろにもう一人、少年が立っている事に。

 

「ふぅ・・・あぶなかったな、千冬。油断禁物だぜ?」

「馬鹿者、お前の見せ場を取っておいてやったんだ。でなければお前が来た意味が無くなると思ってな、感謝しろ。」

「おーおー、それはそれは・・・ありがたすぎて言葉も出ねぇよ。」

 

手にした黒い棒状の物――――恐らくスタンガンだと思われる――――を肩に担ぎながら千冬とそんな会話をしている少年。

歳の頃は恐らく千冬と同じ位だろうか。

 

「しかし、とんでもない音がしたが、大丈夫なのか?死んでいないだろうな・・・?」

 

男を見ると小刻みに痙攣しているのが確認出来た。

大丈夫ではなさそうだが、取りあえず死にはしないだろう。

 

「ま、取りあえずは大丈夫だろ・・・で。」

 

少年は入口に居る二人、正確には忍を見て声を掛ける。

 

「このおっさんはどうすりゃいいんだ?あんた達に引き渡せばいいのか?」

「え・・えぇ、そいつはこちらで引き受けるわ。」

「判った、それじゃ任せるぜ。」

 

少年はそう言うと、部屋の奥に歩いて行く。

そして部屋の隅、要達の前まで行くと声を掛けた。

 

「よう、怪我はないか君たち?」

「あ、はい・・・大丈夫です。」

「わ、私も・・・」

「そうか。なら良かった。」

 

アリサ、すずかに怪我が無い事を確認すると少年は要に目を向けた。

 

「遅くなって悪かったな。」

「いや、助かったよ。出来ればもっと早く来て欲しかったけどね。

 

 

 

 

ありがとう、兄さん。」

 

少年――――啓自は気にするな、と笑いながら要に言った。

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。