ある男の転生人生   作:Y・O・U

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またしても間が空いてしまいまして、すみません。
仕事に問題が発生し、現在極めて忙しい状況に陥ってしまっている為、今後もこれ位の間隔が空く事になると思われます。
申し訳ない気持ちでいっぱいですが、長い目で見て頂けたら幸いです。

それでは、どうぞ。


幕間10

人質救出の後、首謀者の男を引き渡し、兄さん、千冬さん、俺の三人は今、月村邸に居た。

忍さんから話がしたいと言われたのが理由だが、恐らく『夜の一族』について、そして月村の家の『決まり』についてだろう。

まぁ、俺や兄さんのような悪魔使いの事を聞きたいのもあるかもしれないが。

兄さんと千冬さんも特に問題もない為、これを了承した。

二人が行くなら俺が行く必要はないと思ったのだが、実際に人質二人を救出したのが俺だったので、そのお礼がしたいと言われ、それでも断ろうとしたらアリサに睨まれ、さらにすずかに涙目でじっ、と見つめられたので、渋々了承した。

 

「さて、では話し合いと行きましょうか。」

 

テーブルの全員分のティーカップが並んだのを確認すると、忍さんがそう切り出した。

因みに今俺たちは長方形のテーブルに向かい合って座っており、席順は忍さんが中央でその右隣に恭也さん、左側にすずか、その隣にアリサ、テーブルを挟んで忍さんの正面に兄さん、その右隣りに千冬さん、左側に俺という感じだ。

 

「まずは、今回の事にお礼を言うわ。私の妹とそのお友達を助けてくれてありがとう。」

「俺からも、礼を言わせてくれ。君たちが居なければ正直危なかったと思う。助かったよ、ありがとう。」

「「ありがとうございます。」」

 

そう言って頭を下げる忍さん達。

 

「礼を言われる程の事じゃねぇッスよ。俺は殆ど何もしてねぇッスから。」

「全くだな。」

「一々一言多いっての。」

「事実なのだから仕方ないだろう?まぁ、私も礼には及びませんよ。知らせが無ければそもそもそんな事が起こっていた事も知らなかっただろうし、そもそも私は要を助けに行ったに過ぎません。礼なら要に言ってやってください。」

「いや、それを言ったら俺こそ今回なにも出来てないんですけど・・・。」

 

威勢よく助けに入ったは良いが、結局力不足で。

千冬さんが来なかったら、最悪死んでたかも知れない。

正直、かっこ悪い所の騒ぎじゃない。

 

「でも、もし要が来なかったら、私達多分酷い事されてたと思うわ。あいつ等ちょっと人として危ない感じだったし・・・。」

「うん・・・私も怖かった・・・。要君が来てくれてホントに良かった。だから・・・。」

 

そう言ってすずかがチラリとアリサを見る。

その視線に気づいたアリサがすずかと目線で何かを伝えた後、二人は頷き合い、俺の方を向くと、

 

 

「「助けてくれて、ありがとう。」」

 

 

真っ直ぐ俺を見ながらそう言って来た。

 

「・・・だとよ?」

 

そう言って俺に何かを促す兄さん。

・・・あぁ、もう・・・。

 

「・・・どういたしまして・・・。」

 

いかん、恥ずかしくて目を合わせられない。

クソ、兄さんと千冬さんがニヤニヤしてるのが手に取るように判る。

多分、忍さんもだな。

最近になって精神が肉体に引かれているような気がする。

前世ではこんな事無かっただろうに・・・。

 

「じゃ、この話はここまでとして、本題に入りましょうか。」

 

それまでの雰囲気が一気になくなり、シリアスな空気が流れる。

その場の人間全員が真剣な顔になる。

 

「先ず、私達の事からかしらね。」

 

そう言うと、忍さんは月村家、引いては夜の一族の事を話始めた。

吸血鬼の末裔だという事。

血を吸う必要はないが、時々吸血衝動に駆られる事。

その代わり、暗示などの術に長け、身体能力が優れている事等々。

 

「吸血鬼、ねぇ・・・。」

「以前見た吸血鬼とは似ても似つかんな。」

「・・・吸血鬼を見た事があるの?」

 

二人に聞き返す忍さん。

まぁ、吸血鬼と言われるタイプの悪魔とは全然違うしな。

あ、そうだ。

 

「何なら見ます?画像データで良ければ多分出せますよ。」

「本当?」

「えぇ、多分。」

「そういや、バロウズにはそんな機能もあったな。」

 

思い出したようにそう言う兄さん。

忘れてたのかよ・・・。

 

「バロウズ?何だそれは。」

「うーん・・・説明するより見てもらった方が早いですね。バロウズ、挨拶してもらえるか?」

<えぇ、了解よ。>

「!?」

「え、何!?いきなり声が!?」

「でも、どこかで聞いた事あるような・・・。」

「うん、私も・・・確か、悪魔が出て来た時に・・・。」

 

バロウズの声を聞いて反応は各々分かれた。

忍さんと恭也さんは突然聞こえた知らない声に驚きを隠せない様子。

アリサとすずかは聞き覚えがあった為、さほど驚きはないようだ。

 

「アリサとすずかはさっき聞いたからそんなに驚かないか。んじゃ、気を取り直して、バロウズ。」

 

そう言って俺はガントレットをテーブルの上に画面を忍さん達にそっと置いた。

 

<初めまして、要様のサポート役兼、悪魔召喚プログラムサポートAIバロウズよ。よろしくね。>

「籠手がしゃべった!?」

「流石に初見だと驚くよな。」

「仕方ないだろうな、私達も最初はそうだった。」

 

そういや、兄さんと千冬さんも最初はバロウズを見た時、かなり驚いてたっけ。

そのせいで、あの兎に調べられ(バラされ)そうになった時はかなり焦ったが。

 

「こいつはガントレットって呼ばれてます。悪魔召喚プログラムを搭載してるんで、一応COMP(コンプ)の一種になるらしいですけど。」

「・・・ごめんなさい、説明してもらってもいいかしら?悪魔召喚プログラムは何となく判るからいいとして、COMPっていうのは?」

「悪魔召喚プログラムを搭載した携帯端末の事ッスよ。俺も持ってます。」

 

そう言って自分のCOMPを取り出して見せる兄さん。

 

「随分変わった形をしてるな、これは・・・銃、か?」

「えぇ、俗にGUMP(ガンプ)って呼ばれてるッス。」

 

恭也さんの問いにそう答える兄さん。

 

「という事は、啓自君のCOMPもしゃべるのかしら?」

「いや、俺のは悪魔召喚プログラムだけですよ、バロウズみたいなAIが搭載されてるやつは俺も初めてです。」

「おかげであいつが煩くて仕方なかったがな。」

「あいつ?」

「俺らの仲間の一人ッスよ。主に技術方面で協力してもらってるんッス。」

「・・・」

 

あの兎の話を聞くと、どうにも微妙な気分になる。

触りだけとは言えIS原作を知っている身としては、あの兎の変わりようは未だに慣れるものじゃない。

元々は原作と同じような性格をしていたらしいが、今ではただの変人程度の認識だ。

それもちょっとずつ改善して来ているらしいが。

原作だと自分と対等と呼べる存在が千冬さん位しか居なかったけど、ここではそうじゃないってのも原因の一つだろうな。

もっとも一番の理由は、自分が敵わない相手が居た(・・・・・・・・・・・・)事だろうけど。

 

「つまり、そのCOMPがあれば誰でもデビルサマナーになれるのか?」

「理屈ではそうなるんスけど、どうも素養に左右されるらしくて・・・。」

「素養って?」

「何か、魂の強さがどうとか・・・詳しくは俺もちょっとわかんねぇんスよ。」

〈おおよそ啓自様の認識で間違いないわ。因みに魂の強さというのは精神、心の強さ等とは違った強さなの。この辺りは複雑だから説明は省くけど。〉

 

確かソウルハッカーズ原作だと、強いソウルの持ち主として兄さんが選ばれたんだったか。

でも、他にもデビルサマナーは居たし。

やっぱり良く判らないな。

 

「それじゃ、貴女のCOMPはどんな形なのかしら?」

 

忍さんがそう言って千冬さんを見た。

今までの流れからそう思うのも仕方ないけど、やっぱり勘違いしてるな。

千冬さんは――――

 

「いや、私は持っていない。私はデビルサマナーではないからな。」

「・・・・・・え?」

 

呆けた顔をして千冬さんを見つめる忍さん。

ふと周りを見てみると、他の三人も同じような様子なのが見て取れた。

暫く固まった後、意味を理解した恭也さんが凄い勢いで千冬さんに詰め寄った。

 

「じゃあ、君は自力であの悪魔達を圧倒したっていうのか!?」

「まぁ、そう言う事になるな。」

 

何でもないようにそう言う千冬さん。

いや、そんな事が出来るのは極めて限られた人だけですからね?

さも当然のように言わないで下さい。

と言ってもまぁ、千冬さんにも事情はあるんだけどな。

俺は聞いただけで、詳しくは知らないんだけど。

 

「・・・コホン、色々予想外な事があって脱線したけど、話を戻すわね。バロウズ・・・さん、でいいのかしら?」

〈バロウズで構わないわ。私はあくまでAIだからそんなにかしこまらなくてもいいわよ?〉

「そう?じゃあ・・・バロウズちゃんって呼ばせてもらおうかしら?」

〈――――――――〉

 

忍さんにそう呼ばれてバロウズが急に黙り込んだ。

 

「ど、どうした、バロウズ。」

「も、もしかして、気に入らなかった・・・?」

〈あ、いえ、そう言う訳じゃなくて、その・・・懐かしい呼ばれ方をしたからちょっと、ね。〉

 

・・・あぁ、そうか。

真・女神転生4でイザボーにそう呼ばれてたんだったな。

当時を思い出しちまったのか・・・。

 

〈ごめんなさい、一先ずそれで構わないわ。〉

「判ったわ。それで本題なんだけど、真祖や死徒の事もバロウズちゃんが要君に教えたって事で間違いないかしら?」

〈そうね、データ内から色々と悪魔についての知識や情報をお教えしてるわ。デビルサマナーにとっては必要不可欠と言って良いからね。〉

「その情報って一体何処で?」

〈・・・申し訳ないけど判らないわ。恐らく私を造った誰かがインプットしたんだろうけど・・・。〉

「誰に造られたのか判らないの?」

〈えぇ、残念ながら、ね。〉

「・・・そう。」

 

忍さんが残念そうに呟くのを見て、俺は少し申し訳なくなって来る。

バロウズが説明したことは大半が嘘っぱちだ。

まさかバロウズが神様に造られて、転生した俺に贈られたものだなんて言える訳もない。

言った所で信じられるような事じゃないし、信じられても困る。

 

「判ったわ、一先ずこの話はここまでにしましょう。じゃ、もう一つ。貴方達に相談、というよりお願いがあるんだけど・・・。」

「お願い?」

 

忍さんの言葉にそう聞き返す千冬さん。

兄さんは若干顔が真剣になってるな。

まぁ、恐らく話ってのはさっきの話の夜の一族についての話に関わる事だろうな。

月村の家の掟のようなもので、夜の一族の事を知った者に対する対処は二つ。

一つは秘密を共有し、ともに生きる事を誓う事。

もう一つは夜の一族の力で記憶を消す事だ。

しかし、後者の方法は俺はともかく、兄さんや千冬さんには効かないだろう。

力に差があり過ぎるのもあるが、この手の能力を装備によって無効化出来るからだ。

忍さんもその辺はさっきの説明で判っている筈。

つまり、忍さんの『お願い』とは―――――

 

 

「えぇ、単刀直入に言うわね。

 

 

 

 

 

 

私達に協力してくれないかしら?」

 

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