大変遅くなってしまい申し訳ありません。
色々と身の回りの変化が多く、中々時間が作れなかった結果、ここまで遅れてしまいました。
今回はついにあのキャラが登場します。
また、今回から少し文章の形を変えています。そのせいか、今までで文字数最多の5500字になってしまいました。
以前の話も追々直していこうと思います。ではどうぞ。
1/10 題名修正
あの会合のあった日から数日経った日曜の午後。あの後、忍さん達との話し合いは割とつつがなく進んで、協力関係を結ぶ事で合意した。どうも、あの白スーツと同じように月村の家に対して良からぬ事を企む輩が他にもいるらしくて、そいつ等に対抗する手立てとして兄さん達の力を貸して欲しいとの事だった。兄さんとしては、自分達の力を狙って何かしら手出しして来るんじゃないかと危惧してたらしくて、拍子抜けだったらしいが。特に自分たちにデメリットが無い事、夜の一族という異能が関わる事から、協力の申し出を受ける事にしたそうだ。俺としても反対する理由はなかったし、流石に
そんな事があった後、その日は解散する事になったのだが、アリサとすずかから近い内にお茶会に来るようにとのお誘いがあった。こちらの友人を連れて来ても良いとの事だったので、一夏と箒にも声を掛けようか、などと思案しながらその日は家路に着いた。
そして今日。すずかの家に来るよう連絡があったので、一夏と箒とともに現在月村家にお邪魔している。しかし改めて考えると凄いな、小学生がお茶会って・・・。
そんな現実逃避気味な事を考えながら俺は出された紅茶を飲みながら目の前の光景をぼーっと眺めていた。
何故現実逃避などしているかというと―――――
「・・・・・・・・・」←(鋭い目つきですずかとアリサを睨む箒)
「・・・・・・・・・」←(箒同様視線を鋭くしているアリサ)
「・・・・・・・・・」←(威圧感漂う笑みを浮かべるすずか)
こんな感じ。
え?何でこんな事になってるかって?俺が知りたいよ。俺が少し席を外して戻って来たら既にこの状態だった。信じられるか?これ始まってまだ十分も経ってないんだぜ?一体何があったのさ。説明を求めたいところではあったが、三人はとても聞けるような状態ではないし、一夏はというと―――――
「うお、このシュークリームスゲェ美味いな!」
「でしょ?私のお母さんが作ったんだよ!」
シュークリームを食いながら栗色の髪のツインテール少女と話している。お前らこの状況で良くそんな呑気にしてられるな。いや、自分達が実害を被る事が無いと判っているからこそか。しかしとうとう、と言うか漸く、と言うか―――――
―――――遂に『高町なのは』のお出ましか。
未来の魔砲少女(誤字にあらず)、エースオブエース、時空管理局の白い悪魔等々。様々な異名を持つ『リリカルなのは』シリーズの主人公。彼女を中心にして数々の事件が起こり、辛く苦しい戦いに身を投じる事になる。
と言ってもそれはもう少し先の話。今の彼女は少々特殊な家系に生まれただけの普通の少女でしかない。ましてここは良く似た平行世界。兄さんや千冬さんを始め、俺が認識していないだけで他にも数々の『イレギュラー』が存在しているかも知れない。原作通りに行かず、最悪の結末になる可能性も決してゼロじゃない。
全てはこれから、俺やその他の要因が重要になってくる。今まで以上に気が抜けない日々になるだろう。
いい加減現状をどうにかしないといかんよなぁ・・・。気が滅入る一方だが仕方ないか。
「あー、箒?さっきから一体どうした?二人がどうかしたのか?」
「どうかしたのか、ではない!要、この二人とはどういう関係なのだ!」
「どういう、って友達だよ。それ以上でも以下でもない」
会ってまだ数日なんだからそこまで親密な関係って訳じゃないし、かと言って色々知られてる以上ただの知り合いって訳にもいかないしな。
「「・・・・・・」」
今度はアリサとすずかからプレッシャーを感じる。なんでさ、間違ってないだろ。
「・・・どうした?」
「要君、本人達の前でそれはないんじゃないかな」
「そうよ!少なくともただの友達ではないでしょうが!」
「じゃあ一体なんだってんだよ。会って数日の相手にそれ以上どんな関係があるってんだ。知り合い以上である事が既に優遇してる証拠だろうが」
「要君はもう少し女の子の気持ちを理解するべきだと思うよ」
「言っとくがなすずか、全部ワザとだ」
「余計に立ちが悪いじゃない!」
「説明はしただろ、アリサ」
この二人にはこっちから振らない限りは『悪魔』の事は話さないように言ってある。普通に生活しているだけなら『悪魔』と関わる事は極めて少ないし、わざわざ関わっていく意味も理由もない。必要以上に関わらせたくないというのが本音ではあるが。
「それはそうだけど・・・」
「だったらそれで納得しろ。どんなに理不尽だと思おうが、これは必要な事なんだ。でなきゃいつか取り返しのつかない事になるかもしれないんだぞ」
「ぐぬぬ・・・」
「何がぐぬぬだ」
両手を握りしめて俯いたまま唸るアリサにテンプレなツッコミを入れる。まだ唸っているが、アリサにばかり構っていられないので、気を取り直して次に行こう。すずか――――は、アリサとの会話を聞いて渋々ながら納得してくれたようだ。
なら、残るは一人。
「箒も、いい加減二人を睨むのをやめろよ。そもそもお前はただでさえ人見知りするんだから、その態度位は直せ。そんなんだからいつまでもボッチ間際なんだぞ」
「なっ!だ、誰がボッチだ!」
「当然の評価だろ。お前俺と一夏以外に友達いないじゃん」
「失礼な事を言うな!私だって・・友達・・位・・・いる・・ぞ・・・?」
「何で疑問形?・・・あぁ、判った俺が悪かったよ。謝るから泣くな」
「な、泣いてない!」
「うん、もうそれでいいから。ほれ、ハンカチ」
自分の現状を思い返して悲しくなってしまったらしい箒にポケットからハンカチを出して渡してやる。IS原作だとあの兎のせいで一夏と離ればなれになってしまった為に若干一夏に依存する傾向があったが、全てがあの兎のせいという訳でもない。箒自身の性格も相まって原作のような感じになってしまったんだろう。なら、今からでも悪い所を直してやれば、原作の様にはならないはずだ。主に『銀の福音』編の辺りの慢心癖とか。
「アリサ、すずか、二人にお願いしたい事があるんだが、いいか?」
「何よ、改まって」
「お願いって?」
「これは俺の我儘なんだが、箒と友達になってやってくれないか?」
「か、要!?」
「箒、まずは友達を増やせ。いつまでも俺や一夏とだけ一緒に居たらお前が一向に進歩しないからな。」
「わ、私はこいつ等と友達になど・・・!」
「そういう物言いが原因なんだぞ。それを直さないとホントに将来ボッチに――――いや、ちょっと前のお姉さん以上の駄目人間になっちまうぞ?」
「そ、それは嫌だ!!」
「だったら頑張れ。心配しなくても何かあったら俺も手を貸してやる。けど頼り過ぎてもお前の為にならないからな、基本は自分で何とかするんだ」
「む、難しい事を・・・」
「難しくてもやるんだよ。他でもない、お前自身の為なんだから」
そう言ってやや俯いている箒を励ましてやる。この性格で誰よりも苦しむ事になるのは箒自身だと思う。それに、やっぱりあの兎の事は気になるらしい。それが判っている以上、放っておく事なんて俺には出来ない。傲慢だと言われようが、俺の本心だ。
「「・・・・・・」」
「ん?」
ふと見るとアリサとすずかがこっちを変な目で見ている。何かあったか?
「何だよ?」
「いや、何ていうか、アンタって・・・」
「まるでお兄さんみたいだね」
「は?」
あまりに予想外の言葉に思考停止してしまう。お兄さん?俺が?箒の?
「いやいやいや、俺と箒は同い年だからな?」
「判ってるわよそんな事。でも何かアンタって妙に大人びてるから同い年だって事忘れちゃうのよね」
「うん、要君ってすごく落ち着いてるよね。クラスの男の子達と比べてもそう思うよ」
「何だ?俺が老けて見えるとでも言いたいのか?」
「そうじゃなくて、子供っぽくないって言ってんのよ」
まぁ、少なくとも精神年齢は二十代前半ですから。それで子供と同じ目線で物を見れたら、正直微妙な気分になる。それも一つの才能なのかも知れないけど。
「要が、お兄さん・・・」
「・・・箒、お前悪くないかも、とか思ってないだろうな?」
「そ、そそ、そんにゃ事ないぞ!!?」
「・・・・・・」
思わずジト目になってしまった俺は決して悪くないと思う。ホントにこいつは判りやすい。良くも悪くも真っ直ぐなんだろう。
「・・・まぁ、良いわ。折角のお茶会だもの、辛気臭い話はここまでにしましょ。改めて、アリサ・バニングスよ。よろしく」
「月村すずかです。よろしくね」
「し、篠ノ乃箒だ。・・・よろしく頼む」
やや躊躇いながらも自己紹介をする箒。まだまだ不安はあるが、二人に任せれば大丈夫だろう。その間に俺はもう片方の確認をしないとな。
「で、一夏。」
「ん?もう終わったのか?」
「あぁ、一先ずな。全く、完全に無視しやがって・・・」
「だって、どう見ても面倒に巻き込まれそうだったからさ。お前が俺でもそうしただろ?」
「当然」
「なら文句言うなよ」
ったく、こいつは・・・。知り合ってまだ一年も経ってないってのにどうしてこう余計な所までいちいち気が合うのかね。似た者同士って事か?・・・まさかな。
「まぁ、それはさておきだ。そろそろそっちの説明も聞きたいんだがな。そっちの子とは知り合いなのか?随分仲が良さそうじゃないか。」
「んー?まぁ、知り合いって言えばそう・・なのか?」
「何でお前も疑問形なんだよ・・・」
「えっと・・・自己紹介してなかったよね?私、高町なのはって言います!今日はアリサちゃんとすずかちゃんに誘われて来たの。よろしくね!」
「おう、宜しくな。俺は峰岸要だ。こっちは篠ノ乃箒、なのはも是非箒と友達になってやってくれ」
「うん!よろしくね箒ちゃん!」
「え、あ、あぁ・・・よろしく・・・」
なのはにそう言われ何やら困惑している箒。
「どうした、箒?」
「いや、声が姉さんに似ていたから・・・呼び方も・・・」
「あぁー・・・」
まぁ、それは困惑しても仕方ない。何しろ中の人同じだし。だが、
「中身は真逆っぽいけどな」
「確かに・・・」
「?」
俺と箒に見つめられて不思議そうに首を傾げるなのは。何というか、実にあざとい。
「で?どういうきっかけで知り合ったんだ?アリサ達と友達って事は俺達とは違う学校だろ?」
「えっとね、随分前になるんだけど、私が一人で近くの公園に居た時に一夏君が声を掛けてくれたの」
「ほう・・・」
何と、二次創作界隈で良く見るなのはボッチイベントか。父親である高町士郎が重傷を負い入院してしまった為、当時喫茶店開店直後だった事もあり、家族全員なのはに構ってやれない状態だった。その為、なのはは近所の公園で一人で過ごしていたらしい。なのは自身、この歳の子にしてはかなり聡い子だった事もあって、家族に自分の寂しさを伝える事もせず一人で耐えるしかなかったんだろう。そこに一夏が関わっていたとは。しかし、一つ解せない事がある。なのはは近くの公園と言っていた。という事はこの近くの公園という事だ。つまり、俺達の家からはかなりの距離がある。
「一夏、お前そんな遠い所で一人で何してたんだよ」
「あー、えーっと・・・あの頃は千冬姉も帰って来るのが遅くて、家には居たくなかったんだ」
「・・・わりぃ」
「良いって。気にすんなよ」
一夏には両親が居ない。物心ついた時には肉親は千冬さんしか居なかったそうだ。その千冬さんも当時はまだランドセルを背負っていた筈。そんな子供二人残してどこかに消えてしまうとは、とんだクソ野郎共も居たもんだ。
「んで、ちょっと遠くまで行って見ようと思ってたまたま行った公園でなのはが一人でブランコ漕いで寂しそうにしてたから」
「ついほっとけなくて声を掛けた、と」
「そんな感じだ。なんていうか、似てるような気がしてさ」
「似てる?」
「あぁ。その時の俺とさ」
「ふーん・・・」
そう言われると確かに似た境遇かも知れない。どっちも家族で苦労している訳だし。けどなのはは家族に心配を掛けまいと『良い子』を演じていたのに対して、一夏の場合千冬さんに弱い所を見せたくないという意地だったんだろう。何だかんだでこいつもまだ小学生、まして当時は入学前だっただろうしな。
「何だよ?」
「いや、お前らしいなぁと思ってな」
「ん?」
「お人好しだって事だよ」
「うむ、確かにな」
「何だよ箒まで・・・悪いかよ?」
「いや、お前はそれが正しいと思ったのだろう?」
「ああ」
「だったら胸を張れよ。自分のした事が間違ってないと思うなら堂々としてろ。俺の知ってる一夏はそう言う奴だ」
「言われるまでもねぇよ」
「あぁ、それでいい」
やっぱり一夏はこうでないとな。箒とは少し違うけど、こいつはこいつで真っ直ぐな奴なんだ。けど原作でのこいつの言動を考えると、若干
・・・いずれこいつと殺し合いになったりしないだろうな?
「アンタ達三人仲良いわね」
「うん、見てて羨ましいよ」
「む、そうか?」
「むー!一夏君もっとお話するの!」
「どうしたんだよなのは」
「察してやれ・・・ってのは酷な話か」
一夏の鈍感スキルにやや呆れつつ、俺は紅茶とお茶請けを楽しむ事にした。さて、これから色々と頑張らないとな。