気付けば前回の投稿から一か月以上が経過しており、最早月一前後の更新が定着しつつある事にやや複雑な心境です。
今回はついにあの兎が出ます。そして、兎が認めた技術チートも登場します。最初はこのキャラかスティーブンか迷ったのですが、こちらの方が書きやすいと思ったので、このキャラにしました。口調に若干不安がありますが・・・。
流石に兎でも敵わんよなぁ・・・年季が違うもん。
ではどうぞ。
2/14 修正
とある休日、あるアパートの一室に俺は居た。峰岸家に引き取られてから時間がある時は修行をつけてもらうのが俺の習慣になりつつあった。
バロウズが居るとはいえ、悪魔召喚器、そしてそれによって呼び出される悪魔という人智を超えた力。それらを扱うには俺はまだまだ未熟すぎる。肉体の幼さもさる事ながら、知識や技術についても圧倒的に不足していた。それらを補うため、暇さえあれば鍛錬や情報収集をするように心掛けていたのだが、兄さんや千冬さんがいつも時間がある訳じゃない。
デビルサマナーとして活動している兄さんとその相棒である千冬さん。悪魔関連の事象について何かあった時、調査に向かってしまう為、そういう時は
「―――――
魔術の修行だ。
「魔術の修行?」
「あぁ。実はお前を引き取って直ぐにお前の体をちょっと調べて見たんだが、お前には魔術回路―――――魔術を使う素養があるって事が判った」
ある時、修行を終えてから兄さんにそんな事を言われた。体を調べたと言われた時は思わず顔が引き攣ってしまったが、詳しく聞いてみると大火災の時に何かしらの魔力的な影響、又は後遺症があるかどうかを調べた際に偶然発覚したそうだ。
「兄さん、魔術が使えるの?」
「いや、俺は魔術回路は持ってない。だが、魔術の知識についてなら俺より詳しいのがいる。だからこれからはサマナーとしては俺が、魔術についてはそいつが教えて行く。選択肢を増やすのは一つの手だからな」
この兄さんの提案で魔術の修行が決まった。魔術は早い段階から鍛え始めないと物にならないが、現状の環境的に魔術の修行をするには難しいと思っていたから、この提案は正に渡りに船だった。
しかし実際に修行を始めてみると問題が発生した。ズバリ俺の魔術適正についてだ。俺の魔術適正は『強化』に特化したものであり、その他の魔術は軒並み使用出来なかった。一番意外だったのは『投影』すら使用出来なかった事だ。遺伝子上は
そんな訳で唯一の魔術適正である『強化』を鍛えて行く事になった。と言ってもやる事は難しい事じゃない。強化魔術を自身に掛けてそれを可能な限り維持し続ける事、これが修行の内容だった。言うだけは簡単だが、これが実際キツイ所の騒ぎじゃなかった。特に初めて魔術回路を使用した時はひどかった。イメージがしっかり固まっていなかったからか、起動した瞬間に意識がブラックアウトして気づいた時には家の自分の部屋のベッドの上だった。後から聞いたら胃液を嘔吐しながら涙から鼻水から顔から出るもの全て出しながらぶっ倒れて悶絶痙攣していたそうだ。
その後しばらくは最初程では無いにしろ回路を起動しては倒れるの繰り返しで、一時間どころか十分持たせるだけでかなり苦労した。その甲斐あってか今では何とか二時間程度まで持続出来るようになって来た。この短時間でこれだけ早く成果が出るのは稀だそうだが、いかんせん効果が低い。強化したと言っても、精々が50m走のタイムが0.1、2秒縮まった位のものだ。そもそも『強化』自体が魔術の中でも基礎中の基礎であり、それ故に極めるのが困難なものである為、ぶっちゃけ無いよりマシ程度のモノになりそうな嫌な予感がビンビンしている。
とにもかくにも使える物は使った方が得なのは間違いないし、まだ始めてから日も浅い。気長にやって行くしかないだろう。そもそもにして魔術全体が本来なら何世代もの時間を労して築き上げていくものだし。
「・・・調子はどうだ?」
「あ、はい。悪くはないと思います。」
そんな事を考えていた時、後ろから声を掛けられた。振り向くと何時から居たのか魔術の師が立っていた。
「ふん・・・何処か不服そうだな?」
「え、いや、そんな事はないですけど・・・」
「誤魔化すな。現状の結果に満足していないと顔に書いてあるぞ」
・・・鋭い。
確かにさっきまでそんな事を考えていたがまさかこんなに的確に見抜かれるとは。
「そんなに俺って判り易いですか?」
「あぁ」
言い切られた。ちょっとへこむ。
「・・・以前説明したとおり、魔術の修行は簡単なものじゃない。たかだか数か月でこの成果を挙げたお前は間違いなく才能がある方だ。通常の魔術師であればこの成果を出すだけで年単位の時間を要するものだぞ?」
「そう云われても、いまいち実感無いです・・・」
「・・・まぁ、無理もないかもしれんな。出来る者には出来ない者の気持ちは理解出来んだろう」
それはアーチャーも士郎に言ってたな。出来る奴の視点で説明されても出来ない奴にとってはあまり参考にならない。出来る事も、そもそもの実力も違うのだから。
「・・・一先ず、休憩だ。時間も頃合いだからな」
「え・・・あ、もう昼過ぎですね。気付かなかった・・・」
「修行に精が出るのは結構だが・・・焦りすぎるな。特に時間が限られている訳ではない。」
「・・・はい」
しっかり釘を刺されてしまった。まぁ、魔術は万が一の為の保険のようなものとして教わっているようなものだからあまり本腰を入れて教えてもらう事は期待できない。
そもそも
「何をしている。行くぞ、要」
「あ、すみません。今行きます
ソウルハッカーズの次はデビルサバイバーか。
『峰』の字が違うけど、些細な問題だな。
―――――
デビルサバイバー原作においての重要人物で、主人公の従兄弟にして、悪魔召喚プログラム搭載端末『COMP』の製作者。その正体は人類初の殺人者、大罪人『カイン』。原作では弟『アベル』の因子を持つ主人公を『ベルの王』にする為に暗躍していた。
まさかこの人が身内に居るとはなぁ。初めて会った時は心底驚いた。確かにこの人なら適任かも知れないけど、ぶっちゃけこの人なら魔術師で言う処の『魔法』を使えてもおかしくないんだよなぁ。実際に神秘の時代生きてた人だし。
何でも兄さんのGUMPのメンテナンスや対悪魔戦でのサポートなんかをしてるらしい。技術面でこれほど高性能な人はそうは居ないだろう。
・・・改めて考えると俺の周りスゲェ事になってるよな、主に戦闘力が。
兄さんを始め、千冬さんに直哉さん。それに―――――
「・・・・・・」
「・・・?どうしました?直哉さん」
急に直哉さんが立ち止まった。どうしたのかと気になって顔を見ると何やら険しい―――いや、面倒くさそうな顔である方向を注視している。
何かあるのかと視線の先に目をやると、
「なぁぁぁぁぁくぅぅぅぅぅぅん!!」
ゴスロリ衣装に異様にメカメカしいウサミミを頭に付けた女性が飛び掛かってきていた。
いやいつの間に!?全く気付かなかったぞ!?気配どころか近づいてくる足音すら聞こえないってどんだけだよ!?
そんな俺の混乱を他所に事態は進み―――――
直哉さんが女性の頭を掴み―――――
そのままその腕を横に振って――――
女性を地面に投げ捨てた。
「アウチッ!!」
地面に顔から落ちた女性。・・・痛そう。
普通なら大怪我しててもおかしくないやり取りだが心配はしていない。
「・・・煩いぞ、いったい何の用だ
「んもう、なーくんったら。もうちょっと優しくしてくれても良いじゃない。プリチーな束さんの顔にキズが付いちゃったらどうするのサ」
「お前がこの程度でキズを負うほど繊細な訳がないだろう」
「ひっどーい!束さんだって年頃のナイーブな女の子なんだよ!」
「・・・・・・・・・・はっ」
「鼻で笑われた!?」
即座に立ち上がったかと思えば、直哉さんとコントを始めた。
相変わらずこの人は色々規格外だな・・・。
―――――
IS原作の最重要人物。
箒の姉であり、ISの生みの親、そして唯一ISのコアを作製できる人物である。ISは従来の兵器と一線を画すものであり、ISに対抗出来るのはISだけだった。しかし、何の思惑があったのか、467個のISコアを作製した後、彼女は姿を眩ませてしまう。そのせいで世界中から指名手配され、その影響で箒と両親が『要人保護プログラム』を受ける事になって箒は一夏と離れ離れになる事になった。
そんな人物が今、目の前に居る。正直、かなり微妙な気分だ。
原作では、一夏、箒、千冬さんの三人にしか興味を持っておらず、それ以外の人間は道端の石ころと同程度、いや下手をするとそれ以下にすら見ていたかもしれない。
要するに、人間性に極めて難がある人物だった。
だが、この世界で実際に会ってみると変人ではあるものの、そこまで歪んではいなかった。心底安心すると同時に、そうなるように努力してくれた兄さん達に感謝したのを覚えている。最も原作のイメージが抜けきっていない為、未だに慣れないのだが。
「あ、かーくんも一緒だったんだ。って事は魔術の修行?」
「え、ええ。いい時間になったので、休憩がてらお昼を食べに・・・」
「そっかそっか~、かーくんは頑張り屋さんだね!」
「ど、どうも・・・」
「はぁ・・・束、用件は何だ」
「あ、そうそう!なーくんに
「・・・もう出来たのか?」
「一応ね。後は微調整と動作試験なんだけど、なーくんの意見も聞きたいんだ」
「・・・ふむ」
直哉さんは少し考える素振りを見せた後、チラリと俺を見やる。恐らく俺の修行との兼ね合いを考えているんだろう。
「俺は大丈夫ですよ。一人でも何とかなりますから」
束さんの言う
「・・・・・・はぁ」
「・・・?」
何やらため息をつかれた。なんでさ。
「・・・束、要も連れて行く。問題ないな?」
「うん、問題ナッシングだよ!むしろ置いて行く方が問題だろうしね!」
「え?いや、俺は―――――」
残る、と言う前に浮遊感を感じた。何かと思ったが瞬時に理解した。束さんの小脇に抱えられていた。
・・・何で束さん?
「・・・あの、束さん?」
「まーまー、そう言わずにかーくんも束さん達と一緒に行こうよ!」
「いや、だから俺は・・・」
「放っておいたらかーくん一人で魔術の練習始めちゃうでしょ?」
「それは・・・まぁ」
「駄目だよー?最初は回路を開いただけで倒れちゃったでしょ。一人でやらせてたら無意識の内に無茶して最悪死んじゃうかもしれないんだよ?」
「う・・・」
まぁ、前科、というより前例がある以上否定しづらい。正直未だに自分の限界を見極めかねてるのは事実だし、そうならないとは言い切れないけど・・・。
「はい決定~。と言う訳でかーくんはこのまま束さんがれんこーしまーす!」
「え!?いや普通に歩けますから―――――」
「時間が惜しい、さっさと行くぞ」
「おっけーなーくん。じゃ、かーくん行くよー?」
「だから俺は―――――」
「しゅっぱーつ!!」
掛け声とともに走り出す束さん。知ってる奴は知ってる事だが、実はこの人、身体能力もかなり高い。それも千冬さんとタメ張れる位に。そんな人が全力疾走するとどうなるか。
「ちょ、まっ、おろしてええぇぇぇぇーーーー・・・!」
抱えられてる俺に掛かるGがハンパない。ジェットコースターも目じゃないかも。
「・・・全く、いつもいつも騒がしい奴だ・・・」
一人取り残された直哉さんが歩き出しながらつぶやいたその言葉は俺の耳に届く事はなかった。