一年掛かって話が全く進んでいない・・・。
この分だとfetaに入れるのはいつになるやら・・・。
では前置きはここまでにして本編をどうぞ。
これからもよろしくお願いします。
3/25 題名修正
第1話
早いもので俺が大火災から生還したあの日から約一年半が経った。いや、気付いたら一年半も経ってたってのが正しいか。それだけ充実した時間を過ごしていたって事だけど。アリサとすずかに呼ばれてお茶したり、兄さんとデビルサマナーとして修行したり、一夏と箒と一緒に道場で竹刀振ったりしてたらあっという間だった。
一年半。そう、この世界に転生して一年半になる。八歳だったのが九歳になる訳で、小学二年生が三年生になる訳だ。まあ結局何が言いたいかというと―――――
―――――『リリカルなのは』の原作が始まる年であるという事だ。
この世界に一つの命として生きている以上、今更原作だの何だのというのは宜しくないのだろうが、いよいよこの世界での色んな意味で濃厚な日々が本格的に始まると考えると期待と不安が半々ってとこか。最も今までだけでも十分に波乱万丈な人生だったと言えるだろうけど。準備は怠っては居なかったが、いざとなるとやはり多少の不安は拭い去れないな・・・。
けど出来る事はやって来た、後はやれるだけやるしかない。
とまぁ、意気込んではみたものの実際いつ始まるのか明確な日時やらは判らない。なので気の抜けない日々がしばらく続く事を覚悟していたのだが、それは思いのほか早く訪れた。
ある土曜日の午後。もはや違和感すら抱かなくなったお茶会に参加した時の事だ。
「フェレット?」
「うん、数日前に帰り道でケガしてるのを見つけて動物病院に連れて行ったの」
「先生の話だとケガは大した事ないけどかなり弱ってたみたい。まぁ、命に別状はないって言ってたから心配は要らないでしょうけどね」
知らない内に原作が始まっていたでゴザルの巻。まぁ学校が違うんだし、土日や祝日にこうして遊びに来る位しか会う機会がないから遅くなっても仕方ないだろうけど。因みに今日は一夏と箒は居ない。一夏は翠屋のシュークリームの味をえらく気に入ったらしく、あれから時々翠屋に行っているそうだ。あわよくば作り方を聞いて自分で作ってしまおうと思っているとか。超一流のパティシエの作るお菓子をそう簡単に、しかも小学生が真似出来るとは思えないが、一夏なら出来そうな気もする。
箒は家族と一緒に出掛けているらしい。誘って見た所、すごく申し訳なさそうにそう言って謝って来たので何だかこっちが申し訳なくなってしまった。
・・・ところで、『家族で』と言っていたが、まさか束さんもか?あの兎が親とはいえ誰かと一緒に出掛ける・・・やべぇ、まったくイメージ出来ねぇ。
と、兎に角そんな感じで今は俺とアリサとすずかの三人しか居ない。なのはがいない理由は判らんが・・・。
「ふーん・・・フェレットなんて名前しか知らねぇなぁ・・・」
「え、アンタフェレット見たこと無いの?」
「生憎な。それより珍しい、且つ極めて危険なモンなら割と見て来てんだけどな」
「あははは・・・」
紅茶を飲みながらかました俺のブラックなジョークに苦笑いするすずか。それが悪魔であると判っているからこその反応だろう。見るとアリサも呆れた顔で紅茶に口を付けている。
・・・一先ず、現状を把握しないとな。
「んで?そのフェレットこれからどうすんだ?飼われてたかどうか位判るだろ?」
「うん、首輪とか着いてなかったから飼われてた訳じゃないみたい。今はなのはちゃんが引き取って世話してるんだって」
「へぇ・・・そういや、そのなのはは?」
「今日は忙しいとかで断られたわ。なんか最近付き合いが悪いのよね・・・」
だろうな。フェレット――――『ユーノ』がもう高町家に居るという事は、なのはが『レイジングハート』を受け取って魔法少女始めてるって事だ。恐らく魔法の練習をしながら『ジュエルシード』を探してるんだろう。
しかしどうしたもんかな・・・聞く限りだと恐らく原作との『差異』は無い。今のところは、だが。正直、介入するべきか悩ましいところだ。このまま順調に行くならその必要は全く無い。わざわざ介入、改変して悪い方向に転がってしまうのも怖いし、そうなると高確率でなのはを悪魔に関わらせる事になる。気が引ける以上に、ただでさえハードな人生を歩む事になるのに更に難易度上げるのは忍びない。あと恭也さんとかにバレたらどうなる事か・・・。
「まぁ、愚痴っててもしょうがないわね。今日はアンタに話しておきたい事があったのよ」
「あん?」
「実はね?今度なのはちゃんのお家の人達に誘われて温泉に行こうって話があるの」
「温泉・・・ねぇ」
「うん、それでね?要君達も一緒にどうかなって」
温泉っつったらつまりあれだよな、ジュエルシードの一つがあるとこ。しかもその時なのはは初めての決定的敗北を味わう事になる。まぁ、魔法に触れてまだ数日程度の9歳の少女でしかないし、相手は同い年とはいえ魔導士としての年数は上だ。勝てる方が奇跡ってもんだろう。
「うーん・・・今すぐ答えは出せねぇな。父さんと母さんに聞いてみねぇと」
「もちろんすぐじゃなくて良いわ。まだ先の話だし」
「うん、でも来てくれると嬉しいな」
「あんまり期待すんなよ?」
そんな感じでその日はお開きになったのだが、帰ってから聞いてみた所まさかのOKが出た。正直もっと難航するもんだと思ってたから何というか酷く拍子抜けだ。
一夏と箒の方も何だかんだで了承してもらえたらしいが、流石に三人だけでは心配という事で、兄さんと千冬さんも同行する事になった。しかし問題は家に帰って来たあと発生した。
「要、ちょっと良いか?」
「ん、何?」
「俺の部屋に来てくれ。ここでは話しづらくて、な」
「・・・?」
夕食後、小声でそう言ってきた兄さんに若干の違和感を覚えつつ言われたとおりに部屋に行くと、机の引き出しから何か取り出している所だった。
「兄さん、来たよ」
「ん、ああ悪いな。ちょっと話して置きたい事があったんだ」
「?」
「まず最初に聞いておくが、お前『コレ』に見覚えあったりしないか?」
そう言って机から取り出して来たと思しき『ソレ』を見た瞬間、あまりの事に心の中でoh・・・と嘆いてしまったのは仕方ない事だろう。何故なら――――
兄さんの手にあったのが件の『ジュエルシード』だったからだ。
・・・予測はしていた。兄さんがこんな膨大な魔力の塊とも言えるシロモノを見逃す筈がない、そして気付いたなら間違いなく調査を始めるだろうと。その心構えがあったからか、さしたる反応を見せずに済んだのは僥倖と言えるだろう。
「いや、見たこと無いけど」
「そうか・・・実はこれ、かなり危ないモンらしくてな?今海鳴市にいくつか同じものが存在してるんだと」
「そうなの?そうは見えないけど・・・」
「これ単体ではまだ良いんだが、何かしらの外的要因・・・まあ要するに誰かに拾われたりすると厄介な事になるかも知れないんだ。もし見かけたら教えてくれ」
「わかったけど・・・具体的に何がどう危ないの?」
「こいつにはとんでもない魔力が備わっててな?仮に誰かの手に渡ってそいつが何かしらの願望を持っていた場合、その願望を歪んだ形で叶えようとするらしいんだわ。それでなくてもその魔力のせいで周りに悪影響をもたらす危険もあるんだ」
「・・・もしかして割と深刻な状況だったり?」
「そうだな、可及的速やかに回収しないと不味い事になりかねない。直哉や束にも協力してもらってるんだが、少し時間が掛かりそうなんでな」
「そうなんだ・・・」
直哉さんと束さんが動いてるなら、ニ、三日で全てとは行かなくても大半のジュエルシードを見つけられるかもしれない。原作だとなのはがかなり苦労していたような気がするが、そもそも魔法を使い始めてまだ数日、しかも使いこなせていない状態では無理からぬ話だ。兄さん達とは年季が違う。
「判った。見つけたらすぐに兄さんに知らせるよ」
「悪い、頼んだぞ」
これは原作が跡形もなく吹き飛ぶ事も視野に入れておく必要があるな・・・。はっきり言って過剰戦力だよコレ。『フェイト』は元より『プレシア』でも荷が重いぞ多分。相手は『電撃』に特化した魔導士だから下手するとワンサイドゲームで終わっちまう。まぁそれ自体は別に構わないんだが、その場合後の話にどう影響してくるか判らない。最悪、『時空管理局』が来る前に全てが終わってしまうかもしれない。どうしたもんか・・・。
と、色々考えたが結局良い案が浮かばず、その日は就寝となった。しかしその翌日、更なる問題が待っていた。
昼食を終え、一先ず宿題でもやろうかと思っていた所、一夏から電話が掛かって来た。
「もしもし?」
『要か?今何してる?』
「特にこれと言って何も・・・」
『だったら今から家に来ないか?っていうか宿題判らないとこあるから教えてくれ!』
「そんなに難しい宿題じゃなかったと思うが・・・まぁ良いや、暇してたし今から行くよ」
『サンキュ!助かるよ!』
と言ったような電話での会話から約30分後、諸々の準備を終えて俺は織斑家の前に居た。インターホンを鳴らすと一夏の声が聞こえてきた。
『はい』
「一夏、来たぞ」
『おう、悪いけど今ちょっと手が離せないから勝手に上がってくれ。鍵は開いてるから』
「不用心だろ」
『この辺は平和だし、昼間なら問題ねぇって』
「全く・・・」
言われた通り、玄関をくぐって一夏が居るであろう居間を目指す。勝手知ったる親友の家、迷う事無く居間についたのだが、
「おう、来たか」
そこには何故かエプロン姿の一夏と、
「こ、こんにちは・・・」
一夏が作ったと思われるチャーハンの前に礼儀正しく正座している物凄く見覚えのある金髪ツインテールの少女がいた。
(・・・なんでさ)
もはや何度目かわからないお約束のセリフを心の中で呟いた俺は、そのまま数秒間固まってしまうのだった。