転生初日の昼すぎ、朝の出来事からFateの世界に来たという確信を得た俺はすぐさま行動を開始したのだが、いきなり大きな問題に直面した。
まずは現在の状況を把握しておかなくてはと思い、テレビのニュースや新聞記事を確認した所――――――――
現在Fate/Zeroの真っ最中という事が分かりました。
やっべぇぇぇぇぇ!?
そういや士郎が七歳って事はFate/staynightの十年前って事じゃん!!
このまま行くと大火災に巻き込まれてせっかくの二度目の人生が早くも
『残念!要の冒険はここで終わってしまった!』状態になってしまう!?
何としてもそれだけは回避しなければ!という事でその日がいつ来るかを大まかにでも予測して、何とかそれまでに色々と準備しなければと思ったのですが――――――――
結果、殆ど何もわかりませんでした。
いや、考えてみれば当たり前なんだけどね?魔術師にとって、神秘の秘匿は基本中の基本だし、聖杯戦争はその最たるものと言っても過言じゃない。
一般家庭の子供に分かる訳がない。
ただ、ちょっと家の周りを散策した時、奥様方の井戸端会議が偶然耳に入って来たんだけど、どうやら数日前に海魔騒ぎがあったらしい(これのおかげで第四次聖杯戦争の最中だと分かった)んだよね。
って事は、時期的にもうじき切嗣と綺礼の最終決戦が起こって、冬木市大火災が起こるって事だ。
はっきり言って詰んでる感がハンパない。
しかし、気になる事がある。調べてる内に分かったのだが、実際のFate/Zeroと少し違う所がある。
まず時期。
新聞を見ていて気づいたのだが、今は十月の終わり頃なのである。
確か第四次聖杯戦争が始まったのは初秋、大体七月位だったはずだ。
どれ位の期間続いたのかは定かではないけど、大体三週間、長くても一か月位のはずなんだけど・・・。
まあ、これはまだ誤差の範囲で片付く問題だ。
俺が気になっているのは年代だ。
何となしにカレンダーを見たときに目についた年数が2004年になっていたのだ。
確か、実際の第四次聖杯戦争が起きたのは1994年のはずなんだけど、どういう訳か十年もずれている。
本来なら第五次聖杯戦争が起きる年のはずなのだが・・・。
「どうした?難しい顔して。」
「ん?いや、士郎は将来絶対『いい人』止まりで終わるだろうなぁ、と思ってさ。」
「何の話だ?」
士郎に不審がられて、とっさに適当な話題で誤魔化す。
いや、実際は『いい人』どころか、『ただならぬ関係』にまで発展するんだけどね。
しかも場合によっては複数の相手と。
「痛ッ!?何で叩くんだよ!?」
「ごめん、なんか急にイラッとして。」
「なんでさ!?」
世の中の不条理に絶望した腹いせに士郎の頭に軽く一発。
ちょっとだけスッとした。
「全く・・・。」
「ごめんごめん。」
まぁ、わからない事をいつまでもああだこうだ考えても仕方ない。
なるようになるだろう。
あまり楽観視出来る問題じゃないけど、悩みすぎるのもいけない。
それで家族に心配かけてたらたら元も子もないからな。
「よし!士郎、外に遊びにいこうぜ!」
「ホント勝手だなお前は・・・。まぁ、いいけどさ。」
「って事で行ってきまーす!」
出かける前に一応、両親にそう告げる。
「暗くならないうちに帰って来るのよー?」
「最近物騒だから、知らない人に付いて行くんじゃないぞー。」
「ハーイ!」
「わかってるよ、父さん。」
てな具合のやり取りの後、家を出た。
家族とのふれあいも人生には大切だよな。
その日の夜。
童心に帰り、士郎と二人で大いに遊びまくって帰って来た後、家族全員での夕食を終え、風呂にも入り、後は寝るだけなのだが、ふと自分のベッドに目をやると、見覚えのない箱が置いてあった。
「なんだこれ?」
朝起きた時はこんなものなかったはずだが・・・。
箱の上を見ると何か書かれた紙が置いてあった。
どうやら手紙のようだ。
「どうした?なんかあったのか?」
「ん?いや、士郎は結婚したら家事とかで揉めそうだなと思ってさ。」
「なんだよいきなり?ってこんな話、昼にもしなかったか?」
「おいおい士郎、もうボケたのか?大分早いんじゃないか?」
「ボケてねぇよ!」
と士郎をからかいつつ話をそらし、手紙に目を通す。
俺と士郎は二人で一つの部屋を使っているのだが、ベッドが二段で、士郎が下、俺が上を使っている。
なので、士郎からは俺が何をしてるかは見えない。まぁ逆も然りだが。
「えっと・・・。」
予想はしていたが、手紙は神様からのようだ。
『これを読んでいるという事は、無事に転生出来たようだな。まずはおめでとう。お前が転生した世界についてと、こちらで決めた特典について説明しておく。まず、その世界についてだが、お前が知っている世界とよく似た別の世界、つまり平行世界だ。お前が知る知識と完全に同じ世界ではないから原作知識を過信しすぎると危険だという事を覚えておくといい。次に特典についてだが、お前が希望したもの以外に、その世界でお前に有利に働くであろうものを送っておいた。存分に役立てるといい。最後になるが、お前の二度目の人生が実り多きものになる事を祈っている。達者でな。』
「神が何に祈るんだっつーの、ったく・・・。」
そう言いつつ、自分が穏やかな笑みを浮かべている事を自覚していた。
なんだかんだでやっぱりあの人いい人だったな。
人じゃないけど。
「んで、これがその『特典』か。」
その箱は靴箱より少し小さく、持ち上げた所、あまり重くなかった。
意を決して蓋を開けて見ると、
「これは・・・何とまぁ・・・。」
それは、一見すると、甲冑の籠手のような形状だった。
しかし、所々機械的で、腕の部分にディスプレイが付いていた。
そう、それは――――
「女神転生4の悪魔召喚器、か。」
はい、という訳で、オリ主の特典はデビルサマナーの能力になりました。
まさかここまで話が進まないとは・・・。
次回でプロローグは終わらせます。ついにあの瞬間が来ます。