急激に忙しくなって来たのと、内容を決めかねていて、書いては消しを繰り返していたら、こんなに遅れてしまいました。
今回は説明会のような感じになっています。
日常を描くというのは難しいですね・・・。
ではどうぞ。
きっかけは引き取られて直ぐの頃。
なんとなく新しい家に馴染めず、帰りづらくてどうしようかと考えながら学校の中を何となしにうろついていた時、中庭の方から声が聞こえて来た。
声が聞こえた方を見てみると、男子生徒3人に涙目で俯いている女子生徒1人を取り囲んでいるのが目に入った。
何処にでもこういうのあるもんなんだなぁ、等とどうでもいい思考も一瞬。
三人組のリーダー格と思われるガキ大将っぽい奴に素早く近づき、勢いのまま横合いから跳び蹴りをくれてやった。
吹っ飛ぶガキ大将、突然の事に混乱している取り巻き二人、呆然としている女子生徒、満面の笑みの俺というなかなかカオスな状況が出来上がった。
運良くガキ大将はそのまま気絶してしまったらしく、起き上がっては来なかった。
一応息はしていたので大丈夫だろう、多分。
そして、取り巻き二人に向き直り、一言。
「お前等もああなっとくか?」
後で聞いたら、この時の俺はとても良い顔をしていたそうだ。
その後、俺の言葉にビビった二人が涙目で気絶してる一人を必死で運んで行くのを見送った後、未だ呆然としたままの女子生徒に声を掛けた。
「怪我とかは無さそうだな、なら良い。多分もうないとは思うが、またあいつらにちょっかい出されたら先生なり、友達なりに話せよ。じゃあな。」
女子生徒に異常が無い事を確認して、そう言って踵を返して立ち去る――――――――
「待て。」
事が出来なかった。
「ん、なんだ?」
「何故助けた?」
「・・・へ?」
「余計な事をするな!あの位、私一人でも・・・!」
「あー、はいはい。そういう事は涙拭いてから言おうな。」
強がってるのが見え見えだ。
今もかなり涙目だし。
「な、泣いてない!」
「いやいや、完全に泣いてるだろ。」
「うるさい!泣いてないったら泣いてない!!」
「あー、はいはい。わかったわかった。それで良いよ、もう。」
これ以上は時間の無駄だと判断し、早々に切り上げる。
「ぶっちゃけ俺の我儘だよ。助けたいから助けた、それだけだ。そもそもさ――――――――」
そこで一呼吸置いて、
「人助けに理由なんて要らねえよ。」
そう言うと、目の前の女子生徒は驚いたような、呆けたような顔をしていた。
まあ、言いたい事は言ったし、今度こそ立ち去「待て!」れなかったよちくせう。
「今度はなんだよ。」
「・・・名前。」
「・・・あ?」
「お前の名前は?」
「聞いてどうする。」
「いいから教えろ!」
「・・・はぁ。」
これは諦めそうにないと判断した俺は素直に応える事にした。
まぁ、調べれば分かる事だし、別に良いだろ。
「要、峰岸要だ。これで満足か?」
「峰岸・・要・・・。」
反芻するようにそう呟く女子生徒。
「じゃ、今度こそ行くぞ。じゃあな。」
「――――――――きだ」
「ん?」
また何か言ったような気がして聞き返した。
「箒だ。
「えっ」
これが、ISのメインヒロインの一人、箒とのファーストコンタクトだった。
それから、箒とはたまに話すようになり、実家が開いている道場に行ったりもした。
その関係で一夏とも知り合い、三人で居る事が多くなっていった。
余談になるが一夏と知り合った際、偶然居合わせた千冬さんと俺が知り合いだと知った一夏が盛大にシスコンっぷりを発揮し、一悶着あったりしたのだが、ここでは割愛する。
「おーい?要?」
「ん?あぁ悪い。ちょっと考え事してた。」
「でもまた同じクラスだったな!」
「あぁ、三人とも同じなんて、何というか奇跡的だな。」
「ふん、そんなに大層な事でもなかろう。」
「素直に喜べよ箒。また要と同じクラスになれて嬉しいくせに。」
「な!?な、なな、にゃにを馬鹿な・・・!!!」
「噛んでる噛んでる。」
「う、うるしゃーーい!!」
「おわッ!?ちょ、箒!ランドセル振り回すな!当たったらあぶねぇだろ!」
「うるさい!黙って叩かれろ!!」
「二人とも、遊んでないでさっさと教室に行くぞー。」
「あ、おい、要!箒を何とかs、ぐはッ!?」
「ふん!!」
おぉ、一夏の後頭部にクリーンヒット。
あ、そのまま頭抑えて身悶えてる。
そんな一夏と箒のコントをよそに俺は先に教室に向けて歩き出した。
時間は過ぎて、放課後。
小学校の始業式の日に授業などあるはずもなく、午前中で日程が終了。
現在、三人で下校する所だ。
「うーん、明日明後日はともかく、もう少ししたら授業が始まるのかぁ。」
「だなー。」
「なんだ、二人ともまだ休み気分が抜けてないのか。」
「まぁな。」
「弛んでいる証拠だな。よし、帰ったらすぐ道場に来い!叩き直してやる!」
「げぇ・・・。」
「いや、帰って直ぐは、ちょっと・・・。」
「問答無用だ!」
どうやら、帰った後は授業以上の過酷な試練が待ち構えているらしい。
一夏と二人で揃って嫌な顔をしてしまったのがお気に召さなかったのか、いつにも増して箒が張り切っているのが分かる。
「やれやれ・・・ん?」
「どうした?要。」
ふと、俺の家の前に人が立っているのが見えて立ち止まった。
と言っても不審者等ではなく、俺の良く知る人物だった。
俺の挙動に気づいた二人がつられて俺の視線の先に目をやる。
「あれ?千冬姉?」
「ん?あぁ一夏か、要と箒も一緒か。おかえり。」
「おう、ただいま!」
「「こんにちは。」」
家の前に居たのは千冬さんだった。
学校帰りなのだろう、ブレザー姿で鞄を持っていた。
「千冬さんも今帰りっすか?」
「あぁ、高校生と言っても、入学式の日程なんて小学校と変わらないさ。」
初めて会った当初は勘違いしていたが、兄さんと千冬さんは同級生で俺が保護された時、実は二人はまだ中学生だったのだ。
生身で悪魔を屠る中学生、このころから人間辞めてたんだな、この人。
「要、今何か失礼な事を考えなかったか。」
「いえ、別に。」
何で分かるんだよ。
「ところで、千冬さんは要の家の前で何をしていたんですか?」
「野暮用でな、少し遠出する事になったんだ。啓自の奴もな。」
「それって、まさかデー―――」
「違う。」
物凄いプレッシャーを出しながら否定する千冬さん。
相変わらずいじられるのが嫌いなんだな。
特に話題が話題だし仕方ないか。
と、そんな会話をしていると、玄関のドアが開き、私服姿の兄さんが出て来た。
「わりぃ、待たせちまったな。」
「気にするな。いつもの事だ。」
「フォローになってねぇぞ。」
「する気がないからな。」
「・・・さいですか。」
慣れた様子でそんなやり取りをしている兄さんと千冬さん。
こういうのをツーカーの仲って言うんだろうな。
男と女の関係でそれはどうかとも思うが。
「お、要帰ってたのか。」
「うん、ただいま兄さん。」
「おう、おかえり。一夏と箒もな」
「はい、こんにちは、啓自さん。」
「おう!ただいま!啓自さん!」
「要、実はこれから―――」
「うん、今千冬さんから聞いた。遅くなるの?」
「あぁ、多分な。悪いが、今日は付き合えそうにない。すまん。」
「仕方ないよ。」
引き取られてから俺は兄さんに悪魔召喚士としての稽古をつけてもらっている。
俺自身、手に入れた力を使いこなせるようになりたいという思いもあるが、半端な状態で万が一の事態にでも陥ろうものなら大惨事になりかねない。
出来れば引き止めたくはあるのだが、恐らく野暮用というのは『悪魔』関連の事だと思う。
それならば無理を言う訳にはいかない。
「気をつけてね、兄さん。千冬さんも。」
「うむ。では行くぞ啓自。」
「おう。」
そう言って二人は出かけて行った。
方向的に千冬さんの家に寄って行くのかな?
流石に千冬さんもあの恰好のままでは行かないだろうし。
「では、私たちは道場に行くぞ。要、早く準備して来い。」
「ホントに今から行くのか?」
「当たり前だ。」
「あぁもう、分かったよ。一夏、荷物家に置いてけ。家に戻るよりそっちの方が早い。」
「良いのか?」
「今更気にするなよそんな事。」
そう言いながら俺は一夏を伴って玄関のドアを開けた。
次回はもう少し早く上げたいと思います。