魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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覇王対流浪人

「……貴方は……」

 

「……飛天御剣流の使い手……流浪人……とだけ」

 

覇王の問い掛けに、流浪人はそう言って構えた

その構えを見て、ノーヴェは

 

「あれは……居合いか……」

 

と呟いた

次の瞬間、二人同時に動いた

 

「なっ!?」

 

二人が動いたということに、ノーヴェは驚いた

居合い

つまり、抜刀術は基本的に後の先

カウンターで戦うのが基本で、自分から動くことは滅多にない

だが、流浪人は自分から動いた

次の瞬間、二人が交差通り過ぎた二人は、一瞬にして反転した

その直後、二人のバリアジャケットの一分が弾けた

覇王は、脇腹

流浪人は、左肩の辺りのバリアジャケットが弾け飛んだ

しかし二人は、気にしないと言わんばかりに動いた

先に攻撃を繰り出したのは、間合いに優れる流浪人だった

流浪人は、素早く抜刀

斬撃を覇王に繰り出した

その一撃を覇王は、間合いを計ったらしく僅かに足を止めて空振りさせた

 

「入るっ!」

 

とノーヴェが言ったと同時に、覇王は拳を突き出そうとした

だが、覇王は一気に後ろに飛んだ

その瞬間、第二撃を流浪人が放っていた

 

「なっ!?」

 

ノーヴェが驚いた理由は、流浪人が第二撃を放ったからだ

本来、抜刀術というのは一撃の威力が高いために一撃を放った直後というのは隙だらけになり、第二撃は無いからだ

だが、流浪人は第二撃を放っていた使ったのは、鞘だった

 

「飛天御剣流……双龍閃……初見で回避されたのは、初めてだ……」

 

流浪人はそう言って、再度刀を納刀した

 

「飛天御剣流……私の覇王流と同じ、古武術ですね……」

 

「そうだな……」

 

覇王の問い掛けに、流浪人はそう答えながら腰を落とした

その時

 

「っと、ボーッとしてる場合じゃなかった!」

 

とノーヴェは、ジェットエッジを取り出した

 

「ジェット! 今すぐ、スバルかティアナさんに繋げ!」

 

《了解》

 

ノーヴェの指示を受けて、ジェットエッジは通信画面を開いた

少しすると、音声通信だったが

 

『はいはーい! ノーヴェ、どうしたのー?』

 

とスバルの気楽そうな声が聞こえた

音声通信なのは、スバルが夜間宿直だからだろう

 

「スバル! 今すぐアタシの居る場所にティアナさんかギンガ姉さんを寄越してくれ!」

 

『な、なに? いきなりどうしたの!?』

 

いきなりノーヴェがまくし立てたからか、スバルの狼狽した声が聞こえた

しかしノーヴェは、それを無視して

 

「今アタシの目の前で、あの噂の覇王と流浪人がヤりあってんだ! 今なら、二人を纏めて捕縛出来る!」

 

と言った

この時、覇王と流浪人は超高速で刃と拳を交えていた

二人が交差する度に、激しく火花が散る

 

「ちいっ……中々の威力だな……腕が痺れるっ」

 

「そう言う貴方も、中々の斬撃ですね……っ!」

 

二人は互いの技を称賛しながらも、更に加速していく

 

「覇王流……」

 

「飛天御剣流……」

 

二人は己の流派の名前を言った直後、姿が消えた

 

「鉄槌!!」

 

「龍巻閃・旋!!」

 

二人の技は、互いに直撃した

覇王の拳は、流浪人の背中に

流浪人の斬撃は、後頭部に直撃した

やはりその威力は重かったらしく、二人の体はフラフラしている

 

「ぐっ……」

 

「つう……」

 

それでも二人は、決して膝を折らなかった

恐らく、気合いだけで立っているのだろう

そこに

 

「はい、そこまで!」

 

「大人しくしてもらおうか」

 

と二人の背後に、人影が現れた

片方は、今や名の知れた執務官たるティアナ

そしてもう一人は、そんなティアナの右腕たる裕也だった

ティアナは覇王の側頭部に銃口を突き付けて、裕也は背後から首筋に刃を当てていた

 

「……時間稼ぎ、成功か……」

 

流浪人はそう言った直後、体が前のめりになった

それを見た裕也は、素早く流浪人の体を受け止めた

そして、顔を歪めた

 

「……背骨が歪み、肋骨もヒビが入ってるな……」

 

裕也がそう言った直後、流浪人のバリアジャケットが消えた

そして見えたのは、制服姿の少年だった

その制服を、ティアナは知っていた

 

「聖ヒルデの制服? っと」

 

ティアナが呟いた直後、覇王も膝を突いたのでティアナが受け止めた

すると、覇王もバリアジャケットが消えて、見えたのは更に幼い見た目の少女だった

 

「この子も、聖ヒルデの……?」

 

「さて……どうする?」

 

二人の制服を見て、ティアナと裕也は顔を見合わせた

すると、ノーヴェが現れて

 

「とりあえず……運ぶしかないだろうな」

 

と言ったのだった


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