魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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改めて

古代ベルカ、緒王時代

それは、天地統一を目指した諸国の王達による戦いの歴史

聖王女、オリヴィエ

覇王、イングヴァルト

この二人は、そんな時代を生きた王族の人間

いずれ優れた王とされる二名の関係は、現代の歴史研究においても謎のままになっている

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

放課後、ある喫茶店

 

「お前ら、せっかくの休暇なんだろ? 別にこっちに付き合う必要はなかったんだぞ?」

 

「あははー」

 

ノーヴェの苦言に、スバルは笑った

その机には、ノーヴェとスバルの他にティアナ、裕也、レンヤの姿があった

するとティアナが、ノーヴェの言葉に

 

「二人のことも、気になるしね」

 

と言った

すると、スバルがジュースを一口飲んでから

 

「そうそう」

 

と同意した

なお裕也は、眼鏡を掛けて本を読んでおり、レンヤは何があったのか、机にうつ伏せになっている

 

「まー、それはありがたくもあるけどよ……問題は」

 

ノーヴェはそう言って、立ち上がりながら振り向き

 

「なんで、そっちは全員揃ってるんだよっ!?」

 

と突っ込みを入れた

その先のテーブルには、ノーヴェが呼んだチンクの他にウェンディ、ディエチ、オットー、ディード、セッテの姿があった

 

「えー、別にいいじゃないっスかー」

 

「時代を越えた聖王と覇王の出会いなんて、ロマンチックだよ」

 

ウェンディはサンドイッチを食べながら言い、ディエチは少女的観点から

 

「陛下の身に危険が及ぶことがあったら困りますし」

 

「護衛としては、当然」

 

聖王教会から来た二人は、ヴィヴィオの安全上のために

 

「私は、武副隊長から休暇を言い渡されて、暇だったので、たまたま出会ったから着いてきました」

 

セッテはどうやら、暇潰しを兼ねて来たらしい

すると、チンクが

 

「すまんな、ノーヴェ。姉も一応止めたのだが……」

 

と片手を挙げながら、ノーヴェに謝罪した

なお、チンクが自分のことを姉と言うのは、町中で歩いていると、妹と勘違いされるからである

するとノーヴェは、深々と溜め息を吐いてから

 

「来ちまったのは仕方ない……いいか? 変なチャチャは入れるなよ? ヴィヴィオやアインハルト、剣士郎は色々とデリケートなんだからな?」

 

と忠告した

すると、ウェンディとディエチは

 

「はーい」

 

と元気に返事をして、オットー、ディード、セッテの三人は無言で親指を立てた

そんな妹達の姿に、チンクは汗を垂らしたのだった

その時

 

「お待たせー!」

 

とヴィヴィオが、リオとコロナの二人と一緒に来た

 

「おお~? なんか大勢居る」

 

予想外に多く居たからか、ヴィヴィオは少し驚いた様子だ

すると、ノーヴェが

 

「悪いな、ヴィヴィオ。予定外に増えた」

 

と片手を挙げて、謝罪した

すると、ヴィヴィオは

 

「大丈夫! それより、相手の人達は?」

 

と問い掛けながら、椅子に座った

 

「ああ。さっき電話があって、もうすぐで……」

 

『お待たせしました』

 

ヴィヴィオの問い掛けに、ノーヴェが答えてる途中で、新たに二人の声が聞こえて、全員が声が聞こえた方を向いた

そこには、ヴィヴィオと同じ意匠の制服を着たアインハルトと、男子の制服を着た剣士郎の姿があった

すると、ヴィヴィオが

 

「あれ!? 図書館の!!」

 

と剣士郎を見て、驚いていた

そんなヴィヴィオに、剣士郎は

 

「何時もご利用、ありがとうな」

 

と笑顔を向けた

そして、二人して

 

「アインハルト・ストラトスです」

 

「緋村剣士郎です」

 

と名乗った

そんな二人に、ノーヴェが

 

「なんか飲むか?」

 

とメニューを見せた

しかし、二人は首を振りながら

 

「お構いなく」

 

「大丈夫です」

 

と答えた

この時、ヴィヴィオはアインハルトを見ていた

碧銀色の髪に、ヴィヴィオとは色が違うが、虹彩異色症の眼

そして何より、儚い印象の少女だった

とてもではないが、ノーヴェから聞いていた古代ベルカの流派の使い手とは思えなかった

すると、アインハルトと目が合い

 

「初めまして、アインハルト先輩。高町・S・ヴィヴィオです」

 

と挨拶しながら、右手を差し出した

アインハルトは握手に応じながら

 

「アインハルト・ストラトスです……」

 

と再び名乗った

そしてアインハルトは、ヴィヴィオを見ながら

 

(ああ……この(ロート)(グリューン)の眼……確かに、彼女の血筋です……)

 

と記憶の中の聖王女、オリヴィエとヴィヴィオを重ねていた

それに気付いたのか、ノーヴェが

 

「さて、早速だが、移動するぞ!」

 

と声を上げたのだった


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