魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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試合 3

ティアナのクロスファイアにより、青チームは軒並み回避か防御を余儀なくされ、膠着状態が崩れた。

 

「ちいっ!?」

 

「ふっ!」

 

青チームFAレンヤ・ウェスタン 残LIFE2200

赤チームGW神代冬也 残LIFE2300

 

ティアナのクロスファイアは間一髪で防いだが、その後に冬也からの鋭い一撃でダメージを受けて、そこからは防戦一方になっていた。致命傷は全て未然に防いでいるが

 

(反撃する暇が、無い!)

 

時々ヒヤリとする一撃に、レンヤはどうすることも出来ずに居た。その近くでは、フェイトがエリオと交戦していたが

 

(エリオ、強くなったなぁ。何回も全力で打ち込んでるけど、中々一撃入れられない)

 

青チーム GWエリオ 残LIFE2300

赤チーム GWフェイト 残LIFE2250

 

互角の戦いになっていた。

フェイトは何度も大ダメージを狙って攻撃を繰り出したが、その殆どをエリオは回避か見事に受け流した。

 

「はあぁぁぁ!」

 

「ふっ!」

 

そして、防戦一方にならずに、エリオはストラーダを振り回していた。

そんな中、行動不能になっていたアインハルトをキャロが召喚魔法を使って自分の近くに転移させると、治療を始めた。

 

「今回復中だから、動かないでね。その中なら、大抵は安全だから」

 

「はい……」

 

しかも、青チームの奇襲を考慮してか、アインハルトを障壁で覆っていた。

その中で、アインハルトは

 

(まだ戦える……あの人達と、まだ戦いたい!)

 

と拳を握りしめていた。

三度場面は変わり、スバルとノーヴェの戦域だが

 

「ノーヴェ、アインハルトに教えてたんだ。私達の母さんの得意技……アンチェインナックルを」

 

「アタシが教えたのは、基礎だけ。後は、あいつが物にしたんだよ」

 

スバルの問い掛けに、ノーヴェはそう答えた。

アンチェインナックル。それは、スバルやギンガ、ノーヴェの遺伝子上の母親になるクイントが得意としていた技で、円の動きを使って、拘束されても即座に脱出からの攻撃を可能にした技だ。

その基礎を、ノーヴェは川で遊んだ際に水切りという形で教えた。

 

「そっか……でもさ、ノーヴェ……私との1on1ほったらかして、どこに行く気!?」

 

「あ? んなの決まってるだろ。お嬢の所だよ!」

 

スバルと戦っていたノーヴェだが、ある時、強引にスバルとの交戦を切り上げると青チームの奥の方に走り出したのだ。

 

「上手くいけば、お嬢だけでなくヴィヴィオも短時間で倒せるしな! っつーわけで……うははははは! スピードなら、アタシのジェットエッジの方が上だ! 追い付けるなら、追い付いてみやがれ!」

 

「あっー!?」

 

ノーヴェはまるで何処ぞの走り屋のようなセリフを言うと、更にスピードを上げて走り出した。

ほぼ同じ技能と能力を有するノーヴェとスバルだが、一撃の重さではスバルに軍配が上がるが、速さではノーヴェに軍配が上がる。

これは二人の戦闘スタイルの違いからだが、スバルは密着状態での自身の身体能力から来る爆発力の高い攻撃が得意なのに対して、ノーヴェは機動性を活かした戦いを得意としている。

それは、デバイスにも現れている。

スバルのマッハキャリバーは一撃の重さを上げるためなのと、衝撃から内部機構を守る為に装甲が増しているのに対して、ノーヴェのジェットエッジは機動性を獲得するために装甲は必要最低限にして、最高速度を上げる改修が施されていた。

その差が、今出てしまっていた。それを、開いたモニターで見ていたルーテシアが気付いて

 

「あ、ノーヴェが突っ込んでくる」

 

と呟いた。

 

「ルールー! 回復、もう十分でしょ!?」

 

ルーテシアが開いていたモニターを、少し離れた位置から見ていたヴィヴィオは、待ちきれないと言った風に問い掛けた。

 

青チーム FAヴィヴィオ 残LIFE2850

 

「うん、そうだね。それに、作戦も発動しましょうか」

 

ヴィヴィオの残LIFEを確認したルーテシアは、ニヤリと笑みを浮かべながらそう判断した。

そうしてルーテシアは通信ウインドウを開き

 

「青チーム全員に通達。予定より早いけど、作戦を開始します」

 

と宣告した。


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