ヴィヴィオ達の選考会の、翌日。
「そうか。チームナカジマの皆は、スーパーノービス入りしたんだ」
と嬉しそうに語るのは、竹刀袋を肩から担ぐように持ったミカヤで、その背後にはディードとオットーの姿もある。
「はい。スパーの相手、ありがとうございました。という伝言を、ノーヴェ姉様から預かっています」
「いやいや、こちらも丁度いい練習になったからね……それに、まさかあの飛天御剣流の使い手と剣を交わすことが出きるとは、思ってなかったからね」
ディードの言葉に、ミカヤは微笑みながらそう答える。
(飛天御剣流ってことは……)
(剣士郎君ですね……)
「開祖が天童流を開く切っ掛けになったのは、緒王戦乱期に飛天御剣流の使い手を見たかららしい……それがまさか、本家を差し置いて、私が見るとは……」
ミカヤは感慨深い様子で、溜め息を吐いた。すると、オットーが
「しかし、なぜこのような所に?」
とミカヤに問い掛けた。今三人が居るのは、廃車場だった。そこで何をするのかが、オットーとディードには分からなかった。
「ん? 今朝、晴嵐の研ぎが終わって戻ってきたからね。試し切りをしようと思ってね」
ミカヤが言い終わったタイミングで、開けた場所に出たのだが、三人の前に現れたのは、宙吊りにされた二階建て式の大型バス。
「まさか、このバスを斬るんですか!?」
「そうだよ。廃車斬りは、天童流の項目の一つなんだけど……流石に、私もこのサイズは初めてで、少し緊張するね」
ミカヤが笑みを浮かべると、そこに男性が現れて
「おう、ミカヤちゃん。早速始めるかい?」
と問い掛けてきた。
「あ、はい。よろしくお願いします」
ミカヤが頭を下げながら言うと、男性はもう一人に合図して、二台のクレーン車に乗り込んで、アームでバスの前後のワイヤーを挟んで上げていく。
「ま、まさか……」
「あのバスを、投げるんですか!?」
「んー……投げるというより、放ってもらうってところかな? こう、振り子みたいに」
オットーとディードが驚きながら問い掛けると、ミカヤは飄々としながら説明した。どちらにせよ、かなり危険なのは変わらない。なにせ、10t近い車両が来るのだから。
「危ないから、二人は離れていて」
「は、はい」
「わかりました」
オットーとディードは、ミカヤに言われた通りに、約10m程離れた。その間にミカヤは、刀を構えた。すると、先ほどの男性が
『準備が良いなら、言ってくれ!』
と言ってきた。
それを聞いたミカヤは、腰を落とし
「何時でもどうぞ」
と促した。その直後、バスが振り子のようにミカヤに迫る。オットーとディードがドキドキしながら見守っていると
「天童流抜刀術……」
ミカヤは鯉口を切った。次の瞬間、ミカヤの腕が霞むように動き
「天月・霞」
バスは、四等分に斬られた。
『おー! 上手くいったな、ミカヤちゃん! んじゃ、この残骸は廃棄するな!』
「はい! ありがとうございました!」
ミカヤが頭を下げると、オットーとディードは駆け寄り
「ミカヤさん!」
「お体は、大丈夫ですか!?」
と問い掛けた。
「ん? まあ、少し手が痺れたかな? 位だね」
ミカヤはそう言いながら、刀を竹刀袋に入れていく。
(ディード。今の出きる?)
(光剣ならまだしも、実剣では……)
ディードはオットーに答えながら、ミカヤに視線を向けて
「凄いですね……魔力を殆んど使っていないのに……」
と呟いた。
「まあ、それが技術ってやつだね……それに、この刀だからっていうのもある。居合刀は、薄く、重い。だからこそ、切断力が上がる……さて、DSAAに出場出きる機会はあと二回……全力で行かないとね……」
ミカヤはそう言いながら、空を見上げた。
(確か、ミカヤさんの最初の相手は……)
(八神司令の所のミウラという子ですね……)
そうして、試合は近付く