魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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あれ、なんかユミナがヒロインムーヴしてるような……


決闘

脳裏に見えた光景に、ヴィヴィオ達が固まっている間に、開いていたドアからコロナとヴィクター、そしてユミナが現れて

 

「あ、皆さん。無事でしたか!」

 

「あら、不良娘も出れたんですのね」

 

コロナとヴィクターは、瓶から解放されたメンバーを見て、そう言ってきた。そこに、ユミナが全員を見てから

 

「……緋村君は……?」

 

と剣士郎が居ないことに気付いた。

 

「あ! そうだ! 緋村先輩!」

 

「確か、雪代選手に襲われて!?」

 

ヴィヴィオとミウラが思い出した直後、閉まっていたドアを突き破って、剣士郎が吹き飛んできた。

 

「緋村君!?」

 

『緋村先輩!?』

 

ユミナとヴィヴィオ達が剣士郎を呼んだ直後

 

「抜刀斎ィィィィィィ!!」

 

と悟が、まるで獣のように剣士郎に襲い掛かった。その一撃を辛うじて、剣士郎は回避し、態勢を立て直し

 

「飛天御剣流……龍墜」

 

龍墜閃を放とうと、高く跳んだ。だが、次の瞬間

 

「こっちだ、抜刀斎!!」

 

悟は、その更に上に居た。その光景に、ヴィヴィオ達は驚いた。剣士郎の跳躍力は十分知っており、まさかその上を取る相手が出るとは予想していなかったのだ。

技を放とうとしていた剣士郎は、悟の技に反応しきれずに直撃を受けて床に叩き付けられた。

 

「緋村君!」

 

それを見たユミナは、剣士郎の方に駆け寄ろうとした。だが、そんなユミナの前に悟が迫り

 

「人誅の時だ!!」

 

と叫びながら、刀を振り上げた。悟の殺気に身がすくみ、ユミナは動けずにいた。そんなユミナの前に、剣士郎が滑り込んで悟の刀を弾き

 

「オオオオォォォォォォ!!」

 

ヴィヴィオ達も聞いたことのない雄叫びを挙げた。そして、剣士郎からの凄まじい剣気に体が震えた。その時、ユミナは自分の顔にヌルリとした生暖かい何か。剣士郎の血が付着していることに気付いた。

 

「まさか、あいつ……!?」

 

「非殺傷設定を解除して……!?」

 

ハリーとヴィクターは、悟が本気で殺そうとしていることに気付いた。それは、剣士郎の全身の傷と背中の大きな傷からも明らかだった。だが、体が動かない。

剣士郎と悟から放たれる凄まじい気に当てられて、思ったように動けなかった。

そこに、フラフラとジークが近寄り

 

「今あの二人は、現代で戦ってるんやない……古代ベルカ……それも緒王戦乱末期で戦ってるんや……」

 

と語り始めた。

 

「今あの二人を止められるんは、当時を知る人だけや……」

 

ジークがそこまで言った直後、二人の戦いは再開した。激しく交わされる剣劇、飛び散る火花と血。

 

「抜刀斎……我が祖先の恨み、ここで晴らす!!」

 

「ハアァァァァァ!!」

 

片や恨み、もう片方は剣鬼と化して剣を振るう。

その時、リオが

 

「……間違いない……あの技……倭刀術だ……!」

 

と呟いた。

 

「リオ、雪代選手の技を知ってるの!?」

 

「うん……あれは、間違いなく春光拳の流派の一つだった倭刀術……」

 

「倭刀術……」

 

ヴィヴィオが問い掛けると、リオは悟の動きを見ながら解説を始めた。

 

「古代ベルカ緒王戦乱期に春光拳の使い手の何人かが、凄腕の刀の使い手と交戦し、刀の接近戦の強さに戦慄して、独自に研究を始めたのが始まりだったんだって……何とか刀を入手し、作るようになって、そこに春光拳の動きを取り入れて産まれたのが、倭刀術……けど、その流派は……緒王戦乱末期に使い手が全員殺されて、指南書も奪われて途絶えた筈なのに……」

 

「……まさか、雪代選手のご先祖様が……」

 

「多分、抜刀斎に復讐するためにやったんやろうな……」

 

そう語る間も、二人の激闘は続く。最早、他人が立ち入れない戦い。己の気持ちをぶつけ合う戦いだった。

それを気が気でない様子で見ているのは、ユミナだった。最早殺し合いというレベルで刃を交わす二人に、ユミナは涙を流していた。

 

「緋村君……」

 

ユミナが両手を組んで祈っていると、剣士郎の一撃が脇腹に直撃した。

 

「入った!」

 

「あれなら!」

 

それを見た誰もが、悟の動きが止まると思った。しかし、次の瞬間

 

「ガアアァァァッ!!」

 

まるで獣のような雄叫びを挙げながら、悟は剣士郎に蹴りを叩き込み、吹き飛ばした。それに一同が驚いていると、悟の全身に何かが浮かび上がった。

最初は血管かと思ったが、様子が違う。一同が困惑していると、ユミナが

 

「……もしかして、神経……?」

 

と呟いた。

 

「神経だと?」

 

「……間違いないと思います……」

 

「あんな太いのがか!?」

 

「恐らく、遺伝的な特異体質なんだと思います……けど、だったら痛みにも……」

 

ミカヤとハリーに答えたユミナは、何かブツブツと呟き始めた。そして、一度だけ読んだある本の内容を思い出し

 

「……まさか、精神力が肉体の限界を超えさせてる……?」

 

「ユミナさん、どういうことですか?」

 

「……彼の先祖は、よほど緋村君のご先祖が憎かったんだと思う……その憎しみが、痛みを感じさせにくくさせてるんだと思う……」

 

アインハルトに答えながら、ユミナは剣士郎と悟を見つめた。確かに、剣士郎の攻撃は悟に直撃している。しかし、悟は間髪入れずに剣士郎に反撃している。

そこから導かれた答えは、悟は痛みをさほど感じていないという、通常では有り得ない答え。

 

「そんなこと、あり得るのか!?」

 

「私も、本を読んだ時は信じられませんでした……しかし、こうして目の前にそれを成してる人が居る……だったら、本当だったということです」

 

ハリーの問い掛けに答えながら、ユミナは胸の前で両手を組んで

 

(お願い……無事に……)

 

と祈った。

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