一同と別れた後、ヴィヴィオは一人で帰宅していた。
「クラウス陛下や過去のエレミアさん、オリヴィエ、緋村先輩のご先祖のこと……もっと知りたくなっちゃったね」
ヴィヴィオの言葉にクリスが頷いた時、通信が届いた。
「あれ、ルールーかな? クリス、繋いで」
『はぁい、ヴィヴィオ』
通信してきたのは、ヴィヴィオの予想通りにルーテシアだった。
『魔女っ子とあの白髪頭の事情聴取とか、事後処理とか。諸々無事に終わったよー』
「お疲れ様、ルールー」
ヴィヴィオが労うと、ルーテシアは僅かに角度を変えて、画面の端にファビアと局員が映されて
『魔女っ子はアレだね。過去のこと、かなりちゃんと覚えてるみたい』
「そうなんだ」
記憶の継承にはかなり個人差があり、ジークみたいに技術と経験のみが継承されていたり、アインハルトや剣士郎のように継ぎはぎだったりと様々だが、どうやらファビアはかなり覚えていたようだ。
『記憶伝承のタイプは、アインハルトや剣士郎にかなり近い。元々、同じ技術なのかもね……先祖のことで恨んでた、なんて言ってるけど……本当は子孫同士、アインハルトやチャンピオンと話をしたいんだと思うよ』
「そっか……」
『まあ、もう知り合ったんだから、後は話し合うなり、ケンカするなり、自由にね♪』
ルーテシアの言い種に、ヴィヴィオは思わず苦笑し
「もう、ケンカは勘弁してほしいなぁ」
と呟いた。確かに、そうそうしてほしくはないだろう。
『いやいや、ヴィヴィオ達は競技選手なんだから、試合という手もあるよ』
「ああ、確かに」
ルーテシアの案に、ヴィヴィオは同意した。そして、真剣な表情を浮かべ
「それで、雪代選手は……」
ともう一人の襲撃者のことを問い掛けた。するとルーテシアは、少しばかり間を置いてから
『あっちは、本局でご先祖の本のデータを見てから、まるで脱け殻みたいに大人しくなってね……今は独房で拘束してる……近いうちに、海上隔離施設に移送されるって』
「そうなんだ……」
ファビアと違って悟の方は殺す気で剣士郎を襲撃し、実際重傷を負わせた。ファビアとは違って、独房に入れられたようだ。
その後ヴィヴィオが、実家に帰って
「ただいまー」
「おかえりー!!」
靴を脱いで、声を上げた直後に、なのはに抱き上げられた。
「な、なのはママ!?」
「丸1日会わなかったのは、寂しかったよー」
ヴィヴィオが驚くと、なのはは頬ずりした。どうやら、ヴィヴィオが本局に1日泊まった為に寂しかったようだ。
「な、なのはママー!?」
なのははヴィヴィオを抱き抱えると、狭い廊下で器用にクルクルと回った。異様なテンションに、ヴィヴィオが困惑していると
「なのは、今日は早上がりになってね……お昼過ぎには家に居てね……」
「あああぁぁぁぁぁ……」
ユーノの説明に、ヴィヴィオはなのはのテンションの高さに納得した。つまりは、体力が有り余っているのだ。
「なのはママ、放してー……」
「やーだ。寂しかったんだもん!」
無駄だと分かりながらもヴィヴィオは抗議したが、なのはは即座に拒否。そんな光景を、ユーノは苦笑いで見て
「ほら、なのは。晩御飯出来てるんだから、そこまでにして。晩御飯にしようよ」
となのはに声を掛けた。
「っと、そうだった。今日の晩御飯は、クリームシチューとミートパイ。そして、デザートはフルーツババロアだよー!」
「嬉しいけど苦しい、苦しい!」
なのはに全力で抱き締められて、ヴィヴィオはなのはの肩をタップした。その後、ヴィヴィオが手を洗ってから、三人は着席し
『いただきます!』
と食べ始めた。そこからは家族団欒となって、三人で楽しくご飯を食べた。
なのはとユーノは、ヴィヴィオに際限無く愛情を注いで育ててきた。その甲斐あり、ヴィヴィオは最初感じていた寂しさは感じなくなり、今は毎日が楽しかった。
日常からヴィヴィオは、様々な事を学んできた。
その中で特に大事だと思っているのは、大切な人とは何時だって同じ目線で話すこと。痛みと悲しみを、きちんと分け合えるようにだ。
晩御飯後、ヴィヴィオはなのはと一緒にお風呂に入った。
「ねー、ママ。明日はお休みなんだよね?」
「ん、そうだよ? 何、何か買い物?」
「ううん。久しぶりに、対戦の相手をしてもらってほしいの」
ヴィヴィオのお願いに、なのはは快諾の意を示すように頷いて
「いいよー。誰かと試合でも?」
と問い掛けた。するとヴィヴィオは、左手を握って
「うん。
と意気込みを述べた。2日後に、アインハルトと大事な試合をするためにだ。