学園祭も無事に終わり、片付けも終わった数日後。
ヴィヴィオ達は駅に来ていた。これから、リオの故郷のルーフェンに向かって観光兼特訓をするのだ。
参加者は、チームナカジマの他に、ミカヤとミウラとなる。他に、引率者としてオットーとディードも来ている。聞いた話では、後からイクスと護衛役のシャンテが来るようだ。
「皆、揃ったね?」
『はーい!』
ミカヤからの問い掛けに、一同は声を挙げた。
そして一同は、ルーフェン行きの列車に乗った。
ルーフェンは古代ベルカから続く歴史の中でも、独特の文化と技術を継承してきており、その内の一つにリオも扱う格闘技。
リオはその春光拳の宗家の一族だが、魔法の適性が高かった為にルーフェンから出て魔法を学んでいた。
そして春光拳宗家の総師範はリオの祖父が行っており、いずれはリオがその地位を継ぐ事になるだろう。
「はい! ここがルーフェンです!」
山あいの駅に到着し、リオは広場の真ん中あたりに全員を呼び寄せた。一応予定では、リオの知り合いが迎えにくる事になっている。
「うわぁ……お花がいっぱい……写真撮ろうかな。スターセイバー、カメラお願い」
《了解。カメラ起動します》
そんな中ミウラは、見た事無い花が気になり、少し離れて写真を撮影しようとしていた。その時、近くでガサガサと何やら草が揺れる音が聞こえて、そちらに僅かに視線を向けた。
すると、草花の間から大型の猫科の動物。虎が姿を見せていた。
「ひあぁぁぁぁぁ!?」
「え!?」
「ミウラさん!?」
ミウラの悲鳴に全員の視線が動き、見つけたのは、何やら人懐っこい様子の虎が、喉を鳴らしながらミウラに体を擦り付けていた。
「え……ふぇ……?」
突然の事態にミウラが呆然としていたら、リオが少し慌てた様子で
「ミウラさん! ごめんなさい! それ、ウチの猫なんです!」
と駆け寄り、その虎を少しばかりミウラから引き離した。そこに、新たに褐色肌の地球で言う中華系の民族衣装を着た女性が現れて
「いきなり走りだしたと思ったら……シャオ、ダメだぞ!」
と先ほどの虎を怒った。シャオというのは、どうやら虎の名前のようだ。なおその女性の傍らにも虎が居て、そちらの虎は頭に小さなリボンが着いている。
そちらはメスなのかもしれない。
「ミウラさん、本当にごめんなさい……シャオが」
「いえいえ……驚きましたが、多分、ボクからリオさんの匂いがしたから走っちゃったんだよね?」
リオがシャオの頭を軽く叩いて謝ると、シャオも申し訳なさそうに一鳴きし、ミウラがシャオの頭を撫でながら問い掛けると、肯定するように鳴いた。どうやら、当たりらしい。
そんな光景を見ていた他のメンバーは
「いや……リオから、大きい猫飼ってるって聞いてたけど……」
「猫じゃなく、虎だな……」
「動物園だと檻に入ってたけど、直接は初めて……」
と少し呆れた様子だったのだが、ディードは動物好きの為に触りたそうにしていて、アインハルトはクラウスの記憶で雪豹を知っている為に平気そうだ。
すると、リオがあっと声を漏らし
「そうでした。この人は私の親戚で、春光拳の師範代をしてます。リンナ・タンドラです!」
「紹介された、リンナ・タンドラです! 今日からよろしく!」
『よろしくお願いします!』
リオに紹介されて、リンナは軽く自己紹介し、一同は軽く頭を下げた。するとリンナは、二頭の背中に鞍を装着し
「皆、荷物乗せて? ここから、結構歩くから」
と告げた。
「え、大丈夫なんですか? 結構荷物有りますけど……」
「平気平気! 何なら、大人を背に乗せて山を走れるよ!」
「ウチの猫は力持ちだから!」
ヴィヴィオが心配していると、リオとリンナは二頭の頭を撫で、二頭は任せろと言わんばかりに力強く鳴いた。
一同が二頭の鞍に荷物を乗せると、リオとリンナが先頭に立ち
「それじゃあ、これから山道に入ります!」
「ちゃんと着いてきてくださいね! 迷子にならないように!」
と告げて、歩きだした。
山道を歩いていると、歩き慣れてないヴィヴィオとコロナが転びそうになったが
「わわっ!?」
「わ!?」
「っと、大丈夫ですか?」
それは、軽くミウラに支えられて助かった。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます、ミウラさん。山道は慣れてるんですか?」
「はい。ボクの実家が経営するお店が、山の中腹辺りに有るんですよ」
ヴィヴィオの質問に答えながら、ミウラはスターセイバーに地図を表示させた。どうやらミウラの実家の店は、海沿いの山にあるようだ。
「そのお店に使う材料とかを、よく麓の港まで取りに行っては、山道を登ってたんですよ」
「な、なるほど……」
「それで、あの脚力なんですね……」
ミウラが説明していると、スターセイバーがその写真を写し、その写真を見たヴィヴィオとコロナはミウラの蹴りの威力の理由を知った。
山道を数十kgの荷物を背負って登っているから、足腰が鍛えられたのだ。
その後も進んでいると
「あ、見えた!」
「あそこが、春光拳の道場です!」
リオとリンナが指差した先には、歴史を感じる大きな建物があった。