「イェン! シュエ!」
「お前ら、何やったー!?」
春光拳道場の問題児二人が剣士郎とミカヤに負け、ミカヤに尻叩きされた直後、荷物預かり部屋にリオとリンナが駆け込んできた。
「げ!?」
「師範代!?」
リンナを見たイェンとシュエの二人は、それぞれ剣士郎とミカヤから解放されて、リンナに捕まった。
「ミカヤさん、緋村先輩、大丈夫ですか!?」
「こいつら、何をやった?」
リオとリンナの問い掛けに、ミカヤと剣士郎はかいつまんで教えた。
『本当に、申し訳ありませんでした!』
イェンとシュエの二人には土下座させ、リンナも深々と頭を下げた。
リオとタオの二人はミカヤと剣士郎を手伝い、イェンとシュエの二人が汚した二人の刀を拭いている。
「いやいや。この程度のイタズラなら、可愛いものさ」
「それに、汚れは拭けば取れますから」
ミカヤと剣士郎の二人は、愛刀の汚れを拭きながら返答した。そして、ミカヤがイェンとシュエの二人を見て
「それで、その二人は……」
「ああ……
リンナが教えていると、その後ろでイェンとシュエの二人がイーとやっていたのだが、気配で察したのか振り向き様に二人の頭に素早く拳を振り下ろした。
流石は師範代というところか。
「弱いのに向上心が強く、イタズラ好きの問題児。私も手を焼かされてる」
「弱いは一言余計です」
「すぐに強くなります」
「うっさいわ、バカ共!!」
リンナの言葉に反論するイェンとシュエだが、リンナは一喝して黙らせた。
そして、ため息を吐いてから
「言っておくが、この二人はかなり強いからな? ミカヤ・シェペルさんは天瞳抜刀流の師範代。しかも、DSAA都市本選の上位入賞の常連者だ」
「うえ!? この人が、あの!?」
「うわっ! 有名人じゃん!?」
流石にミカヤは知っていたらしく、リンナの説明にイェンとシュエは驚いていた。
そしてリンナは、次に剣士郎を見て
「んで、こっちの緋村剣士郎君……彼は有名人って訳じゃないが……
「飛天御剣流って……」
「古代ベルカの時代に居たって、凄腕の剣士……」
「そう……彼は、その流派の正統な後継者だ……はっきり言って、お前は瞬時に負けるぞ」
リンナの説明を聞いたイェンとシュエは、刀を手入れしている剣士郎を見た。確かに、剣士郎に取り押さえられたシュエは、あっという間に刀を奪われ、地面に押さえられたのを思い出した。
すると、刀の手入れが終わったらしく、ミカヤが
「ところで、何故その二人が?」
とリンナに問い掛けた。
イェンとシュエも春光拳道場の門下生だが、今の時間に二人だけで行動しているということは、何らかの特別な事情があると考えたからだ。
「ああ……こいつらなら、リオ達と年齢が近いから案内人に良いと思ってたんだが……」
確かに、見た目からだがイェンとシュエはヴィヴィオ達と年齢は非常に近いだろう。
年齢が近いならば年上の人に案内されるより、余計な緊張等はしなくても済むだろう。
「だけど、今ので罰与えるのも考えないといけないから、外すかな……」
リンナはそう言って、誰に案内役を任せるか考え始めた。すると、イェンが
「はい! 私達でやります!」
と手を挙げた。
リンナは少し悩むと、判断を仰ぐようにミカヤに視線を向けた。
「まあ……二人はまだ幼いし、何をやったら良いのか悪いのか、判断が出来ないんだろう……だからこそ、今知ったんだから、まだやり直せる……だから、私としては構わないさ」
「……だそうだ。お前らに任す」
『はい!』
ミカヤの判断を受け入れ、リンナはイェンとシュエの二人に任せることにした。
すると、ミカヤが
「もしまたイタズラしたら……さっきの比じゃない力で、尻を叩くさ」
「もうしません!」
「反省してます!」
ミカヤの言葉に、イェンとシュエの二人は深々と頭を下げたのだった。