「え、緋村先輩。家が燃えちゃったんですか!?」
ルーフェンから帰った翌日。特訓が一段落した時に、剣士郎の話を聞いて、ヴィヴィオが驚いていた。
「ああ……運悪く落雷が直撃してしまったらしくてね……」
「そういえば、剣士郎くんの家って木造だったね……あれ、じゃあ昨日は何処で寝たの?」
「あ、作業小屋です。簡易的ですが、台所やベッドもあるので」
ディエチからの問い掛けに、剣士郎は体をほぐしながら答えた。
陶器の工程の中で、竈を使う焼き入れ。それは、一度火を入れたら丸1日は温度を維持する必要がある。
その為、竈が併設されている作業小屋には簡易的な台所やベッドが施設されている。
確かに剣士郎は魔法も使えるが、それは身体強化に比重が置かれており、更には専用の竈を導入するとなれば、管理局への申請に長期間かかり、そして竈の費用もバカにならない。
葵屋も費用を負担してくれると言ってくれたが、それは剣士郎が断り、原始的な竈を造り、そこに作業小屋を併設し、1日寝ずの番をして火の維持をするという方法を取ったのだ。
結果としてだが、それが功を奏して、住む場所を失わずに済んでいた。
だが、問題はある。
「……作業小屋だから、セキュリティ甘いんだよなぁ……」
今居る作業小屋は本当に最低限寝泊まりする機能を持ってはいるが、基本は作業小屋。そして、物置小屋だ。
つまり、鍵は最低限のみであり、セキュリティなんて有って無いような物でしかないのだ。
悟もだが、復讐者は目的達成の為ならば手段は選ばない。
確かに木造の家だったが、セキュリティがきっちりとあった家に比べたら、少々心許ないのだ。
「ウチも、もう手狭だしなぁ……」
「すいません、私の家も……」
「ああ、いや。気にしないでくれ。大丈夫だから」
リオとコロナが謝り、剣士郎が手をヒラヒラと振って遮った。
「すいません、私も1人暮らしの部屋なので……」
「ああ、本当に気にしないでくれ。とりあえず、知り合いに頼るから」
剣士郎が言う知り合いというのは、恐らくは葵屋だろう。
しかしそうなれば、かなり遠くなってしまい、通学にもかなり不便になってしまうのは確かだ。
その時
「だったら、ウチに来る?」
とユミナが手を挙げた。 その言葉に、全員が視線を向けると
「私の家、兄さんが独り立ちしたから部屋なら余ってるし……学園にも近いよ」
と語った。それに対して、剣士郎が
「いや、流石にご家族に迷惑では……」
と遠慮した。しかし、ユミナは
「両親なら、困ってる人を……私の友人なら良いって言うと思うよ」
と言って、通信を始めた。どうやら、両親にらしい。
そこに、ノーヴェが
「しかし、災難だったな。緋村」
「まあ、作業小屋が無事だったのは幸いでした」
と声をかけた。確かに、まさかちょっとした旅行に行って帰ってきたら、家が燃えてたなど、誰が予想出来ようか。
しかも、原因は落雷。一体、どれ程の確率なのか。
そこへ
「あ、緋村くん。後で一緒に来て」
とユミナが剣士郎に声をかけた。
「へ? つまり……」
「両親は、連れてきなさいって。子供が困ってるなら、手助けしたいって言ってた」
「……おろ」
剣士郎からしたら予想していなかった為に、間抜けな言葉が漏れていた。