「さっきの奴が黒傘ね………」
「確かに、剣技は凄まじいものだった……神代隊長、大丈夫ですか?」
裕也が問い掛けると
「何とかな……しかし、体が動かない……これは」
と冬也は、何とか体を動かそうとしているようだが、全く動いてない。
「やっぱり、何らかの
「その可能性が高いな……どうすれば……」
とティアナ達が考えていると、剣士郎が
「気合いです。神代さん……気合いを発してください」
と告げた。
「剣士郎くん?」
「気合いか……ハッ!!」
ティアナが不思議そうにした直後、冬也が全身に力を入れながら声を発した。すると、何かが弾けるような音がして、冬也は動けるようになった。
「これは……」
「二階堂平法・心の一方……奴が使っていた剣技の奥義に当たる技で、簡単に言えば目から直接殺気を流し込み、相手の筋肉を強制的にすくませる技です」
「なるほど……ようは金縛りにさせるのか……」
剣士郎からの説明を聞いた冬也は、即座に黒傘の使った技の原理に気付いた。
「つまり……同格の殺気を放てば効かない……もしくは、同格以上の相手には通用しないな」
「流石です……まさか、あの技が使えたなんて」
剣士郎は黒傘が消えた方角を、ジッと睨んだ。
すると、ティアナが歩み寄り
「まず剣士郎くんは、怪我の治療に行きましょう? 肩の出血も止めないと」
と告げた。確かに、まだ剣士郎の肩の傷口からは出血が続いている。簡易的に、剣士郎が持っていたタオルをきつく縛ってはいるが、完全には止血出来ていない。
その後、剣士郎はティアナ達同伴で地上本部に向かって治療を受け、軽く入院する事が決まった。
剣士郎は少々不満そうだが、一日検査入院。
その間、ティアナは剣士郎が告げた情報から、改めて黒傘に関する情報を探して
「出てきたわ……本名は
ティアナは自身の推測交じりでだが、ある程度の情報を裕也と冬也の二人と共有した。
そして新しく、特記事項の欄に心の一方の文を書き連ねる。
「問題は、この心の一方ね……まさか、魔法を使わない拘束……金縛りなんて、実在したのね」
「一定の実力者になったら、殺気等による束縛といった技術は多々あるが……あれは、その中でも強い方だろうな……」
ティアナの説明に、冬也が納得を示した。裕也も無言でだが、頷いている。
二人とも、戦場をくぐり抜けて生きた猛者だ。そういった技術には心当たりが有るらしい。
「問題は、黒傘の犯行動機ね……」
「……恐らく、奴は血を見るのが好きなんだろうな……剣士の血塗られた一面だ……」
ティアナの言葉に、冬也が推測を告げる。自身も魔法剣士な為に、剣士の血に関する闇の面に気付いていたらしい。
「……とりあえず、一定ランク以下の局員には交戦は避けるように厳命。市民にも絶対に一人で行動しないように伝えるしかないわね」
ティアナは苦い表情を浮かべながら、呟いた。
実際、冬也レベルの戦士でさえ一時的に心の一方で捕まったのだから、仕方ないだろう。
だが3日後、事態は予想外な方向に進んだ。