いよいよ、最終回が近付いてきたな……
ヴィヴィオとミウラの戦闘は、熾烈を極めた。
ヴィヴィオは新しく、フリッカージャブを投入した。
フリッカージャブは腰の辺りで腕を左右に振りながら放つのだが、それにより拳の軌道が読み辛いという特性がある。
そのフリッカージャブに翻弄され、ミウラは何発も顎にヴィヴィオの拳が命中した。しかしヴィヴィオの拳とフリッカージャブは、威力が軽いという欠点がある。ミウラは
手数の多さはヴィヴィオに負けるが、一撃の重さはミウラに軍配が上がる。
一進一退の戦闘は続き、数ラウンドの熱戦の結果は、ヴィヴィオが制した。
ミウラは切り札の抜剣・四天星煌刃を放った。
これは奇しくも、DSAAの時にヴィヴィオに放って勝った技。
その一撃をヴィヴィオは間一髪で躱し、セイクリッド・スマッシュを叩き込んだ。
この一撃が決め手となり、ヴィヴィオはミウラに勝利。DSAAの時のリベンジを果たしたのだ。
その後、ヴィヴィオは控室に入って休憩しているのだが
「はーい、ここはどうですか?」
「あぁぁぁ……」
なんと、イクスがヴィヴィオを癒している。
しかもあの小さい方ではなく、本人が癒していた。
実はイクスは、今朝方に意識を取り戻したらしく、教会騎士達護衛付きでこの試合会場に到着した。
そして、ヴィヴィオに声援を送っていたのだ。
恐らく、ヴィヴィオがミウラに勝てた要因の一つだろう。
「イクスぅぅ……起きて良かったよぉぉ……」
「ほら、スバル。泣き止んでください」
ヴィヴィオを癒してるイクスだが、同時に泣きながら抱き着いているスバルをあやしていた。中々に器用である。
まあ、器用だから王が出来たのかもしれないが。
そしてティアナは、そんなスバルを優しく見守っている。見守っているのは、スバルが割と頻繁にイクスのお見舞いに行っているのを知っているからだろうか。
するとティアナは、イクスに
「けど、本当に目覚めて良かったわ」
「ありがとうございます、ランスター執務官さん」
「ティアナでいいわよ」
「では私も、イクスで構いませんよ」
イクスとティアナが話したのは、以前の事件以来になる。その時は簡単に自己紹介して、事件に関して軽く確認した位で、イクスは眠ってしまった。
それ以来の再会になる。
「何時目覚めるか、分からないって話だったわよね」
「はい。体内の器官の機能不全によるもの、だったらしいんですが、神代2等空佐さんの技術協力で何とか解決出来たそうなんです」
イクスの言う技術協力というのは、冬也に施された回復力の秘密になる。
実は冬也の回復力は、血液に大量に流れるナノマシンが由来で、冬也は自身の血液をイクスに輸血。
そのナノマシンによる回復を計ったのだ。
とは言え、その行為は賭けに等しかった。
ナノマシンがイクスの体に適合するのか、ナノマシンがイクスの魔力で稼働するのか、等々懸念事項は幾つかあったが、見事に適合し稼働。
特に、魔力で外に意識体を出せるようになってからは劇的に回復速度が上昇。
こうして、駆け付けたのだ。
「まだ暫くは教会の病院で検査等する必要があるので、出られませんが……何時かは、ナカジマジムに行きたいですね」
「その時は出迎えますね」
「イクスなら大歓迎!」
イクスの発言に、リオとコロナが喜んでいた。
実際、イクスの回復魔法はヴィヴィオを着実に回復させている。ミウラとの激戦で全身にダメージがあったが、アザや痛みが無くなってきているのは、ヴィヴィオの表情からも分かる。
「後は、特設会場の修復が終わるのを待つ位かな?」
「多分、そう時間は掛からないと思うわよ?」
ヴィヴィオの言葉に、ティアナがクロスミラージュで特設会場の様子を確認し始めた。
二人の戦闘で大分設備が破壊されたが、十数分で半分以上が修復出来ている。後三十分もすれば、修復は完了するだろう。
「はい、ヴィヴィオは体力も回復してね」
「差し入れです」
そう言って入室してきたのは、エリオとキャロの二人だ。二人の手には、食べ物と飲み物が用意されている。
今回元六課のフォワード陣は、ヴィヴィオへの全面協力をしていた。
例外は武と冥夜だが、その二人は大会に出ている冬也の代わりに待機任務に就いている。
「はい。エネルギー補給しやすいように、食べやすいのにしといたよ」
「こっちは、はちみつレモンだよ」
「ありがとうございます!」
エリオとキャロから差し入れを貰ったヴィヴィオは、食事を始めた。
その頃、フェイトは
「ヴィヴィオ、中々強くなってたね」
「頑張って訓練したんだろう……何時までも、弱いままではない」
冬也と二人で、先ほどのミウラとの戦闘映像を確認していた。
「速さはまだ私が速いけど……カウンターが恐いね。私、装甲薄いから」
「下手な一撃を受けたら致命傷になりかねんな……」
フェイトは自身のバリアジャケットが他より薄い事を自覚しており、そこをヴィヴィオのカウンターで狙われたら一撃でダウンを貰う可能性すらあり得る。
機動で翻弄するのも考えられるが、恐らくヴィヴィオはそこも対策してくるだろう。
「うーん……経験の勘で対処する、しかないかなぁ」
「それしかなかろうな」
フェイトの言葉に、冬也は頷いた。
そうしていよいよ、試合の時間になった。