後少しです
フェイトは両手の雷刃を巧みに操り、素早く連撃をヴィヴィオに繰り出した。しかしヴィヴィオも、その眼でフェイトの攻擊を読み、辛うじて防いでいく。
「くっ!?」
「まだまだ、速くなるよ……!!」
ヴィヴィオは精一杯だったのだが、フェイトは連撃の速度を一段階加速させる。
「クリス! セイクリッドオーラ!」
防御が間に合わないと判断したヴィヴィオは、素早くオーラタイプの防御魔法を発動した。
オーラタイプの防御魔法の利点は、全身に纏うように展開しているので、全方位からの攻擊を防げる点にある。
しかし欠点として、他の防御魔法より脆い点が挙げられる。
(長くは保たない……だけど!)
ヴィヴィオは敢えて薄く展開し、ある策を発動しようとした。そして、フェイトの右手の突きを防いだと同時に
「オーラバースト!」
「つっ!?」
それは、まだ不慣れ故かの僅かな隙を突いた策だった。フェイトは突きを繰り出す時、ほんの僅かに前のめりになり、バランスが僅かに崩れる。
ヴィヴィオはそのほんの僅かな隙を、見逃さなかった。
「くうっ……!?」
不意打ちのオーラバーストによりフェイトは吹き飛ばされ、距離が離れた。
ヴィヴィオ
残ライフ9900
フェイト
残ライフ9000
手数はフェイトの方が圧倒していたが、ヴィヴィオはオーラと防御で何とか凌いだ。
しかしフェイトは、予想外のオーラバーストだった為に防御が間に合わず、装甲が薄い為にダメージが大きかった。
「やるね、ヴィヴィオ……なのは譲りの観察眼だね」
「ありがとう、フェイトママ……まだまだ行くよ!」
フェイトの称賛に返しながら、ヴィヴィオは魔力弾を多数形成し
「セイクリッドバレット・エセリアルシフト……ファイア!!」
数多の誘導弾を、フェイト目掛けて放った。
それに対して、フェイトは冷静に
「ライトニングバレット、ファイア!」
迎撃用にすぐさま魔力弾を形成し、放った。
空中でヴィヴィオとフェイトの魔力弾が激突し、激しい爆発が連鎖する。
ふと気付けば、二人はその弾幕の中に突撃し、再び拳と刃を交え始めた。
その頃、解説席では
「なあ、冬也。あれ、お前の剣技だよな?」
「そのようだな……まったく、いつの間に模倣していたのやら」
「フェイトちゃん、頑張りやさんやからね」
とヴィータ、冬也、はやての三人が会話していた。
そう、フェイトの新しいフォームは、冬也の戦闘スタイルを模倣し、フェイトなりに改良した物だった。
それを、三人は一目見て気付いた。
「しかも、時々冬也の剣技すらあるぞ」
「フェイトのラーニング能力が高いのは知っていたが、ここまでか……」
「そういえば、フェイトちゃんが集束砲を使うようになったのは、なのはちゃんと出会ってからって話やったな」
三人はフェイトの動きを見ながら、そんな会話をしていた。勿論、一般には聞こえないようにマイク部分を抑えている。
すると、司会者が
「え、今の動きは!?」
とヴィヴィオの動きに驚いていた。
ヴィヴィオは直撃しそうになったフェイトの魔力弾を、右手で弾いてから左手の裏拳を放っていた。
裏拳はフェイトの顎を狙っていたが、フェイトは僅かに体を反らして躱し、右手の雷刃を逆手持ちで振り上げていた。
恐らく司会者が驚いたのは、ヴィヴィオが爆発させずに、フェイトの魔力弾を弾いた事だろう。
「今のは、左手の甲に魔力を集めて受け流したんだな。チームメイトに古代ベルカの武術の使い手が居るから、真似たのだろうな」
「古代ベルカの武術には、魔力弾を投げ返す技があると聞いてますから。それの模倣でしょう」
「そういえば、ザフィーラが似た技を使ってたなぁ」
「な、なるほど。解説ありがとうございます」
三人の解説を聞き、驚いている司会者。
その間にも、フェイトとヴィヴィオの交戦は激しさを増していく。
フェイトは両手の雷刃を駆使して、ヴィヴィオの防御を掻い潜って攻擊を繰り出し、ヴィヴィオはカウンターで隙を突いて一撃一撃を入れていく。
まさに、一進一退の攻防戦。
会場のボルテージも上がっていき、歓声が響き渡る。
そうして、決着の時が近付く。