フェイトと刹那の二人から離れて、エリオとキャロの二人は隊舎へと向かっていた
途中までは冬也の存在もあって、隊舎は無事だと思っていた
だが、隊舎の方角の空が真っ赤に染まっていることに、二人は気付いた
「そんな!?」
「フリード、急いで!」
キャロは顔を青ざめ、エリオはフリードに速度を上げるように促した
エリオの要請を受け入れて、フリードは速度を上げた
そして二人の視界に入ったのは、炎に焼かれている機動六課の隊舎だった
「隊舎が!?」
「冬也父さん、皆さん!!」
二人が呼ぶが、もちろん返事はなかった
よく見れば、折り重なるようにシャマル、ザフィーラ、ディエチが倒れており、隊舎の壁を貫通し、冬也が瓦礫に埋まっていた
その光景二人が驚いていると、二人の視界にある影が入った
それは、戦闘機型ガジェットの上に乗っているルーテシアと召喚虫のガリュー
さらには、ガリューに抱かれているヴィヴィオの姿だった
それを見た瞬間、エリオは歯を食いしばり
「ストラーダ! フォルムツヴァイ!」
と声高に叫びながら、フリードの背中から跳んだ
「エリオ君!?」
キャロが気づいて止めようとするが、エリオは気づかずにストラーダのブースターを吹かした
「ヴィヴィオを……離せえぇぇぇ!」
エリオが叫びながら突進すると、ガリューはヴィヴィオを一旦ガジェットの上に寝かせてから、背中の羽を高速で動かして飛翔した
「はあああぁぁぁ!!
「……」
二人は対照的に互い目掛けて突撃した
「ぜあっ!」
「……」
交差するように放たれた二人の初撃、打ち勝ったのはガリューだった
ガリューの一撃でエリオはバランスを崩し、それを見逃さずにガリューは追撃でエリオを蹴り飛ばした
「うあぁぁぁ!? っ……!」
蹴り飛ばされたエリオは真っ逆様に落ちるが、なんとかストラーダのブースターを吹かして、バランスを取り直した
そして、その場でグルグルと回ると、その勢いのまま、再びガリュー目掛けて突撃した
だが、この時のエリオは激情に駆られていて、何時もの冷静さは無くなっていた
だから気付かなかった
ガリューが、冷静にエリオの突撃の軌道を読み、カウンターのタイミングを計っていたことに
エリオは自分の間合いに入ると同時に、ストラーダを大きく突き出した
だが、ガリューはその一撃を左手の爪を使って逸らし、右肘をエリオの顎に叩き込んだ
「ガッ!?」
その一撃で、エリオは一瞬意識が遠のいた
そしてガリューは、トドメと言わんばかりに体を前転させると、エリオの後頭部に踵落としを叩き込んだ
「ガアアアァァァ!?」
その一撃でエリオは、完全に海中に没した
「エリオ君!」
そんなエリオを助けようと、キャロはフリードに命じてエリオが落ちた場所に向かった
この時キャロは、エリオを助けることしか考えておらず、周囲への索敵を怠っていた
だから、エリオを倒したガリューが背後に近づいたことに気付かなかった
(警告、背後です!)
「えっ!?」
ケリュケイオンの警告でようやく気づき、キャロは振り向いた
だが、時既に遅かった
ガリューはキャロに肉薄し、フリード毎キャロを蹴り飛ばした
「キャアアアァァァ!?」
ガリューに蹴られて、キャロはフリード諸共海に落ちた
数分後、キャロは小さくなったフリードを頭に乗せ、見つけたエリオを先に陸に上げると、燃えている機動六課隊舎を見た
そして、キャロの中に広がったのは、悲しみと絶望だった
また、自分達の居場所が壊されるという悲しみと、無力な自分に対しての絶望だった
そして、キャロはソレを召喚する
「竜騎……召喚……」
キャロがそう呟いた直後、キャロの足下に巨大な魔法陣が現れた
「ヴォルテール!」
キャロがその名を叫ぶと、魔法陣からその巨体が姿を現した
高さは優に10m近くあり、その姿はどこか、人間に近いものが有った
だが、決定的に違う所を挙げると、頭に有る角と背中から生えている巨大な黒い翼だった
この竜は真竜ヴォルテール
キャロの故郷、アルザスを守護する竜で、竜の中でも別格の竜である
「壊さないで……私達の居場所を……壊さないでぇぇぇぇ!」
キャロが涙と共に叫んだ直後、ヴォルテールは極太の火線を放った
その火線の名は《ギオ・エルガ》
ヴォルテールの放つ攻撃の中でも、最強の一撃である
その一撃で、周辺に居た大量のガジェットとドールは全て、一瞬にして跡形もなく蒸発した
破砕でもなく、溶けるでもなく、蒸発である
それだけで、その一撃の威力を物語っている
その後キャロは泣き続け、ヴォルテールはそんなキャロを守るために、その場から一歩も動かなかった
トーレとセッテの二人と交戦が終わった刹那とフェイトが来るまで