「ごめん! 荒い操縦になるから、しっかり捕まってて!」
そう叫んだのは、操縦席に座っているアルト・クラエッタである
そして、彼女がそう言った通りに、ヘリは右に左に大きく揺れた
しかし、それは仕方ないだろう
なにせ、フォワード陣が乗ってるヘリを大量のガジェットとドールが追撃してきているのだから
しかも、レーザーや機銃、ミサイルを次々と撃っている
それらを避けるために、アルトは機体を大きく左右に動かしている
しかし、余りにも弾幕が厚すぎた
いくら廃棄都市区画を飛んで、相手の射角を制限したり盾代わりにしているとはいえ、限度があった
徐々に徐々に、ヘリは追い込まれていた
操縦席からは、アルトの必死な声が聞こえてくる
「このままじゃあ……っ!」
「いずれ、撃墜されるっ!」
と武と冥夜が言った直後
「前っ!?」
とティアナが叫び声を上げて、全員が前を見た
そこには、ヘリに銃口を向けているドールが居た
アルトもなんとか回避しようとするが、直感で間に合わないと分かった
だが次の瞬間、何処からか飛来してきた魔力弾がドールを撃ち抜いた
しかも前だけではなく、後ろから追ってきていたガジェットやドールも次々と撃ち抜いていた
武は射点を特定したのか、右側の窓から外を見た
すると、遥か先に青いヘリが見えた
しかも、ビルとビルの合間を縫うように飛んでいる
「まさか、あの青いヘリからか!?」
武が驚愕していたら、アルトにも見えたらしく
「ヴァイス陸曹!!」
と嬉しそうに叫んだ
すると、通信越しに
『お前らは、そのまま飛んでろ! 俺が援護する!』
とヴァイスの声が聞こえた
そう
青いヘリは、ヴァイスのヘリなのだ
ふとその時、下で戦ってる部隊が見えた
どうやら戦術機部隊を任されてるらしいが、押されていた
それを見て、武が
「アルトさん! 後部ハッチを開けてください!」
と声を上げた
それに対して、アルトが返答しようとした
その時だった
視界をオレンジ色の閃光が駆け抜け、それの衝撃波でか、大量のガジェットとドールが爆発した
「な、なに!?」
とスバルが驚きの声を上げると、今度は広範囲で電撃が走った
その電撃を受けて、ガジェットやドールは次々と爆発していく
「フェイトさん!?」
「いや、フェイト隊長は別方向に向かったはずだぞ!?」
電撃を見て、エリオが放っただろう人物を予想したが、それを冥夜は即座に否定した
なにせ、今自分達が向かっている方向と、フェイトが向かった方向はほぼ真逆だからだ
だったら、一体誰が電撃を放ったのだろうか?
全員が首を傾げていると、ウィンドウが開いた
そのウィンドウには、全身から電気を放っている二人の少女が居た
見た目が瓜二つの、見覚えのある少女だった
そう、以前に出張で行った地球の海鳴市で出会った少女達だった
「御坂さん!?」
名前を覚えていたティアナが、その名前を叫んだ
そう、電撃を放ったのは御坂美琴と美優の二人だった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
場所は変わり、廃棄都市区画
そこに現れた二人
御坂姉妹は、自分達に向かってくるガジェットとドール群を見上げていた
「姉さん。大量の敵群が接近してきます。と、ミサカは報告します」
「そうね……数は、五十七ね」
美優の報告を聞いて、美琴はそう返した
ガジェットとドールは二人を危険と判断したらしく、夥しい数があらゆる方向から接近してきていた
なぜ、その数を正確に把握しているのか
それは、彼女達の超能力に起因している
彼女達の超能力
それは、
この能力は非常に汎用性が高く、電気に関するならばあらゆる力が使えるのだ
直接電気を放ったり、電磁力を操り物体を操ったりできる
そして、その能力を入手した副作用と言うべきか
彼女達は常に、全身から電磁波を放出している
そしてその電磁波を、彼女達は知覚出来る
それはつまり、天然のレーダーなのだ
そんな彼女達に、死角は無い
「ったく……本当にあいつは、厄介な場所に行くわよね」
「ですね、姉さん。と、ミサカは同意します」
戦場だと言うのに二人は大して緊張した様子もなく会話しており、それぞれ準備していた
美琴はポケットからカエルの財布を取り出すと、中から一枚のコインを取り出した
美優は額に上げていたバイザーを下ろし、背負っていた巨大な四角い砲身を前に構えた
そして、先に攻撃を放ったのは美優だった
美優の持っていた砲身から眩い光が迸り、射線上に居たガジェットとドールを溶かした
それは、学園都市製の荷電粒子砲だった
美優の能力を使って粒子加速機を動かして、荷電粒子を溜めて撃つというものだ
そして、次は彼女だ
学園都市にて、たった七人しか居なかったレベル5の第三位
美琴は持っていたコインを真上に弾き上げると、右腕を真っ直ぐに伸ばした
美琴には、ある二つ名があった
コインがクルクルと回りながら、ゆっくりと落ちてくる
それは、美琴が最も多用した技から付いた二つ名だった
そして、コインが伸ばしてた腕の前に来た
その名は……
美琴は、そのコインを親指で強く弾いた
その直後、弾かれたコインは音を越える速度でオレンジ色の軌跡を伴って飛んでいった
美琴の二つ名にして、最も多用した得意技
それが、レールガンだ
美琴が放ったレールガンで、直線上に居たガジェットとドールは軒並み吹き飛んだ
それを見ると、美琴は全身から電気を放電しながら
「さあ、どんどん来なさい!」
と声を張り上げた
なお、来たのは彼女達だけではない
ある防衛線では
「ナカジマ三佐、これ以上は!?」
「なんとしても保たせろ! こっから後ろは、まだ避難が終わってねぇんだ!」
悲鳴混じりに報告してきた部下に対して、ゲンヤはそう返した
ゲンヤ・ナカジマ率いる陸士108部隊は、その全戦力を展開して市民が避難するまで時間を稼いでいた
しかし、ガジェットとドールは撃破しても、次々と押し寄せてくる
部下達も怪我をしながらも頑張っているが、焼け石に水だった
突破されるのも、時間の問題だった
その時だった
一機のドールが、防衛線を突破
避難していた市民に、機銃の銃口を向けた
部下達は迎撃に手一杯で、撃破出来ない
ゲンヤは魔法を使えないために、攻撃出来ない
(こうなったら、この身を盾にしてでも!)
と飛び出そうとした
その時銀閃が走り、一瞬にしてドールがバラバラになった
「…………は?」
何が起きたか分からず、ゲンヤは呆然とした
すると、ゲンヤの目の前に一人の人物が現れた
左右で長さが違うジーパンに、腹部辺りで結ばれているシャツ
何よりも、ポニーテールにした長い黒髪と長い刀が特徴の長身の女だった
ゲンヤが呆然としている間に、更に大人数が現れた
私服姿に剣や槍、メイス、車輪や金貨袋といった物を持ったシスター達
それに、長い赤髪にタバコをくわえている神父に、金髪サングラスのアロハシャツを着た青年
その人数は、述べ数百人は居た
「ったくー……一方通行から聞いた時は驚いたぜよ。上やんが生きてるなんてにゃー」
「しかも、また戦場に居るとは……まったく……トラブルに巻き込まれる体質なのか……」
「僕としてはそれよりも、あの子を一回でも泣かせたことで焼き殺してやりたいんだがな」
と三人
土御門元春
神裂火織
ステイル・マグヌスが会話していると、小柄な銀髪が特徴のシスターが近寄って
「ほらほら! それよりも、当麻の為に戦うんだよ!」
と言った
それを聞いて、その場に居た全員は各々で得物を構えた
「んじゃま、一丁派手に行くぜよ!」
元春はそう言うと自動小銃を撃ち始めて、それを皮切りに神裂達もガジェットとドール群に攻撃を開始した
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
また場所は変わり、市街地の外れ
そこを、ガジェットとドールの部隊が突き進んでいた
この部隊が進んでいるのは避難が終わった場所だったが、このまま進んだら管理局地上本部の裏に出る位置だった
そして、目的地が近づいてきたからか、部隊は武装を構えた
が、その動きが止まった
なぜなら、その前方に人影があったからだ
しかも
「わーい! ミサカが居れば、問題なくミサカネットワークが使えるって、ミサカはミサカは喜んでみたり!」
「わかったから、はしゃぐンじゃねェ……怪我するぞ」
と場違いな会話をしていた
進行の邪魔と判断したからか、ガジェット・ドール群は武装を二人に向けた
それを見て、白髪赤目の少年
「さあて……久しぶりの戦場だ……思っいきり行くぜェ!」
と言うと、首筋のチョーカーのスイッチを切り替えた
その直後、一方通行に膨大な数の砲弾やミサイルが撃ち込まれた
しかし次の瞬間、それらは全てガジェットとドールに跳ね返ってきた
その現象の原因が、ガジェットとドール群には理解出来なかった
それは、一方通行の名前となった能力
《あらゆるベクトルを操る》という能力が理由だった
それは、風力、火力、電力だろうがなんだろうが、一方通行の思い通りに操れるという規格外にして、学園都市にて一方通行が第一位として居られた最強の能力だ
一方通行は、ガジェットとドールが地に落ちるのを見て
「さて、こっから先は……一方通行だァァァァ!」
と叫んだ