「冥夜!」
「任せろ、合わせる!」
影と交戦していた二人は、卓越した連携で攻撃していた
それは、事前に冬也から伝えられた情報から導き出した答えだったからだ
(0、2秒か!)
(なんとしても、その間に倒してみせる!)
0、2秒
それは、影の自動影防御の限界反応時間だ
つまり、一回影で防御したら次に防げるようになるまでそれだけの間があるということだ
その間に致命傷を叩き込めば、倒すことが可能だ
しかし、その0、2秒が難しい
武と冥夜の二人はその卓越した連携で攻撃を繰り出していたのだが、全てギリギリで防御されている
不知火と武御雷の計測では、ほんの0、1秒間に合っていないらしい
その0、1秒が遠く感じた
だが、やらなければいけない
予定では、もし会ったらフォワード陣全員で掛かる予定だった
だが、フォワード陣は散り散り
援軍は望めない
相手は格上だ
だが、それがどうした?
自分達が立っているのは、命懸けの戦場
自分達が負けたら、世界が崩壊する
そんなこと、させるわけにはいかない
させない為に影を倒し、スカリエッティを逮捕し、ロンドを倒す
その為に、今の限界を超えるしかない
自分達は、人類の剣であり楯たる衞士
しかも、自分達が担当するのは最前衛たる
容易に退くことも、倒れることも許されない
ならば、自分達は敵を切り捨てるのが役割
だったら、諦めず突撃する
二人はそう意気込むと、猛攻を開始した
それは、幾多の訓練を共に乗り越え、激戦を共に駆け抜けたが故の阿吽の呼吸の連携だった
冥夜が斬りかかった直後に、武が横っ飛びしながらニードルバレットを連射
それを影は回避すると、足下から影をまるで槍のように尖らせて次々と二人目掛けて放った
その影の槍には強力な対物理と対魔貫通能力が付加されており、生半可な防御は容易く貫かれる
だから、武と冥夜は回避を選択し実行
散開すると、二人で挟み撃ちを敢行した
戦術機動陣形、
その名前の通りに、相手に対して機動挟撃を仕掛けるのだ
二人は機敏に動き回り、影を挟み撃ちしようとした
だが、影はそれをさせまいと影を次々と射出
二人の迎撃を始めた
二人は迫ってくる影槍を、ギリギリで回避し続ける
しかし、何時までも避けきることなど出来ない
その証拠に、一発の影槍で不知火の左肩アーマーが大きく抉られた
その一撃で、僅かに左肩を負傷した
だが、その程度で止まる武ではない
冥夜は心配そうに見るが、止めなかった
今止めるのは、世界の命運を捨てるに等しい
だから止めなかった
だから、
「ハアァァァァァ!」
冥夜は烈迫の咆哮を上げながら、斬撃
無限鬼道流剣術、十六夜を繰り出した
下から下弦の月を彷彿させる斬撃を繰り出すのが、十六夜だ
影はその斬撃を影で防いだが、冥夜は直ぐ様別の業を繰り出した
無限鬼道流剣術、吹雪
これは、連続突きだ
冥夜は三段突きが精一杯だが、冥夜の師匠は五段突きが可能だった
それは、冥夜がまだ未熟だから
しかし、それは無駄ではなかった
一発
たった一発だが、影の自動防御をすり抜けて、掠めたのだ
掠めただけだったのは、影が首を傾けたからだ
それを見て、二人は行けると確信した
そこから、二人の文字通りの疾風怒濤の攻めが始まった
「ハアァァァァァ!!」
「オオォォォォォ!!」
二人は雄叫びを上げながら、次々と攻撃を繰り出した
冥夜が斬撃を繰り出したら、間髪入れずに武が砲撃を放った
武が砲撃を放った直後に、冥夜が振り下ろしの斬撃を放った
そういう風に、二人は影に攻撃の暇の与えずに攻撃を繰り返した
がむしゃらに
それによりほんの僅かずつだが、攻撃が影に入っていき、影の動きは鈍っていった
(このまま、倒してみせる!)
偶然だが、この時の二人の思考が一致した
そして、その時が来た
二人の攻撃で、影は全身を朱色に染めていた
しかし、二人も無傷ではなかった
武は左腕を血で濡らし、冥夜は右側頭部から出血していた
だが、二人は不思議と痛みを感じなかった
戦意が高揚してるからか、アドレナリンが大量に分泌されているのだろう
今は好都合だった
二人は手応えを感じていた
後もう少しで倒せると
しかし武の長刀は折れ、冥夜の複合突撃砲は破壊された
バリアジャケットを再構成すれば、予備の物を装備出来る
しかし、そんな暇は無い
そんなことをした瞬間に、二人の命は間違いなく喪われる
だったら、今ある装備で手を尽くす他はない
そして、そんなことは今更だった
二人はアイコンタクトを交わすと、同時に動いた
不知火と武御雷は、原型機体のデータから忠実に再現している
その為、速度は武御雷の方が速い
故に、冥夜が前に出た
その僅か後方に、武が付いている
「ハアッ!!」
冥夜は接近すると、長刀を振り下ろした
その一撃を影は半身になって回避
「シイッ!!」
それを見た冥夜は、長刀を切り返して右斜め上に振り上げた
しかし、その一撃を影は上半身を弓なりに反らすことで避けた
次の瞬間、冥夜の右脇から銃口が覗き、ニードルバレットが乱射された
それは回避しきれないと判断したのか、影は足下から影の楯を展開して防いだ
その瞬間、影の胸部から刃が突き出た
その一撃は、得意の機動で背後に回った武の短刀による一撃だった
では、先程の射撃はなんなのか
それは、武御雷の背部武装パイロンに装備された武が使っていた複合突撃砲の射撃だった
実は、不知火と武御雷の武装は相互に使えるようにされていたのだ
だから武は、冥夜の背後に回った時に持っていた複合突撃砲を背部パイロンに装着させると、腕部のナイフシースから短刀を抜刀
冥夜が連撃により自動防御を発動させた瞬間に、背中から一刺ししたのである
その一撃は、影の心臓を刺し貫いた
それにより、影を無力化した
こうして、二人は七大罪が一人