「ほい、確かに。確認したで」
はやては、冬也達がサインした書類を確認して、微笑んだ
「ほな、次は検査やね」
「検査ですか? 冬也さん以外は至って健康ですが?」
はやての言葉を聞いてネギは、健康診断と思ったようで、首を傾げた
「ああ、チャウチャウ。魔力測定や」
「魔力測定、ですか」
「せや。民間協力者になってもろうたんで、どのくらいの魔力や希少技能があるか確認したいんや」
「なるほど、道理ですね」
「ほな、案内を」
と、はやてが案内の為に立ち上がろうとしたら
「あ、はやて。私がするから、いいよ」
と、フェイトが制した
「そうか? ほなら、頼んでええか?」
「うん、いいよ。それでは皆さん、着いて来てください」
とフェイトを先頭に続いて、全員、部隊長室を出た
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
部屋を出て、しばらく歩いていると
「あの、冬也さん……先日は、ありがとうございました」
「む? いきなりなんだ?」
冬也はフェイトが突然、感謝を告げたことに疑問を感じた
「あの、先日、命を助けてもらったので……」
「ああ、なるほどな。だが、俺にとってはあれが何時ものことでな」
冬也はフェイトが理由を告げると、思い出したようで、納得するが、気にするなと返した
「何時ものこと………失礼ですが、冬也さんは何時から戦ってるんですか? あの動きは、かなりの経験を感じましたが」
「む? 俺は、12年前から最前線で戦っていたな」
「12年前!? ちょっと待ってください! 冬也さんは20歳って仰ってましたよね?」
フェイトは、冬也が12年という長い時間を戦っていることに驚いた
「そうだが?」
「ということは……8歳から、戦ってたってことですか!?」
「そうだが、それがどうした?」
「私達より、早い………」
「む? 君達は幾つからだね?」
「フェイトでいいですよ。私達は9歳からです。けど、冬也さんの戦いは……」
「俺の戦いは……殺し合いだよ。互いの命を賭けて、殺しあった」
「…………そんな戦いを12年も……親御さんはなにをっ……」
フェイトは冬也の戦いを想像したのか、眼を見開いてから呟いた
「………殺させられたさ………」
冬也の言葉は、小さく、ほとんど聞こえなかった
「え?」
「いや、なんでも。俺の親は死んでたのでね。俺は、恩人との約束を果たすために、戦場に立つことを決めた」
「恩人との、約束…ですか?」
「ああ。俺を助けてくれた人との、約束でな。『誰かを守れる存在になれ』という、約束でな。俺は、それを守るために、戦場に立った」
「そう……ですか」
「ああ……」
そんな2人の会話を、後方を歩いていたネギと武、冥夜、当麻達も聞いていて
「あの人は、心が強いんですね」
「覚悟も持ってるんだな」
「ああ」
「神代も誰かの為に、戦ったのか……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ここです」
しばらく歩いて、着いたのは
「医務室ですか?」
「うん。ここに魔力を測定する機械が設置されてるの」
と説明しながら、フェイトは扉を開けて、中に入った
「シャマル。居る?」
「はーい♪ 話は、はやてちゃんから聞いてるわ。皆さん、こっちにどうぞ」
とシャマルが指差した先には、大きな機械が設置されていた
「それでは、1人ずつでお願いするわね」
シャマルの指示通りに、1人ずつ検査を始めた
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しばらくして
「検査結果、出たわよ~」
とシャマルが、フェイトに検査結果の書かれた紙を手渡した
「ありがとうございます…………皆、凄いですね」
「ふむ、その手の検査は久しぶりでな。どうかな?」
「冬也さんを始めに、皆さん高いですよ。特にネギくんと木乃香ちゃんは、SSSランクで事実上のEXランク」
「EXランクってことは、測定不能ってことですか?」
「うん、そうだね。でも、疑問なのは、当麻くんと明日奈ちゃんだね」
「つーと、どういうこった?」
フェイトの言葉に疑問を感じた当麻が、質問した
「EXランクじゃない、測定不能ってなってる」
「もしかして、その機械。魔法かなんか使ってんのか?」
「ええ、そうよ」
「あー、だったら、無理だな」
「それは、どうして?」
「なんつーか、まあ。百聞は一見にしかずだな。俺に、簡単な魔法を一発放ってみ」
と当麻は、指をチョイチョイと動かす
「え? で、でも……」
と、フェイトが躊躇っていると
「ふむ、では。ウィンドカッター」
と冬也が、当麻に向けて風の刃を放った
「冬也さん!?」
と、フェイトが慌てたが
「ほいっと」
当麻が、右手で風の刃を叩くと
ガラスが砕けたような音がして、魔法が消えた
「え!?」
「魔法無効化!?」
「ほう」
「俺の右手はな、幻想殺し《イマジンブレイカー》って言ってな。あらゆる異能を消す力があるんだよ。それこそ、あんたらの魔法、超能力、神様の奇跡すらもな」
まぁ、右手限定だけどな。っと当麻は頭を掻きながら呟いている
「それでなんだ……あれ? ってことは、明日奈ちゃんも幻想殺しを?」
「いえ、あたしのは、魔法無効化能力《マジックキャンセル》って言うんです」
「魔法無効化能力?」
「そこからは、僕が説明しますね。魔法無効化能力と言っても、正確には魔力を直接分解するんです。範囲は、明日奈さんの意識で調整できますが」
「明日奈ちゃんの方が、範囲は広いみたいだね………」
フェイトは呟きながら、再び書類に眼を戻した
すると
「それじゃあ、デバイスルームに行こうか」
「デバイスルーム……ですか?」
「うん、みんなの為にデバイスを作るって、話し合って決めたんだ。それと、冬也さんのデバイスも預かってますよ」
「む、やはりそうだったか。すまんな、手間をかけたようだ」
「いえ、ヒビだらけだったので」
そして、フェイトを先頭に全員、デバイスルームに向かった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ここが、デバイスルームです。シャーリー、居る?」
「はーい! なんですか、フェイトさん」
と、奥から眼鏡を掛けた茶髪の女性。シャリオ・フィニーノ、通称シャーリーが現れた
「あのね、あのデバイスを彼に返してあげてほしいの」
「はい、いいですよ。修理も終わったので………どうぞ」
シャーリーは、机の引き出しから腕輪状態の夜叉を出して、冬也に渡した
「なかなか、面白い機構を搭載してるんですね。私でもわからないのが、有りました」
「む? もしや、君が直したのか?」
「はい。私がここのデバイスの管理とメンテナンスを請け負ってます」
「ふむ……良かったら、俺の知ってる技術を教えようか?」
「え!? いいんですか!?」
「ああ。どうせ、秘匿する理由がないからな」
「ありがとうございます!」
「はいはい、シャーリー。落ち着いて、今はこの子達のデバイス製作のほうが先決だよ」
「あ、そうでした…」
シャーリーはテヘヘと笑うと、姿勢を正して
「それでは、皆さん。なにか要望はありますか? その通りに作りますよ~!」
「えっと、その前に一つ質問いいですか?」
「はい、どうぞ!」
「そもそも、デバイスってなんなんですか?」
「ふむ。その質問には俺が答えよう。デバイスというのはな、俺達が使う魔法の補助をしてくれるんだ」
「補助…ですか」
「ああ。ネギ君とて、その杖と指輪を媒体にして魔法を使うだろ? その際に魔法を展開しやすくしてくれるのが、デバイスの役目なんだ。後は、防護服の役割もある」
「なるほど~」
「とまあ。今、冬也さんから説明があったように、君達の手伝いをしてくれるの」
「「「「「なるほど」」」」」
「あー、だったら、俺はいらねーや」
「僕も、要りませんね」
「「「「「私達も!」」」」」
当麻を始めに、ネギとネギの生徒達は拒否した
「それは、どうして?」
「あんた「シャーリーで」…OK、シャーリーには説明してなかったけど、俺の右手は幻想殺しつってな。あらゆる異能を打ち消してしまうから、使えないんだよ」
「僕の場合は、僕の戦闘スタイルに合わないと思うので。それと、彼女達に関しては、アーティファクトがあるので」
「アーティファクト?」
「はい。それじゃ、皆さん。お願いします」
ネギが言うと、全員頷いて
懐から、一枚のカードを出し
「「「「「出よ《アデアット》!」」」」」
と、唱えた
すると、カードが光った
光は一瞬で終わり、視線を向けると
「わ!? 服装が変わってるし、なんか、色んなアイテムを持ってる!」
そうなのだ。彼女達が着ていた服装は全て変わり、手に手に色んな形の道具を持っているのだ
「なるほど。様々な効果を持っている道具か……それらは、各個人の能力に合わせて選ばれるのか?」
「多分、そうだと思います」
「なるほど……興味深いな」
冬也はネギに質問し終わると、顎に手を当てて考え始めた
「えっと、それじゃあ。そっちの2人はどうする?」
とシャーリーは、武と冥夜に話しかけた
「そう言われてもな……」
「魔法なんて、使ったことないしな……」
と、2人が困惑していると
「じゃあ、2人は前の世界ではどういうポジションだった?」
「んお? 俺と冥夜は2人とも、
フェイトの質問に、武が答えた
「突撃前衛? つまりは、最前衛ってこと?」
「はい、その通りです」
「その辺のデータに関しては、シャーリーさんが回収した私の強化装備にログ等が残ってる筈です。後は、機体に戦闘記録が残ってます」
「なるほど……」
「もしや、その機体に他の機体のデータも残っているのか?」
「はい、その通りです。世界各国の機体のデータが残ってます」
冥夜の言葉を聞いた冬也は、そこで少し黙考すると
「ふむ。だったら、そのデータを使って開発したほうが、良さそうだな」
「え!? そんなことが可能なんですか!?」
シャーリーは冬也の言葉を聞いて、驚愕している
「ああ。防御力が低い奴とか、機動力が低い奴等の為に作ったことがある。所謂、装甲式だな」
「なるほど~」
「それじゃあ、冬也さん。デバイスの開発を手伝ってもらっていいですか?」
「ああ。構わんよ」
と、冬也がうなずくと
「あ、それじゃあ、私も手伝っていいですか~?」
と、眼鏡を掛けた少女。葉加瀬が手を挙げた
「えっと、貴女は確か、茶々丸ちゃんの開発者の………」
「葉加瀬聡美と言います」
と、葉加瀬は軽く挨拶すると
「私も、機械関係は得意でして、お手伝いできると思いますよ」
「なるほど……」
「それに、この世界の技術にも興味ありますし、私も、技術提供します」
「わかった。それじゃあ、冬也さんと葉加瀬ちゃん。お願いできる?」
「構わん」
「はい」
こうして、冬也と葉加瀬は、デバイス開発に協力することが決まったのだった