織田信奈の野望 もし小早川隆景に拾われたら?   作:リトマス

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1章
第1話 もし小早川隆景に拾われたら?


「はっ?」

気が付くと、相良良晴は草原に居た。

本人は知るべくもないが、ここは彼の居た時代ではなく、戦国時代の真っただ中に彼は居た。

 

「ど、どういうことだよっ!? ここはどこだっ!?」

 

いきなり訳の分からないまま、戦国時代に放り出されたのだ。良晴の驚きぶりは当然といえた。

 

「だ、だれか!」

 

人を探すべく、歩き出した良晴。そんな彼の足もとに何かあたった。視線を下げる。

 

「ひっ!?」

 

後ずさる良晴。

その足元には額の割れた髑髏があった。

相良良晴は平凡な高校生である。父親が小説家で名探偵でも無ければ、母親が女優でメイクの達人という訳では無い良晴が、当然のように死体を見たことがあるはずは無かった。

 

あくまでも平凡な高校生である良晴に咄嗟に作り物だ、何かの冗談だという判断は出来なかった。

髑髏を見た衝撃が大きかったのだろう。良晴は、後方に向かって大きくバランスを崩し、背中から倒れた。

ただ倒れるだけなら、良かった。

まるで狙いすましたように石が、相良の後頭部に重なるようにして――

 

「がっ!?」

 

激痛と共に、少しずつ遠のく意識の中、良晴はこちらに向かってくる少女が見えた気がした。

 

 

 

 

その日、毛利元就の三女、小早川隆景はもう一人の父とも言える村上武吉と共に、陸地の視察に来ていた。

中国地方の覇者である毛利家を支える吉川と小早川の毛利両川。

吉川が主に陸を担当するのに対し、小早川が担当するのは、主に水軍である。

 

もともと小早川家は水軍の精強さで知られた家である。

しかし次期党首、毛利隆元が暗殺によってこの世を去ってからは、隆元の父である毛利元就が毛利家を指導していた。現在の広島、安芸国の国人領主でしかなかった元就は一代で毛利家を中国地方を代表する大名へと、押し上げた。

だが、毛利家中興の祖である元就も、既に老境の域に達していた。平均寿命が五十の戦国の世にあって、齢70を超えていた。家督を譲り、隠居するつもりだったのだから当然だろう。

 

元就は既にいくつもの武名を挙げていたとはいえ、幼い娘たちを心配していた。

父としては当然だろう。そして姉妹仲が良いとはいえ、己が得意分野だけではなく、吉川と小早川の両家の良きところを学ばせるために、今回のような視察をさせていた。

 

実際に来てみないと分からないことは、現代でも変わら無いように、戦国の世でも一緒であった。

視察を終え、そろそろ毛利家の居城である吉田郡山城に戻ろうとした時である。

ふと、何かに呼ばれた気がして、隆景は振り向いた。

 

「武吉、見えるか?」

 

帰り支度をしていた武吉だったが、隆景の指差す方向を見た。

 

「ああ、見慣れない格好をしているな」

「そうだな。バテレンか?」

「たぶんな。だが、バテレンにしちゃあなんか違うような気がするが……」

「ふむ」

「って、おい。小早川のお嬢!!」

武吉が制止の声をあげるが、隆景はそのバテレン?の元に向かっていく。

そのバテレンはバテレンというよりも、どうやら日の本の人間のようだと近づいた隆景は気付いた。

 

「まだ息はあるかもしれない」

 

隆景は息を確かめる。隆景の耳に蟲の音にまじって、呼吸する音が聞こえてきた。

 

「良かった。息はあるようだな」

「小早川のお嬢! 勝手に行かないでくれ」

 

武吉が追い付いてきた。

 

「すまない武吉。だが、息はあるみたいだ」

「で、こいつは? バテレンの格好に似ているが、日の本の人間のようだが」

 

武吉はバテレンに向けて、不審な目を向ける。

この時期、理解はされど、宣教師自体が珍しい時代である。武吉が不審な目を向けるのは当然であっただろう。武吉自体、異国の神々を信用しているわけではないし、どうも胡散臭いと感じていたからである。

 

「分からない。意識が戻り次第、問おうと思う」

「小早川のお嬢! こいつを連れて行くのか!」

 

今は亡き、毛利隆元から妹を預かった形である村上武吉である。可能な限り、危険からは避けさせたかった。

だが、小早川隆景は明智の将である。あの元就の血を一番濃く引き継いだ隆景には考えがあった。

 

命を救ってやったのだ。何かしら見返りは期待して良いだろう。物品のみならず、情報だけでも重要だ。あの厳島合戦も毛利家の奮戦、武吉の援軍、そして情報戦で陶隆房を誘い出せたからこそ、戦国大名毛利家は今ここにあるのだから。

 

「武吉、情報は大事だ。お前だって、海賊をしていて相手が毛利かそれ以外かは、確認するだろう? それに……」

「それに?」

「どことなく兄者に雰囲気が似ている」

 

その言葉に武吉は思わず押し黙った。

 

「分かった。小早川のお嬢がそういうなら、そうしよう。だが持ち物だけはこいつから剥せてもらう」

 

勿論隆景も、武吉の心配する気持ちは知っている。だから

 

「ありがとう」

 

と小さな声だったが、告げた。

武吉はバテレンを自ら背負いながら、親指をぐっと挙げた。

 

 

 

 

 

「ううっ」

「目を覚ましたか」

「きみは……? そして俺は何故寝かされているんだ」

 

目覚めたばかりの良晴は、状況はあまり理解できていなかった。数少ない理解できたことの一つにそばに少女が居たことだ。小柄で痩せてはいるものの、美しい少女だった。歳は良晴よりも幼いくらいだろうか。

 

「私の名前は小早川隆景。毛利家の姫武将だ」

 




信奈11巻の小早川さん可愛くて、つい書いてしまいました。
基本的に自給するより、他人の作品読む方が好きなんですが、ぱっと探した限り見つけられなかったので、こうなったら書くしかないと思い、書き始めました。小早川さん可愛いですよね。

一応プロットは考えてから、書いてますが、プロットが思った以上に長くなってしまい、途中でモチベがダウンすること請け合いです(というかダウンしています)

エタる前提で書くのもあれだとは思うんですが、折角書いた以上投げないのもどうかと思い投げました。

エタらないといいですね!!!!(他人事)
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