長門さんたちの話し方が上手くいかない……
「えっ、燃料切れ!?」
「どうやって帰るのさ…」
やばい呆れられてる…そりゃそうか海の上から動けないんだもんね。
「どうしよう…」
そんなとき遠くから長門さんがボートを引っ張ってこっちへやって来ているのが見えた。
「あっ…」
「どうかしましたか?」
「いや、ちょっとね。」
そう僕が言い淀んでいるともう隣に来ていた長門さんが話し掛けてきた。
「陸奥に信濃が援軍に行ったと聞いたときいたときは正直、肝が冷えたよ。」
「すみません。」
「まぁ、無事で何よりだ。それと是非とも君に会いたいという方がいらっしゃっている。付いて来い。」
「分かりました。」
迷惑かけてごめんなさい。本当にごめんなさい。
その後、僕は長門さんの引くボートに装備を外して乗って鎮守府に帰った。本当に何から何まですみません。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
僕は今、長門さんと共に提督室の前まで来ている。
「秘書官長門、信濃を連れて参りました。」
「入れ」
許可を聞いてから長門さんはドアを開けて中に入っていく。僕もそれに続く。
中に居たのは、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした色の白い三十代と思われる長身の美女だったーーー
「って、母さん!?」
僕は驚きのあまり大声を上げてしまった。提督と母さんを除いたこの部屋の人達は驚いた顔をしている。二人は笑ってるけど。
「知り合いなのですか?」
長門さんが尋ねてくる。
「知り合いも何も、母さんです。」
「正確には“育ての”だけどね。」
「えっ…知らなかった…」
何それ。聞いてません。
「そりゃ、言ってないもの。」
「いや、言っといてよ!てか、なんでここにいるの?」
「何でって、これでも私横須賀鎮守府の前提督で、今は海軍卿なのよ。」
「ダウト!」
嘘だ。絶対嘘だ。
「いや本当ですから。」
横田提督が保証してきた。マジか…
「てか、“海軍卿”って何さ。」
「提督より偉い存在。」
「へぇ、そんな偉かったんだ。」
「そうだよ〜」
あれ〜みんな呆然としてるなぁ。なんでだろう?
「そんなことより信濃、怪我してない?」
「少し攻撃は受けたけど問題は…」
僕の言葉を遮って母さんが話してくる。
「なら入渠して来な。詳しい話は上がってきたあと。」
「分かったけど…入渠って何?」
みんな驚いてる。えっ、もしかして常識なの?
「あ〜、教えてなかったね。長門、教えてやってくれ。」
「承知しました。信濃、付いて来い。」
「はい」
そうして僕らは提督室を出た。