最近、セキュリティーの締め付けが厳しくなってきた気がする。
元々このサテライト地区は、ネオ童実野シティの下層地帯、犯罪者ましましの治安不良区域ということもあり、警備警戒は厳重に行われていた場所である。
さらに昨今のデュエルギャングの抗争の激化、それに伴う治安の悪化、不良少年の増加、etcetc.
町の空気は悪くなる一方。
サテライト民だというだけで収容所に連れて行かれそうになった人もいると聞くし、そこらの街道ではギャングがぼろぼろのDホイールを乗り回している始末。こんな状態じゃあ気軽に散歩もできやしない。
「いや、逆に考えるんだ。今なら一般市民はあまり出歩いていない。外で遭う者はだいたいデュエルギャング、あるいはセキュリティー。アンティデュエルに勝てばカード貰い放題の拾い放題。この機会を見逃して、いったいいつ外に出るんだ?今だろう!」
「……いったいどこのチームのせいで抗争が激しくなったと思ってるんですかね、お前は」
「俺はこのやり方でカードを拾った」
「強奪!」
「強奪じゃない。デュエル精神に
真顔でとんでもないことをさらっと言ってのける、隣のカニ頭である。
デュエルギャング達の抗争の引き金となった、チーム・サティスファクションの他チーム潰しから一週間。
ギャング達の勢力図が変わったことで、それまで硬直状態だったサテライトが一転、ルール無用のデュエルロイヤル地域に早変わりである。今いるぼろアパートから100m歩けば、三回はデュエル出来そうな状況だった。
やったね、みんな!たくさんデュエルできるよ!(白目
本当に勘弁してほしい。できることなら落ち着くまで家に引きこもっていたい。
いくら外が面倒な状態だったとしても、仕事の予約が入っている以上、外出しないわけにはいかないのだが。
そもそもこんな状態となった元凶の一人がいまここにいることが悩みを増やしているのである。
このカニ頭がここにいなければ、いくら治安の悪いサテライト、B.A.Dエリアであるとしても、うちのまわりがこんな世紀末只中のヒャッハー野郎はびこる場所にはならなかったはずなのに……。
「……デュエッ\(TдT)ゝ!」
「……どうした、急に。それは俺たちのチームの象徴のポーズじゃないか。だれに教わった?」
「この間クロウがうちに来て、自慢げにレクチャーしていった。いったい何がしたかったのか分からなかったが、すごく楽しそうだったからまぁいいかなって」
「羨ましいのか?俺から鬼柳に言って、チームに入れてもらうか?」
「違ぇーよ!?嘆いてんだよこの状況を!分かれよ!」
ちょっと涙が出ているのが見えんのか!?
本当にだんだんと泣きたくなってきたのだが、もう現実逃避はやめておこう。
現状を端的に表現すると。
チーム・サティスファクションが活動開始
↓
他チーム潰したりデュエルディスク壊したり
↓
恨みをもった人間の報復秒読み待ったなし
↓
サティスファクションの人間が一人でぼろアパートに入るのを目撃!
↓
「デュ↑エルだぁ!!」←いまここ
つまり隣のカニ頭のせいで、いまこの家はデュエルギャングに包囲されているのである。
Dホイールがぎゅんぎゅん走り回る音や、大音声の罵詈雑言、物を壊す音。いかにも面倒臭そうな雰囲気ぷんぷんである。近隣の世紀末度が急上昇中。俺の腹痛メーターも急上昇中。下手に才能がある上にいろいろ
「……デュエッ\(TдT)ゝ!」
「そうか、分かった。お前が何を感じているのか、はっきりとな……」
「分かったならいいよ。もうお前帰れよ。これから仕事があるんだよ」
「周りの連中に合わせて、つまらないデュエルをこなす日々。レベルの低いプレイングに失望する毎日。心に吹く風が淀み、自分が何をしたいのかも分からなくなっていく……。そんな日々を、お前は嘆いていたんだな」
「( ゚д゚)」
「俺たちもそうだった。こんな毎日は変わってほしい、こんな世界から抜け出したい。そんな、鬱屈とした思いを胸に秘めた俺たち4人が出会ったとき、風が教えてくれた……。世界が変わるんじゃない、俺たちが、俺たちの手で、世界を変えるんだってことを」
真顔で言ってのけたカニ頭。話し終わると立ち上がって、押し入れの方に歩いて行った。なにかごそごそやっていたかと思うと、デュエルディスクをこっちに投げてきた。デッキ装填済みである。
「……いや、え?なんでお前、俺のデュエルディスクがある場所知ってんの?一回も教えたことないよね?」
「フィールを感じただけだ。真のデュエリストならだれでも出来る」
「突っ込み待ちだろうから放置して聞くけど、なんでデュエルディスク?お前が帰るだけなら俺のデュエルディスクいらないよね?……あっ、待て。答えなくていい。表から出たくないなら、裏口あるからそっちから……」
「 お い 。 デ ュ エ ル し ろ よ 」
会話をぶった切ってそう言ったカニ頭。
なぜかDホイールに乗っていた。
「……突っ込み待ちだろうけどあえて聞くけど、そのDホイール、どっから出した?」
「ふっ。こんなこともあろうかと思ってな。お前が出かけている間に、押し入れに仕込ませてもらった」
呆然。
『その押し入れ、Dホイールが入るほど広かったっけ』、とか、『不法侵入なんだけどいつから置いてあったの?』、とか、『今まで俺気が付かなかったんだけどどうやって隠しておいたの?』、とか、突っ込みどころが多すぎて処理落ち状態に陥った俺の頭が、なんとか言葉を絞り出す。
「……ここ、土足厳禁だから、Dホイールは玄関で脱いできてね」
自分でも意味不明だと思ったその言葉はしかし、カニ頭には伝わったらしい。口角を釣り上げたドヤ顔が、少し申し訳なさそうな顔に変化した。
「……ああ、すまない。だが、もう外にでるから許してほしい」
「あ、ああ!帰ってくれるんなら別に問題はねぇよ!」
「そうか、ありがとう」
ちょっと微笑んでから、アクセルを吹かす。
Dホイールのエンジンが轟くような低音を響かせ始める。
Dホイールの動力源はモーメントから供給されるエネルギーのため、車のような排気ガスとは無縁である。アパートの中にいる今、排気ガスがないのはありがたい……いやいや!
「ねぇ、なんでエンジン吹かし始めたの?ここ俺の家の中なんだけど、どうやって外に出る気なの?」
「デュエルディスクは着けているな?ヘルメットを被って後ろに乗れ。少々手荒くなる」
「いったい何をどう手荒くする気なんですかね……」
『押し入れからDホイール』の衝撃からまだ立ち直っていなかった俺は、言われるままにカニ頭の後ろに乗った。Dホイールの座席は思った以上に広く快適である。そもそもこういうメカメカしいカッコいい形をしたものに、男は憧れるものである。乗れて走れてデュエルもできる。やっぱりDホイールはいい物である。俺のDホイールはジャンクと違法販売部品で固めた、走る産業廃棄物みたいなものだから、こんな風に正しい知識と確かな技術で組み立てたものとは全然違う。仕事に必要だからまだ走らせているが、いっそ俺もこいつに頼んで新しいの作ってもらおうかな……。
などと、考えていた時。
カニ頭から声がかかる。
「いくぞ」
「おう」
反射で返事をしてしまったが、え、どこに行くって?
カニ頭のヘルメットを被った後頭部を見つめた、その瞬間。
Dホイールが走り出した。
直前までエンジンを吹かし続けていた機体は、スタートダッシュを切るときのように急加速する。
進行方向は、いつの間にか大きく開かれていた窓である。窓ガラスは外されて壁に立てかけられてあった。
この部屋の窓は、事故で開いた大穴を修復した時に作ったもので、相応に大きい。
ああ、ここからDホイール入れたんだなぁ、と、現実逃避気味に思った。
言っておくが、ここはアパートの三階である。
◇
チーム・サティスファクションのメカニック、不動遊星が、たった一人で行動していると報告されてから数時間。チーム・ブルーフォンティナのリーダーは、メンバーの大多数を引き連れてそこに来ていた。
抗争が激化して一週間。サティスファクションの連中が次々に他チームを潰しにかかっている中、受け身の姿勢ではいずれ自分のチームも食われるだけだと分かってはいたが、サティスファクションのメンバーは4人とも凄腕のデュエリスト揃い。4人そろった状態では勝ち目はないと悩んでいたところで、この朗報である。
不動遊星を倒せば、戦力の低下のみならず、メカニック担当までいなくなることになり、サティスファクションの大幅な弱体化が狙える。この機会に半殺しにしようと意気込んできて今に至る。
どれだけ挑発しても全く反応がない相手に業を煮やし、突撃命令をだそうかと考えていた時である。
突然、アパートの中からDホイールのエンジン音が聞こえ始めた。三階建てアパートの最上階から聞こえるそれは、だんだんと大きく勢いをまし、轟くような音に変わっていく。
「……おい、まさか……」
まさかとは思う。そんなバカなことをしでかす人間がいるはずがない。しかし、現に音は聞こえ、臨界点に達するように大きくなっている。
そして。
一際大きな音ともに、大きく開かれた窓から、Dホイールが飛び出してきた。
「いかれてやがる……!」
申し訳程度につけられた小さなバルコニーを踏み台に、Dホイールは高く跳躍した。
『ああ!俺のオサレバルコニーが!?』という声が聞こえた気もしたが、不動遊星の大胆な行動に驚いたリーダーは気が付かない。
踏み台にされたバルコニーはひしゃげて壊れたが、そんなものは関係ないとばかりに大きく飛び、少し下にあった家の屋根に飛び移った。
そこから家々を伝って道に降りた頃には、不動遊星はチーム・ブルーフォンティナの包囲から完全に抜け出ていた。
「……くそ、追え!」
メンバーに命令を出し、不動遊星を追わせる。自分もDホイールに乗り、道を走る。
隣に、自分の右腕として重用している副リーダーが並んだ。
わざわざこちらを待っていたのだろうか、追いついた時、不動遊星はDホイールを止めてこちらを睨んでいた。
アパートから跳んだ時には気が付かなかったが、そばにもう一人、男が立っていた。赤い帽子を目深に被ったその男は、不動遊星と何かやり取りをしているようだったが、この場では関係ない。リーダーは声を張り上げた。
「不動遊星!お前にはこの場で、ミンチになってもらうぜ!」
デュエルモードをオンにする。盗んだばかりのDホイールで、まだ全ての機能を把握してはいなかったが、走り出すくらいのことはできる。走れるならデュエルもできる。
「………………」
「……………………………」
「……」
リーダーの声には答えず、そばにいる男と何かやり取りをした後、不動遊星は、不意に鎖のようなものをこちらに投げてきた。デュエルアンカーである。遠距離から投げてきたにも関わらず、それは見事に、Dホイールを捉えた。
副リーダーの、Dホイールを。
「これは何の真似だ、不動遊星!?」
「お前はDホイールに乗って日が浅いな。重心の移動で分かる」
的確な指摘にたじろぐ。確かに、デュエルの腕はともかく、Dホイール乗りとしては、自分よりも副リーダーの方が上だった。
「ライディングデュエルをするなら、お前ではなく、横の男の方が歯ごたえがあると感じた。俺はそっちとデュエルをする」
「ふざけるなぁ!てめぇは俺とデュエルをするんだよ!」
「お前の相手は……」
そこで言葉を切って、隣の赤帽子の男を見る。
「こいつがしたいそうだ」
「なめやがって……!」
「心配しなくてもお前がこいつに勝てたら相手をしてやるさ。もし、勝てたら、な」
薄笑いを浮かべながら不動遊星は言った。
侮られているのは分かったが、確かにライディングでは分が悪い。
ここは適材適所で行こうと、副リーダーを見る。
副リーダーは頷いて、不動遊星の隣に移動した。
「いくぞ……」
『デュエルモード・オン オートパイロット・スタンバイ』
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」
Dホイールが加速し、みるみるうちに小さくなっていく。第一コーナーを曲がると、2台のDホイールは見えなくなった。最後に見えた時、コーナーに先にたどり着いたのは不動遊星。先行は向こうになる。幸先の悪いスタートだった。
副リーダーのデュエルに感じた不安を振り払うように、目の前に立って俯く男に目を向ける。
帽子で顔が隠れて見えないが、さぞ不安そうな顔をしてるのだろうと思った。何せこちらはチームのほとんどを引き連れてきたのである。大人数と一人で対峙する恐怖は相当なものだろう。
「ふん。おいお前!そろそろこっちもおっぱじめようぜ!お前みたいな雑魚に、時間をかけるのももったいねぇ」
「………………」
「聞いてんのか!それともビビッて声も出ないか!?」
「……お前らが…………」
「あん?」
小声で何かを呟いた。だが小さくて何を言っているか聞こえなかった。
案外本当にビビッているのかもしれないと、笑おうとした時だった。
「……いいぜ、来いよ。全員と相手してやる」
赤帽子の男が顔を上げた。
笑っていた。
どこかが壊れているかのような、危うげな笑みである。
「……大口叩きやがって、なら本当に、全員で相手してやろうか!」
男の笑顔にぞっとしながらも、デュエルディスクを掲げる。
申し合わせたように、同時に叫んだ。
「「デュエル!」」
◇
AAAA:LP4000
リーダー:LP4000
デュエルである。結局こうなったかと思いながら手札を眺める。もはや半笑い状態である。
『お前の心に風を通すには、とにかくデュエルをするしかない。デュエルで全力を出せる相手が見つかれば、お前の世界も変わるはずだ』
何かを勘違いした遊星の言葉である。あいつの場合は分かっててあえて勘違いしているような気がしてならない。バルコニーは壊れるし、部屋はタイヤの跡が着くし、もう散々である。
自棄になって『全員かかってこい!』とか言っちゃったけど、どうやら真に受けられてしまったらしい。
本当に全員とやるとなると、どれだけ時間がかかるだろうか?パッと見30人はいるようだが、一人あたり5分と考えても2時間半。仕事の時間には間に合わない。最悪である。最悪ついでに先行も取られたらしい。
「俺のターンだ!ドロー!」
力いっぱいドローする相手。あんなひき方をすればカードが曲がったり破れたりすると思うのだが、この世界の法則は一部おかしいところがあるので、問題はないのだろう。
「へっ!こいつはいい手札だ!俺は《代打バッター》を攻撃表示で召喚!」
バットをもったバッタが現れる。
《代打バッター》
効果モンスター
星4/地属性/昆虫族/攻1000/守1200
自分フィールド上に存在するこのカードが墓地に送られた時、
自分の手札から昆虫族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
「さらに、魔法カード《トゲトゲ神の殺虫剤》を発動!」
《トゲトゲ神の殺虫剤》
通常魔法
フィールド上の昆虫族モンスターは、すべて破壊される。
「昆虫族モンスター、《代打バッター》が破壊される!さらに代打バッターが破壊されたとき、その効果を発動!手札から昆虫族モンスター一体を特殊召喚する!俺が召喚するのは、こいつだ!」
《アルティメット・インセクト LV5》
効果モンスター
星5/風属性/昆虫族/攻2300/守 900
「上級モンスター、しかも《LV》モンスターか……」
「Dホイールを盗んだとき序に手に入れた、超レアモンスターだぜ!こいつでお前をぶち抜いてやる!俺はこれでターンエンド!」手札3
「俺のターン、ドロー」
手札にはこのデッキのエンジンとなるカードはなかった。初動は遅くなりそうである。
「モンスターをセット、カードをセット。ターンエンドだ」手札4
「そんなフィールドで大丈夫かよ!後悔しても遅いぜ!俺のターン、ドロー!」
デュエルするたびに思うんだが、この世界ではドローフェイズの前に心理フェイズでもあるのだろうか。相手を煽る、挑発するは当たり前、ライディングデュエルではDホイールをぶつけ合ったりもする。遊星なんかはおとなしい方だが、そんなのは少数派である。
「スタンバイフェイズ時、《アルティメット・インセクト LV5》をレベルアップ!」
《アルティメット・インセクト LV5》
効果モンスター
星5/風属性/昆虫族/攻2300/守 900
「アルティメット・インセクト LV3」の効果で特殊召喚した場合、
このカードがフィールド上に存在する限り、
全ての相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。
自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送る事で
「アルティメット・インセクト LV7」1体を手札またはデッキから特殊召喚する
(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)。
「こい、俺のデッキのエース!《アルティメット・インセクト LVレベル7》をデッキから特殊召喚!」
《アルティメット・インセクト LVレベル7》
効果モンスター
星7/風属性/昆虫族/攻2600/守1200
「アルティメット・インセクト LV5」の効果で特殊召喚した場合、
このカードが自分フィールド上に存在する限り、
全ての相手モンスターの攻撃力・守備力は700ポイントダウンする。
フィールドにいた昆虫が繭に包まれたかと思うと、内側からはじけ飛んだ。中から出てきたのはさっきより大きく、刺々しくなったモンスターである。巨体を揺り動かし、鎌を持ち上げた。
強力なダウン効果を持つ昆虫族最上級モンスターだ。面倒臭い。
「こいつの効果でお前のフィールド上のモンスターの攻撃力守備力は700ポイントずつダウンする!戦闘破壊は諦めるんだな!さらに俺は、《共鳴虫》を召喚し、バトルフェイズ!《共鳴虫》でセットモンスターを攻撃!」
《共鳴虫》
効果モンスター
星3/地属性/昆虫族/攻1200/守1300
「セットしていたのは《ドラグニティ-ファランクス》だ。破壊される」
《ドラグニティ-ファランクス》
チューナー・効果モンスター
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
「低ステータスの雑魚モンスターか!お前にぴったりのモンスターだ。《アルティメット・インセクト LV7》でダイレクトアタック!」
「…………ッ!」
AAAA:LP4000→1400
怖い。巨大な昆虫に鎌で切りかかられるのは本当に怖い。ソリッドヴィジョンだと分かってはいるが、体がびくつくのは止められなかった。
「俺はこれでターンエンドだ!お前のライフは残り1400!もう終わりが見えてきたなぁ!」手札3
「……俺のターン、ドロー」
AAAA:LP1400
モンスター:なし
セットカード:1
残りライフは1400、確かに終わりは見えてきた。さっさと終わらせようと思う。俺はまだ、諦めたわけじゃない。
「諦めたんなら、さっさとサレンダーしな!ただし、お前にはまだまだ、俺のチームのサンドバッグをやってもらうけどな!」
「……諦めないぜ」
「ナニィ?」
カードを大きく掲げ、デュエルディスクに叩きつける。
「俺は、絶対に諦めない!」
……これから全員ワンキルすれば、まだ仕事には間に合うはずだ!!
「魔法カード《手札抹殺》を発動!お互いのプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた分だけドローする!俺は4枚捨て4枚ドロー!さらにフィールド魔法《竜の渓谷》を発動!」
ソリッドヴィジョンが展開する。
そこは切り立った険しい崖に、激しく滝が流れる過酷な世界。
そこに住むのは翼あるもの。ドラグニティのフィールドである。
「《竜の渓谷》の効果を発動!1ターンに1度手札を捨て、2つの効果のうち1つを使える!俺は《ドラグニティ》と名のついたレベル4以下のモンスターを手札に加える効果を選択!《ドラグニティ-レギオン》を手札に加える!」
捨てたカードが光を放ち、すらっとした体躯を持つ竜に変わり、俺の手札に加わる。
「さらに、《ドラグニティ-レギオン》を召喚し、その効果を発動!このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル3以下の《ドラグニティ》と名のついたドラゴン族モンスターをこのカードに装備する!俺は《ドラグニティ-アキュリス》を選択!」
「手札抹殺で捨てたカードか!」
フクロウのような特徴をもつ白い鳥人が召喚され、そのまわりに光が集まっていく。
「《ドラグニティ-レギオン》の効果を発動!このカードに装備された《ドラグニティ-アキュリス》を墓地へ送り、お前のフィールド上モンスター、《共鳴虫》を破壊!」
「なにぃ!?」
《ドラグニティ-レギオン》
効果モンスター
星3/風属性/鳥獣族/攻1200/守 800
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル3以下の
「ドラグニティ」と名のついたドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。
また、自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたカード1枚を墓地へ送って発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。
「さらに、墓地に送られた《ドラグニティ-アキュリス》の効果を発動!《アルティメット・インセクト LVレベル7》を破壊!」
「……俺の、エースモンスターが……」
《ドラグニティ-アキュリス》
チューナー(効果モンスター)
星2/風属性/ドラゴン族/攻1000/守 800
このカードが召喚に成功した時、
手札から「ドラグニティ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚し、
このカードを装備カード扱いとして装備する事ができる。
モンスターに装備されているこのカードが墓地へ送られた時、
フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。
《ドラグニティ-レギオン》が光を両手に集め相手モンスターに向かって放つ。
光は昆虫たちを飲み込み、焼き払っていった。
「これでお前のフィールドは焼け野原だ。だが、まだ終わらない。俺は《ドラグニティ-レギオン》をリリースし、《ドラグニティアームズ-ミスティル》を特殊召喚、その効果を発動!」
《ドラグニティアームズ-ミスティル》
効果モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2100/守1500
このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する
「ドラグニティ」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが手札から召喚・特殊召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
「墓地の《ドラグニティ-ファランクス》を装備!装備カードとなった《ドラグニティ-ファランクス》の効果により、ファランクス自身を特殊召喚!」
小さい体のドラゴンが召喚される。
《ドラグニティ-ファランクス》
チューナー・効果モンスター
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
(1):1ターンに1度、このカードが装備カード扱いとして
装備されている場合に発動できる。
装備されているこのカードを特殊召喚する。
「永続魔法《竜操術》を発動!その効果により、手札の《ドラグニティ-ジャベリン》を《ドラグニティアームズ-ミスティル》に装備!ミスティルの攻撃力が500ポイントアップ!」
《竜操術》
永続魔法
「ドラグニティ」と名のついたモンスターを装備した、
自分フィールド上に存在するモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
また、1ターンに1度、手札から「ドラグニティ」と名のついた
ドラゴン族モンスター1体を装備カード扱いとして
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体に装備する事ができる。
《ドラグニティアームズ-ミスティル》
攻2100→2600/守1500
「バトル!ファランクスでダイレクトアタック!」
「くぅっ!」
小さいドラゴンが相手に果敢に飛び掛かる。
頭突きによる攻撃で、相手にダメージを与えた。
リーダー:LP4000→3500
「だが!残るお前のモンスター、攻撃力は2600!俺のライフを削りきることはできない!次のターンがあれば……!」
「ミスティルでダイレクトアタック!」
剣を持った金色の竜人が、翼をはためかせて相手に迫る。
大上段に構えた剣を振り下ろす瞬間。
「攻撃宣言時、リバースカードオープン!速攻魔法《虚栄巨影》を発動!」
「なに……!?」
ソリッドヴィジョン的にダメージステップ直前みたいな感じだが、この世界、言ったもの勝ちである。
《虚栄巨影》
速攻魔法
(1):モンスターの攻撃宣言時、
フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力は、そのバトルフェイズ終了時まで1000アップする。
《ドラグニティアームズ-ミスティル》
攻2600→3600/守1500
「ミスティルの攻撃力を1000ポイントアップする!」
ミスティルの姿が二回り大きくなり、剣の大きさも変わっていく。
「お前に次のターンは来ない。これで終わりだ!」
「くそぉおおおおお!」
攻撃が決まった瞬間に何故か吹き飛ぶ相手。
遊星曰く、『デュエリストのフィールが高まるとただの映像でもダメージが入るように感じる』らしい(困惑
リーダー:LP3500→0
デュエル終了、これでやっと一人である。残り29人。やってられん。
しかし、今後こいつらがこの家の周りに来ないようにするには、ちょうどいい機会かもしれない。
「さーて、次は誰だ?三人までなら同時に相手してやるよ」
やけくその笑みを浮かべながら、先鋒がやられたことにざわざわしている連中に言った。