遊戯王 5D’s 竜と鳥と   作:海と鐘と

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Phase 3

鬼柳が捕まって獄中で死亡してから後、遊星は感情を表に出さなくなった。

鬼柳がセキュリティに捕まったときの叫び声が、頭から離れなかった。

 

 

『俺たちは仲間じゃなかったのかよ!遊星ぇぇええええ!!』

 

 

鬼柳を助けるために取ったはずの行動が、逆に鬼柳に誤解させる要因となり、結果として鬼柳は遊星を恨みながら連行されていった。

あの時、どういう行動をとれば良かったのか、遊星はいまだに分かっていない。

鬼柳と共にセキュリティに勝ち目のない戦いを挑めば良かったのか、セキュリティに自主して罪の軽減を求めれば良かったのか、何が最善だったのか分からない。

最善だと思って行った行動が結果として仲間に誤解を生むだけに終わってしまったことが、遊星を苛んでいた。

 

加えて、ジャックによる《スターダスト・ドラゴン》の強奪、並びにシティへの出奔。

仲間だと思っていた人間によるこの行為は、遊星を人間不信に陥らせるのに十分な出来事だった。

笑顔を見せなくなり、ただ黙々と日々を過ごしているような遊星を、彼の養母であるマーサを筆頭に、心配に思う者は大勢いた。声を掛けても『大丈夫だ』『問題ない』の一点張りで他人を頼ろうとしない遊星に、彼の周りの者はやきもきさせられるばかりだった。

 

そんな無愛想に変わってしまった遊星が、以前と変わらぬ態度で接する人間が一人いた。

ぼろアパートに住む赤帽子である。

以前から交遊のあった彼は、マーサの孤児院での知り合いでもなく、チーム・サティスファクションとも関係が薄い、妙な立ち位置の男だった。

普通のサテライト住民のようでいて、しかし他にはない妙な余裕も感じられる。自分の他の知り合いとも交遊が少ない彼を、遊星は友人兼相談役として、以前から頼っていた。

事件の後も前と変わらぬ態度で接してくる彼に引きずられるように、遊星もまた、彼には以前と同じように対応していた。

 

彼のことを、『仲間』とはまた違う、『友人』として、大切に思っていた。

 

 

 

 

 

その信頼もまた、裏切られる。

 

 

 

「……お前もなのか、AAAA……」

 

 

 

呟いた視線の先。

昨日まで彼が住んでいたはずの部屋は、家具もカードも、なにも残されていない、がらんどうの空き部屋となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サテライトで暮らしていた間に、このカードは自然に俺の元にやって来ていた。

《閃珖竜 スターダスト》のことである。

自然に、というと語弊があるかもしれない。不自然に、といっておこう。

サテライトでの生活を始めたその日、あのぼろいアパートの部屋の真ん中に、ぽつんと落ちていたのである。

きたこれ、主人公俺?とかテンション上がっていたものの、その後なにも起こることはなく。

後に『不動遊星』と知り合い、彼が既に竜を持っているのを見て、俺の儚い幻想は終わったのである。

 

まぁ?主人公とか大体大変な目に逢う運命だし?メンタルにダイレクトアタックな出来事も多々あるし?別に全然惜しくねーわ、逆に主人公キャラじゃなくて良かったわー!

 

とか思って、その後の遊星の活躍をずっと見ていこうと思っていた俺である。

 

俺が持っているスターダストも、たぶんカードの劣化量産品とかそんなところだろうと思っていた。

別に量産が悪い訳じゃない。元居たとこじゃ、それこそ大量に印刷製造されているものである。

大事なのは自分のカードに対する思い入れであって、そして俺のスターダストに対する思いはそんじょそこらのデュエリストには負けない自信がある。ただ世界観狂うからこの間まではデッキに入れることもしていなかった。

他に使っている人を見つけたら俺も使おうと思っていたのである。

VS鬼柳の時に初使用、やっぱかっけーわー、と見惚れているうちにデュエルが終わった感じで、正直あんまりあのときのデュエルの内容は覚えていないのだが、ともかく。

俺が言いたいのは、俺は遊星と、今後出来るであろう彼の仲間たちの冒険を見られればそれで良かったわけで、俺自身が冒険したいわけでは無かったと言うことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……無かったんだけどなぁ」

 

「ヒャーッハッハッハッハッ!!ようこそいらっしゃいました、星屑の竜を持つお方!」

 

アパートのベッドで就寝したと思ったら、目が覚めたのは溶岩流れる火山帯の真っ只中。

目の前で、燃え上がる炎を人のかたちに固めたみたいなナニカが大笑いしていた。

 

決闘竜(デュエル・ドラゴン)の中でも最も高貴なる竜を操るお方、さすがに胆が座っておられる!わたくしがこれまで呼んだ人間のなかでも最も余裕のある態度、感服いたします!ヒャハッ!!」

 

「あー、決闘竜、決闘竜ね。はいはい、おーけーおーけー。状況が分かってきたぞー」

 

「おおっ!流石にございますな!わたくしが呼び出した他の方々は、状況をご理解されないまま散っていかれたものでございますが、ヒャハハッ!!どうやら極めて聡明であらせられるようで!!」

 

「うん、まぁ、よくあることだよね」

 

『遊戯王』では、日常茶飯事である。

ゲームの中、宇宙、異世界、時空の狭間。カード一枚で世界創造。

改めて、やばい世界である。

 

「それでは、具体的に説明させていただきます!」

 

周囲を見渡していると、人形(ひとがた)の炎がぐるりと宙返りをしながら言った。

展開は分かりきっていたが、この状況、彼の話を聞くくらいしかすることがなかった。

 

「一枚一枚が規格外の力をもった決闘竜!それらを全て支配下に置けば、精霊界を支配したも同然であると、我が主は考えました!」

 

彼が足元に流れる溶岩に触れると、溶岩がまるでスクリーンのように空中に広がり、そこに簡単な絵が映し出される。

 

「当然ながら、力ある竜、力ある精霊でございます故に、精霊界で直接手を出すことは、我が主の力を持ってしても難しいものでございます!そこで主は考えた!人間界にいるカードの持ち主をデュエルで下せば、いかな決闘竜でも主に従わざるを得ないだろうと!」

 

言葉が進むごとに絵が変わっていく。

悩むような大きな影、助言するような人形の炎、人間、ドラゴン、大きな鎖。

 

「ヒャハッ!簡単でございますな!決闘竜自身が認めて自分を使わせていたデュエリスト、そのデュエリストを下せば、我が主の力量の方が上であると証明することになります故に!」

 

最後の絵は、倒れる人間に、鎖で縛られた数頭の竜、鎖の先を持つ大きな影である。

 

「人間界にいる決闘竜の主を探すには、決闘竜が召喚された時の大きなエネルギーを辿ればよいと、今までそうやって何人かを探し当て、ここに招いていたのですが、最後の一人だけはどうしても見つからなかった!高貴なる竜はいまだに仕える人間を定めていないのかもしれないと悩んでいたのですが……」

 

口の部分にあたる空洞を笑うように歪ませて、彼はこちらを見た。

 

「ヒャーッハハッ!!先日ついに召喚のエネルギーを感知いたしまして、こうしてあなた様をお呼びした次第でございます!」

 

溶岩に映った絵が消え、スクリーン状だった溶岩がばしゃりと流れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「説明どうも。それじゃあ、この後すぐデュエルすればいいのか?」

 

聞くと、ずっと笑い顔を作っていた彼は、訝しげに目(にあたる部分)を潜めた。

 

「……本当に胆が座っていらっしゃる。それともまだ状況を理解しておられないのか。ここは人間界と精霊界を繋ぐ狭間の領域、なんの守護も為されていない人間ならば、あっという間に蒸発して死ぬ場所だと言うのに」

 

そんな場所に急に呼ぶなと言いたい。

 

「なぜわたくしが、決闘竜の持ち主をここに呼ぶのか、教えて差し上げましょう!周りを見れば分かるでしょうが、ここは」

 

指先を下に向けて、地面を指し示す。

 

「溶岩流れる火山地帯の真っ只中。決闘竜の守護がない人間ならば、呼ばれた時点でお陀仏でございます。つまりは、呼び出した人間が本当に決闘竜に認められた者なのか否か、確かめるためにここに呼ぶのですよ!」

 

下に向けていた指を、俺の頭上に差し替えて、彼は言った。

 

「身の程を弁えなさい、人間風情が!貴様など、常に決闘竜に守られていなければ、今すぐにでも死に逝く脆弱な存在なのですよ!ヒャーッハハハハハッ!!」

 

俺の上には、翼を丸めて光の壁を作り出し、炎の人形を睨み付けて唸る、星屑の竜がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うわぁお。スターダスト、かっけー……」

 

「………………」

 

間近で見るスターダスト、格好いい上に美しいその姿に、しばし見惚れる。

ソリッドヴィジョンで見たときもそうだったが、何度見ても圧倒される竜である。

ずっと上にいたことに、いままで気がつかなくてごめんなさいと謝りたい。

 

「……本当に余裕がおありでございますね。調子狂うな……」

 

「すげー、この光の壁、波動音壁(ソニック・バリア)か?

 ちょ、ちょっと、どうなってんのか触ってもいいかな……」

 

波動音壁(ソニック・バリア)を触ろうとして前に進むと、輝く鱗に包まれた大きな手が慌てたように前に差し出される。

 

え?触っちゃダメ?残念・・・。

 

「・・・ごほん、んん、兎も角、でございます!!」

 

大声で言う彼に視線を向ける。炎の体で器用に咳払いした後、こちらに指を向けた。

 

 

「あなた様が本当に決闘竜に認められているか否か、確かめるための試練をご用意しております!この溶岩帯はその第一段階。見事クリア、といったところでございましょうか。しかぁし!この第一段階、突破できなかったものは今までにたったの一人でございます!決闘竜を操るものとしては、クリアできて当然の試練でございます!次に参りますよ!!ヒャハッ!!」

 

「勝手に試練始められても困るんだが、受けないとしたらどうなるの?」

 

「ここは我が主が作り出した領域。言わば我が主の掌の上。試練をお受けになられないのでしたら、一生この領域に留まって頂くことになります!ヒャハハッ!!」

 

「…………」

 

「無論、決闘竜の精霊力を持ってすれば、この領域を破壊することも出来ましょうが、そんなことをすれば人間であるあなた様は、領域の狭間でその存在ごと消え去ってしまわれるでしょう!ヒャーッハッハハハハ!!」

 

「……つまり、死にたくなければ試練を受けろってことか」

 

頭上のスターダストを見る。

状況はとっくに理解していたらしく、不機嫌そうにしながらこっちを見ていた。

「……回りくどいことする奴だな、お前の主ってのは」

 

「ヒャハッ!デュエリスト並びに決闘竜の体力の消耗も図っております故に!」

 

「卑怯者!卑怯者!」

 

「ヒャーッハッハッハッハ!!遠吠えが心地よいですな!」

 

ここまでテンプレである。

スターダストの視線が、楽しそうだな、お前、というものに変わってきたところで覚悟完了。

 

「……よーし、そいじゃ行くか」

 

「おお、準備完了ですかな。それでは参りましょう、次なる試練の場へ!」

 

彼が炎の腕を高く伸ばすと、周りの溶岩が光り出した。

 

「次の試練は古の森!植物が支配する太古の森林でございます!決闘竜との絆を示すため、いざ……」

 

得意気に口上を述べ、光が強まっていく、その時。

 

 

 

 

 

 

「待って!私も連れていって!!」

 

 

 

 

 

 

 

女性の声である。

張りのある声が横から聞こえた。

見ると、溶岩にまみれて煌々と燃える、大きな悪魔の姿があった。

その悪魔自身、体から炎を吹き出しているようで、溶岩を掻き分けてこちらに向かってくる。

 

《ヴォルカニック・デビル》だった。

 

炎族の最上級モンスターであるその悪魔が、大事そうに抱えているもの。

黒い髪の女性。

赤いハイヒールに、白いロンググローブ。貴族がパーティに着ていくような真っ赤なドレスは、裾が焦げているようだった。

炎の悪魔を当然のように従えている彼女に、しばし魅入る。

 

「私の竜を、取り戻したい!私も一緒に連れていって!」

 

「おやおや、これはこれは!ヒャハッ!!先ほどの脱落者様でございますね。まだ生きていらっしゃったとは、流石に決闘竜を保有していただけのことはあると申しましょうか!ヒャハハッ!!」

 

口を歪めて嘲笑する炎の人形。

ここでの脱落者、この人が唯一第一段階をクリアできなかった人なのか。

 

「私の竜を奪っていった者の目的は、全ての決闘竜に打ち勝ち、支配すること!ならば、全ての試練を達成すれば、最後には本人が現れるはず!最後に勝てば、私の竜も解放されるはずです!どうか、私も連れていって!」

 

「なりませんなぁ!第一の試練をクリアできなかったあなた様は、既に落第でございます故に!その上我が主自らこの場所に出向いて行ったデュエルにも敗北し、決闘竜にも見限られた人間が、今さら何を仰るのでしょうか!」

 

「…………!」

 

彼の言葉に、唇を噛み締めて俯く。

デュエルに負けたというのは本当のことなのだろう。

しかし、第一の試練、『溶岩帯で決闘竜に守られること』をクリアできなかったというのは。

 

聞いてみると、力なく笑いながら答えてくれた。

 

「わたしの竜は、『守る』ことには向いていなかったようで。一応出てきてはくれたのですが、彼が何かする前に、この子が」

 

言って、《ヴォルカニック・デビル》を見る。

 

「出てきて、助けてくれたのです。それはありがたかったのですが、ここの支配者はそれでわたしを不合格にしたようですね・・・・・・。竜に助けられなかったわたしは、第一段階で不合格。その後のデュエルにも負けて、力を奪われたわたしの竜は、カードの状態で連れ去られたということです」

 

「ヒャハハハッ!!恨むのなら力なき自分か、余計な真似をしたそこの悪魔を恨むのですな!」

 

「……デュエルで敗北したわたしが、喚く権利もないことは分かっております。ですが、どうか、もう一度だけチャンスを頂けないでしょうか!?」

 

「ヒャーッハッハッハッハッ!ヒャーッハッハッハッハッ!!だぁーめぇーでぇーごーざーいーまー」

 

「いいよ」

 

「ッファッ!?」

 

凄く楽しそうに断ろうとしていた炎の人形を遮って言った。

俺の言葉と同時にスターダストが動き、女性と悪魔を光の壁の内側に招いた。

 

「ちょ、勝手に決められては困りますよ!敗者復活の救済措置などご用意しておりませんゆえに!」

 

「て言っても、こんなとこに置いていくのも人間的に考えてダメだろうし。この人は連れていく。恨むんなら、デュエリスト全員一度ここに来させた自分を恨むんだな」

 

「……ひゃは、なんだかもう、あなた様の自由人っぷりにも慣れてきた気が致します」

 

なんだかなー、と呟いて後ろを向く彼。

両手を頭に当てていたかと思うと、ペコペコと頭を上下に振りだした。

電話して上司に謝る下っ端のような仕草だった。

 

「……はい、ええ、では、そのように致します。それでは・・・」

 

両手を頭から離したところで、こちらを向いた。

 

「……はぁ、よろしいでしょう。我が主にも確認致しましたが故。そちらの方もお連れいたしましょう。ひゃはは……」

 

「……便利だな。遠距離で通信できるの?」

 

「ヒャハハ!左様でございますが!?」

 

「じゃあ、その主とやらに言っといて欲しいんだけど」

 

「はぁ、何でございましょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのうち、勇者一行がお前を倒しにいくから、覚悟しとけってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わたくしもう何だか疲れました。第二の試練クリアまで休ませていただきます。もしあなた様がクリア出来れば、試練後にお会いすることになりましょう。もしクリア出来れば、ですがね!!ヒャハハッ!!』

 

そう言って、第二の試練の場に二人の人間と二体のモンスターをつれてきた後、炎の人形は消えていった。

第二の試練。

先ほどの溶岩帯とはうって変わって、物音のない静かな森だった。

木々に遮られて光りも少なく、暗い森のなかを、二人は歩いていた。

 

「古の森、でしたでしょうか。フィールド魔法カードに、確か同じ名前のものがあった気がしますが……」

 

「うん、《古の森》ね。もし同じものだとしたら、ここでデュエルするのはかなり面倒だな」

 

「あなたの竜も、わたしのデビちゃんも、カードに戻ってしまいましたし、これからどういたしましょう?」

 

「デビちゃん? ……《ヴォルカニック・デビル》をデビちゃん。

 違和感あるな……。ともかく」

 

歩きながら周りを見渡す赤帽子。

その様子は随分余裕があるように見えて、彼女は不思議に思った。

 

「試練だって言うくらいだし、このまま何日もここをさ迷い歩くってこともないだろう。この試練っていうのも、決闘竜とデュエリストとの絆を深めるという目的があるはずだ」

 

「絆……?」

 

「絆を深めさせた後、それをデュエルで叩き潰すことで、決闘竜の抵抗しようという意思をなくさせる、ってとこかな。テンプレ的にはね」

 

そう言って笑った後、赤帽子は足を止める。

 

「ほら、お出ましだ」

 

「…………?」

 

赤帽子が指を指す。

指の先には、小さな赤い球根のようなものが、ポツンと落ちていた。

ふよふよと揺れるそれは、いっそ可愛らしくもあり、攻撃的な雰囲気は全くない。

 

「あれが、試練なのでしょうか?」

 

「ああ、間違いないな。あれは《フェニキシアン・シード》だ」

 

「フェニキシアン・シード?植物族の、単体では力を持たないモンスターですよね?」

 

ふよふよ、ふよふよと揺れていた球根。

その揺れが、不意に止まり。

 

表皮が裂け、中の目玉がぎょろりと二人を見据えた。

 

「ひぃっ!?」

 

「そう、《フェニキシアン・シード》は単体では力を持たない。つまりは……」

 

目玉がまた閉じたかと思うと、次は球根が肥大、成長を始める。

赤い花を下に垂らした、燃える大きなアマリリス。

 

「《フェニキシアン・クラスター・アマリリス》が登場するってことだ」

 

「解説してる場合ですか!?《フェニキシアン・クラスター・アマリリス》は最上級モンスター、早く逃げないと……!」

 

「ちょーと遅かったかな」

 

「へ……!?」

 

 

 

 

 

爆発。アマリリスが作り出した大きな実が、爆弾のように炎を撒き散らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……赤帽子さんは……!?」

 

爆発時、彼女を守ったのは《ヴォルカニック・デビル》だった。

炎の悪魔にとって、自分より力の弱い炎など心地よい風に等しい。

その強靭な体で、自分の主を守っていた。

 

傷ひとつ出来なかったことに、炎の悪魔に感謝しながら、彼女は連れの赤帽子を探す。

爆炎の影響で煙が立ち込め、周りが全く見えなかった。

ここで、まだ彼の名前を聞いていなかったことに気がついたが、それは今は些細なことである。

自分より前を歩いていた彼は、自分よりも近い位置で爆発を受けたことになる。

彼の安否が心配だった。

 

 

 

 

 

 

「……うおー、レヴァテイン。かっけーわー、やっぱ!」

 

気が抜ける。

緊張感の欠片もない声が、前方から聞こえてきた。

 

煙が晴れると、そこにいたのは、金と赤の鱗を持つ、剣を掲げた大きな竜人。

体で受け止めたのか、それとも手に持つ剣でどうにかしたのか、後ろに居る赤帽子を完璧に守っていた。

 

《ドラグニティアームズ-レヴァテイン》。ドラゴン族の最上級モンスターだった。

 

彼を守ったモンスターを見て、彼が使うカード群がどんなものか、少し理解した。

 

 

 

 

「レヴァ剣!レヴァ剣来た!!これで勝つる!!」

 

『………………』

 

「え、だめ? 嫌だった?」

 

 

叫ぶ彼に、嫌そうな顔をする竜人。

先ほど爆破を食らったとは思えないほど余裕があるように見えた。

 

ふざけているようにしか見えない彼の前で、焼け焦げたアマリリスがピクリと動く。

自分が作り出した爆弾によって弾け飛び、死んだように見えた大きな植物は、その身を炎で包み込む。

炎が完全に消えたとき、《フェニキシアン・クラスター・アマリリス》は完全に蘇生していた。

 

 

「アマリリスの蘇生効果か。こうして見るとやっぱり面倒な効果だよね」

 

『………………』

 

呑気そうに言う彼のとなりで、竜人は光となって、彼のデュエルディスクに戻っていった。

第二の試練が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

「植物とデュエルとか、うまくいくのか不安なんだが、まぁ……。行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「デュエル!」

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