ー朔夜sideー
─身体が危険だと察知する。右手が不思議とエモノを手に取る...最早体に染み付いた行為である。
朔夜「...そこは俺の領域だ...」
せめてもの強がりを見せる。相対する相手の雰囲気は俺を狩るようなものでは無い。だが、本能が叫ぶ。この場に留まるのは得策ではない。むしろ自分の身を滅ぼすと...
??「そうだった...ごめんなさい」
─どうやら相手は下手に出るようだ。纏っているオーラとはかけ離れている立ち振る舞いに戸惑ってしまう。
??「ファンクラブ1号として不甲斐ない...」
─ん?いまなんつった??
朔夜「俺にファンクラブ?何かの間違いじゃないのか...??」
自分をたしなめるようはなった、独り言とも取れる一言は眼前の女によってかき消された
??「知らなかったの?」
さも当然かのように話しやがって.....普通に過ごしてちゃファンクラブなんて産まれてねぇんだよ...!!
いや、俺って普通に過ごしてたっけ.....もういいや、忘れてしまおう。
朔夜「話の腰を折るようでホント申し訳ないんだけどさ...」
??「何?」
俺は当初からの質問を再度提示する。
朔夜「君は一体誰なんだ。これでも俺は記憶がいい方なんだが...君の顔や名前に見覚えがないし思い出せないんだ。失礼は承知だ、是非教えてくれないか?」
??「知らないのも無理はない。私達は出会ったことはないわ。」
出会ったことは無い??それじゃ求婚の意味なんて全く理解できないのだが...
??「でもあなたのことをずっと以前から知っています...カムイから聞いていましたから」
朔夜「...そうか。貴女がかのマキリさんですか」
??「えぇ。私はマキリ、伊藤マキリ。十六夜朔夜ファンクラブ1号です。」
カムイという名を聞いてやっと理解した。どおりで顔のパーツ似ていると感じたが...
朔夜「カムイから聞いたマキリさんは冷静沈着でもっと神秘的だと聞いていたんだが...結ばれるとは正気か?」
俺は疑っていた。彼から聞いていたマキリの情報ではこのようなことを口走るような人じゃないと思っていたからだ。
マキリ「えぇ、私は至って正気です。初めはカムイから話をしてきました...ですが貴方の話が面白く最後は私からカムイに貴方の話を求めるようになってしまった...その時カムイは言ったのです。そんなにあの人が恋しいのならあの人を近くで見続ければいいと。」
...カムイのやつもなかなかこわいことを言い出しやがって...一歩間違えたらストーカーだぞ...!?
マキリ「私は生まれて初めて親にわがままを言いました。あなたのもとへ行くと」
朔夜「...この世には俺以外の男がうんと居るはずだ、なぜおれなんだ。」
マキリ「貴方が...貴方がいたから私は外の世界に興味を持ち外の世界へ出ることが出来た...だから私の世界は貴方以外不要なのです。」
物騒な話だな...おいおい
マキリ「だから私はあなたと結婚したいのです...そんな考え...ダメですか?」
...そんな聞き方するなよな...
朔夜「...こういうの、男に決定権はないんだよね...知ってる?」
マキリは首を傾げる...可愛いなオイ....しかし俺とマキリだけの空間もふと消失する
??「さ っ く ん ~!!」
ベランダ側から声が聞こえる...聞き覚えのある声、それにこの呼び方...あいつしか居ない...!!窓に手をかける
─ガラガラッ!!─
朔夜「理子ッ!!」
ベランダの窓を開けた俺についてくるマキリ。しかし理子は─
理子「ごめんねこのグライダー二人用なんだ~」
理子はマキリに対してあっかんべーと舌を出す。なんだこの小動物。
マキリ「いきなりなんですか...彼は今から私と同棲するのです。」
....別に認めてはいないと思うんですけどねぇ...
理子「悪いけどファンクラブ1号ごときが俺の朔夜を奪えるとは思うなよ!!」
理子も悪い癖が出ちゃってるし...
朔夜「理子、落ち着こう」
理子「...しゃあねぇなぁ...」
良かった。まだ話がわかるレベルであって...
朔夜「それで理子、何でここに来れたの?ここは武偵には1人も告げてない場所なんだけど...」
理子「何で??つくづくお人好しが過ぎると思うぜ、朔夜。見ず知らず...それも超弩級の危険人物と一緒に居るって聞いたらそりゃ私はそこに行くに決まってるだろ。」
朔夜「超弩級の危険人物...??マキリがか??」
マキリに話を振ると彼女は黙りこくる
理子「こいつは確かに超弩級のヤバいやつだ。朔夜ファンクラブ1号は確かだがその他は.....元公安0課四式であり現在国際指名t...ッ!?いってぇ!!てめぇ何しやがる!!」
理子は話の途中でいきなり言葉を発しなくなったかと思ったら腕をさすっていたマキリの方を見て理子は吠えている。マキリがにかしたと言うようなニュアンスなのだが俺側からは音も聞こえなければ物も見えなかった。
マキリ「これは警告。今回は腕だけど次は頭...それも一撃で沈める...」
この部屋の殺気が一気に濃くなる...おいおい...一触即発だぞ...
朔夜「...おいおい、俺の話を聞かずに進めるのはどうなんだ?」
俺の声が通り2人は共にこっちをみる。
マキリ「ごめんなさい。」
理子「ごめん、さっくん。」
朔夜「...別に俺は怒ってるわけじゃない。だが、俺の意見も聞いて欲しいってことだ...」
俺はゆっくり息を吸い込み─
朔夜「その朔夜ファンクラブとやらは俺をラブな意味で好きなやつも居るってことか??」
それに対して理子は
理子「...と言うよりむしろそっちの方が多いよ??」
朔夜「なんでそう言いきれんだよ」
半ば嫌な予感がしつつも聞く。何故ならそのファンクラブにおける1号が理子でなくマキリであること。普通理子はこういうものに対してトップでいる事しかない。これを俺は以前から見ている...つまり理子は─
理子「そのファンクラブはりこりんが運営だからね!!ファンクラブ0号なのですよー」
.....そう、1号よりも前。運営サイドなのだろうと...わかってはいたものの呆れるね、まったく
マキリ「そんな...かの運営様が...」
マキリも言葉が口からこぼれ落ちる
朔夜「.....やっぱ理子が運営なんだな。」
理子「あれ?さっくんビックリしてない?」
理子もきょとんとする
朔夜「お前が1号じゃなかったら運営だろうなって思ってただけだ。」
理子「ありゃーバレちゃったか」
朔夜「長いこと理子の事を見てたしな」
そう言うと理子は頬を紅く染める
理子「さっくんはほんとに天然ジゴロなんだよね~」
朔夜「そんなこと言ってくれるな...さて、運営さんや」
理子「はいはい、なんでございましょうか」
朔夜「そんなに皆が俺を欲しいならさ...」
そして俺はどでかい爆弾を落とすことになる─
朔夜「...俺をかけた試合を始めようじゃないか」
理子「.....えっ」
朔夜「さぁ、そうと決まれば武偵校に戻ろっか...行くぞ、理子!!」
理子「うん.....ええぇぇえええええ!!」
朔夜「さぁ、空中逃避行の始まりだァ!!ってな訳でまた今度、待ってるよ...マキリ」
理子のグライダーにぶら下がって俺達2人はベランダから飛び出した
ー朔夜sideoutー