紅髪の奇才と、藍眼の白騎士…たまに鬼神   作:天海 ヒロト

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-9th- オーバーフロー

朔夜「俺のCADは俺自身で組み立てる」

 

モノリスコード前日この時点で優勝をすれば一高が単独首位に躍り出る。そんなモノリスコードにもしっかり技術スタッフがいる...だが朔夜は敢えて自分で組み立てると言い出したのだ

 

朔夜「別に先輩の技量を疑るつもりはありません。ですが、搭載したいものが自分でしか搭載できないもので」

 

十文字「...リアクトか」

 

朔夜「あぁ、正直魔法力だけでいえば俺なんかは戦力になりえないこともある。むしろなりえないことが多いだろう...だから少しでも埋めるためにリアクトを取り込ませて欲しいんだ...申し訳ない。」

 

そういい朔夜は消え去ってしまった

 

十文字「...先輩には気をつけて断りを入れなければ...」

 

そういい十文字と辰巳は担当者の元へ向かっていった

 

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摩利「真由美、隣は空いてるか?」

 

真由美「うん、摩利のために空けてあるから自由に座って」

 

そう言われ摩利は掛ける。眼前に広がるのはモノリスの舞台...初戦は七高。十文字と辰巳のポテンシャルについては満場一致で信頼できている...だが問題は花弁無しの男である。エンジニアとしての腕も未だ確立いていないこの中で装備を一から作ると言い出した男。

 

??『とても二科生の一年が活躍できるとも思えんが...』

 

??『エンジニアとしての担当も勝てて当然とも取れる七草だ...せめて恥だけは曝さないでくれ...』

 

周りからの声も刺々しいものだらけだ。それを聞くうちまだ朔夜のポテンシャルを確認していない摩利も不安になる...しかも装備がおかしいのだ。何故かインカムを付けて、ボディには何もつけていない。そして極み付きはただのカードリッジをいくつか持っているだけであった。

 

摩利「真由美。朔夜は強いのか?」

 

至って普遍、端的に質問を発する...それについて真由美は間髪入れず─

 

真由美「えぇ、間違いなく彼は強いわ。二科生の中...ということでなく全体でね」

 

そう答える...

 

 

ステージが構築されてゆく...第1ステージは 岩場。それを見た真由美は─

 

真由美「このステージなら朔夜の独壇場じゃないかしら?」

 

不敵な笑みを浮かべつつ摩利に言い放つ...真由美の意味ありげな発言に摩利は不思議がりつつもスクリーンを見つめることにした

 

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十文字「...岩場だな。」

 

辰巳「どうする?ディフェンスは十文字に任せるとして...」

 

朔夜「俺は陽動、敵の分断、そして援護に徹する。オフェンスは鋼太郎に任せたいが...それでもいいかな?」

 

十文字「異論はない。だが...」

 

十文字は言葉を濁しつつ止まる...朔夜はそれを察し─

 

朔夜「任せておいてくれ。二科生でもやれば出来るってとこ見せてやるからよ。隠し玉は味方にも見せないくらいの方が取っておきになるんだよ。」

 

─言い放つ。

 

辰巳「朔夜、君のポテンシャルはここで初めて見る。楽しみにしてるよ」

 

朔夜「ありがとう。俄然やる気が出るものさ。」

 

そういい3人はそれぞれの配置へ動くのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─ビビーッ!!

 

ブザーが鳴り響く。戦いが始まった。

 

朔夜「まずは敵の索敵だな」

 

そういい朔夜はハンドガンにカードリッジを装填させ上空へ打ち出した。そして彼自身が跳躍する...すると

 

 

 

─ブゥォン!!

 

突如朔夜の辺りに風が巻き起こりフワッと朔夜が浮遊した。

 

朔夜「...(1人が辰巳の前方100...もう1人がディフェンス...そして最後は─...なるほど各個撃破していくタイプか...)」

 

朔夜は数瞬後もとある位置へ着地し─

 

朔夜「克人は辰巳のカバーに行きつつ2対2の状況を作り出せ。相手は各個撃破をモットーとしている2対1にさせるな!!」

 

極めて小さくだがはっきり伝わるようにメッセージを送る、それと─

 

朔夜「場所は...(スッ)ここだ。」

 

辰巳と敵の接的するであろう場所にマーカーを打ち込む

 

十文字『ならディフェンスは─』

 

朔夜「今は不必要だ。人数有利をできるだけ作り出せ。それが負けない道だ。辰巳も少しだけ耐えてくれ─」

 

更に朔夜はカードリッジを切り替えマーカーポイントに撃ち込む...

 

辰巳『それ以外にはどうすればいい』

 

朔夜「一刻も早くマーカーポイントに行くことだ。そこなら支援ができる」

 

辰巳『了解!!』

 

辰巳、十文字の通信が切れた。

 

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真由美「...開始直後でこんなに大胆に動くなんて...」

 

会場は騒然としていた。開始直後、ディフェンスを担当していたかと思われる巌の男が突如駆け出したのである。

 

摩利「それより朔夜は何をしたんだ?」

 

そしてもう1つ...中盤にいた男が突如上空へ飛翔したのだ

 

真由美「恐らく風魔法...よね」

 

一高サイドは驚いていた。二科生の一介のエンジニア風情が突如として膨大な想子を消費する魔法を展開して見せたのだ。

 

摩利「しかし彼は魔法の使用が不出来ではなかったのか!?」

 

あらかじめ朔夜は真由美達に告げていたのだ。この事実を...しかし現実ではどうだろうか飛翔した男が着地している...しかし着地後の様子がおかしかった

 

真由美「...やっぱり弊害が...」

 

肩で呼吸をしている...魔法展開からくる急激なソレは朔夜を疲労状態に持ち込むには簡単であった...

 

摩利「やはり朔夜には荷が重かったか?」

 

するとどうだろうか...おもむろにカードリッジを取り替え朔夜は─

 

朔夜『───!!』

 

あろう事か自分の頭に撃ち込んだ

 

真由美「朔夜君!?」

 

当然魔法を体の方へ撃ち込んだ朔夜は頭を揺さぶられて膝をつく

 

摩利「...なんなんだ奴は...!!」

 

一刻前まで肩で息をしていた朔夜がおもむろに立ち上がり駆け出したのである

 

真由美「朔夜君...まさか」

 

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朔夜「...(気力回復をリアクトと混ぜて打ち込む...それが簡単にできれば理論上最強だ。魔法を無尽蔵に使えるのと同義だからな...だがこれはひとつ大きな欠陥がある。それが気力回復にリキャストブーストがかかりいずれ回復量が個人のキャパを超えてしまう。それ故に解除の魔法式まで展開する必要がある...そこまでを鑑みると小規模魔法であろうと相当な規模になる。そこで先に使った風魔法が重要になる。俺が使用したのは想子を放射するのではなく、寧ろ空気ごと集める。すると吸い上げる場所を起点に気流が発生する。それに身体を預けることであたかも風魔法で浮遊したように見せるのだ。結果俺は一瞬自分の保有する想子のキャパを超える想子保有量を展開する。それによって身体が耐えきれず先は膝を着いてしまったのだが)」

 

辰巳『こちら辰巳、十文字と合流』

 

インカムから辰巳の声が響く

 

朔夜「了解、こちらで1人は相手する。オーバー」

 

朔夜はまた最初と同じカードリッジを装填して走り出した

 

 

 


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