─朔夜side─
俺の課題はたったひとつ。人数有利を、作り出す。それだけすれば彼らが負けることなど万に一つない。そして俺が残り一人を相手取ることで不意打ちが絶対に起こらない。
朔夜「さて、その残り1人の発見...」
正面に1人、つまりこれが最後のターゲットだ。ここで俺は少し考える。
─ここから一手で、且つ平坦な魔法で相手をダウンさせる方法を。そしてそれは直ぐに思い浮かぶ。
朔夜「...リロードするのは...これでいいか」
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俺はジャケットの内ポケットから『canon』と書かれたカードリッジを装填する。そしてそのカードリッジにロックをかける
??「君は強いね。」
唐突に相手から声をかけられる。
朔夜「...強い?魔法力の話なら全くもって逆だと思うが。お前からは、迸る想子を感じる」
他のふたりとは全然違う。相当な力を感じる...それでいて強者特有の慢心がまるでない。
搦手は...通じない。付け込む隙がないのだから当然である。だが、隙がないなら─うみ出せば良い。
だが、どのようにして?隙を作るためには揺さぶりをかける必要がある。しかしその揺さぶりにかかるのも心に余裕が無い、不意をつかれた時だ。相手に不意が存在しない今は正攻法で立ち回る他ない
朔夜「カノン」
そういい俺は先程装填していた『canon』を打ち出す
─ピィィィィィンッ!!─
『canon』...それは音激増幅弾で、主には鼓膜を破り五感のひとつを奪うことにある武偵弾の一種たるそれを魔法式化したものである。それが相手の左耳付近を通過する。急な一撃に相手は耳を塞ぐもあれでは手遅れだ。その左耳はこの戦い中使い物にはならない。
??「...成程、聴覚を潰して視覚を奪う気だね」
─やはりというか、それは彼に見破られている。相手の隙はそう簡単に表れはしない。
??「攻め込まないのなら僕から攻めるとしよう」
ふらっと体が動いたかと思えば次の瞬間─
(...気配ごと消えただと...??)
マテリアルギリーとは全く違う...瞬間的に姿が消えた。魔法では姿を消すことが不可能、そしてマテリアルギリーも使っていない。なら─
朔夜「...後ろか、上手いな。」
??「さすがに倒せはしないか...だけど一本は取れた。嬉しいね」
朔夜「...なんで俺なんかの後ろをとるだけで嬉しい。」
俺は素直に疑問を呈する。素の戦闘力ではあの二人に劣る俺なのにその俺の後ろを取るなんていうことで喜ぶのは甚だおかしいことだからだ。
??「純粋な戦闘力だけでは測れないものだってある。初戦だって君は中盤で攻守の軸だった。試合を決めたのも君だ。だからこそ、僕は後ろで来るであろう君を待ってた。」
朔夜「...そういうお前は学生として...いや、兵士として完成されている。油断というものがまるでない。正直、一番やりにくい相手だ。」
??「だからこそ、君と戦いたかったんだよ。」
そう、短く言ったあと俺の意識は消えた。
─朔夜sideout─
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─真由美side─
...嘘でしょ?
あの朔夜くんが一瞬で倒されたですって?
摩利「...やはりタイマンだと無理があるか」
驚愕の事実が突きつけられると同時に...
─ビビーッ!!─
ホイッスルが鳴った。
─winner 第一高校─
─どうして?
─真由美sideout─
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─それは彼を倒した瞬間に鳴った。
何故?確かに僕は彼を倒しただけのはずなのに...
真意が気になった僕は大人しく自軍モノリスの様子を見に行くことにした...
??「なんで、君が」
おかしい、なぜ...なぜ倒したはずの彼が...!!
朔夜「...投げ出すような真似をしてしまったことには謝る。すまない。」
??「その事は及ばない。なぜ、君がそこにいるんだ...それだけ、教えて欲しい」
朔夜「.....お前の味方にマテリアルギリーを仕込んだ。対象は俺になるように。俺のマテリアルギリーは魔力が仕込まれていて対象を動かすことが出来る。それで動かしてその間に俺は、透明化のマテリアルギリーでモノリスに行った。これが結末だ。」
...立ち会った瞬間から負けていたのだ。僕は、彼に。
朔夜「タイマンで勝てるとは思っていなかったから、俺は勝負から避けた。情けないものだ。」
??「でも、君が勝者だ。総合面で僕は、君に最初から刃が立っていなかった」
朔夜「.....定期的に鍛錬してくれないか」
??「えっ」
彼の一言に僕は目が点になった
朔夜「お前の謙虚さと誠実さが羨ましい。その真っ直ぐな力が欲しいんだ。」
そう彼が言った。それに対して俺は─
??「君には似合ってないさ。」
そう言ってやった...彼も知っていてか少し間を置いて
朔夜「...それもそうだな。」
彼は笑いながら去っていったのである