紅髪の奇才と、藍眼の白騎士…たまに鬼神   作:天海 ヒロト

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第八十一話 静かすぎる幕切れ あの日の続き

ー朔夜sideー

 

屋上...それは俺と詩音が鍛練を積み重ねた場所だ。何故?と聞かれても答えられない。自然と歩みを進めたのが他でもないここだったからというものだけだ。

 

ー鍛練ーと聞いて楽しいと解釈する人などいないと思っている.....が俺はこの文字を間違いなく楽し...いや、愉しんでいる。生まれながらの戦闘狂なのか?いや、それならそもそも弓を取り出す意味が分からない。遊びなのか?いや、そんな生温いものがこの鍛錬ではない。ならー

 

詩音「...懐かしいですね...生死の狭間の中で戦った...あの日々を」

 

朔夜「...愉しかったさ。必ず帰ってこれる...そう分かっていてもあの時ここでやった体験は、嫌でも距離のとり方を学ばされた。自然の事象、化学的作用それらを一切無に帰したあの空間。好奇心を擽られる最高の時間だったよ...」

 

ーただの好奇心が人をここまで動かし運命まで捻じ曲げることになろうとは、本当に何とも面白いものだー

 

詩音「.....」

 

朔夜「なんだ急にー」

 

ー黙り込んで...とまでは言葉が出ず、ふと

 

ーガチャッー

 

詩音の後ろにあるドアが開く

 

朔夜「.....当主...」

 

詩音「お父.....様」

 

俺達はそれぞれの反応をする

 

それに対し

 

??「やぁ二人とも...この2年の間...何をしていたんだい?」

 

着物に袖を通している男...十六夜家の当主は優しく柔らかく俺達に聞く

 

朔夜「.....何をしていた?」

 

詩音「私は...朔夜様を...ずっと」

 

俺達はそれぞれの答えを...いや、俺は闇に溶けるような脆い答えだった。

 

朔夜「...ただひたすら強くなるために...学校を転々としていた。詩音が途中何度もけしかけてくるから応戦を...応戦.....なのか?」

 

一度はしっかり言えた。だが、二度その言葉を紡ぐことは叶わなかった。なぜならー

 

朔夜「...あれは...応戦じゃない。ただ、じゃれていただけだ...殺す気は無い、それに俺達ー」

 

詩音「...それぞれが呼応して、息を合わせるだけ.....だった気が...し.....ます」

 

??「悪かったね。私は試していたんだよ」

 

ー試していたんだよー

 

朔夜「.....はい?」

 

不意に言われた言葉に訳が分からなくなる...それは詩音もだった。

 

詩音「私たちを.....試していた?」

 

??「あぁ、君たちの仲を試していたんだよ...でも良かった。これからも...いや、これからか」

 

朔夜「.....一体、どんな話を...」

 

??「簡単な話さ、これからの任務を君たちに任せるために今代の当主を君たち二人...にしようと思っていたんだ。」

 

詩音「」

 

詩音はあまりの衝撃に固まってしまっている。それもそうだ今まで表面はおろか、秘密裏にもそのような事が起こる噂など一縷にもなかったことだ

 

??「うむ...当主名は...朔音...朔詩...詩朔.....詩夜...よし、詩夜だ!!」

 

朔夜「あ、あの...」

 

??「ん?なんだい?」

 

...当主はどうやら俺達の抱えてる問題を理解してないようだー

 

朔夜「...俺達、紛いなりにもついさっきまで殺しあっていた仲なんですよ!?」

 

朔夜の至極当然な反論もー

 

??「だからどうしたんだい?昨日の敵は今日の友...とも言うじゃないか」

 

なっ...とは出なかったが反論が出なかった。もう、俺の負けであるのはこの状況からすれば明白なものだった。

 

??「さて、何から話そうか」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

当主の言った内容はこうだ。

 

ーまず俺たちは実の兄妹ではないー これは知っていた。

 

ー次に俺...いや十六夜家は長くにわたり七草の傘下にあり、御影星夜...父さんと七草弘一という人によって七草真由美の使用人だったーこれは初耳だそもそも幼年期に会ったことなんてあったか?

 

ーそして、当主の件。俺が高校に進学する前に上がっていた話だったが、養子が当主になることを嫌がっていた祖父によって今の妥協案が出されていたーさっきまで知るよしもなかったものだし、この件については詩音も知らなかったものだった。

 

ー最後に、詩音とリリィにはたまには顔を出せとだけ伝えてこいといっていた。戦いになるようなことはありえないと思っていた我々の不手際だ、申し訳ない...とー

 

朔夜「...納得はいった」

 

??「そうか、なら当主になってくれるかい?」

 

それの答えはもちろんYESだ。これで戦いを終わらせれるなら願ってもいないことだ。だがー

 

朔夜「だが、条件が幾つかある...それを当主、星那さんが呑んでくれたら喜んで引き受けよう」

 

星那「あぁ、なんだい?」

 

朔夜「一つ、当主としての会議は詩音が出席すること。二つ、事務は詩音で肉体労働は俺。三つ、二つ目の条件で出した仕事でも汚れ仕事になるようならすべて俺にさせること。最後に...」

 

星那「.....」

 

当主はじっとこちらを見つめる...したいことはこれだ

 

朔夜「一度だ、最後の一度でいい。詩音と戦わせてくれ...このまま終わりは理解しても納得出来ん」

 

星那「そんなことか、兄妹喧嘩らしく気が済むまでやりなさい。しかし、やりすぎはこちらが止めるよ」

 

朔夜「ありがとう...それでいいよな詩音」

 

詩音「はい...でも最後ではありません、これから何度もやるんです」

 

詩音は拳を揚げて言った

 

それに俺は苦笑するだけで少しだけ距離をとった

 

ー朔夜sideoutー

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