紅髪の奇才と、藍眼の白騎士…たまに鬼神   作:天海 ヒロト

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第八十四話 届けたい想い

ー朔夜sideー

 

——少し待ってくれ——

 

そう、詩音と当主に言った俺はとある人物に通話をした

 

??「朔夜くん!!大丈夫なの!?」

 

朔夜「...え〜っと...落ち着いてください真由美様。俺は大丈夫ですから」

 

勢いのあまり気圧されてしまう。

 

真由美「!?どうして...そう呼ぶの!?」

 

驚く部分はそこか?...あまりに冷静な思考に戻っていることに自分もここで気付く。今まで、俺は彼女の事を真由美さんとか真由さんとさん付けで呼んでいた.....それは一年から生徒会を牽引している彼女に対する尊敬の意を表しているものだ。今のこれとはわけが違う。これは——当主として彼女に傅く、もしくは仕える身としての忠誠の意だ。わざわざ様付けで呼ぶのにはそれなりの理由がある。

 

朔夜「十六夜の...当主に会いました。」

 

真由美「.....」

 

朔夜「色々と教えていただきました...貴女の使用人として採用されていた...ということ、それと——」

 

何度も言葉が詰まりそうになる、だけどしっかり言わないといけない。

 

朔夜「——当主としての貴女に期間一生の仕事を果たす...とも」

 

真由美「.....」

 

彼女は黙秘を続ける。

 

朔夜「なぜ、その事を言わなかった。」

 

真由美「.......」

 

朔夜「何で、言わなかったんだよ!!教えてくれよ!!」

 

真由美「貴方とはせめて対等にありたかったからよ!!主人と従者の関係なんて...関係なんていらなかったのよ!!」

 

朔夜「...ッ!!.....」

 

真由美「.....貴方も無粋よね。どうしてそんなこと言っちゃうのかしら」

 

朔夜「...何?」

 

真由美「貴方が言わなければ...この関係も無かったことになるのに...」

 

朔夜「.....真由美様じゃ、嫌なのか?」

 

真由美「えぇ、もちろん嫌だわ。同い年の使用人なんて」

 

朔夜「...うちの高校を嫌う貴女らしいね」

 

真由美「それにね、貴方には貴方の生き方があるし私には私の生き方がある。それを忘れて欲しくないの」

 

朔夜「それならその旨を伝えればいいんじゃないか?」

 

真由美「何度も言ったわ。これまで父はわがままが少ない私に基本的に寛容だった。けれどこれだけは通らなかったは愚か、理由も教えてくれなかったわ。」

 

朔夜「そうだったのか。」

 

ええ。と返ってくる...ここでふと疑問が浮かぶ

 

朔夜「何故対等でありたいんだ?それこそ対等なら渡辺がいるしましてや、十師族の十文字がいる。雑草の俺よりよっぽど適していると思うが?」

 

そう、適しているやつは周りにいる。にも関わらずただの雑草である俺に対して対等でありたいという...わけがわからない。

 

真由美「.....私達が初めて会話した日、覚えてる?」

 

朔夜「もちろんだ。あれほど俺を異端者だとか何とか言われたのは初めてだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——初めて会話したのは、高校入学式当日だ。

 

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ギリギリのところでこの第一高校に合格した俺。もちろんギリギリの為、制服には花弁のエンブレムはない......そう、いわゆる補欠入学とも言えるものだ。

 

朔夜「.....ウッソだろお前...俺が最初かよ...」

 

高校内外生徒らしき人はいない。あるのは奥の方——入学式を行うであろう講堂だけだ、それも人数は少ないのだが。間違いなく一般の入学生は俺が最初なのだろう

 

朔夜「うわ.....これ絶対にバレたら——雑草如きがいきがってるぜ——...とか言われるヤツじゃないか...身を隠せるものとかねぇかな...」

 

そう言い見渡すも特にこれといった隠せるものはなかった。

 

朔夜「仕方ない。入学早々使っちゃうか...」

 

そう言い俺は服のポケット内にあるボタンを押す

 

するとスススッ...と姿を消した

 

朔夜「春とはいえまだ寒いな.....これならバレないだろうし中に入るか」

 

俺は講堂へ向かうことにした

 

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中にはあっさりと入ることが出来た。当たり前だ、姿が見えないものはどう足掻いても見つけることなんて出来やしないだろう。

 

 

 

中ではどうやら入学式のリハをしているのか小さい娘が答辞を述べているところだった。難しい事を頭に入れる気は毛頭なく、姿や態度をボケっと見ていた.....彼女の姿勢はとても良く、声も凛としていた。態度も普通は良いように見えるが、どこか隠したような態度だった。

 

邪魔にならぬように——と言っても姿を隠しているので意味は無いだろうが——後方一番奥の席に腰を下ろす。

 

??『~〜~~』

 

堂々としているな...とどうでもいいようなことを思っているととある言葉が耳に入った

 

——生徒観の壁をなくし誰もが自由に過ごせる高校生活を目指します——

 

.....おいおい...嘘だろ。思わずずれ落ちそうになりすんでのところで踏みとどまる。透明化をしているとはいえ消えているのは姿だけだ。音は普通に出る。だが...この格差を象徴としたこのエンブレムがあるにもかかわらず...そんなことを言っているのか?

 

俺もこの意味のわからない制度には否定的だが、それでも行動に移す気は無いし、移すだけ徒労に過ぎるだろう。嗚呼、本当に——

 

朔夜「いい人だこと」

 

——マズい...声を出してしまった

 

??『.....』

 

案の定聞かれ、一瞬この場の時が止まる.....が、何が起こったかわからないのか少し止まった後またリハが再開された。あぶないあぶない。

 

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それから程なくしてリハーサルは終わった。一時はどうなるかと思ったが、 どうやら見逃されたようだ。

 

それから二時間...入学式が始まり、それも終わり入学生がどんどんいなくなっていく。先の事で透明化を解くことを完全に忘れていた俺は人が居なくなってから抜けようとしていた...が前方から花弁付きの制服を着た...答辞をしていた娘が一直線でこっちに駆け寄ってきた。後ろにいる二人は不思議そうな表情で追いかける。それもそうだ...傍から見れば何も無いところに向かって走っているのだ。

 

??「入学式は終わったわよ?」

 

...どうやら彼女はこのまま透明化して去らせてはくれないようだ

 

朔夜「.....よくわかったな」

 

ポケット内のボタンを押して透明化を解除する

 

ージジジッーと次第に姿を現していき、それに後ろの二人は驚く

 

??「これも立派な魔法のひとつよ?」

 

唇に手を当てウインクをする...どうやら小悪魔キャラなのだろうか

 

朔夜「総代ともなるとそんなことも出来るのか.....素敵だな」

 

彼女は一瞬赤面するがすぐに平静を装い——

 

??「やっぱり貴方だったのね?」

 

ここで俺は後ろの二人が完全に置いてきぼりなことに気付く

 

朔夜「それより君たちは?名も知らぬ人に話し込むのは趣味じゃないんで」

 

??「そうだったわね、私は七草真由美。クラスは1-Aよ」

 

後ろにいた巌な男が一歩前に出て

 

??「俺は十文字克人。クラスは七草と同じだ、よろしくな。」

 

あぁ、よろしくと握手をする

 

??「私は渡辺摩利。以下同文だ。よろしく」

 

朔夜「さて、俺も自己紹介しないとな。俺は——」

 

と言ったところで気付く。俺は何名義でここに入ったのかを.....

 

克人「どうした」

 

朔夜「あぁ、いやすまない。時近朔夜だ。クラスは1-Eだ、よろしく」

 

形式的な挨拶を終えると真由美が——

 

真由美「さっきのアレは魔法?透明化の魔法なんて不可思議だわ」

 

と、おかしな質問をしてくる。雑草だぞ?

 

朔夜「ははは、君達が分からない魔法を雑草...それも最底辺の俺が出来るわけないさ。これはただの機械だ」

 

そう言いボタンを曝す

 

朔夜「答辞、良かったよ。リハで聞いた時より凛としていたよ」

 

真由美「.....いい人ってどういう意味?」

 

朔夜「そのままの意味だよ。優等生がわざわざこんなののために奮闘するのかと思うと感謝してもしきれないものだなって.....例えそれが自己を潰してたとしてもね」

 

少し真由美の目が見開かれる

 

朔夜「そうそう、そんな感じそんな感じ。自己潰してたらいつか分からなくなるよ.....俺はここで優等生とどうやって渡り合えるかを調べにここに来た。君の事、陰ながら応援させてもらうよ」

 

そういい、俺は立ち上がり再びスイッチを入れ透明化した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?ちょっと待てさっきの三人渡辺摩利って...技が多彩...なんだよな...TOP3だって噂も...いや、そうじゃなくて

 

数字付きの二人.....だよね!?おかしいって!!何で一般人に...??

 

 

 

 

 

 

教室に行く途中俺はひたすら頭を抱えていた

 

 

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朔夜「あれから透明化を教室で解いてしまって周りが驚いたり、遅れた理由を正直に説明するとまた周りから驚かれるし.....」

 

 

飛ばしていたISを解除し着地する

 

朔夜「ホント、激変した一日だったよ。なぁ?」

 

前方にいる彼女に問う

 

真由美「えぇ、そうね...んで、どうして来たの?」

 

理由は...簡単だろう。わざわざ言わせてるんだな

 

朔夜「当主としてと一個人ここに来た当主としては.....そんなに対等でありたいなら理由を教えてくれ。そして一個人としては、着いてこい」

 

——暗にこっちに来いと言った。直接言ってもはぐらかされるのが目に見えていた

 

真由美「貴方のここに来た理由と応援してくれるってこと...格差があるのがいい人が多い中貴方の声はどんなときも力を貸してくれた。だから、私も貸してあげたい.....そう思ってはダメかしら?」

 

——嗚呼、ホント悔しい。あの時と同じ笑顔は今の俺に突き刺さった。

 

朔夜「俺の負けだ.....この二年の集大成をやるんだ。まだ未完成だから、力を貸してくれ.....行くよ!!」

 

俺は再びスターデッドを起動し彼女の答えを聞く前にお姫様抱っこをし、肩にレナーテを抱えて飛翔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー朔夜sideoutー

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