紅髪の奇才と、藍眼の白騎士…たまに鬼神   作:天海 ヒロト

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末広がりの良い数字ですね(どうでもいい)


第八十八話 星海

ー朔夜sideー

 

ードサッー 倒れる事はなかった...が、それでも膝をつく。致命傷は愚か、未だ一撃も喰らってはいない...だが、身体が悲鳴を上げている

 

??「〜〜〜〜」

 

誰かの声が聞こえる...何を言っているのか、全くわからないが

 

朔夜「リムーヴ...」

 

天眼を戻す...すると、先程まで消えていた世界が戻ってくる。脳の処理が段々と緩やかになり声がはっきりと聞こえてくる

 

「朔夜くん!!朔夜くん!!」

 

——どうやら真由美さんの声だったようだ...先の後遺症かまだ遠くで聞こえるような...そんな不思議な事になってる。

 

朔夜「どうやら、むやみに天眼は使わない方が良さそうだな...」

 

試作段階ではこうはならなかった。単に疲労感が押し寄せてくる...それだけだった。にもかかわらず、こいつは色を奪い直感とも言い難い何かを手に入れた——脳に多大なダメージを負うことと引き換えに

 

星那「——おやおや...これでは味気ないラストになる...かな?」

 

当主は詩音の方に目をやる...詩音は既に武器をホルスターに収めスラスター部分も修復が始まっていた。

 

詩音「今日はこれにて終——」

 

朔夜「いいや、まだだ...!!」

 

左手を突いて、どうにか立ち上がる...とどめを刺されたわけじゃない。立てる...攻撃も受けちゃいない...なら負けてない

 

朔夜「レナーテ、省エネで頼むぜ」

 

苦笑を浮かべる.....ちょうど視界が定まった。頭の灼けるような痛みとはうってかわり、不思議と戦いによる高揚感は増していく...レナーテを引くのも次第に軽く、そして放つ矢は空気を裂く音と比例に増していく。先の5発は、どの矢より速くどの矢よりも貫いていった。

 

朔夜「元に戻ってくれ、レナーテ.....流石G7。一瞬でひっくり返る.....だが、代償がでかい...あまりにもデカすぎる。ったくあの野郎、調節ぐらいしてくれよな...」

 

俺は思わず、ここにいないものの愚痴をこぼす。強すぎるが故の試作品なのは彼のみの特権とも言えよう。全ての固定概念がすべて破綻し、彼のものだけに魅了されるのはよくある話だ。俺も、その一人なのだが。

 

朔夜「...これもいい見せ物かもな。」

 

自嘲的な笑みを浮かべたまま、元に戻ったレナーテを構えつつ対面する詩音を見る。

 

詩音「右眼…視えていらっしゃらないんですね」

 

突然詩音は脈絡のないことを口にする。真由美も驚きを隠せていないようだ

 

朔夜「見えてるさ。間違いな——」

 

詩音「いいえ、それは嘘です。」

 

俺の言葉を遮り、詩音が言葉を続ける...とそこで——

 

星那「朔夜、認めておきなさい。今の君はISの力を封じている。ISの高度センサーを用いた擬似的な視界を失っているんだ。今は左側しか見えてないんだろう?」

 

——当主が完全に言い放つ。全くもって同じことを言われると流石に逃げられんか

 

朔夜「...気づかれたのは当主と真由美さん以外には詩音が初めてだな...でも真相を見抜かれていたのは真由美さんだけだったがな」

 

真由美が目を見開く——無理もない、彼女に言ったのは一部、その僅かだと言っていたからなのである。

 

朔夜「確かに視えないさ、景色じゃなくて色がな。——ここまで見抜いていたのは真由美さん、貴女だけだったよ」

 

片目だけ見えるルビーのような瞳を視る。自然と両眼がルビーを捉えられる...そんな気がした。

 

真由美「見えないのは...右眼...だったわよね?」

 

朔夜「ははっ、そうさ。ISの待機状態の目がちょうど見えないのさ。なんだっけ、色覚障害...だったか?」

 

真由美「えぇ、そうよ。この時代なかなかない上に後天性、それに色が白黒のモノクロに変わるなんてびっくりだったわ」

 

朔夜「そうだな。だが、真由美さんの悪戯で...君だけが気づくなんて思いもしなかった。けど、嬉しかった。」

 

真由美「えっ...」

 

朔夜「1人で隠すのはいささか辛いものがあってな....大切な人に知ってもらえて助かってるんだ、これでも——」

 

色彩が戻ってくる...

 

朔夜「俺は真由美さんを欲しているからな。それに——」

 

真由美「ッ!?.....」

 

横を見れば頬を赤らめている真由美さんがいた...よくわからんものだ

 

朔夜「失った世界でもその紅い瞳は良く見える...ような気がするんだ。」

 

詩音「...色がない...のはどんな感じなのですか?」

 

ふと、詩音から質問が飛ぶ

 

朔夜「特に何も無いさ、ただモノクロな世界になっているだけだ。」

 

詩音「.....」

 

その後は言葉を継げなかったようだ。

 

朔夜「さぁ、続きを始めようか。」

 

俺はレナーテを手前に突き出し

 

朔夜「リローデッド...」

 

 

 

 

 

魔力の奔流が体内を駆け巡る.....

 

 

詩音「絡めとりなさい、ミストラル」

 

地に溶け込んだミストラルが俺の足を絡めとる...刹那

 

朔夜「巻き起こせ、エアリアル」

 

地に向け形のない矢を放つ...すると一瞬のラグの後身体がフワッと浮き上がった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朔夜「クイックドロウ」

 

駆け巡る魔力をレナーテに取り込み——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朔夜「そう、其は星海を司る弓なり。」

 

——静かに弓を構えた——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー朔夜sideoutー

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