ー朔夜sideー
前方に詩音を見据え——
朔夜「...始祖の能力は自然回復強化。ダメージを与えるだけでは決定打を与えられない...だが」
矢を番え、弦を張る...
朔夜「呪熾=コロナ」
放つ矢は蒼白く、貫かれたスラスターは回復する....
詩音「なぜ...燃えているのです」
回復したところを焔が蝕んでいるが——
朔夜「言ったろ。呪熾...炎の呪いでじわじわ炙っていき、回復を阻害する。身体は回復が速いが、機械の回復は遅かったからな。それを利用したまでさ。」
そう話す間にも焔は着実に回復するところを炙り元に戻していく...
朔夜「さて、これで機動力の差を埋めれた...勝負をつけるなら今のうちか。」
勝てる見込みは出てきた...番えた矢にかかる力が自然と強くなってゆく...その腕が不意に——
——スパァン...!!——
力が抜け、ダラりと下がる
詩音「魔弾 呪肢」
肩を見ると何かが刺さっている...どうやらフォーオブカインドで撃ち抜かれたようだ
朔夜「...最高だよ、やっぱ詩音 お前は最高だ。」
詩音「呪肢。撃ち抜いた場所の神経を一時的に絶つ。これで矢も放てない。もう、王手ですよ」
朔夜「なるほど、腕を縛り攻撃の手段を奪っていったか...流石だ...なっ!!」
ミストラルが左肩を貫く——寸前何とかして避ける...神経が絶たれた腕には頼れないし、使うこともできない...体のバランスがかなり悪い。
詩音「そこです!!」
貫く先は先とは逆の右臀部...それを腕の動きで読んで身体を後に傾ける——
詩音「甘いです!!突き穿ちます!!」
先のスピードから一瞬で素早くなる...対応出来ぬ一撃に——
朔夜「グッ...」
左足を下げ、右足をグッと踏み込み、深くミストラルを差し込む。
詩音「なっ...」
真由美「朔夜くん!?」
真由美さんが悲鳴をあげる...無理もない。今まで見せた戦いはスマートに解決していた...だが、ここに来て肉を切らせる闘いにシフトチェンジしている...
朔夜「ここまでよく頑張ったな...詩音」
詩音「ありがとう...ございます」
朔夜「だけどね——」
詩音、君はひとつ大きな間違いを犯している。それはな——
朔夜「揺れ堕ちろ」
レナーテを詩音の耳音にそっとあてがう。すると
——ビィィィィィィンッッッッ!!——
強烈な音をレナーテから発せられた。直後詩音は——
詩音「そんな...レナーテは弓じゃ...」
朔夜「あぁ、そこは間違ってないよ。間違えていたのは」
詩音がフラッと倒れそうになる...のを右肩を使って支える...
朔夜「——詩音。君のレナーテ...G7に対しての考えの甘さだよ。レナーテは別に矢を番える必要はない。水だって放っていただろ?」
——そう。普段の詩音なら気づいていただろう...だけど気づけなかったこと...
朔夜「これは放ちたいものを好きに放つことが出来る...弓を引いていたのはあくまでもイメージだ。真っ直ぐに行くためのな...だが、音、それも至近距離のものなら拡散しても大丈夫だ。だから構えずとも放てたんだ。」
詩音「そんな...本当に強いのは.....ゼロレンジだった...ってこと?」
朔夜「...正確には違う。未だ本領発揮できるレンジがゼロだっただけだ。もちろん本質は弓なんだからレンジは遠ければ利点になる...そうだなゼロ・ブラスト。零距離射撃のなせる諸刃の剣さ。」
フラッと俺も膝をつく。横を見ると当主は——
星那「この勝負、朔夜。君の勝ちだ。」
静かに俺の勝ちを宣言した。一方真由美さんは...真由美さんは?
朔夜「あれ...?」
視界から消えた、さっきまで当主の横にいたのに...
と、考える刹那後ろから衝撃がきた
真由美「朔夜くん!!」
...後ろから抱き締められた。
朔夜「...いい見世物...だったでしょ?」
後ろに問いかける...が真由美さんは
真由美「いい見世物なわけないでしょ!!どれだけ心配したか、分かってるの!?」
朔夜「...ごめん。でもこれで分かったでしょ?次の使用人の事が」
真由美「——えぇ、そうね...でも、」
真由美さんははどこか俯き納得のいっていない...そんな表情だった。
朔夜「...でも?」
ー朔夜sideoutー