魔法少女リリカルなのは!?「魔導殺しのペンキ屋さん」   作:ヘルカイザー

4 / 6
ども〜

もういっちょ!

ではよろしくお願いします。


第4話《移動するペンキ屋さん》

「あれ?ペンキ屋さん今日はもう帰るの? まだ16:00だよ? いつもなら18:00まではいるのに……」

 

なのはが放課後、家に帰って来た時だ。ペンキ屋さんがもう帰る所だったのだ。ペンキ屋さんがいつもより帰る時間が早い為になのははペンキ屋さんにどうしたのか聞いた。なのはは出来れば少し話したかったのだ。何故なら彼女が学校から帰って来て少しだけペンキ屋さんと話するのが毎日の楽しみになっていたのだから。なのははペンキ屋さんと話すようになり、今まで知らなかったペンキ屋さんの仕事や建築についての仕事の事がよく分かるようになった。彼女にとって凄く勉強になっていたのだ。だからなのははペンキ屋さんが話してくれる事に凄く興味があったのだ。

 

「ああ、今日で俺の仕事が終わりだからな。ほら、足場も取れただろ? 」

 

「あ! 本当だ、すっごく綺麗になってる!? わぁ〜ありがとうペンキ屋さん! 私の家を綺麗にしてくれて♪ 」

 

「あはは、仕事だから」

 

足場が取れて自分の家を改めて見たなのはは感激した。自分の家がまるで新築の様に綺麗になっていたからだ。でも同時に彼女は気づいた。今日で自分が帰って来てもペンキ屋さんがいるという日は最後なんだと。そう思ったなのはは寂しくなり始めた。そして最後だから何か言わないといけないと思いなのはは口を開く。

 

「ペンキ屋さんとお話するのも今日が最後だね? 何だか少し寂しいなぁ〜」

 

「ん? 別に遠くに行くわけじゃないんだ。ここの仕事が終わってもこの町で俺は仕事をしているよ、だからまた会えるさ。それに氷麗の友達なら尚更会えると思んだけど? 」

 

確かにペンキ屋さんの言う通りだ、なのははそう思った。しかしなのはもそれは分かっていたつもりだった。でも実際その日が来ると思っていたより寂しくなるものだ。だがなのはが氷麗と過ごしていればまたペンキ屋さんに会えるのは確かである。何故なら氷麗のペンキ屋さんへのデレデレっぷりは半端じゃないのだから。となれば必然的にペンキ屋さんと遊んだりする日が来そうな物だとなのはは感じている。

 

「確かにそうだねペンキ屋さん、それじゃ……またね♪ 」

 

「ああ、縁があればまた! 」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「お姉ちゃん何か用? 」

 

「ああ、すずか。ちょっとすずかにお願いがあるの。今日から家にペンキ屋さんが作業しに来るから作業中はあんまり外の足場に近づかないようにしてね? すずかが怪我したら私悲しいから」

 

月村すずかは突然姉である月村忍に呼び出された。何の用かと思い、行ってみると突然そんな事を言われたのだ。しかしすずかは建築の知識がある訳でもない、よって足場が何か分からなかった。だからすずかは忍にそれが何か尋ねる。すると家の外を囲っている鉄パイプの事だと教えられた。それを聞きいたすずかは納得した、何故家の周りを鉄パイプが囲っていたのかということ。実はすずかはその事を昨日から気になっていたのだ。だが中々聞くタイミングもなく今に至る。

 

「分かった、気をつけるよお姉ちゃん」

 

「うん、ありがとうすずか♪ 」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「源ちゃん、源ちゃん!? 」

 

「どわぁ!? ……あたた……ど、どうしたんだはやて、そんなに慌てて……と言うか外で車椅子爆走しながら体当たりしてくるのはやめろ!? 危ないだろうが!? 」

 

はやては今源のいる現場に来ている。理由ははやての家で大変な事件が起きたからだ。しかし急いでいたはやては勢いのあまり車椅子ごと源に突撃してしまったのだ。だから今はやては源に怒られている。確かにスネに直接車椅子がぶつかれば痛いと思うのは当たり前だ。はやてはそれを悟ったのか深く反省しながら源の説教を聞いている。だが源が怒っているのは自分が痛かったからではなかった。ただ一途に友達になっている彼女を心配しただけなのだ。

 

「いいか? もしこのまま転んでみろ、お前が怪我するだろ? 今は何ともないみたいだがもう今後はやめれくれ、お前に怪我なんてされたくない! 」

 

「それは……わ、私の事心配してくれてるんやろか? 」

「当たり前だろ!? 」

 

その真っ直ぐな言葉を聞き、はやては素直に嬉しかった。源は自分よりはやてを優先して考えてくれていたのだ。その事実にはやては暖かい気持ちになる。本当は自分の方が痛い筈なのに人の事を考え最優先する、だからはやては、そんな源だからもっと一緒に過ごしたいと思っているのだ。本来ならただのお隣さん、しかしまるで本当の家族の様に接する事が出来る。それは源の人柄あっての事だろう。はやては源の事を本当に良い人だと思っていた。

 

「で? 一体どうしたんだ? 」

 

「そ、そうや!? 家のテーブルが壊れてもうたんや、これだとみんなでご飯囲う所があらへん!? どないすればええや源ちゃん!? 三人の憩いの場が!? 」

 

「何だよ……びっくりさせるなよ……って!? おい何泣いてんだ!? 」

 

はやては説明している最中に突然号泣し始め、源に助けを請うようにその目を見つめる。下唇をつり上げ必死に泣くのを堪えるはやて。だがはやてにとっては一大事の為我慢がきかない。これから帰ってみんなでご飯を囲うテーブル、みんなで夜話をするテーブル。本当の家族じゃないはやて達がまるで本当の家族の様に過ごせる、みんなを繋ぎ止めてくれるかの様なテーブル。それが壊れた。だから彼女はその瞬間にこの絆が崩壊する気がして気が気じゃなかったのだ。何故ならはやてにとってこんなに楽しい毎日が送れるのはあのテーブルのお陰なのだから。例えテーブルが無くてもその場で話せばいいじゃないか、ご飯を食べればいいじゃないかと思うかもしれない。しかしあのテーブルははやて達が知り合ってからずっと彼女達と過ごし、日常を、絆を支えてくれたテーブル。普通の家具よりも情が湧いてしまうのだ。

 

「はぁ〜、大丈夫だから泣くなよ……俺が帰ったら直してやるから。俺もあのテーブルが無くなるのは寂しいからな。任せろ! 」

 

「うっ……ううっ……源ちゃん!? 」

「ちょっ!? 」

 

感激のあまりはやては車椅子から源に飛びかかり、押し倒す様に源に抱きついた。源は突然の事だった為勢いに負けてそのまま後ろへと倒れる。そんなはやてに何か言おうとした源だったが安心して泣いている彼女を見て「全く……」とだけ言ってはやての頭を撫でた。そしてはやてがが落ち着くまでの間撫で続けた。しかしこれで源の仕事が少し遅れたのは言うまでもない。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「どうしたのよ氷麗、今日はえらく沈んでるじゃない? 」

 

「アリサちゃん今はほっといてあげよう? 氷麗ちゃんは愛しのペンキ屋さんがどこにいるか分からなくなって拗ねているだけなんだから」

 

「う……酷いすずかちゃん……それじゃ私が子供みたいじゃないですの…………」

 

「「「子供でしょ? 」」」

 

そう返されてしまってはぐうの音もでない氷麗はまた机に顔を埋める。だが氷麗は寂しいのだ。せっかく吉数と再会できたと言うのに氷麗は吉数の家すら知らない。しかしこの件は吉数のお願いで待つと約束した手前氷麗は待つしかなかった。だから氷麗は吉数が教えてくれるまで待つ、でも氷麗は少し思っていたのだ、次の現場ぐらい教えてくれてもいい筈だと。これでは吉数と連絡すら取れない。氷麗は完全に見失ってしまった。

 

「ぐすっ……吉数君…………」

 

「氷麗ちゃん!? どうしたの!? 泣く程!? 」

 

恋をした事もないなのはには今の氷麗の気持ちは分かるわけない。もう氷麗は恋しくて恋しくてたまらないのだ。出来るなら吉数と一緒に過ごしたい、ご飯だって食べたい、そう思っている。しかし今は会うことすら出来ない。だからこれで涙が出ないわけがなかったのだ。

 

「うっ……うっ、うっ……今度み゛づげだら゛絶対に゛ゆ゛るざな゛い゛もん゛…………」

 

「氷麗ちゃんがこんなになるペンキ屋さんに私も会ってみたいよ」

 

「同感だわすずか、私も会ってみたい」

 

「にゃはは…………」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「あ、危ないから入るなって言われたけど……だ、大丈夫やろか? 」

 

「あはは♪ 大丈夫だよはや姉、お兄ちゃんは世界一の大工さんだよ? あの程度の修理なんて朝飯前ならぬ夕飯前なのだぁ〜♪ 」

 

加奈子はそう言うがテーブルはかなりエグい壊れ方をしていた為はやては落ち着かない。だからそう簡単に元通り直るかどうか心配でそうがないのだ。確かに源の大工さんとしての腕ははやても凄いと思っている。決して信頼してないわけじゃない。しかし加奈子が言った世界一と言うのは話を盛り過ぎじゃないだろうかとはやては少し半信半疑だった。源ははやてと同い年、本来ならまだ小学生の子供である。にも関わらず世界一なんて一体どうして分かるんだろうかとはやては思っているのだ。ただ兄が好きな加奈子がそう思っているだけなんじゃないのか、兄が世界一に決まっていると思っているだけなんじゃないだろうかと。そんな事を考えて彼女は不安の中、源を待っていた。そんな時だった。源が作業を終えて部屋から出てきたのだ。

 

「げ、源ちゃん……私達のテーブルは? 」

 

「…………」

 

源は真剣な顔で黙ったまま言いずらそうにしている。はやてはそれを見て嫌な予感を積もらせた。源の腕を持ってしても直らないのではないかと……考えたくもない想像を積もらせていく。しかし、源は親指を立てはやてに向かい満面の笑みをぶつけた。

 

「前より綺麗に仕上げてやったぜ! 」

 

そう言い源ははやてを作業していた部屋へと招き入れた。そしてそこではやてが見たのは彼女の想像を超えて生まれ変わったはやてのテーブルだったのだ。壊れた所は補修したと分からないくらい綺麗に直され、元通りになっていた。そして全体的に買ったばかりの様な明るい白木の色。はやては感激し言葉を失った。

 

「どうだ? この仕上がりならお前も「源ちゃん大好きや!!! 」ちょっ!? ……いてぇ……だから急に飛びかかるなよ、歩けないくせに」

 

「源ちゃん源ちゃん、最高やで! 私の……私達のテーブルこんなに綺麗に! ありがとうな? ほんまにありがとう! 」

 

はやては源を昼間の様に押し倒したまま顔を源の胸にすりすりと擦り付ける。いつもなら文句の一つでも吐く源だが今は照れ臭そうに真っ赤になりながらはやてにされるがままでいた。

 

「あらあら♪ お兄ちゃんとはや姉はお似合いだねぇ〜♪ お熱いことで結構、結構〜! このお兄ちゃん大好き大好きの加奈子ちゃんが認めたんだから二人とも幸せになってよねぇ〜♪ さぁ〜私はこれから深夜アニメだぁ〜♪♪♪ 」

 

「加奈子!? 明日も幼稚園あるんだから寝ろ!! と言うか深夜に何見ようとしてんだ!!! あ! コラッ!? 待て加奈子!? 」

 

「にっげろ〜あははははは♪ 」

 

今日も平和で楽しい日、はやては加奈子を追いかける源を見つめながら明日もこんな日であります様にと神様にお願いした。しかしさっきの加奈子の言葉にはやてはこう……思ったのだった。

 

(加奈子ちゃん……私はまだ源ちゃんの奥さんちゃうで? )

 

 

◇◆◇◆

 

 

「お疲れ様ペンキ屋さん。そろそろ休憩でもどうかしら? 」

 

「ん? ああ、これはどうも。いただきます」

 

そろそろ時間は10:00、忍はペンキ屋さんに休憩しないかと誘いをかけた。高町家の長男、なのはの兄なのだが、その高町恭弥の紹介で忍は吉数に仕事を頼んだ。しかし最初に彼女が吉数を見た瞬間目を疑った。何故なら自分の妹と同じ年ぐらいの子が一人で仕事をしているからだ。普通じゃあり得ない、と言うよりどうやってそんな事が出来るのか疑問に感じていたのだ。この歳の子が働く事なんて許されない、国が許可しない筈……そう忍は思っていた。だが忍がそれを吉数に聞いてみると吉数は国から認められていると答えた。彼女はこの少年が正直何者なのか凄く気になっている。

 

「ペンキ屋さん……どうしてその歳で働いてるの? こんな事聞いていいか分からないけど、親御さんは……いないのかしら? 」

 

「親はいませんよ。それと何故働いてるか……それは簡単です。好きなんですよ、建築塗装の仕事が」

 

好きだから働いている……忍は考えられない、そう思った。この少年はこの歳で一体何を悟ったのか。それはある程度働いて自分が好きな仕事を見つけられたごく僅かな人間が言える事、にも関わらずこの少年はもうその境地に達しているのだ。そもそも未熟な精神を持つ筈のこの歳の少年が仕事がしたい、働きたいなどと思うのは気味の悪い話。今忍は目の前少年の中に別の何かが取り付いているような、そんな感覚に襲われていた。

 

「それはごめんなさい聞いちゃいけなかったわね。……ねぇ〜ペンキ屋さん、お友達は? 学校とかも行ってないわよね? 普通は義務教育だから行かなきゃいけない筈なんだけど? 」

 

忍はさらに少し探りを入れるような感じで質問を続けた。しかし彼女は知ったからと言って何かするつもりはなかった。それはこの少年の事情。ただの好奇心によるものだ。でもお友達の紹介ぐらいはしてもいい筈だと彼女はお節介を焼こうとしている。誰一人お友達がいないなんて寂しいし……うちのすずかなんて大人しいからこの子とお友達なら丁度良さそうだと……。

 

(ああ〜でもでも〜すずかは可愛いから。この子がすずかの事好きになったら大変だわ)

 

「確かに学校は行ってませんよ? でも友達は二人いますよ」

 

「あら? そうなの? まぁ〜別に友達は多くてもいいわよね……ねぇ〜ペンキ屋さん? 私の妹ですずかって子がいるんだけど、今度紹介するからお友達にならない? 」

 

「俺は構いませんけど……その子がどうなのかでは? それに実際に会ってみなくては友達になれるかは分からないと思いますよ? 」

 

子供らしくない……こんな事言ったら失礼だ、だが忍は思ってしまったのだ。気持ち悪いと。何故なら子供の言葉じゃないと感じたからだ。出来過ぎてる。子供にしてはあまりにも出来過ぎているその言葉。この少年の環境がそうさせているのだろうか……忍はそう思わずにはいられなかった。まるで同い年か年上を相手に話をしてるようだと…………。

 

「おっと! そろそろ作業に戻ります、お茶ご馳走様でした」

 

「え? え、ええ……お粗末様」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「あ! ペンキ屋さ〜ん♪ 」

 

「ん? ああ〜加奈子ちゃんか、どうしたんだ? もう夕方だぞ? 早く帰らないと家族が心配する」

 

加奈子は外で遊んだ帰り、帰り道の公園で前に知り合ったペンキ屋さんの友達に会った。そう……吉数が言った友達とは加奈子の事だったのだ。吉数は仕事が忙しくて加奈子とは中々会えない。その為今日加奈子と吉数が会えたのは結構レアなのだ。加奈子は嬉しさのあまりベンチに座っている吉数の目の前まで行き、身を乗り出すように笑いかけている。

 

「大丈夫♪ 今帰ってる途中だったんだよ? ペンキ屋さんは? 何してるの? 」

 

「俺? 俺はちょっと休憩だ」

 

休憩……吉数は加奈子にそういった。しかし加奈子的には実際はどうなのだろうかと思っていた。吉数の近くに置いてあるダンボールの山、それが何なのだろうかと気になって仕方ないのだ。ここに捨ててあった物で関係のないものなのか、それともペンキ屋さんが持ってきた物なのだろうか……と加奈子は思い、首を傾げながら考える。

 

「じゃ〜ペンキ屋さん、また今度遊ぼうね♪ 」

 

「ああ、今度な」

 

だが加奈子は深くは聞かなかった。別に吉数が困っている訳でもなかったからである。そして加奈子は吉数と別れ自分の家へと向かった。実は兄にはペンキ屋さんの事を話していない。妹にだって兄に秘密くらいあるのだ。とは言ってもこれだけなのだが、何故秘密にしているかといえば、吉数は加奈子が転生して初めて自分の兄である源の次に、二番目に好きになった人であるからなのだった。

 

 




次回もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。