GOSICK-黒い死神と金糸の妖精-(仮)   作:サバ缶12号

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この話から九条君が暴走してきます。九条君じゃなくなりますKUJOUになってしまいます。嫌いな人はブラウザバックでお願いします。
そしてココの九条君の本気は船まで行ってからです。戦闘までの道のりも長いです。
すいませんです。
皆様の時間つぶしになれれば幸いです。


第2話 僕はポエムで推理する

昇り着いた最上階はとても明るく、そして鮮やかであった。欧州ではまず見られない南国の草花が最上階の端を固めるが欧州風の造りの建築との違和感は特に感じられず、天井から降り注ぐ日光の暖かさが壁や床に反射して温室特有のもりを作っている。太陽の恵みの素晴らしさを精一杯表現して魅せる様な温室の一角、階段を上って直ぐの広場に【彼女】は存在した。

 まず目に入ったのは、椅子でなく直に座っている所為で床に広げられ日の光に反射するかのようにキラキラと輝きながら波打つ金の長髪、まつげの辺りで切り揃えられた長髪から覗く水晶の様なエメラルドの虹彩、そして等身大の見事なビスクドールの白い肌とバラの赤色が如き頬。【彼女】が身を包んでいる衣装がそんな人間離れした【彼女】にはとてもよく似合っていて、そんな【彼女】を囲むようにして開かれている本の一冊を読んでいるその姿を可能ならばこの少女を独占してずっと眺めていたいと思ってしまった。

 故に完成された人形が如き【彼女】の口から老婆の如きしわがれた音が発せられたのに気後れしてしまい言葉が出なかったのは致し方の無い事だと思う。

 

「やっと来たのか。遅いぞ、『春来る死神』。」

 

 【彼女】の口から流れる老婆の如きしわがれた声、外見と見合わぬその声音は10人中10人は違和感を感じるであろうその感覚を何故だか僕は感じる事が出来ずに居た。違和感を感じ取る事が何故出来ずに居るのかを考えようとしたところで【彼女】が自分の学園での異名を呟いたのに気づいた。

 

「どうして僕の異名を知っているのかな?」

 

と短く問い返してしまう。よく考えてみれば、【彼女】の年齢を鑑みるに誰か教師と接触して得ている情報かとも思ったが、半年間このような美少女を学園で見ることは一切無かったし、噂らしいものの1つも聞いた事が無かった。もっとも、友人の1人も居ない僕が何を言っているんだという話だが。

「銀の壺から立ち昇った未来は魔法の鏡に映し出される。占いによると君はまた此処を訪れるようだ、明日の昼の鐘を聞くころに。」

【彼女】のしわがれた声にて紡がれた不思議な予言らしいはすうっと僕の心に入り込むようにして嵌る。まるで最初から僕の心を構成していたかのように違和感無く嵌ったのだ。【彼女】が僕の予言をした事に対して疑問を投げかけてみた。

 

「なんで僕なのかな?」

 

 すると【彼女】は持ち出した手鏡に触れながら、会話を始めてから一度も向けなかったそのエメラルドの瞳を僕に向ける。

 

「君は選ばれたんだ。私の退屈を埋めるための欠片の1つに。」

 

 傲岸不遜に傲慢に、まるで凡てを見通すかのごとく自信の篭った音と目線によって伝えられた。そんな【彼女】の宣言は、『あぁ、きっと予言は本当になるんだろうな』という予感を僕に感じさせるくらいには充分過ぎた。

きっと今日この邂逅と不思議な予言は、この先必ず面白い事を訪れると僕は確信した。そしてそれは彼女とともに居る事で成立すると。

 ええとまずは名前を聞かなきゃ。

 

「ねぇ、聞かせてくれないかな。僕は九条一弥、君の名前を教えてくれないか?」

 【彼女】は不遜に答える。

「ヴィクトリカだ。」

【彼女】と言う呼び名は終わりだ。

 

 

 

翌日の授業の終わった後、セシル先生に昨日の出来事を話してみた。そもそも図書館のことを薦めてきたのは彼女だ。であるならば、彼女はヴィクトリカの事を知ってる上で僕の事を図書館に案内したのだ。それが何の目的なのか何かの思惑があるのかとか、そういうものはどうでも良いが、彼女には聞いておかずには居られなかった。

 

「セシル先生、昨日の事なのですが。」

「ああっ!もしかして九条君、彼女にあったのねっ!」

 

 元気溌溂、活発、快活、セシル先生どうしてあなたはいつもそんなに全力で話しかけてくるんですか。前のめり過ぎて此方が後ろに倒れそうです。

 

「凄いじゃない九条君っ!ついにお友達が出来たのね!彼女、実はクラスメートなのよっ!教室にいつも席が1つ空いているでしょう?そこが彼女の席っ!」

 

知らなかった。件の席はいつも単なる数あまりで空いている物とばかりに思っていたか

ら。

 

「そうだ!ちょうど良いわっ!彼女にプリントを持っていって!よろしくねー!」

 

そう言って彼女は僕に鈍器になりそうな量のプリントの束を押し付けて走り去っていったのを辟易しながら見届けていると、昼を告げる鐘が鳴った。

 

 

 昨日とは違い、階段を駆け上がるのではなく緩々と上がっていくと、前回との様相の違いに再び言葉を失ってしまった。昨日見た美少女・ヴィクトリカがごろごろと転がりながら呻っていた、その姿を見守るようにしばらく眺めていたら、彼女が僕の足元まで転がってきたところでこちらに気付いたようで立ち上がりながら服をながら立ち上がる。

 

「ようやく来たか、九条、君の到着が思ったより遅れていたので退屈していたところだ。」

 

 どうやら恥じらう事もないよいうだ。

 

「ヴィクトリカ、昨日も思ったのだが君は占い師か何かなのかな?」

「何故?」

「僕が此処に来ることが予測できていたようだったからさ、なんとく気になったのでね。」

「黒髪の生徒がこの春からうろつくようになった。その見慣れぬ不吉な容姿からこの学園に伝わる春来たる死神を想起されることだろう。そして、九条、君のようなクソ真面目で融通の利かない秀才はきっと、その出典を調べるために此処を訪れるだろう、と。」

 

 なんとも理路整然と僕が敬遠されるきっかけになった噂と僕自身の人柄から行動を予測したとのたまった。信じがたいという事にプラスして彼女が僕の人柄を何故把握しているのかとかイマイチ釈然としないことはあるにはあるが、それは今追求すべきでない、と頭の中の姉が囁いたので一先ず置いておこう。

 そんな会話をしていると、温室の置くから機械の動作音が聞こえてきた。昨日はヴィクトリカに意識を割いていた所為か気付く事が無かったが、どうやら此処にはエレベーターが設置されているようだった。エレベーターがまで上がってくると中に1人の人影が確認できた。扉が開いて中の人物が日の当たる所に出てくると、

 

「ス、スゴイ…、なんて前衛的かつ独創的な髪型なんだっ!天を衝くかのようなフォルム!」

 

 リーゼントとドリルを併せた奇妙な髪型だった。

 

「グレヴィールか。」

「知っているのかい?」

 

リーゼントな彼は、歩きながらこちらに話しかけてくる。

 

「やぁ、今日はいい陽気じゃないか黒い頭の子リス君。こんないい天気の日には長いポエムを口ずさんでみようかな、聞いてくれるかね?子リス君」

 

どうやら彼が話しかけているのは僕のようだ。ヴィクトリカが彼を知っている事から恐らく知り合い若しくは、個人的に目の前の彼がヴィクトリカの、信じられないが兄妹かもしれない可能性も無きしも非ずなわけで。取り敢えず、彼がこのまま話すというなら聞いてみよう。

 

「昨夜、ある村の屋敷にて老婆の占い師ロクサーヌが殺害された。占い師は、屋敷にインド人の下男、アラブ人のメイドと3人で住んでいた。其処に占い師の孫娘が訪ねて来た晩に事件は起こった。」

「何故下男がインド人でメイドがアラブ人なのだ?」

 

ヴィクトリカが聞いた通り、屋敷の人間の国種がバラバラなのは少し気になったが共通語があるなら問題ないように思えた。

 

「異国情緒のある使用人が好きだった占い師はヒンドゥー語やアラビア語も日常会話くらい出来る。あぁっ!メイドはアラビア語しか分からないようだが。」

 

これは少し変な話だと感じた。いくら異国情緒があるからといってソレは少々情緒がないだろうと少し引っかかりを覚えた。

ところでこのグレヴィールと言った彼は欧州人特有のただでさえ大きな身体を大袈裟な動きをしながら事件の説明を語ってくれている。だが話しかける際にちょこちょこ僕の後ろに見えるだろうヴィクトリカを見据えている事が分かる。

 

「もしかして彼は刑事さんだったりするのかな?」

「彼はグレヴィール・ド・ブロワ警部殿だ。ソヴュールではそれなりに名の知れた奇妙な髪形を持つ名刑事殿だ。」

 

彼・グレヴィールのことをヴィクトリカに聞いてみるとそんな答えが返ってきた。その際の彼の渋い顔を見るにどうやら好きでこの髪型にしているワケでない事とそのワケを彼女は知っているらしい事は分かった。

 

「占い師は事件直前、自室で寛いでいた。インド人の下男はその部屋の窓の外で庭に放していた野うさぎを飼育籠に戻していた。」

「野うさぎか。」

 

ヴィクトリカは呟きながら、頭の中でピースを当てはめているようだ。グレヴィールの話はなおも続く。

 

「この占い師はたくさんの野うさぎを飼っていた。ときどき猟犬に食い殺させていたらしい。」

 

彼の顔に少し影が入る、その事から彼は野うさぎを食い殺させる事にあまりいい思いはしない人柄だと言う事は伝わった。

 

「あぁつと!話を戻そう無垢な子リスよ。その夜、銃声が鳴り響き、皆が驚いて屋敷の廊下に集まった。ドアには鍵が掛かっていた。メイドが何かを語りかけながらドアを叩いたが答えは返って来ず、インド人の下男がドアを斧で壊そうと提案したが、孫娘が反対した。婆さんが死んだら自分の物になると言う、罰当たりな理由だ。だが、メイドは孫娘の言葉が解からなかった為、隣の自室から拳銃を持ってくるとドアの鍵穴に目掛けて発砲した。そしてドアを開けるとそこには、左目を撃ち抜かれた占い師が、窓は内側から鍵が掛けれていた完全な密室だった。」

 

そこで、言葉を切って此方に指を突き付けながら彼は自信満々に言い放った。

 

「さぁ、子リスよ!お前ならばどんな答えを出すだろう?」

 

彼の目は、お前なんかには解けまい!、そんな挑戦されているような気がしたので返してやった。

 

「僕はこの謎についての仮説を思いつきました。」

「なにぃ!?」

 

そこで彼女の、ヴィクトリカの胡乱下な欠伸が聞こえてくる。彼女のほうを向いてみる

と本当に退屈なようだ。ただその様子は事件の様子を聞いている途中には見られなかったものからして犯人が分かった途端にと言う事なのだろう。彼女は眠たげにを咥えながら宣言する。

 

「ふわぁ~あ、なんだそんな事か。の欠片は凡て揃った。此処で再構成してやろう。」

 

その台詞が出た瞬間、彼・グレヴィールの視線が鋭くなったのを肌で感じた。

ただそれも彼女の次の言葉で空気が抜けた。

 

「しかしその前に、子リス君こと九条、君の仮説を聴かせてみたまえ。」

傲岸に不遜に彼女は言い放つ。予想外だが、彼・グレヴィールはニヤニヤしながら此方を見て。

 

 

 

「ほう、確かに私も子リス君の仮説、とやらには少しだけだが気になったのでね。よければ聞かせてくれるかな?君の言うその仮設を。」

 

この人、絶対僕のこと信じていないだろう。間違いがあったら、絶対馬鹿にしてくるに違いない、そう確信を持った。

 

「こほん、ええとでは仮説の説明の前にグレヴィール警部に2点ほど質問いいですか?」

 

質問する事は予想外だったのだろう。一応ヴィクトリカにも聴いてみる。

 

「質問するのはいいかなヴィクトリカ?」

 

彼女はやはり眠たげにキセルを咥えながら、肯定の頷きを返してくる。それに合わせてグレヴィールもOKを出してくる。

 

「うむ、いいだろう。許可する。」

 

本来なら全く関係が無いであろう僕が2人から許可が出た事にホッとする、何故だ!

 

「では、1つ目は老婆の死んでいた位置がドアからどの程度の距離だったのかを、2つ目は窓には本当に損傷が無く鍵が掛かっていたのか、この2点です。」

 

グラヴィールは質問の意味を考えながら聞いていたのか、顎に手を当てながら真面目に答えてくる。

話によると老婆はドアからおよそ2メートルほどの距離で車椅子の上で死んでいたとのこと、そして窓には何も無く鍵が掛かっていたのは確かな事。この事を踏まえて結論がより真実に近づいた事を確信する。

 

「今、警部から話が確かならば犯人はアラブ人のメイドです。」

 

僕はしたり顔でそう言った。




中途半端の上パチモン臭いウチの九条君ですが、本当は心で思ったことも簡単に口には出さないし、慌てずに相手の仕草や表情から感情を察知してスキを見せるまで待ち続ける事が出来る忍耐を持った程度の一般人なので普通の15歳の男の子なのですよ。私の文章構成能力が未熟なばかりに彼の普通さが描ききれていないのが残念無念です。次回更新は明日です。
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