GOSICK-黒い死神と金糸の妖精-(仮)   作:サバ缶12号

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この話の九条君はとても性格が悪く、気持ち悪いです。
ナルシストで自意識過剰、ついでに自己評価がヘッタクソ。
自分でも書き上がったあとに、キャラがブレッブレやなと思いましたが、この後、緩々と成長して行く予定ですので暖かく見守ってやってくださったら幸いです。

そしてこんな自己満足を見てくれた人の時間つぶしになれたら幸いです。


第3話 死神は箱庭に導かれる

「犯人はメイドだ」と、得意げに言い放ったことに対し、僕は後に羞恥心を感じてごろごろと床を転がりながら悶絶するのだが、その事をこの時の僕が解かる筈も無く。

 「じゃあ僕の事件に対する仮説の説明させていただくと、まずアラブ人のメイドの言葉が理解できるのは殺害された占い師本人だけであると言う事、メイドは最初ドアを叩きながらアラビア語で何かを叫び、それから自分の部屋から拳銃を持ってきて鍵穴目掛けて発砲した。これは事実で間違いは無いでしょうか?」

グラヴィールは大仰に頷いて肯定の旨を返す。

「メイドはその時に何を叫んでいたのでしょうか?これは僕の予想ですが、恐らくメイドはこう言っていたのでしょう。『ご主人様は命を狙われています。先ほどの銃声は聞こえたでしょう。窓の傍から離れてドアの近くにいらして下さい。』と。」

彼・グレヴィールは首を傾げながら先を促すように告げる。

「それは、つまり?」

「アラブ人のメイドは占い師がその時点でまだ生きていた事を知っていたのです。アラビア語で占い師を騙し、安全だからとドアの前に誘導し、鍵ごと占い師を撃った。左目に当たっていたのは恐らく占い師が車椅子に乗った状態で鍵穴から廊下を覗こうとしたからでしょう。撃たれた反動で車椅子は緩やかにドアから後退したことが伺えます。」

グレヴィールには予想外の事実だったのだろう、次に彼は当然気になっていた疑問を投げかけてくる。

「まてまてっ!?では、3人が聞いていたという1発目の発砲音は一体なんだったというのかね?」

「それは恐らく占い師の隣の部屋で撃った物と思われます。屋敷の住人を呼び寄せるために、他の2人はその発砲音を占い師を撃った物と勘違いしたことでしょう。調べてみればどこかに真新しい銃創が出来ているはずです。」

そこで一度言葉を切って、静聴してくれていた2人の方に向き佇まいを正す。

「どうでしょう。何か間違っている、若しくは、間違っていそうな点はあったでしょうか?無ければこれにて仮設の披露は終了とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。」

ヴィクトリカは煙管を加えながら、グレヴィールはやはり顎に手を当て考える素振を見せながら、『何か間違いとかあって指摘されたら怖いなぁ』とドギマギしていると、そこでグレヴィールは僕に向かって、顔を振ってヴィクトリカに直接聞けと言うサインらしき物を送りつけてくる。彼はどうやら僕の説明だけでは信じ切れず納得がいかない様だった。いつまでも感想無しでは僕も少し物悲しいので彼女の声で事実の成否を紡いでもらう事にした。

「ヴィクトリカ、君は僕のこの説明正しいか間違ってるかの採点を聞かせて欲しいのだけど、どうかな?」

不躾に、図々しくならない様に当たり障りの無い様に聴いてみる。

「そうだな九条、君の説明が概ね正確だった事を加味して評価は特別にAをやろう。喜べ君の説明に間違いは無かった。」

ヴィクトリカは微笑みながら僕の説明を評価してくれた。なんと!不遜なりし彼女からお褒めの言葉を貰うなんて!かなりの驚きに僕が若干の驚きを見せる。すると彼女はまたあくびをして眠たげに目蓋を下げ、目を半眼にする。すると彼女のそんな発言に漸く納得がいったのか、もう此処には用無しと言わんばかりに伸びをしながら此方に背を向ける。

「な~るほど!ん、納得がいったところでそろそろ署に戻らんとな、いやぁ良い気分転換になった感謝するよ子リス君!」

最後にヴィクトリカに念押しされるまで僕の説明を信じていなかった人物のまるで感謝の念が篭っていない礼をされても苦笑する事しか出来ない。と、彼がエレベーターに乗ったところでヴィクトリカが音を紡ぐ。

「犯人の動機についてだが。」

僕は彼女の発言に驚愕せざるを得ない。僕の仮説ではメイドの動機についてははっきりとした事は言えなかったので明言しなかったのだが、彼女の頭脳では明確にソレを捕らえているようだった。グレヴィールが話を詳しく話を聞こうとするが、その前にエレベーターのシャッターが閉まってしまう。彼女、この瞬間を狙ったのはわざとかな?

「んんっ!?なにぃ!?」

「彼女が1発目の発砲で何を撃ったのかに隠されているはずだよ。」

「どういうことだ!?うわぁぁ!?ちょっと待てぇぇ!?」

断末魔の如く彼の声が最上階に響きながら下へ下へと遠のいていく。その様はなんとも哀れに思える、先ほどの僕の扱いに対しての文句を言うならざまぁみろと言ったところだ。

グレヴィールの断末魔が完全に途絶えたところでヴィクトリカは煙管から口を離して大きなあくびをして退屈そうな様子で呟く。

「ふわぁぁあ、一瞬で終わってしまった上に言語化する前にほとんど終わってしまった。また退屈に戻ってしまったぁ~、うぁ~ん。」ゴロゴロ

そう言いながら、『退屈~』のあたりで、既に今日最初に会った時のようにゴロゴロと床を転がり始めてしまった。なんとも躁鬱の落差が妙な少女だと思う。だがこのゴロゴロしている姿にはなんとも惹きつけられる魅力がある!

そう!まるで心がぴょんぴょんするようなそんな感じが……、ハッ!?

今意識が若干飛びかけていた。この僕の鉄の如き精神力を氷のように溶かしてしまう魅力を持った少女ヴィクトリカなんて恐ろしい子っ!?

と、頭の中で妙な抗争を繰り返していると、いつの間にかゴロゴロするのを止めて此方をその眠たげな半眼で見上げるように見つめているヴィクトリカと眼が合ってしまい妙に気まづくなってしまったので、彼女に気になっていたことを聞いてみる。

「それで、君は一体何者なんだい?先ほどの警部殿も君のことを頼りにしている、と言うよりかは気にしているようだったし。」

彼女は身体を起こし煙管片手に胡乱げに回答する。

「私の事が知りたいならば、この場で踊れ。」

この彼女の無慈悲な要求に頭の中をさせながらも取り敢えず頑張って覚えた阿波踊りを披露したにも拘らず『つまらん。』の一言で一蹴されてしまった事については涙ながらに異議申し立てをしてもいいはずだと思う。

 

 

 

日付が変わって翌日の朝、寮の食堂にて寮生でもある僕がいつものように周囲の寮生から物理的に距離を置かれつつ、昨日彼女を楽しませる事が出来なかったので次は彼女を持ち上げて、あの低身長では普段見る事の出来ない高さの目線を味あわせてあげるために『高い高い作戦』を考えていた時のこと。

「昨日は唐突なだった故に不覚をとったが、次こそはヴィクトリカの楽しげな気持ちにさせられるように何か策を考えねば、……。」ブツブツ

「おはよう、九条君。朝ごはんきちんと食べてるかい?」

話しかけて来たのは、この学園寮の寮母さんで九条達寮生が大変お世話になっている赤毛の女性で名をソフィさんである。彼女はよく読み終わった新聞をくれたりするが、かわりに九条によくお使いなんかを要求してくるさっぱりした性格である。

「大丈夫ですよ。少し考え事を、していた、だけ、ですよ?」

自分でも変なしゃべり方になってしまったが、立ち上がりながらソフィさんの腕に布巾と共に掛けられていた新聞のある記事に目線が引き付けられた。ソフィさんが少し驚きながら心配そうに事情を聞いてくるが、一先ずたいしたことではないと話をはぐらかしつつ、譲ってもらった新聞の記事を読む。なんで心配そうにしてたんだろう?

「なになに、『またしてもお手柄ブロワ警部!占い師ロクサーヌ射殺事件を解決!孫娘からは感謝のキスとヨットを送られる!』と、これはまたなんとも。」

新聞の一面にはグラヴィール警部と彼に抱きついて頬にキスをしている孫娘とが掲載されていた。

その記事を読んでいて、昨日の出来事を頭の中で思い出しながら整理してみる。2人の昨日の植物園でのやり取りは通例化されたものが感じられたので、この犯人を特定して逮捕した手柄は、彼女・ヴィクトリカは興味が無い物らしいのは昨日の謎解きが終わった時点で雰囲気がガラッと変わった事で、なんとなく、彼女は謎解きの類にしか興味が無いのだろうことは察知していた。

だが、この事件解決の成果を彼が手にする事に関しては話は別だ。何故ならばこの事件の概要は僕が説明をしたわけだからだ、確かに彼女に正否を聞いたがこの事件は僕も功労者である事は間違いないはずだ。なに、別に手柄を横取りされた事に怒りだとかを感じているわけではなくて、この事件で彼が得た報酬を僕の考えている計画に利用させてもらっても構わないんじゃないかな?、ただそう思っただけ事なのだ。

ちなみにこの時の考え事に耽っていた彼・九条の顔はソフィさんだけでなく周りの学生たちにしっかり見られていて、何か悪さを働こうとしているんじゃないかと警戒されるのだが、いつも距離を取られている九条には分かるわけが無かった。

 

 

 

「それで私に話があるとは一体どういうことかね?」

放課後に警察署を尋ねてブロワ警部の知り合いです。と伝えると、思ったよりあっさり彼のオフィスに通された。彼はどうやらデスクワークをこなしていたようで机の上の書類をどかしながら声を掛けてきた。

「今朝の新聞の記事を見て驚いたのと、グレヴィール警部に少し話を聴きたいなと思ったのでこうして尋ねてきたんですよ。」

表面上は親族の感謝の念やお礼の意味を含めたヨットの贈与についての話をする。勿論僕が考えているヴィクトリカに対する計画には触れずに話す。僕が最終的に要求したいのはヨットの利用権だからだ。彼も最初は、キスは向こうが無理やりして来たのだぞ等はぐらかしていたが、ヴィクトリカの推理や昨日の件は僕の説明がほとんどだった事を話していくと苦虫を噛み潰したような顔つきになっていき、最後は溜息をつきながら承諾し。

「わかったわかった!君のその情熱には参った。週末に予定しているヨット遊びに君たちも是非来てくれ。」

「ありがとうございます!ところでヴィクトリカの外出許可には警部の特令がなければならないと彼女の担当教諭から伺ったのですが。」

ヴィクトリカの担当教諭とは、ずばりセシル先生のことである。やはり彼女はじめから友達がいない僕にヴィクトリカと友人関係になってほしい為に大図書館に誘導したらしい。実はあの先生かなり腹黒かったりするのだろうか?駄目だ、天然ドジな所が多すぎて判別が難しい。

「そうなのだ!ヴィクトリカの外出許可の特令は私の働きかけが無ければ通らないのだよ。もっと感謝して欲しい物だよ君!では、来週の週末にまた会おう!」

そう言って、彼は足早に退出を促してくる。あまり理由について触れられたくないだろう。だが、どうにも外出許可申請が通るには警部殿の力が無ければ不可能と言うのは事実らしいしその事実には淋しさと悲しさがあるが、とにかく今回彼女を外に連れ出せるきっかけを作れた事を今は純粋に喜びたいと思う。

 

 

 

「それで君は私に週末のヨット遊びに参加できる旨を伝えに来た、と。」

植物園にて此処までの経緯を彼女・ヴィクトリカに説明した。

「うん。グレヴィールさんが解決した事になっている今回の事件の話は一応僕も携わった事を話したら、快く誘ってくれたからね。ついでにヴィクトリカも一緒に行こうという話をね。」

ヴィクトリカは表現しづらい表情で床に広げられた本から顔を上げると僕に対して苦言を述べる。

「九条、君ね、それは一般的には恐喝、脅しと言う行為だよそれは。とにかく、貴重な週末をだね。グレヴィールと共に過ごしてだね、君楽しいのかね?」

「グレヴィールさんと一緒にヨットの操作をしたり海の上で食事をするのは、それなりに楽しそうだけどね!どうせならヴィクトリカ、君も一緒に海を見ようじゃないか!と言う事で誘ってみたのだけれど駄目、かな。」

男同士で一緒に汗をかけば少しは今回少し強要したこともまぎれるかな、なんていう打算的な考えもあったりするのは確かだ。

「私としては、男同士の友情など正直見るだけで暑苦しくなるので遠慮したくもあるが、」

彼女は一度言葉を区切り、天井を見上げながら、壁の向こうの外の世界に想いを馳せる。

空を見上げるようなヴィクトリカの視線は、ここじゃない外の世界を透過して見ているのだと、そんな風に僕には感じられた。

「そうか、では、出られるのか…、この牢獄を…。」

彼女は呟きから少し間をおいて、すくっと立ち上がった。

「では、旅行の用意をしなくてはな。」

旅行の日にちまでまだ数日の余裕があり準備をするには若干早すぎるようにも感じて声をかけようと思ったが彼女の表情を見て止めた。彼女は、まるで翌日の遠足が楽しみで眠れない子供のようにそのエメラルドの瞳を爛々と輝かせ、スカートを軽く持ち上げ駆け足体勢に入っていたのであった。先ほどのような冷静にそのしわがれた音を紡いでいた彼女が、背の高さ相応の少女のように興奮を抑えきれずに居る様は僕の庇護欲を刺激する。僕はヴィクトリカの愛らしさに悶絶しそうになるのを鉄の精神と鋼の表情筋によって表面に出ないようにして彼女の荷造りを手伝おうかと声をかけると、一度冷静に戻った彼女はほんの少し頬を赤らめながら、

「ほぅ、の旅支度を覗き見ようだなんて、九条、君は案外紳士ではないのかね。」

と言われたので、渋々引き下がらざるを得なかった。非常に残念だった。

 

 

 

ヨットで一泊海の旅の当日の朝、ヴィクトリカとあらかじめ決めておいた集合場所に少し早めに向かう事を決めた。理由は特に無い、ただなんとなく、ヴィクトリカが旅支度を勘違いしている気がしたので早めにストップを掛けられたら位の気持ちで集合場所に向かうと、案の定、彼女がその小さな身体で一生懸命トランクを引っ張っている姿が確認できた。その懸命な姿には心打たれるが、彼女が持っていくつもりの荷物のすべてを聞いてみるとそうしてはいられなかった。ヴィクトリカに、旅支度の何たるかを説いた後、彼女と荷物の選定についての討論していたら汽車の時間が差し迫ってきたので、トランクケースとヴィクトリカを抱えて飛び乗るように汽車駆け込む羽目になってしまった。ちなみに携帯食料とお菓子、それと本は『これはだな知恵の泉が導き出した最低限必要な装備だ』と言い出したが、最終的には僕にも少し分けてくれる事を条件に荷物に加える事で凡その決着と相成った。

 

「うわぁ。」

「もうさっきの出来事は大丈夫そうかな。」

そうなのだ。汽車が走り出すまでは、荷物の選定についての話に不満たらたらだったのだが、汽車が走り出してからのヴィクトリカは、次々と変わる外の景色に徐々に釘付けとなって行き今では此方は一切向かず、窓の外を無言で眺め続けているのだ。

そうして変化していく景色に合わせてその喜びの表情をコロコロと変える彼女は傍から見ていても絵になっていて、そんな彼女に引き寄せれてつい頬に指を指してしまったのは仕方が無かったと言い訳させて欲しい。

「何を、しているのかね?」

ヴィクトリカの機嫌を損ねてしまったかと思ったが、純粋に疑問なだけのようだった事にホッとしながら言い訳をする。

「あ、あぁ、僕の祖国にこういう遊びがあって、…。」

変なヤツみたいな認定を受けてしまったかもしれないが、この場を誤魔化し、乗り切れたことには一先ず安心した。

 

目的地の駅を出て直ぐ、ヴィクトリカは逸る気持ちを抑え切れなかったのだろう。街並みを見て感嘆の溜息をついて、アイスクリーム屋や新聞売りの屋台なんかの建物を指差し色々と質問攻めにされた。やはり外に出た事が本当に少ないのだろう、馬車を呼び止めた際にも世間知らず爆発は止まらなかったのには思わず、笑ってしまったら馬車の中で脛を蹴り上げられてしまったが、彼女との距離が少し縮まった気がしたので結果オーライとする。

 

「やぁっ!相棒っ!どうだ決まっているかい。テーマは海の男だよ!」

水兵服にてヨットの上で陽気に迎えてくれたのは我らがグレヴィール警部殿だ。彼のはじめの台詞を聞いても分かる通り、休日気分を全力で楽しむ気で一杯のようである事が伺える。彼は、こちらのゲンナリした雰囲気を察知したのか話を進める。

「そうそう、例の事件なのだがね、隣の部屋での1発目の発砲で撃たれていたのは、鏡だったよ。」

「成る程、魔法の鏡か。」

今日どこかの機会があったら聞いてみようと思っていた事件の内容。だが、犯人の動機である1発目の発砲で撃たれていたのが鏡だったと知らされてもイマイチ繋がりが読めずにいた。ヴィクトリカは何かに結びついたようだけど。

「それからアラブ人のメイドなのだが、美人だ。」

この変な頭をした変人警部は何を言っているんだろうと本気で思った瞬間だったりする。

咳払い。

「こほん。そのメイドが取り調べで謎の言葉を口走った、『これは箱の復讐です』と。」

「『箱の復讐』、ふむ。」

『箱の復讐』、僕がその言葉にイマイチピンと来ないでいるに反して、ヴィクトリカは煙管を咥えたことから知恵の泉で思考を巡らしているのだろう事が分かった。

僕も少し考えてみる。殺された老婆は占い師で庭には猟犬と沢山の野ウサギを飼っていて時々、猟犬に食い殺させていた。恐らくは、占いの手法の1つだったのだろう。でも、箱って何の事だろう?駄目だな、僕ではまだ情報が足りないみたいだ。ヴィクトリカはもう分かったのかな、とそこまで考えてヴィクトリカの方を向いた時だった。

「警部っ!警部殿っ!ブロワ警部っ!アラブ人のメイドが脱走しました!」

警官の1人が走って、大急ぎと言った様子で声を張り上げてくる。

「な、なんだってっ!?本当かっ!?」

グレヴィールはこうしてはいられないとばかりにヨットから飛び降り、

「おい九条君!私はこれで失礼する!ヨットだが、乗ってもいいが運転してはいかんぞ!我慢だっ!我慢!」

「了解です!お仕事頑張ってください!」

取り敢えず、従っておくべきだろうなと思った。当然ながら僕みたいな子供1人だけで動かせるわけでもないし、ここはヴィクトリカと2人になれた事を喜ぶべきだろう。

「どうする?グレヴィールさん、言っちゃったけど、ってあれ?ヴィクトリカ?」

ふと横を見るといつの間にかヴィクトリカは姿を消していた。辺りを見回してからヨットの室内を確認すると彼女は何やら物色していた。

「おーい、あ、いたいた!どうしたんだいヴィクトリカ?」

「君、このヨットは占い師ロクサーヌの持ち物だったな。」

「ああ。」

「招待状のようだロクサーヌ宛の。読んでみたまえ。」

そう言って彼女は一通の既に開けられた封蝋の便りを渡してくる。手紙に視線落とす直前視界の端でヴィクトリカが煙管を咥えたのが見えた。そして彼女に言われるがままに中の文章を目で追う。

「いいけど、この近くの海岸に停泊中の豪華客船でのディナーへのご招待、箱庭の夕べってこれは!『メインディッシュは野ウサギです。』って」

僕が手紙の内容に驚きを見せ顔を上げるとヴィクトリカも首肯して返してくる。

「占い師は野ウサギを飼っていた、そして箱庭の夕べという名とメイドの言う箱庭の復讐。」

この招待の手紙と今回の事件が一本の線で繫がったことが感覚で分かった。僕は少し間を空けてヴィクトリカに話しかける。

「どちらも『箱』、だよね、…どうしようか。」

「君はどうしたい。」

彼女は、此方の意志が分かっているような、凡てを見通すエメラルドに輝く瞳で僕を射抜く。

「行ってみようか!」

「それでこそ『死神』だ。」

彼女と僕は手紙の通り港に停泊していた豪華客船を見つけ2人で乗り込むことを決めた。船に乗り込むための橋を上がっている時、僕は彼女・ヴィクトリカと出会った日の事を思い出していた。彼女はきっと面白い事に僕を巡り合わせてくれると予感していたが、こんなにも早く訪れるとは思いもしなかった、その事に感謝しても仕切れない。だが、彼女に対する認識に於いて僕自身でも把握できていない感情については不安が残るが、それよりも目の前の冒険に注目するとしよう。

 

この最初の冒険から僕と彼女の運命は坂を転がる石ころのように数々の事件と関わりを持つ事になるのだけど、まぁこの時の自意識過剰で妙に自信家臭い未熟な僕には分かるわけが無いよね。





文章の描き方(改行とか行を空けるとか)については、模索中です。定まったら、全部統一しますのでご容赦ください。
また中途半端なところで終わってしまったです。申し訳ない。早く戦闘や荒事に入りたいです。。推理メインの作品で何を言っているのやら、という話です。

今回も読んでいただき誠にありがとうございます。
次回更新は六日になるかもです。
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