北条綱成の野望   作:織田上総介信長

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そういやこのサイトじゃまだ河越夜戦すら終わらせて無かったな………


前のピクシブでも長かった筈ですし、時間があったらのんびりと更新させて頂きます。


(にしても、もうお気に入りが30近くあったのには驚いたわ。正直、亀更新だし20弱のまま安定するかどうかだと思ってたのに………)


第一話

 

 

 

さて、北条に仕えて何年か経ったもんだが下総の古河公方が山内・扇谷上杉家が担ぎ上げていよいよ五〜六万もの大軍を押し寄せ氏綱様が拡大させた領土を一気に制圧させんとしているらしく物見の報告じゃ手始めにゃ俺が居座ってる河越城を何時でも陥落させれるよう完全包囲する形にしつつ降伏を促されていた。

 

 

まぁ、対する此方も二千五百ほどしかいない手勢でいきなり戦を仕掛けても無駄に兵を失わせるだけだろうから普通に籠城策をとった訳なんだが、敵さんの五万以上はいるかもしれん連中を相手にこんな辺りを見渡せるような平野じゃ迂闊に少数の兵で飛び込むなんざ無意味に兵達の命を捨てるようなもんだ。

 

 

後、予め知っていながらもあえて他の城へと逃げ込まなかったのも相手の士気を無闇に上げるような結果となっては此方の兵達も戦場で戦う士気が低下しかねん。

 

 

なので、こういった戦で大事なのは此方で戦力をあまり減らさんよう目を配りつつ如何にして当主が動くのかを見極める事こそが肝要となる訳なのだが…………

 

 

「まぁ、氏康様が増援に向かわせるにしても敵の数が数ですから確実に負けますし、死守するにしても向こうが大軍過ぎますからどう考えても無意味ですからねぇ〜」

 

 

「………衣川で奥州藤原に攻め込まれた武蔵坊弁慶みたいに貴公が自害するまでの間に暴れてやろうか?ならば、問題あるまい」

 

 

俺の前に現れた豊満な胸の持ち主………じゃなくここ数年、副将的な存在で仕えている間宮康俊と我が軍でも常に一番槍を振るっているせいか、大将である俺よか目立つ"槍大膳"こと正木時茂なる二人の姫武将が俺の傘下なんぞについてからこっちも出世させて貰い玉縄城を預かる立場になってから鶴岡八幡の旗を掲げて暴れすぎたのもあり、気付けば何というか…………

 

 

「まぁ、こんな追い詰められた状況下なら腹でも切って降伏した方が事態は治まるだろうが………ここで北条が勝ち戦に転じるならば早雲公が小田原城を陥落させるが如く如何に敵を欺けるかが鍵となるだろうな」

 

 

「ふむ。ここを囮として小田原の本隊が奇襲を仕掛けるまでは解らんでも無いが………然しても敵の数が数では下手に奇襲を仕掛けようにも甲冑の音に気付けばそこに兵を向けられれば壊滅されかねんだろう。それと早雲公の場合は、兵達が甲冑も着ず戦を仕掛けたが……………成る程な」

 

 

「まぁ〜氏康様ですからね。このくらいでしたら北条の重臣方じゃ意外と気付いちゃったりしてますし、後は急いで駆け付けられるかが鍵になるんでしょうけど…………」

 

 

康俊が此方に目を向けながらも本当に本隊が合流してくれなければ大敗してしまうのは明白である。

 

 

多分だが、姫の側にいる元忠殿が意地でも連れてきてくれるであろうと思いたいところでもあるが………

 

 

「まぁ、姫は嫌でもここに駆け付けるだろうが…………肝心なのはその後だな。ここで勝てば武蔵という関八州でも一番大きい領土を抑えたとなりゃ………次は下総や上野と制圧せにゃならん勢力がわんさかいるってのがなぁ………さて、敵は明朝に攻め込むだろうから兵達には休息を与えといてくれると助かる」

 

 

「そうですね。休めれそうな連中には休ませますか………いざとなった時に力を発揮されなくては負けますし………」

 

 

「…………軍議は終いか。さて、私も少しばかり休ませて貰うぞ?」

 

 

「あぁ、時茂殿無くして我が軍もまともに戦えんからな」

 

 

「もう何年も付き合ってやってるのだ。いい加減、呼び捨てで呼んで貰いたいものだな。それとだ………小田原から出る前にあの生真面目な姫の氏政殿から言伝てがあったなぁ。もし、生き残って小田原へ帰還したら話があるそうだ」

 

 

「あぁ………そういえば、似たような話が何年も前から氏康様からもあったような………まぁ、ウチには玉縄で留守を任せてる政景殿という普段は大人しいのに殿一筋の娘がそういう話に敏感ですからねぇ〜生き残っても安息なんて無いんじゃないんですかぁ〜」

 

 

去り際に康俊が言った事を気にしつつも一応、姫とは氏綱公が亡くなる前からそれなりに進展とやらが進んでるし、何だかんだ引きこもりなとこもあるが、此方と一緒なら一応は出掛けられるくらいには成長しているのだが、氏政様という姫とは一〜二歳しか離れてない娘に関してはこれがまた普段こそ真面目に政務などに励んでいたり、家中の重臣等の意見を纏めたりと真面目な娘ではあるものの時々、ここ何年か前からはよく甘えてくる一面もあった気がする。

 

 

何せ、人が休みの時にでさえいきなり面を見せては近くで添い寝したり、朝飯や昼の飯など用意してくれる事も珍しくは無かった。

 

 

寧ろ、つい最近に河越城を任されてからは何かしら見張られている気もすれば戦で孤児が増えているから見込みありそうな子達を風魔衆に鍛えて貰い風魔の忍びを増やすのに力を入れてみるのに協力しては如何かと話を持ち込んだ際も一番乗り気だったのは姫より氏政殿だった気もする。

 

 

それと何より何人かの侍女がいつの間にか近隣の人達に任せてたつもりが忍びとして優れてそうな十歳前後の村娘みたいな少女達に入れ替わった際は、家中からも幼女好きの疑惑まで抱かれた気もするな。

 

 

まぁ、何だかんだ考えながらも俺はとりあえず飯でも食べて休むとするかという事もあり、少女が持ってきた飯を頂こうとするものの最近じゃ、"………少々、お待ちを"と彼女が御膳の箸で毒味をしなきゃ食べられないというこれまた面倒な事にこれが用意されてる物全てに彼女達の口へと運ばれてから特に問題が無いと解ってから初めて食べられるというのだ。

 

 

いゃ、一部からは幼女とはいえ間接的な口付けみたいな物ではないかと思う輩もいるだろうが………これがまた、面倒なのが常にこんな事をされては正直、疲れるものだ。

 

 

いゃ、慣れたらどうという事も無いし何かしら真面目な娘しか俺の館にゃいないそうだが…………誰に雇われてるかを聞いても彼女達が答える素振りを嫌がってたんで未だにはっきりとは解らん。

 

 

ただ、風呂に浸かる際や閨で休む際など意外と見張りと称して何人か背中を流してくれたり、添い寝されたりするのは日常みたいな事と化して来たせいか正直、玉縄へ帰還したら政景殿には、何と伝えていいか最近、悩んでいる。

 

 

何せ、政景殿も俺と同じ部屋でよく飯を食べたり朝も起こしてくれたりというのは日常みたいなものだし、こっちが過ごす一日も特に何も無い日なんかでも勝手に決められても意外と慣れてしまう。

 

 

「…………出来れば、政景殿には綱景殿の家督を受け継いで江戸で佐竹の動向を見張って貰えればこちとら玉縄でも落ち着いて飯が食える気がするんだけどねぇ」

 

 

「政景殿を甘く見過ぎだよぉ〜基本的な職務ならすぐ終わらせれるじゃん。寧ろ、ウチでも一番、そういう書類仕事をこなしてる娘が江戸城主になってから忙しくて殿に会えないってのは無いと思うんだよねぇ〜」

 

 

康俊の言葉に俺は彼女の書類仕事に関する能力がそれほど甘くない事を思い出した。

 

そういや、伊豆の水軍衆に関する費用も相談に乗ってくれた筈が半刻も過ぎるかどうかの内にゃ終わらせちゃうし、その間にも此方が手を焼いていた玉縄城下で揃えている火縄銃の量産費用に関する職務も終わらせるわと事務仕事がかなり優れてるという点があるので城の留守も任せたんだったな。

 

 

だけど、江戸城主となりゃ対佐竹攻略戦に手を焼くだろうからあまり此方を構う事も出来ないだろう。

 

 

「ふっ、康景が江戸城主となれば佐竹攻略に手を焼くだろうから此方も気概無くのんびり出来ると考えてるな?綱成殿。これが義尭殿も未だ此方と敵対関係ならばそうであったろうが…………氏政殿と仲の良い政景も最近では義弘殿と仲が良くてな。政景殿も氏政殿に嘆願し、小田原城内で仲良く女五人で茶会を幾度か催してると時忠からの文に記されている」

 

 

あぁ、そういや時忠殿も正木家の当主になって領土安堵されてからは姫と仲が良いと聞いた事あるが、まさか俺の知らないとこじゃ茶を楽しむ仲にまで発展していたのかと時茂殿から知らされ今となっては、もう少し里見と北条を仲良くさせるのは早すぎたのだろうと些か後悔を覚える。

 

 

いゃ、里見が傘下に加わってくれたお陰でこちとら今川から此処へ移っても対上杉攻略に目を向けるだけで些か楽にはなった。

 

 

何せ、危惧してた武田家も此処に仕えてから知り合った秋山信友殿が和議を持ち込んで来てくれたのもあって八王子辺りに何時裏切られても対応出来るよう目を配ればいいくらいだし、それに武田も村上討伐で砥石崩れにて板垣信方・甘利虎泰の宿老格が討死してくれたせいか此方を相手に牙を向けるとなると兵糧が底を尽きかねんだろう。

 

 

何せ、今の武田も村上を信濃から追い出したかと思えば越後の長尾景虎がちょっかいを出してくるらしくて流石のあいつも長尾側の姫武将も含め何人かの反武田勢力の首を討ち取ったらしい。

 

 

まぁ、女子供でも槍を持てば敵だからな。たまに姫武将は殺めれんと泣き言を言う奴も兵達の中じゃ珍しくないが、そういうのが騒ぎ出す際にはそいつの首を容赦無く斬り捨てるだけでも違う。

 

 

何せ、そんな泣き言を言う奴を生かしておくだけでももし時茂殿みたいな猛者を相手にせにゃならん時も容赦無く敵を倒せないし、意外と時茂殿がそういったやり方をするせいか、我が黄備えの隊じゃ無駄に情が強い奴ほど生き残れなかったりする。

 

 

まぁ、そんな部隊でも敵の大軍相手に何の策も無しで出りゃ普通に敗けてしまうから大人しく姫の出方を待っているのだが…………

 

 

「氏政様も思った以上に侮れんな。あの姫もあまり他人と会いたがらんお方だろう。まぁ、何にしろ里見と正木家の間を上手く埋めれるのも大した才だわ。さてと、適当に駄弁ってたら火が暮れそうだ。今夜は久々に大量の血祭りだ。ここで勝てれば早速、山内上杉の討伐に向かうだろうからその恩賞に上野を貰うよう頼んでみるか………海が無いのは厳しいが、甲斐の虎が手に焼く越後の長尾景虎が如何に動くのかは分からんが…………容赦無く潰す。信濃を手に入れた程度の山猿相手にも耳に入るくらい我等が覇道を見せつけてやりゃ多少は向こうも大人しくなるだろうよ」

 

 

「ふっ、甲斐の虎をも危惧させる大戦か………面白い。たまには我が槍も思う存分に振るわねば鈍ってしまうわ」

 

 

「まぁ〜ここは殿の出世街道もかかってるからねぇ〜派手に手柄を挙げちゃえばこっちも発言力が強くなるからご褒美に新しい兵器でも購入しちゃわないと〜あんな異国の船一隻改造したいしなぁ………殿が出世すれば予算も増えるだろうし」

 

 

「あぁ………あの異国の船に幾らか大筒を積ませたりしたらどうかっていう設計図も完成させたいのね。まぁ、この戦が終わった後でもそれは些か厳しいわ。最近、異国の商人も大筒を売らないからねぇ〜あの"国崩し"だけでも我が軍の金もすぐ消え去るし………」

 

 

「いっそ明から安く買ったあの阿片(アヘン)とかいう大陸から買える薬を連中に高値で売らせれば?あれって、依存性強いし最初だけ安く売っといて後で最新の火縄銃と交換みたいにしとけば後々、便利でしょう」

 

 

ウチの部下は時々だが末恐ろしい発想を御持ちだ。

 

 

まぁ、そういう危険な賭けは一度広めたら此方から規制を設けて向こうとの交易にも大きく支障をきたすだけならまだしも御所の世間知らずな公家共が変に此処を警戒しかねんだろうとも考えた俺はその案だけは却下した。

 

 

何せ、それが大麻だと知られ海の向こうから変に刺激を与えりゃ多額の金を請求されりゃ面倒なのには変わり無いからなぁ………今は海の向こうと渡り歩ける武器の構造に力を入れるだけで精一杯だろう。

 

 

と考えつつ俺は、彼女が集めてくれた二十丁近くの火縄銃の部隊を河越城内へと置き敵に囲まれたまま出陣しても未だ援軍が来ないのならと夜も更けた中火縄銃から鳴る轟音を合図に驚く敵兵の姿を確認しつつ河越城内から二千もの兵を率いて太刀を振るいながら暴れ始めた。

 

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