北条綱成の野望   作:織田上総介信長

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もう四月ですなぁ………


いゃ、春は毎年眠気が………


第三話

 

 

 

直虎と共に相模へ着いたは良いが………

 

 

今回の狙いは古河御所を脅かせ北条の力を見せつけたいというのを狙っている。

 

 

なんて事を目の前にいる痩せ形で五尺五寸(約165cm)とこの時代じゃそこまで珍しく無くこれといって特に年老いてるのもあるかもしれんが

 

 

既に病か何かで頬が痩せかけている床の間で休んでいた氏綱様から説明を受けたもんの思った以上に大戦を仕掛ける訳でもないと考えながらも隣にいる直虎殿には今の状況が解ってはいても何故、足利将軍家と親睦を深めている今川が足利家に刃を向けるような勢力に力を貸さなきゃならんか疑問を抱いているかのよう

 

 

何処か気乗りしないかのよう不機嫌な雰囲気が若干ながらも浮き出ている。

 

 

「一応、言っとくが………氏綱様の叔母が先代の御当主である氏親様の母上であるという事実だけならまだしも氏親様が力を握れたのも実を言えば東で力を伸ばしながらも今川が為に力を貸してくれた早雲公と氏綱様が御力を貸してくれたのが貸しが意外と強いのよ。何せ、あの甲斐の山猿相手にも幾度か挑んでくれたお陰か氏親様も西の反抗勢力相手に力をいれやすかっただろうからな」

 

 

「…………つまりは昔の貸しがあるからこれくらい目を瞑れという訳か」

 

 

「それもあるが、古い家柄に固執するしかないままじゃ新たに力を手に入れた勢力が下の礎となるのが今の時代よ。北条だけじゃない。我が今川が足利将軍家からお預りされていた尾張に手をかけた斯波家の織田信秀や守護職である土岐家から美濃全域を奪った蝮の斎藤道三とやらや山内上杉が治めていた越後を奪い取った長尾為景など時代は古い家柄だけが取り柄の勢力じゃ生き残りずらくなっている。現にこれくらいの戦はまだかわいいもんよ」

 

 

「何、そこまで大した事はしちゃおらんよ。それに、正成殿?此度の戦が終えたら当分は我が後継ぎ娘が氏康と元服名を頂いたばかりでな。あの娘が後を継ぐ条件としてお前を側に置きたいというのた。まぁ、あやつの母も私よか若いにも関わらず流行り病で亡くなるわで今は我が軍師殿が世話を焼いておるが………あやつも年だ」

 

 

言いながらもこの人………

 

 

普段は腹黒いとこが強いおっさんなんだが

 

 

あの時ばかりは姫に気に入られた訳が解らなかった。

 

 

何せ、ただ挨拶に面を出した際にゃ都まで上洛した事も無い俺に都での話を頼むような無茶振りされたからと思わず口を滑らせたのが

 

 

ならば、刀鍛冶に力を入れたり交易にも力を入れやすいここ相模で都を越えた町造りに専念しては如何かと話した際

 

 

"馬鹿じゃないの?"の一言で反論されながらも小田原から伊豆で宿場町として栄える箱根への街道を整理し

 

 

伊豆と相模での交易を図りやすくし

 

 

伊豆から届く魚を売らせ得られた利益の六割を伊豆の発展に捧げ小田原もまた鶴岡八幡と源氏縁りの神社があるのだからいっそ一級品の奉納刀を納め祭りを開くという話を広めるだけでも周囲の源氏血筋の者等は注目するし

 

 

また、伊豆・相模の国人共も含め領内いる古くからその地を預かる領主共を呼び寄せるだけでも古河公坊を中心にしていた関八州の大名達の目は変わる。

 

 

と告げてからだろうか………

 

 

"まぁ、暇潰し程度にはなるかしら"なんて言いながらも彼女が行った結果

 

 

聞けば忍城主で家名を大事にする名門の成田長泰殿が歓喜し

 

 

思わず周囲の領主共も誘えば良かったなどと言うくらいだ。

 

 

まぁ、それはどう考えても姫が手腕で俺は思わず口を走らせただけでしかない。

 

 

「我が後取り娘でいながらあそこまでの手腕を発揮させるとは思わなかったよ。ただ、安房一国を預からせてくれるのを許すのならばという条件で我が北条傘下へ加わってくれた正木時忠殿も主を我が北条に仕えさせてみてはと意見を申し開いている。まぁ、あやつも主を引き抜くのならば北条の当主としてそれなりの結果を出すとまで言うものだからねぇ………」

 

 

「…………(こんな話。今川家中で知られれば福島殿なら確実に立場が無くなるだろう。だが、今の話を聞けばこいつの立場を考えればいつ寝返ってもおかしくないだろうが………)」

 

 

「今の当主様も前当主の氏親様と比べると………御人好し過ぎて返って不安なとこがありますし、今のままならば………氏親様が亡き奥方であられる寿桂尼殿が都より呼び寄せた太原雪斎が教え子である方菊丸様が後を継ぐ事が安易に創造出来ます。そうなりゃ、今でも家中の宰相として権力を握ってる坊主が余計に今川の実権を我が物とするでしょう」

 

 

「さすれば、余計に我が北条の傘下に加われば良いじゃないか。それに、今のままじゃどのみち権力を握られるのを黙って見過ごすだけじゃ君も立場が無いだろう」

 

 

この頃に面を見せた際、氏綱様自ら俺の居場所でも無くすかのようわざと姫から預けられていた伝言を仄めかすかのよう伝えるとこを考えりゃ早い内にでも今川の弱味を付け入るとこでもつつきたかったんだろう。

 

 

何分、この頃から氏綱様は身を悪くし政務にしろ兵や物資・兵糧など戦支度に関する軍事などは早雲公を奉らんが為

 

 

出家し、氏綱様が建てた早雲寺なる寺の住職となってからは都へ上洛してはやまと御所にいる公家共を味方にさせようと連歌や茶道など文化的な事で交流を図っていたり

 

 

また、氏親様が代よりか興国寺城主を任されてからだったろうか

 

 

北条からの使者としていきなり茶を淹れてくれちゃこっちが余計な事を流しすぎたせいだろう。

 

 

気づけば、里見と敵対し始めた頃だったか………

 

 

扇谷上杉や山内上杉との戦で武蔵制圧に力を入れたいのだが、迂闊に南まで敵を作っても主家が包囲されては本末転倒みたいなもんだし

 

 

何かしら案が無いものかと相談を受けていたもんだったし

 

 

その頃は、此方も尾張の織田信秀が三河の当主と睨み合っていた松平信定と組もうとしているという報せを耳に入れてたし

 

 

氏輝様が家督を継いでまもない氏親様が遺した病弱な姫君に関する話を耳に入れてたのもあってこの際、面白い話だと勘づき北条と今川との間で和議を交わしたいが

 

 

元々、今川じゃ早雲公が伊豆を奪うまで世話をしてやったのだからというのもあり氏親様も氏綱様を相手に北条と御家との主従関係を図ろうとしたもののそれを蹴ってまで領土拡大に力を入れた氏綱様の手腕にゃあまり気に入らなかった氏親様を説得するのに里見家という北条と睨み合っているという幻庵様の話を思い出したとこもあり

 

 

氏親様に北条と里見が和議を交わしたいとの事らしいが仲介人も無しに話を進めようにも里見家の当主里見義尭が北条家と睨み合っている噂は氏親様の耳にも知らされちゃいたが

 

 

里見義尭もまた上総を統治したばかりという点も考えれば領内での治安などにも落ち着いて目を向けねばならないという点が残ってるだろうし

 

 

また、北条と敵対し領土拡大を狙うにしてもすぐ領内の国人衆を味方にするというのには至難でしかない。

 

 

しかも、北条が領土を手に入れんが為に狙っていた山内上杉と対立するとなれば確実に小国で尚且つ山と海に囲まれた地形ともならば尚更、城下の繁栄に力を入れたいとこもあるだろうし

 

 

今川を仲介に北条と組めば遠江辺りまで船での交易も安全に行わせる保障も視野に入れておけば乗りそうではないかという案などを出してからだろうか………

 

 

それを見通されたかのよう幻庵様が了承しまた、上総まで向かわせてくれたはいいが

 

 

それまでに知った事が正木家で力を付けていた時忠殿が里見家の支配を良しとせず安房一国を任されていながらも里見家の傘下として幾らか税収を支払われていたり

 

 

これから行われるであろう北条との戦でも真っ先に姉の時茂が槍を振るうのは仕方無いにしろ正木家の兵を前線に向かわせ御家の戦力を容赦なく削ろうとしているだけではない。

 

 

もし、逆らえば今まで彼に抵抗していた豪族等と同様

 

 

正木家も彼によって潰されかねんという状況であるので北条が傘下に置いている相模・伊豆水軍を安房へと向かわせる事を許すのであれば安房一国を正木時忠に一任しても良いという幻庵様が氏綱様に頼んで記させて貰った文を時忠殿へ送ったりと完全に前当主が代の頃は北条の駒となっていたものの

 

 

今は何をしたいかと相模まで旅へ出て考えた結果がこれがまた我ながら滑稽だった。

 

何せ………

 

 

「御勝手は覚悟の上で申し上げまする。氏輝様が雪斎めの傀儡へと陥らず何でも己が意志でやり通そうとするのであらば、付き従いたいと思うております。但し………雪斎めの言いなりがままに甘んじるだけの当主としてならば………」

 

 

「我が北条に仕えてみるか………まぁ、今回は今川も此方に増援を寄越してくれた借りがあるしねぇ。良いだろう。但し、私自身もあまり刻が無い。いずれは氏康めが家督を継ぐだろうが、あやつは此方ほど甘くは無い娘かもしれんよ?それでも、どうにかしたいのであれば………もう少し骨のある今川家にしなきゃ甲斐の武田に牙を向かれていずれかは崩壊する危機へと陥りかねんからよく覚悟をしとく事だね」

 

 

氏綱様が危惧する視野は、大方解らなくは無かった。

 

 

その頃の武田は、信虎が信濃の諏訪家と同盟を結び村上との戦に目を向け何時でも戦が出来るよう戦支度を始め勢力拡大に目を向けていたとはいえ

 

 

諏訪も用済みになればいずれかは切り捨て小笠原もろとも信濃平定に力を入れようとも考えていたし

 

 

そうなりゃ、越後を狙うように見せかけながらも駿河へ南下出来るよう岩殿城主の小山田信有が隊を集結させてるらしく

 

 

中でも秋山信友なる猛将がまた今川討伐の機を狙っているらしい。

 

 

まぁ、早い話が氏輝様の代になってから堂々と和議の期間に軍備をちゃっかり用意出来る武田信虎や美濃へ目を向けながらも隙あらば三河領内に牙を向けている織田信秀などに囲まれたままじゃ

 

 

今の今川だと北条との信頼関係が要となるだろうし

 

 

その要が勢力的に強くならなきゃすぐに潰されてもすぐ山内上杉か扇谷上杉みたいなとこと組んだとしても群雄割拠な関八州じゃかえって甲斐の信虎や上総の里見義尭みたいな野心家に牙を向けられちゃ余計に目をつけられやすいという訳だ。

 

 

そこまで、状況下を知りながらも氏輝様がとった行動が俺みたいな北条と繋がっている奴を送らせたのが

 

 

雪斎のジジイなら一番、警戒する手だ。

 

 

何せ、あからさま繋がってる連中と組んでそうな奴を向かわせるなんざ家中に関する情報を流すようなもんだし

 

 

あのジジイなら迷わず家中でも信頼における逸材を送って北条に関する情報を少しでも拾わせて少しでも弱味を握ろうとする筈だ。

 

 

その上、俺を興国寺城の城主から外し代わりに東三河の拠点である吉田城を与え松平広忠を餌に織田信秀みたいな面倒な虎と最前線で戦わせておかせたかったんだろうが

 

 

そこをいきなり北条への増援に向かわせた狙いが気になっていた。

 

 

いゃ、たかが一度しか会っちゃいなかった彼女に賭けてみたかったんだろう。

 

 

あ、あれですよ!別に昔はそうでも今は姫様一筋ですからね!?

 

 

いゃ、本当ですって!

 

 

………と話はややこしくなるだろうが

 

 

これから先がまた関八州での初めての戦となった。

 

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