北条綱成の野望   作:織田上総介信長

6 / 12



さて、もう少しで本編タイトルに入ろうかな………


第五話

 

 

 

古河公方との戦を終えてから数日が経ち駿府へ帰還したはいいが、向こうの兵達が思った以上も強かった為もあり、思った以上に兵を失った事を予め雪斎のジジイに報告したは良いが………

 

 

「で?その代償で得たのが、今川も私兵を作れば織田との戦でも優位になりかねんと書いてあったが………どうも引っ掛かるのぅ」

 

 

「とはいえ、いちいち槍や太刀もろくに振るえん連中をかき集めたところで上手く戦えんでしょう。それに、今のかき集めた兵達に加え国人衆の兵を合わせても織田信秀が家臣もまた猛将ばかり集まり、兵共の士気が強すぎます。さすれば、如何に此方が多勢とはいえ相手の士気に呑まれるようでは此方の兵がまともに戦えねば尾張一国を奪還するのに無駄な歳月を過ごす羽目になりかねませんし………」

 

 

「戦が長引けばそれ以上に国内での治安も下がりかねぬか………だが、その私兵を作るにも些か刻がかかるじゃろうし、それも早く作らせねば織田はまた三河へ攻め込むがそれは如何にするつもりじゃ?」

 

 

雪斎のジジイめか質問にこの頃、領内でも甲斐との境目じゃ山賊共が彷徨いていたり、三河が織田の手によって脅かされやすいのを機に遠江でも幾らか村を襲って金品を巻き上げる連中が多発してるという情報もあってか、この賊共を駆逐すべく生き場が無い者を銭でかき集める事に力を入れてみる許可を得る。

 

 

だが、現実は非情であると学ばされるが如く集まった連中も二〜三百ほどしかいない上に武器を扱わせ鍛練を積み重ねるだけでも息を切らす者まで現れる始末という現状だった。

 

 

流石に、このまま戦わせてもそこらの集落で暴れまわる賊を相手にしても苦戦を強いられるのが目に見えるだろうから雪斎のジジイが最近、かき集めている火縄銃を五十程借りる形となり彼等には正々堂々と戦わすだけでなくまずは、如何なる戦でも体力と目につけた敵に関する情報収集と身に付けさせるもんは片っ端から身に付けさせた。

 

 

その結果、全員が全員体力こそつき始めて来た者もいりゃ火縄銃を扱える者も二〜三十名にくらい到達し、情報をかき集められる連中も十〜四、五人と三百近くいる連中の中じゃ少ない方だったが手始めに実戦としてとある集落を乗っ取っている賊を討伐すべく敵が五十そこらしかいない情報を連中が独自にかき集める事に成功する。

 

 

それから、敵が近隣の寂れた集落に力を伸ばそうという動きを頼りにようやく槍を扱い慣れた四十人の連中にその寂れた集落へと配置し、指揮に関しては連中の中でも幾度か激戦に遭遇して生き延びた野郎がいたんで、そいつにその村でなるべく連中を足止めさせる変わりに此方は十人足らずの鉄砲隊と二十人の太刀を振るう足軽隊と共に留守を任されてるであろう敵の手薄な集落を占拠し、挟撃を仕掛けるという策にしてみた。

 

 

その結果、留守にしていた賊共が三十そこらしかいないところに幾度か敵の様子を伺っていた鉄砲隊の連中が一斉に放ったのに動揺したんでそこに太刀しか振るえねぇ二十人近くの連中に襲わせた結果、賊共は退却していき仲間達が襲撃してくる集落へと逃げて行く。

 

 

まぁ、それを機にその集落で苦しめられた民達の中にも多少なりかは武器を持ってる奴等がいたんですぐにでも連中がいる拠点へ挟撃を仕掛けこの戦で十名近くの犠牲者がでちまったが、これを機会に連中もまた最初こそは似たような賊退治の為に幾度か自信と経験を積み重ねて数週間もした頃だった。

 

 

駿府の城下町じゃ民達の中から志願してくる奴等が集まり気付けば三百近くいた兵共もその頃には、千近くも集まりまた鍛練を積み重ね遠江での賊退治をちまちまと繰り返した。

 

 

その結果が、織田軍が再び三河へ侵攻した際に連中を工作部隊兼遊撃部隊みたいな扱いで敵の兵糧のありかを探らせた上で敵が松平・朝比奈勢に手を焼いてる最中に長期戦で戦えんよう兵糧を見張ってる連中相手に火縄銃から放たれる鉛玉の一斉発射で混乱したところを足軽隊が貨物に隠していた槍を味方の連中に配付して襲撃し、織田の手勢は長期での戦が不可能となる。

 

 

まぁ、それがきっかけで織田も尾張へと撤退していきその戦を機会に俺は再び駿府へ呼び寄せられたんだが………

 

 

「先の戦では、例の兵達が役立ったそうですね」

 

 

「まぁ、何と言いますか………連中も領内を荒らす賊を相手に戦い慣れた結果が強いでしょうな。ただ、連中も辺りを見渡して慎重に動けて我が今川でも欠かせない戦力となったは良いんですが………」

 

 

「中には、それを気に食わぬ国人衆の中でも臍を曲げる者も現れやすいが為にあまり大きな戦果が上げにくいのとこういう隊を一隊だけ所有してもいざ大戦となって此方が退却する事とならば殿部隊としても優秀なのですがな」

 

 

「まぁ、そんな殿部隊に無駄な費用を与えちゃ無闇に費用は掛かりますけどこういった部隊を三〜四隊は増やして遊撃部隊を幾らか作っておけば織田や美濃の蝮を相手に仕掛けるとすれば多少は楽になるでしょうよ」

 

 

「ただ、意外と治安が安定していけば彼等に費用を宛てるとなれば此方も余計に費用が増えて維持がしにくいですからね」

 

 

駿府館で持ち込んでみた際、何かしら悩んでいた彼女の真剣な感じに惹かれていた俺はとある案を出した。

 

 

それが、国内でまた治安が落ち着いても今まで多くの野郎達が掻き出されちゃ常に人手不足だった農民達の畑仕事が遅れがちで思ったよか収穫の規模が少ないというのもあってなかなか年貢を上げられないという点があったんで、暇な際はなるべく体力維持の訓練と何時でも賊が来たら対応しやすくするべく何人かの兵にゃ村の外で見張りをさせておく事によって幾らか対応しやすくする為に人一人が監視出来る櫓を作った結果

 

 

領内を荒らす賊共も下手に動きにくくなり似たような応用で領内の街道を使う商人が安全に通れるよう町と町の間に関所などを設け賊共が襲撃しないかという見張りと領内を探る奴がいないかといった警戒にも力を入れてみてはという案をだす。

 

 

その結果、領内で商売する連中もあまり襲われる事無く駿府や遠江の曳馬城下など大きな城下町の間じゃ頻繁に商売がしやすいからというのもあり、数ヶ月後には駿府館の城下は商人達の商売繁盛で賑やかとなった結果もある。

 

 

「………だが、最近となっちゃ地道に結果を残しておられる。ならばいっそのこと姫が直属の精鋭部隊として大人しくなるのならば関口殿や鵜殿殿が協力すると申しておられます。如何なさるかな?」

 

 

「いゃ、あの隊は遊撃部隊として初めて力を発揮出来る隊です。それに、一つの隊で無駄に多くては各自の連中が任務をこなしにくくなります。出来ればですけど………三河国内にて本猫寺とかいうふざけた宗派の連中を潰し、織田の出方を見たいのですが………」

 

 

「…………それだと三河国内の民達が我が今川に敵対しかねます。まぁ、このまま放置させては民達を不安にしかねますし、私の直属部隊として置いておきましょう」

 

 

「いゃ、最近ここいらで猫を拝めては独自の勢力を築こうとしてるんですよ?親鸞上人(シンランショウニン)が築きし浄土真宗をただ猫を拝めている一団に与するとか言いながらも武器弾薬を用意してるんですからそこを叩かなけりゃ後で手を焼きかねんでしょう」

 

 

「…………まぁ、儂もそこを焼くのは解らんでも無い。寧ろ最近じゃ織田と此方の争いが最中に勢力を築きかねませんからなぁ。松平の若僧にもちょっくら貸しを作るくらいならば………」

 

 

雪斎のジジイがここで賛同してくれればこちとら三河国内で貸しを作っておいて今川の隊なくして治安維持も難しいとこを見せられた。

 

 

だが、氏輝様は本猫寺みたいな不穏分子も相手が抵抗を見せる素振りが無いんならまずは素性を調べて向こうから武器を提供させたら全て見なかった事にしたいと言う程アマちゃんな姫様だった。

 

 

これがまた自ら使者を派遣させ武田信虎と同盟を組み北条の関八州統一に関しても協力しちゃう御人好しだったのもあってか折角、松平の姫を人質に出して松平家を傘下に治めたから東三河へ今川の者が統治して差し上げようと雪斎のジジイが話を進めたところを拒み三河の全権を広忠殿に委ねたのだ。

 

 

これに関しちゃ俺も古河公方と戦を交えてたんで知らなかったが、氏輝様が屋敷から離れてから聞かされた。

 

 

いゃ、流石によく雪斎のジジイがいなくても武田と組むなんざなかなか手強いもんだったよ。

 

 

何せ、その頃は何時でも隙があれば侵攻しかけて領土拡大に力を入れようとする戦好きな大名だったもんで意外と部隊の扱い方も上手くてあまり戦いたくもないジジイだったが、信虎公がまだ家督を継いで無かった武田晴信殿を人質へ送ろうともしていたらしく流石の雪斎のジジイも食い止めたとか言ってたな。

 

 

まぁ、いきなり家督候補の姫君を送るって事は何かしら意味があったんだろうが、噂じゃ晴信殿と信虎公は仲が悪かったらしく俺が氏輝様の直属部隊へ加わって暫くさてからだったな………。

 

 

紅い甲冑に虎柄の陣羽織を羽織った武田の大将が単騎で駿府館に現れたと聞いたもんで慌てて向かってみりゃ娘と家臣達に追い出されたと言いながらも武田側より"世話になる"と頭を下げた見慣れたジジイがいたんで話を聞いてみりゃ………

 

 

「儂が武田信虎だ。見れば何処かで見た面も幾らかいるだろうが…………今川の兵は思ったよか戦慣れしとらんからな。隙あらばあの娘が此処へ乗り込むぞ?何せ、実の父を追い出してまで家督を継ぎおったんじゃしな」

 

 

「……………井の中の蛙。大海を知らずというが………そこまで家督を継ぐのならば上総の里見義尭殿は前当主を自害へ追いやったという。これだけの事くらい普通に出来ない晴信殿はとんだアマちゃんだわな」

 

 

「…………ぷっ。失礼な事を言うでない。元より弱肉強食の乱世で己が家督を継げぬからと実の父を殺めずわざわざ此処までするならば、鎌倉時代から続く名家もとんだアマちゃんよ。此処まで甘い勢力ならば越後の長尾や信濃の村上と共闘すべきじゃったわい」

 

 

評定の席で挨拶を交わす山猿の前で陰口を溢した頃もあったが、雪斎のジジイもこれが後に武田の姫大名と組む話を持ち込むなんざ裏があると睨んでたが…………

 

 

それは、置いとき信虎公が駿府へ追い込まれたのを機に未だ奴が武田の当主として戻る気あるのならばこれを口実に甲斐の侵攻を告げると氏輝様は首を横へ振りながらこう返答した。

 

 

「………それはなりません。これは、向こうと組む際に結ばれた約束です。それと我が今川はこれからも西へ侵攻させなければなりません」

 

 

「ならば、何故に挙兵なさりませんか!?今の織田ならば民達も戦で疲弊しておられるでしょうからすぐにでも乗り出せるでしょう!!」

 

 

とある時に思わず異論を唱えてみたら彼女は"まるで雪斎と同じ事を言いますね"と何処かしら哀しげな雰囲気を出しながら言っていたが、この頃に氏親公は彼女に家督を継がせたのか解らなかった。

 

 

何せ、こんな甘い考えの当主じゃ今川が家中も荒れるだけだろうと何時か謀反でも起こしてやろうかと思ったがこの頃には城も没収されてる身であり、抵抗するにしても部隊の兵達が氏輝様の前じゃまた気の抜かれた使えない連中だったせいか渋々、駿府館にいる兵達と共に酒を呑み明かす日々が無駄に長かった気がする。

 

 

だが、そんな呑気な時期もそう長くはなく氏輝様が倒れたというのが家中で噂となりそれに乗じて織田の手勢が三河へ再び侵攻して来た。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。