神から武器、神具といった方が適切だろうか。これを受け取った私はその能力の高さに
驚く。
「敵艦隊の位置が丸見えではないか!」
先ほどまで交戦していた敵艦隊の様子、特に航空戦力がよく見える。
彼女が手に入れたのは、イージスシステムとそれに連動する兵器群。この先の時代、飽
和攻撃を受けた時のことを想定して設計されたそれは正に『盾』。
この力があれば、深海棲艦など恐れるに足らず、優位に進めることができるだろう。
だが、
「これは神から授かった武器だ。だが神の盾を授かったなどという言葉を鎮守府は信用
するだろうか」
なぜこの時に、なぜ私に?
島に上陸した彼女は自らに問いかける。その答えは見つからなかった。
鎮守府では重苦しい空気に包まれていた。着任したばかりの駆逐艦吹雪が機関停止の連
絡を最後に、所在がつかめないからだ。参謀は頭を抱える。
「私が彼女の忠告を聞き入れてさえいれば……」
無線交信履歴には彼女が何度も航空戦力について、危機感を持っていたことがうかがえ
た。第一航空戦隊旗艦赤城、彼女もまた悩んでいた。会ったこともない駆逐艦が、
敵航空機による攻撃で損害を受け、行方不明。
さらに航空戦力について口にしていたと聞く。
「もっと早く出航していれば……」
第二水雷戦隊の面々、特に旗艦神通と川内の顔には恐れや焦後悔、絶望といったものが見え隠れする。
これまで水偵による偵察が不発だったため、何度も強硬偵察を敢行した。
しかし、攻略する前までは大した敵航空戦力は出てこなかった。だから油断し、配属されたばかりの僚艦を失った。
そんな鎮守府の面々をよそに吹雪は本国へと向かっていた。
彼女の小さな体からはみ出すほどの兵装庫には、ミサイルとよばれる飛翔型の兵器が搭載され、
魚雷は追尾式。これは彼女にとって驚きだった。
絶対に当たる兵器とは全く恐ろしいものを受け取ったものだ。しかし一方で、それらの
替えが効くのかも疑問だった。
はるか先の時代に生まれる新しい兵器であり、製造は困難だろう。
魚雷に関しても同様。しかし、彼女は雷撃戦には自信があった。先ほども魚雷で敵艦を
大破している。通常の魚雷を用いれば問題ないだろう。
そして主砲、127mmの単装速射砲をベースにしている。弾薬はどこかの工廠で製造させれ
ばいい。
しかし、この力の本分はそこではない。もっとも特化したのは情報収集能力。
神は縛りから解き放たれた私を選んだ。それにより、彼女はついにその使命を見出し
た。
「私は深海棲艦が何なのかを突き止める」
人類が誰も知らない謎を突き止めるために彼女は動き出した。
しかし、不安はない。明らかに艦娘が使うための兵器が遠い未来に存在するのなら、
その時代まで人類は海で戦い続けていることを意味しているからだ。
つまり彼女の存在自体が、人類に未来があることを示していた。彼女はそれに向け、単
独行動を開始した。