萌えっ娘もんすたぁSPECIAL -Code;DETONATION-   作:まくやま

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第10話『黒き炎』 -3-

 

 其処は暗かった。

 彼女が見開いた眼で視たモノはそう感じた。

 ただただ深い闇黒で、感覚的に何かが蠢いているのが分かる。

 耳を澄ませば呻くような声が聞こえてきた。

 その声は、徐々に大きく響いていった。

 

 ――タスケテ――ユルサナイ――カエシテ――カエセ――

 

 理解した。これは、怨嗟だ。

 四方八方、空間の全てから鳴り響くその声に、聞き手であったネーネは思わず後ろへ駆け出した。

 だが声は止め処なく響き渡る。

 消えることなく、絶えることなく、怨嗟は騒音と化して襲い掛かっていた。

 足がもつれ、躓いて転ぶネーネ。すぐに起き上がるものの、迫り来る”怨嗟”の姿無き姿に腰を抜かし、立てなくなってしまった。

 

 ――タスケテ――ユルスナ――コワセ――コロセ――コワセ―コロセ―コワセコロセコワセコロセコワセコロセコワセコロセコワセコロセ―――

 

 耳を塞いで、目を閉じて、それでも視覚と聴覚を侵食する声。

 出ない声でやめてと叫び続けたその時、響く声が刹那に途切れ消えた。

 思わず目を開くとそこに、黒い火影が浮かび上がっていた。

 その火影が此方を振り向いた時、黒い火影が横に裂け、見開かれたのは深紅の眼眸。

 そしてこれまでの怨嗟よりも遥かに歪な、咆哮ともとれる声が轟いた。

 

 

 「――オ前タチ、殺シテヤル――」

 

 

 

 ―――………!!!!

 

 

 「ネーネ!しっかりしろ!おい!!」

 開いた視界に写り込んだのは、彼女の主人である少年の顔だった。余裕のない表情と粒のように輝いている汗から、彼が焦燥に染まっているのが分かる。

 そんな彼の顔を見て、声を聞いて、ネーネはようやく此処が現実であることに気が付いた。

 「………………(きょろきょろ)」思わず辺りを見回す。何も変わらない、何の変哲もない萌えもんセンターの簡易宿泊室だ。

 それが分かったが安堵の呼吸は出来なかった。汗が噴き出ていながらも身体はいやに冷たくなっている。動悸は激しく、小刻みにブルブルと震えていた。

 「…大丈夫か、ネーネ?」

 ダイヤのかけた声にビクッとしながら、恐る恐る彼の方を向く。変わらぬ彼の顔。何もない。なんともない。それが分かった途端、しがみ付くようにダイヤの胸へ飛び込んだ。

 彼女の震えを分かったダイヤも、なんとかそれを抑えようと優しく背中を撫でる。幼子をあやすやり方ではあるが、それしか知らなかったのだから仕方ない。それでも徐々に落ち着きを取り戻してくれたのだから、効果はあったのだろう。

 「……ちょっとは、落ち着いたか?」

 「………………(こくん)」

 「でも、突然どうしたんだ?急にボールが震え出したと思ったら、出て来たネーネが凄い具合悪そうにしてて…」

 「………………」

 ダイヤの胸にうずくまりながら、淡い光を放ちだすネーネ。そのエスパー能力を発動する証だ。

 (………怖い…とても、怖いもの…。………怖いけど…よく、わからない…。………夢みたいで…夢じゃ、ない、ような…)

 念話で彼女の言葉を聞いたダイヤは、さっきよりも強くネーネを抱き締めた。いつだったか、自分が小さく幼かったころ、悪夢と恐怖で目を覚ました時に母がやってくれたことを思い出しながら。

 「…怖かったんだな。でも、もう大丈夫だネーネ。俺はここに居る。傍にみんなも居る。だから、安心しろ」

 優しく…出来るだけ優しく声をかける。背中をゆっくりさすりながら、安心感を与えるように。心掛けていった。その温もりが功を奏したのか、胸の中のネーネが小さくすすりだした。泣き出したのだ。

 それでようやく彼も安堵した。恐怖や不快なものは涙と一緒に流れてしまえばいい。そう思いながらしばらくそのままでいると、やがて胸元からは小さな寝息が聞こえてきた。

 「…寝た、か」呟きながら窓の外を見るダイヤ。外は既に明るくなり始めていた。壁に掛けられていた時計はもう朝方を示している。溜め息を一つ吐いたところで、他の5個のボールが開いて他のメンバーたちが現れた。

 「…おはようございます、ご主人様」

 「おはようみんな。…いつから起きてた?」

 「マスターがネーネを呼んでいる時からですよ。流石に起きないわけにはいきません」

 「起こしちまったわけか、悪いな。でも出て来てくれても良かったのに」

 「阿呆が、こういう時全員に囲まれると圧迫感と刺激を与えてしまい逆効果。一先ずは最も安心できる者が傍に居ればええのじゃ」

 ソーマの指摘になんとなく納得したような顔になるダイヤ。だがノアやメルアから見える不満そうな顔は、自分もネーネの傍に居たかったという想いからだった。

 「でも…ネーネ、どうしちゃったの?」

 「さぁ…俺も、何が何やら…」

 「…恐らくは、アレかのぅ」と、窓から外を見て呟くソーマ。彼女の視線の先にあったのは、町外れにそびえ立つ塔だった。

 「ソーマ、アレは?」

 「萌えもんタワー。死した萌えもんを供養し、その霊魂を慰める為の慰霊塔…簡単に言えば墓場じゃな」

 「墓場…」

 「うむ。ゴーストタイプの萌えもんの住処にもなっておるが、中には本物の霊魂もおる。その中でも特別強く遺った思念と、勝手にシンクロしてしまったのじゃろう。制御が利かぬほどに強すぎる感受性も困り者じゃな」

 ダイヤの胸の中で小さな寝息を立てるネーネの髪を撫でながらソーマが言う。

 「つーかどうすんだYOミスター。そんなんじゃネーネは連れてけねーZE」

 確かにジョニーの言う通りだ。ネーネにとってシンクロの受信が弱点となるならば、相手によっては今後どんな目に遭うか分からない。ならば今は、彼女を手元から離しておくべきなのではなかろうか。

 「…でも、出来れば傍に居てやりたいしなぁ」と溜め息交じりに呟くダイヤ。心配なのは当然だった。

 「…ネーネが起きるまで待ちましょうか。ここからならタマムシまで、地下通路を通ればあまり時間はかかりませんし」

 「そうだな…。体力も減ってるだろうし、一度ジョーイさんに回復もしてもらうか」

 サーシャの言葉に同意しながら、抱えていたネーネを彼女に渡し一先ず準備を整えるのだった。

 

 

 - 萌えもんセンター ロビー -

 

 ネーネを預け、念の為に回復してもらったダイヤ達。今はみんなで席に腰掛け、机の上にはネーネをちょこんと座らせていた。ジョーイの話では、ネーネの体調そのものは問題ないらしい。だが突如受信したシンクロが、彼女の心理面にどんな影響を与えているかは定かではない、とのことなのだ。

 萌えもん達の命を守るジョーイの観点からは、一度療養を行うべきだという話も出ている。それがまた、ダイヤの頭を悩ませることとなっていた。

 「やっぱり少しの間、置いていくべきか…」

 「うゆぅ~…一緒に居れないのはやだなぁ…」

 それは自分だってそうだと、彼も内心考えていた。自分の手持ちなのだから、なんとか傍で容態を診ていてあげたい。それは山々なのだが、現状はそうも言っていられないのだ。

 「心配なのも分かりますが、専門家に任せるのも必要ですよマスター」

 「サーシャの言う通りじゃな。今は一度休ませておくべきじゃろう」

 「………………」

 件のネーネはと言うと、どうにも不安そうな顔でダイヤの方を見つめていた。自分を置いて行ってしまうのか、と尋ねるような。責めるわけではないが、離れたくはないという抗議の目線だった。

 こういう顔をされてしまうと、余計に離し辛くなる。一緒に居ることと回復の為に離れること、どっちが正しいことかは少年には選びきれずにいた。

 「Cool&Dryになることも必要だぜミスター。望みはどうあれ連れてくことが互いにデメリットになるんなら、連れてかねぇ方がカシコい選択ってヤツだZE」

 「…ノアは、どう思う?」

 「…私は、…もちろん一緒に居たいです。だけど…今はネーネに無理させたくないって想いの方が強い、です。

 先日のクチバジムの時でも、ネーネはシンクロで体力を失っていましたし…これからも、ずっと一緒に仲間でいたいから、今は万全の状態になって欲しいです。先の障害は、私たちが取り除いておきますから」

 なんとかゆっくりと思いを語るノアの真剣な顔に、ネーネもまたゆっくりと首を縦に傾げた。その顔はやはり残念そうではあったが、少しだけ前向きな目をしていた。

 これからも共にいる為に。それが、みんなで出した結論。寂しさはあっても不服は無い。この場の誰もが、それを解っていた。

 「決まったな。それじゃ、ジョーイさんの言ってたフジって人の所に行ってみるか」

 「………………(こくん)」

 

 

 - 萌えもんハウス -

 

 町の南にあるこの建物は、先ほど話にあったフジ老人が取り仕切っている萌えもんの為の養護施設だ。

 親を亡くした、トレーナーに手酷く当てられ棄てられた、などの心身に傷を負った…所謂ワケありの萌えもん達を預かり、その回復と復帰を促す為の施設である。

 他ならばそれは公的な施設である萌えもんセンターでも行われているが、シオンはその立地からか、そのような萌えもんが他よりも多く存在する。

 そこで建設されたのが、この萌えもんハウスというわけだ。

 一見すると普通の、大きめの民家。その建物の呼び鈴を押し、返事を聞いてからダイヤは扉を開けていった。

 「こんにちはー…」

 「はいはい、いらっしゃい」と、優しい声と柔和な笑顔で1人の老人男性が迎え入れてくれた。この人こそ、萌えもんハウスの管理人であるフジ老人である。

 「ジョーイさんから話は聞いておるよ。君が依頼していたダイヤ君、じゃね?」

 「あ、はい」と軽く会釈するダイヤ。

 「よろしく。それで、診てほしい子は誰かな?」

 「はい、彼女です」言いながらネーネのボールを開放、呼び出す。そしてネーネを一目見ただけで、フジはすぐに状態を把握した。

 「なるほど、精神感応で怨念に中てられたか…。怖かったじゃろう…?」

 「………………(こくり)」

 「この施設にはそういう悪しきモノは入ってこないから、安心してほしい。一時の間でも、ワシらは君を歓迎するよ」

 「ネーネのこと、よろしくお願いします。…でも、その…」

 周りを見ながらなにかを言おうとして言葉を詰まらせるダイヤ。彼の目に写っていたのは暗い眼をしていた未進化の萌えもん達の姿。そういう施設なのだから小さな萌えもんが居ることは分かっていた。いたのだが…

 「数が多い。そう言いたそうな顔ですね」

 「…すいません」

 「謝ることはありませんよ。確かに、ここ最近で保護されてくる孤児萌えもんは増えています。…主な原因は、ロケット団」

 ロケット団。その単語を聞いた瞬間、ダイヤの顔が厳しいものに変わった。

 「…ロケット団が、なにを――」

 「…無理矢理に生け捕られた者、抵抗して傷つき、果てには命を落としてしまった者…そんな理不尽の加害者が、ロケット団なのです。それを行っている者は一部とはいえ、連中の非道は広くに及んでいます。

 勿論トレーナーの中には萌えもんを傷付ける心無い者も居ます。ですがロケット団による被害は今までよりも確実に増えている。…私は、そんな現状が辛いです。

 その子の受信した怨念も、もしかしたら…」

 悲しむように語るフジの言葉に、ダイヤは思わず強い憤りを感じていた。ただの軽犯罪ではない、もっと重く罪深いことをやっているのだ。それに対し思考を閉ざしているなんて、彼に出来るはずもなかった。

 「いやはや申し訳ない、要らぬ話をしてしまいましたね」

 「いいえ、俺たちも気を付けます。それじゃ、ネーネの事をよろしくお願いしますね」

 「お任せください」

 そう言ってネーネのボールをフジに渡すダイヤ。そしてそのまま、彼女の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。

 「少しだけ待っててくれな。やることやったらすぐ迎えに来るから、そしたらまた一緒に行こう」

 「………………」

 優しくネーネの頭を撫でる。なにかを言いたそうな、何処か不安そうな顔をしていた彼女に出来る限りの朗らかな笑顔で返す。そのまま立ち上がり、再度一礼して出て行った。

 萌えもんハウスから出たらすぐに歩き出すダイヤ。その足取りは、心なしか速くなっている。町の看板を確認し、タマムシへ向かう8番道路へ進んだ時には駆け足へと変わっていた。

 『急ぎましょう、ご主人様…!』

 「あぁ、勿論だ…!」

 ボールからのノアの呼びかけに強く答えるダイヤ。ホルダー越しにでも、彼女のボールから熱を感じていた。その熱を原動力とするように、道路にたむろするトレーナー達を無視しながら駆け足を更に速めていく。そこで皆が彼の変化に気付いた。

 『マスター、どうしたんですか急に!?』

 『ノアも…なんか、熱いよぉ?』

 「どうもこうもないだろ…!さっきの話、聞いたろ…!?」

 『私、許せないです…!ロケット団の人達、そんな酷い事までしてるなんて…!!』

 「叩き潰してやる…!全力で、徹底的に!」

 町を離れたからだろうか、ロケット団に対する怒りを隠すことなく沸き上がらせていた。さっきのフジ老人から聞いた話が引き金になっているのは目に見えて明らかだ。

 『ハッハァー!イイぜぇミスターその意気だ!!』

 『煽るでないわこの阿呆が!ったく、仕方のない奴め…!』と呆れも込めながら、ソーマが自身のボールから無理矢理飛び出した。

 「まったく落ち着かんか戯けめが!坊もノアも、今頭に血を上らせてどうする!」

 『ですが…!』

 「怒る想いは分かるし止めはせぬ。じゃが現状を省みよ。アジトの場所も分からぬままに飛び込んで何をするものぞ?」

 「だったら草の根分けても探し出すだけだ!あんな外道、のさばらせておけるかよ!!」

 激昂を露わにするダイヤ。周りを見ようともしないその言葉に、ついにソーマの顔に青筋が浮かんだ。

 「じゃから…落ち着けと言っとるじゃろうがああああああッ!!!」

 叫びと共に真横からぶち込まれる波動弾。ソーマの一撃がダイヤの足元に着弾し、勢いそのままに傍の草叢へ吹っ飛ばされていった。

 

 「…いってぇ…」

 「自業自得ですよマスター。まったくもう…」

 草叢に座り込みサーシャに手当てしてもらっていたダイヤ。その顔はまだ不服そうだった。

 「フン、少しは頭を冷やせ阿呆が」

 「ですが、このまま手をこまねいている訳にはいかないですよ…!」

 「ノア…」

 歯痒そうに唇を噛み締め両手を強く握り締めるノア。普段見せることのない彼女の姿に、メルアも不安な気持ちが湧いてくるのだった。

 「カァーッ!ガッデェムだZE!獲物まで間近だってぇのに手が出せないなんてヨォー!」

 「ネーネがいればなぁ…」呟くメルアの気持ちは分かる。が、同意の声は誰も上げなかった。その答えに変えてか、ソーマが彼女の頭を優しく撫で回した。

 「ネーネの為にも早々に片付けたいという気持ちがあるのも分かる。でもだからこそ、慌てるべきではない。『急いては事を仕損じる』じゃよ」

 「それは分かるけどさ…。あぁ~くっそぉ…!」

 「――それでしたら、私が案内差し上げますわ」

 悩みながら頭を掻きむしるダイヤ。そんな彼らの元に響いた女性の声。一同が振り向いた先に、一つの黒い姿が近寄ってきた。

 黒の中に白いフリルがあしらわれた、所謂ゴシックロリータの衣装に合わせるような漆黒の長い髪。頭部からは三角の耳が突出しており、前頭部には髑髏を模した髪飾りが付けられていた。その特徴的な格好と深い紅玉色に輝く眼を持つ萌えもん、デルビル。ダイヤ達は彼女に見覚えがあった。

 「皆さま初めまして…。いえ、お久し振りと言った方が正しいでしょうか」

 「久し振り…。もしかして、君はあの時の…?」

 「はい。11番道路で貴方様からの情熱的なボールを受けた、あの時のデルビルでございます」と、スカートの裾を持ち上げながら一礼する。仰々しいまでの礼儀正しさだ。

 一方でダイヤはその時の事を思い出して頬を掻く。一時の衝動とは言え、馬鹿なことをしたという自覚はあるようだ。

 「それで、貴方はどうしてここに?案内とも言っていましたが」

 「言葉の通りでございます。私は皆さまに協力したくてお待ちしておりました。皆さまならばきっと、ロケット団を倒してくれると思って…」

 「倒すだぁ?ンなもん当然のことだが、テメーに言われるまでもねーZEロケット団の飼い犬changがYO」

 「止せよジョニー、せっかく申し出てくれてんだ。それで、君はなんで…」

 ジョニーの暴言を制止し、本題を尋ねるダイヤ。相対するデルビルは緊張した面持ちで言葉を出すのを躊躇っていたが、一息吐いてからゆっくりと話し出した。

 「…今に始まったことではありませんが、ロケット団は私たち萌えもんの事を道具のように扱います。鉄砲玉、爆弾、資金源、性処理…下衆なニンゲンの手にかかり、多くの萌えもん達が命と心を落としていきました…。私自身も…昔は団員の慰み者にされたり、色んな酷い仕打ちを…。

 …ですがあの時、貴方様があの男を倒してくれたおかげで私は自由の身となれました。それで、せめて貴方様達へのご恩返しが出来ればと思い此処へ…」

 「そんなことが…大変だったんですね…。でも、もう大丈夫です。ですよね、ご主人様」

 「あぁ!あいつらは俺たちがブッ潰してやる!」

 「ありがとうございます…。微力ですが私もバトルには参加させていただきますので、どうかよろしくお願いします」

 「うん、よろしくねっ!ねぇねぇ、あなたのお名前は?」無防備に駆け寄りデルビルの手を握るメルア。その行動、明るい笑顔に思わず動きを止めてしまった。すぐに小さく一呼吸して、さっきの質問に答える。

 「…ロケット団に使われていた萌えもんに名前はありません。道具に名前を付ける人、居ませんから。それに、私は別に名前など無くても…」

 「駄目だ、仲間になる以上名前は絶対必須!無いなら俺が考えてやる。そうだな、デルビルだから…」

 急な申し出に戸惑うデルビルだったが、気が付くと周りにダイヤの手持ち達…これから仲間になる者達が集まっていた。

 「まぁ戸惑うのも分かりますが、マスターはあんな人ですから。信用はしていいと思いますよ。私はサーシャです」

 「改めて初めまして。私はノアと言います」

 「私はメルア!あっちのいるのがソーマとジョニーで、今は離れてるけどあともう一人いるの!私たちもマスターにお名前付けてもらったんだよ!」

 「そうでしたの…」

 「よっしゃ決まった!」と声を上げるダイヤ。すぐにデルビルの元に駆け寄り、自分の考えた彼女を示す名を告げた。

 「君の名前だけど…【ルビィ】って名前にしたいと思う。どうかな?」

 「――――――」

 「あっ、気に入らなかったか?じゃあそうだな…」

 「あぁいいえ…こんな私に名前を付けて下さるなんて、思ってもみなかったので…。素敵なお名前だと、思います」

 「そっか、なら良かった。これからそう呼ぶから、よろしくな。ルビィ」

 「……はい、よろしくお願いします。ご主人、さま」

 周囲の明るい笑顔に対し、不器用なたどたどしい笑顔で返すデルビル…もとい、ルビィ。新しいボールに彼女をゲットすることで登録させ、仲間入りの為の行程は完了した。

 「それじゃあルビィ案内してくれ。ロケット団のアジトまで」

 「承知致しました。タマムシシティに着いたらご案内いたしますので、まずはそこまで」

 「っと、そうだな。そこの地下通路を通ればすぐだし、行くか!打倒ロケット団、出発だ!」

 「おーっ!!」

 メルアの合いの手言葉も高らかに、新たな仲間を加えてダイヤ達は出発した。悪しきを打倒するという、正義を掲げた者にとって必ず訪れる目標を掲げて。

 そんな中でも和気を忘れんとしつつ新参者と打ち解けようとする少女たちを、後ろからジョニーとソーマが眺めていた。

 「…何か言いたそうじゃのう、ジョニーや」

 「いや、あいつらはマジでお人好しなんだなって思っただけSA」

 「悪い事ではあるまい。思い過ごしなら世は事もなしじゃし、悪い予想が当たってもどうとでもなるじゃろう」

 「ハッ、自己犠牲はミーの趣味じゃねーZE?せっかくミスターがロケット団を叩き潰すのに前向きになったから水差すこたぁネーと思ってるだけSA」

 「カッカッカ、ぬかしおるわ」

 それぞれの想いが交錯しつつ、少年の歩んできた旅路は一つの帰路に立つ。相容れぬ者達が集う戦場へと――

 

 

 

第10話 了




=トレーナーデータ=

・名前:ダイヤ
 所持萌えもん…ノア(マグマラシ ♀)
        メルア(モココ ♀)
        サーシャ(サンドパン ♀)
        ソーマ(トゲキッス ♀)
        ジョニー(ストライク ♂)
        ルビィ(デルビル ♀)
 待機萌えもん…ネーネ(ネイティ ♀)
 所持バッジ…グレーバッジ ブルーバッジ オレンジバッジ

=萌えもんデータ=

・名前:ノア
 種族:マグマラシ(♀)
 特性:猛火
 性格:せっかち
 個性:ものおとに びんかん
 所有技:電光石火、火炎車、煙幕、火の粉
 所持道具:無し

・名前:メルア
 種族:モココ(♀)
 特性:静電気
 性格:おだやか
 個性:ひるねを よくする
 所有技:電気ショック、充電、電磁波、綿胞子
 所持道具:無し

・名前:サーシャ
 種族:サンドパン(♀)
 特性:砂かき
 性格:わんぱく
 個性:うたれづよい
 所有技:ブレイククロー、岩石封じ、砂地獄、マグニチュード
 所持道具:無し

・名前:ソーマ
 種族:トゲキッス(♀)
 特性:天の恵み
 性格:ひかえめ
 個性:イタズラがすき
 所有技:エアスラッシュ、波動弾、あくび、悪巧み
 所持道具:なし

・名前:ジョニー
 種族:ストライク(♂)
 特性:テクニシャン
 性格:ようき
 個性:あばれることが すき
 所有技:電光石火、真空破、気合溜め、高速移動
 所持道具:太陽の石

・名前:ルビィ
 種族:デルビル(♀)
 特性:貰い火
 性格:ひかえめ
 個性:ぬけめが ない
 所有技:火の粉、不意打ち、噛み付く、嗅ぎ分ける
 所持道具:無し
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