D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
「ぐっ……お……っ!」
「騎士ゼスト、無理をするな!」
全身血まみれのゼストが、槍を杖代わりにして立ち上がると、近くで戦っていたシグナムが制止した
だが、ゼストはそれを聞かずに
「俺は最早、長くは保たない……だが!」
そう返答すると、槍を逆手に持った
そして、キッとヨハンナの方向を睨み付けて
「ハアァァァァァ!」
と烈迫の気合いと共に、槍を渾身の力で投げた
ゼストが投げた槍は、凄まじい勢いでヨハンナに迫った
それにヨハンナは気付き、避けようとした
だが、その狙いが自分ではないと気付いた
では、一体何が狙いなのか
すぐに気付いたが、既に手遅れだった
ゼストの投げた槍は、ヨハンナの右後ろに浮いていた本を破壊したのだ
莫大な魔力を放出していた、魔導書を
「しまった……っ!」
魔導書を壊されて、ヨハンナは目を見開いた
その魔導書は、麻耶やヴィヴィオを操っていた魔導書だったからだ
ゼストとしては、大きな賭けだった
しかし、その賭けに勝った
「ふっ……俺の……勝ちだ……」
ゼストはそう言った直後、倒れ伏した
その直後、ゆりかごの動きも変わった
今までガジェットを出撃させて、地上に砲撃を行っていたのに、その行動全てが止まったのだ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ほぼ同時刻、玉座の間
「……ヴィヴィオ?」
時を同じく、中で戦っていたなのはは状況が変わったことに気付いた
ヴィヴィオが頭を抱えて、唸っていたからだ
「なのは……ママ……」
ヴィヴィオは痛みを堪えているからか、涙を流しながらなのはを見た
その目は、正気に戻っていた
「ヴィヴィオ!」
それに気付いて、なのはは駆け出した
だが
「来ないで!」
とヴィヴィオの制止の声と共に、拳が繰り出されていた
その一撃は防いだが、なのはは衝撃で押し飛ばされた
「ヴィヴィオ!?」
「私、思い出しちゃったの……」
なのはが視線を向けると、ヴィヴィオは涙を流していた
「私は、遥か昔の人間のクローン……それに、兵器だった……このゆりかごを動かすための生態コア……人間じゃなかったの! 全部作り物だったの!」
「違うよ、ヴィヴィオ!」
ヴィヴィオの言葉を聞いて、なのはは即座に否定するが
「違わないよ!」
とヴィヴィオは否定した
だが
「違わない!」
となのはは、力強く否定した
なのはのその言葉に、ヴィヴィオは目を見開いた
「確かに、ヴィヴィオは作られた命かもしれない……だけど! ヴィヴィオは昔の人じゃない! 今を生きてる命だよ! 私達と一緒に居た、ヴィヴィオだよ! 私の娘の、ヴィヴィオだよ!!」
「なのはママ…………」
なのはの言葉を聞いて、ヴィヴィオは声を震わせた
そんなヴィヴィオを見て、なのはは
「ヴィヴィオは、どうしたいの?」
と優しく問い掛けた
その問い掛けに、ヴィヴィオは俯いてから
「私は……私は……なのはママと一緒に居たいよぉ!」
と叫んだ
それを聞いて、なのはは力強く頷き
「分かった……だったら、信じて? 私を、皆を!」
と杖を構えた
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
時は少し戻り、駆動炉区画
「これで、どうやぁぁぁ!!」
はやてがその掛け声と共に放った砲撃で、駆動炉は砕け散った
それを見て、ヴィータは
「よっしゃあ! 流石はやて!」
と歓声を上げた
すると、近くに着地したはやてが
「少し前から、妨害のガジェットやスフィアが出なくなったからな……どうやら、この戦いも終わりに近づいてきたみたいやな」
と言った
そして、ヴィータに肩を貸して
「じゃあ、脱出するで!」
と言って、飛行魔法を発動した
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あっ……義之……」
「麻耶!」
「沢井!」
義之が連刃を止めた時、麻耶が頭を押さえて座り込んだ
それを見て、義之と美夏の二人は麻耶に駆け寄った
麻耶は、そんな二人に視線を向けて
「迷惑、掛けちゃったわね……」
と苦しそうに喋った
その言葉に、二人は笑みを浮かべて
「どうってことねぇよ」
「美夏達が、やりたかっただけだからな」
と返答した
その言葉に、麻耶は微笑みを浮かべると
「そうだ! システムは!?」
とウィンドウを引き寄せた
そして、操作を始めた
そして
「お願い、間に合って!」
と言って、あるスイッチを押した
「麻耶、なにを?」
「ヴィヴィオさんの戦闘システムとの接続を、カットしたの。それに合わせて、非常システムの停止と戦闘システム自体の機能停止もね」
義之の問い掛けに、麻耶はそう返した
それを聞いて、義之は笑みを浮かべて
「ナイスだ、麻耶」
と麻耶の頭を撫でた
そして、麻耶を立たせると
「それじゃあ、脱出だ!」
と行動を開始した
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
再び、玉座の間
「あ、体が……」
「ヴィヴィオ?」
それまで戦っていた二人は、ヴィヴィオの動きが止まったことで戦闘が中断された
そして、ヴィヴィオは体の調子を確かめるように手を握ったり開いたりしてから
「体が、自由に動ける……」
と言った
ヴィヴィオのその言葉を聞いて、なのはは嬉しそうに笑みを浮かべて
「義之君が、成功したんだ!」
と声を上げた
そして、ヴィヴィオに駆け寄り
「ヴィヴィオ、外に出るよ!」
とヴィヴィオに手を差し伸べた
「うん!」
ヴィヴィオは頷くと、なのはの手を握った
そして、二人は玉座の間から外に出た