D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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最終回です
題名は、これにすると最初から決めてました


サクラノキセキ

『……て』

 

暗闇の中、裕也の頭の中に声が響いた

そして、不思議に思った

なぜ、意識があるのかと

 

「俺は……死んだはず……」

 

と裕也は呟いた

その直後

 

『いえ、貴方はまだ、死んでいませんよ』

 

と再び、頭の中で声が響いた

ふと気付けば、目の前にその存在が居た

六枚の翼を持つ、赤い左目と金色の右目が特徴の女性が

 

「貴女は……誰だ?」

 

『私の名は、デミウルゴス』

 

裕也が問い掛けた直後、そう頭の中で声が響いた

その名前を聞いて、裕也は驚いた

デミウルゴス

それは、過去に禁書目録聖省と検邪聖省の二つの共謀で壊滅させられた街が信仰していた創造神の名前だった

 

「そのデミウルゴスが、なぜ……」

 

『貴方の魂は私が回収し、修復してました……消える直前だったので、一年も掛かってしまいましたが』

 

デミウルゴスのその言葉を聞いて、裕也は驚いた

まさか、劫の眼で消耗した魂が修復されるとは思っていなかったからだ

 

『まさか、あの眼を複製するとは思わず、気付くのが遅れました……申し訳ありません……間に合ってよかった』

 

「劫の眼を、知っているのか……」

 

『はい……滅ぼされた街の地脈に眠っていたのが、嘗ての眼の原石だったのです……それを回収し、化工したのが禁書目録聖省だったのです……』

 

その説明を聞いて、裕也は納得した

それならば、確かに複製を作るのも可能だと

 

『これは、有ってはならぬ物……』

 

そう言ったデミウルゴスの右手には、金色に輝く眼があった

そして右手を閉じると、消滅した

 

『体は、貴方を思う方々が奇跡を起こしたようですね』

 

「なに?」

 

その言葉の意味が分からず、裕也は首を傾げた

しかし、その疑問にデミウルゴスは答えず

 

『さあ、お行きなさい』

 

と言った

その直後、裕也の視界は真っ白に染まった

その時

 

「幸せになってね、お兄ちゃん」

 

と少女の声が聞こえた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所、学園保健室

 

「裕也さん!?」

 

と眠っていた由夢は、見ていた夢の内容で思わず飛び起きた

その内容は、裕也がフェイトと桜公園で会った夢だった

だが夢と気付き、由夢は溜め息を吐いた

なぜ、由夢が保健室に居たのか

それは、スカリエッティからの届け物を学園長代理に渡した後だった

水越舞華が

 

『ちょーっと、本家に呼ばれたから、保健室に居てくんない?』

 

と言われたのを、承諾したからだ

そして保健室に居たのだが、疲れと調度いい陽気で眠ってしまったようだ

だが、眠ってから一時間程しか経っていない

恐らく、一緒に来た小恋も、まだ学園に居るだろう

一度スカリエッティ医院に戻ろうとした時、義務付けられていた学園への報告を忘れていたからだ

そして溜め息を吐いた後、由夢はすぐにあることに気付いた

それは、自身が見る夢の意味

 

「私の……夢は……」

 

由夢がそこまで呟いた時、ガラリとドアが開いて

 

「ただいまーっと。ごめんね、朝倉さん。保健室任せちゃって」

 

と水越女史が帰ってきた

それと同時に、由夢は立ち上がり

 

「後はお願いします!」

 

と飛び出した

水越女史が呆然と見てきていたが、由夢は気にせずに走った

すると、前に居た音姫とまゆきが振り向き

 

「こら、由夢ちゃん! 廊下は走らないの!」

 

「どうしたの、妹ちゃん。なんかあった?」

 

と言ってきた

由夢は、そんな二人の横を走りすぎる時に

 

「お姉ちゃん、高坂先輩、着いてきて!」

 

と言った

それを聞き、音姫とまゆきは一度顔を見合わせると由夢の後に続いた

そして校舎から出ると、近くに義之、麻耶、美夏、小恋が居た

 

「由夢、どうした?」

 

「なにかあったの?」

 

「どうしたんだ、由夢」

 

「あれ、由夢ちゃん?」

 

と声を掛けてきたが、由夢はそのまま走った

どうやら、それで何か起きたと感じたらしく、四人も後に続いた

場所は変わり、喫茶翠屋

そこには、アリサ、すずか、蓮華、神夜が来ていた

そしてフロアには、なのは、ユーノ、明久、結華が居た

すずかはどうやら、喫茶翠屋名物のシュークリームを買いに来ていたようだ

ユーノは最近、喫茶翠屋でバイトを始めたのだ

蓮華達は、休憩に寄ったのだ

その時突然、神夜が頭を押さえた

そして見えたのは、裕也とフェイトが抱き合っている姿だった

 

「神夜、大丈夫か?」

 

「どうしたの?」

 

「神夜ちゃん、大丈夫?」

 

と蓮華、アリサ、なのはが心配そうに声を掛けてきた

だが神夜はそれに答えず、視線を桜公園の方に向けて

 

「彼が……帰ってくる」

 

と呟くと、机の上にお金を置いて走り出した

 

「ちょ、おい!」

 

「どうしたのよ!」

 

神夜には非常にレアだが、未来予知のレアスキルがあった

とはいえ、それは稀にしか見えない

だが、その的中率はほぼ100%である

それを知っているのは、義兄に当たる蓮華と裕也くらいだ

それで見たのだから、帰ってくる

神夜はそう確信しながら、桜公園目掛けて走った

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所、桜公園

その枯れた枯れない桜の根元で、フェイトは泣き疲れて眠っていた

その時フェイトは、自身の体に何かが掛けられたことに気付いて目を覚ました

最初は視界がボヤけて見えなかったが、少しすると見えた

寝ていた自身の隣で、本を読んでいる少年が居た

その少年の横顔を、フェイトが見間違える訳がなかった

 

「……裕也……?」

 

「ん、起きたか……まったく、幾ら春になったからとはいえ、外で寝たら風邪を引くぞ?」

 

フェイトが呼び掛けると、裕也は小説に栞を挟んでからそう言いながらフェイトの頭を撫でた

その声はまさしく、裕也だった

フェイトは最初は夢かと思ったが、直ぐに夢ではないと気付いた

何故なら、頭を撫でている裕也の手が暖かかったからだ

夢じゃないと理解したフェイトの目尻に、みるみると涙が溜まった

そして

 

「裕也!」

 

とフェイトは、裕也に抱き付いた

裕也は倒れそうになったが、片手を突いて防止

そして、フェイトの体を優しく抱き締めて

 

「ただいま、フェイト」

 

と優しく囁いた

フェイトは裕也の肩に顔を埋めながら

 

「おかえり……おかえり、裕也……」

 

と繰り返し、喜んでいた

そこに、何時ものメンバー全員と明久、結華が現れて大騒ぎになったが、割愛させていただく

だが一重に、全員が裕也の帰還を喜んだ

こうして、戦乱に翻弄され続けた少年の戦争は幕を下ろした

それから二十年後、一人の女性が島に帰ってきたことで新しい物語が始まるが、それは別のお話




これにて、漆黒と桜花は終わりです
ありがとうございました
もしかしたら、気紛れでオマケを書くかもしれませんが、一先ずはこれにて終了とさせてもらいます

京勇樹
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