D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
「裕也!」
「裕也くん!?」
魔力弾を受けて倒れた裕也を見て、蓮華達は思わず声を上げた
「裕也くん……裕也くん!!」
すずかは自分を庇って倒れた裕也を見て、涙を流した
「バカめ……化け物を守って死ぬなんてなあ!」
そう言ったのは、先ほど魔力弾を胸部に受けて倒れた使徒だった
よく見れば、胸部にプロテクターがしてあり、それが致命傷を防いだようだ
「くそっ! プロテクターなんて着けてやがったか!」
蓮華は悪態を吐きながら斧を構えて、その使徒に突撃しようとした
だが、使徒は一瞬にしてすずかに近づくと
「動くな!」
とすずかの髪を掴んで、首筋に魔力刃を突き付けた
「動けばどうなるか、わかるよなぁ!?」
使徒のその言葉に、蓮華達は動きを止めて歯軋りした
「クハハハハ! そのままでジッとしていろ! 私が逃げるのを、そこで見」
使徒が笑いながらそこまで言った時、使徒の胸部から刃が現れた
使徒は驚愕の表情を浮かべると、ギギギと背後に視線を向けた
そこに居たのは、先ほど倒れた筈の裕也だった
「貴様……私の魔力弾の直撃を……受けた筈……!」
「あの程度で死ぬと思ったのなら、大違いだ……それに、化け物というのはな……」
裕也はそう言いながら、刀を捻って向きを縦から横に変えた
「お前や僕みたいに、人を傷付けることを躊躇わない存在を言うんだ!」
裕也はそう言うと、躊躇わずに刀を振るって切り裂いた
「ガハッ……」
使徒は口から大量に血を吐き、振るわれた刀と同じ方向に倒れた
そして、倒れそうになったすずかは刀を手放した裕也が支えた
「それに、一番の化け物は僕みたいな存在だよ……」
「……え?」
裕也の呟きを聞いてすずかが首を傾げていると、裕也の体がゆっくりと傾いた
「裕也くん!」
すずかは支えようとしたが、間に合わずに裕也は倒れた
倒れた裕也の背中は血でベットリと濡れていて、すずかの両手が真っ赤に染まった
「裕也くん! 裕也くん!!」
すずかは涙を流しながら、裕也の名前を呼び掛けた
だが、裕也は反応しない
「裕也くん!!」
すずかが名前を呼び掛けながら揺らしていると、蓮華が近寄り
「下手に揺するな! 出血が激しくなる!」
とすずかを止めた
「蓮華くん! ……でも!」
「待ってろ!」
蓮華はそう言うと、耳元に手を当てて
「ドクター! 裕也が負傷した! レベルは3! 大至急、治療の必要を認む!」
と声を上げた
その十数秒後、近くに魔法陣が浮かび上がり赤毛で巨大なボードを装備した少女
ウェンディと小柄な銀髪の少女、チンクが現れた
チンクは倒れている裕也に駆け寄ると、傷口を見て
「これは酷い……ウェンディ!」
とウェンディを呼んだ
「おうッス!」
ウェンディは駆け寄ると、裕也を背負ってボードに乗った
「IS、エリアル・レイブ発動!」
ウェンディがそう言うと、ボードは浮かび上がって裕也達が突入してきた窓から出ていった
「あ、どこに……?」
明久が問い掛けると、チンクは使徒達が死んでいることを確認しながら
「ドクターの診療所だ」
と答えた
「ドクターって、もしかして、スカリエッティ先生のこと?」
「でも、あそこってそんな医療設備って、あったか?」
明久と結華が首を傾げていると、蓮華が立ち上がり
「極秘のスペースが有るんだ……一応、これから事情聴取が始まるが、その後にドクターの診療所に来てくれ」
と言った
「蓮華、いいのか?」
チンクが問い掛けると、蓮華は頷いて
「こうなったら、仕方ねぇさ」
と言った
「あんたら、何を隠してるのよ?」
アリサがジト目で問い掛けると、蓮華は肩をすくめて
「ちゃんと話すから、待っててくれや」
と告げた
こうして、誘拐事件はひとまず幕を下ろした