D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
裕也side
俺たちは今、LHR《ロングホームルーム》、まあ平たく言えば委員会決めとかのあれをやっていた
「皆さんもご存知の通り、来週の23日から25日までの3日間」
教室の1番前の教卓に、われらが委員長の沢井麻耶《さわいまや》が立っている
と、鈍い音が聞こえたので左後ろを見ると、先ほどまで居眠りしていた義之が顔面を机に打ち付けていた
「我が校でクリスマスパーティーが催されます」
義之は、状況を確認するためか周囲を見回している
「クリスマスパーティーですが、言ってしまえば文化祭と変わりません。各クラスでの催し物が義務付けられています」
どうやら、義之は状況を把握したのかもう1回寝ようとしたら
「しかぁし!」
と沢井が教卓を強打したので、びっくりして起きた
「うわっ、ビックリした」
アホか
前では、沢井がギリギリと忌々しそうに握りこぶしを作りながら俺達を睨んでいた
義之は、怖いのか少し背中が反っている
「残念なことに、私達のクラスの出し物は未だ、何も決まっていません!」
そうなんだよね
「この議題、LHRで11月からしているのにもかかわらず」
俺達だけじゃね?
「桜内《さくらい》、桜内」
どうやら、義之の左斜め後ろに座っている杉並が声をかけたようだが
「ん?」
義之は、視線だけを動かして聞いたらしい
「今日の委員長、いつにも増して殺気だっている。居眠りしているとそのまま永眠させられるぞ」
それは流石に言いすぎでは?
「マッチ棒かなんかで、瞼《まぶた》支えとけ」
と言ったのは、義之の後ろに座っている男子で名前は板橋渉《いたばしわたる》という
ってか、普通持ってねーよ
「マッチ棒、持ってない」
当たり前だ
「じゃー、ほら。シャーペン」
眼が飛び出るぞ
「おー・・・・、ってデカイわっ。眼球飛び出るわ」
「くくくくっ」
ちなみに、こいつらは3人でよくつるむため通称で悪ガキトリオだ
「・・・って言われてもなぁ。いろいろ文化祭でやった感があるしなぁ」
それはなぜかと言うと
「ふむ。我が校はイベント好きだからな。まぁ、それでこそ俺も張り合いがあると言うものだが」
そうこの学校、風見学園はイベントが盛りだくさんなのだ、普通の学校に比べて2倍近いのではなかろう
か?
と気付いたら、杉並が懐から黒皮製の手帳を取り出していた
「なんだそれ」
「ネタ帳だ」
「お笑い芸人か、お前は」
確かに
「俺も手帳、持ってるぜ」
と渉が制服のポケットから手帳を出したが・・・
「ふーん・・・って、なんで表紙にプリントシールばっか貼ってんだよ、女子かお前は!」
所謂、プリクラ帳か
「可愛いだろ」
いや、むしろ
「きもい」
うむ
「うわ、きもいはちょっとひどくね? お前はもっと俺に優しくするべきだ!!」
いや、お前の扱いはそれで十分だ
「お前こそ、もっと環境に優しくなれ」
うむ
「か、環境だぁ? お、俺は環境を汚染してるのかよ・・・・」
まぁ、お前だけが原因ではないが
「環境だけではない。今や板橋は地球規模で汚染存在だ」
言い切ったよ、おい
「うわぁああ、許してくれ、地球っ! ってか俺ってすごくね?」
アホのな
「ちょっと、そこの悪の根源3人組!」
確かに
沢井は、義之たちをズビシっと指で差していた
「ちゃんと会議に参加しないと、あんたたちに決めてもらうからね」
まぁ、ここまで遅れた理由の大半が義之たちが原因だしな
「悪の根源3人組って、俺も入ってるの?」
なにを今更
「当たり前でしょう。ふたりがボケで、あんたがツッコミ」
まぁ、妥当だな
「いつの間にそんな役割が・・・・。心外だ」
最初からだよ
「では、いっそのこと3人ともボケということでどうだ?」
は?
「そうだな。新しい世界が拓《ひら》けるかもな」
おいおい、それじゃあ
「収拾つかんだろーが」
その通りだ
と気付いたら、静まっていた教室が騒がしい
どうやら、義之たちの漫才で沸騰したようだ
沢井が、今にも3人をぶちのめさんとばかりに睨んでいる
「静かに!!」
と沢井が手を叩いた
「今決まらないなら、放課後決まるまで残ってもらうけど」
それは困る
どうやら全員同じ思いだったのか一気に静まった
「でも、なにをしたらいいのか、ぜんっぜん思いつかーん」
と義之が即効で断念した
まぁ、確かに俺もない
「人形劇」
と静かな教室に、抑揚のない声が聞こえた
声のほうを見ると、そこに居たのは
見た目が人形みたいな小柄な女子の雪村杏《ゆきむらあんず》だった
因みに、席は義之の左隣で窓に接している
こいつは人形みたいに小柄で可愛いんだが、表情が乏しいので思考が分からないし、何より、時折吐き出す毒舌が凄まじいのだ、しかしなんでも雪村流絶対暗記術とかを身につけているとかでとにかく頭は良い
「人形劇はどうかしら?」
とまた言った
教室内から「なるほど」やら「それもありか」と聞こえてきた
「せっかくクリスマスなんだし、ファンタジーっぽい出し物なら文句、ないでしょ?」
ふむ
「なるほど」
と教卓に居た沢井が頷いた
すると義之の前の女子が手を挙げた、その人物は杏と仲の良い花咲茜《はなさきあかね》だ
「はーい。私も人形劇がいいと思いまーす♪、クリスマスだしぃ。こう、ロマンチックな物語とかがいいんじゃないかなぁ? 聖なる夜を盛り上げるラブロマンスとかー」
と、爆乳で豊満なボディをくねらせながら言っている、恐らく男子の票をお得意の色香で誘ってるんだろ
まぁ、確かに季節柄ロマンスものには一理あるが
と色香に誘われた男子が次々に手を挙げた
「俺も賛成だー」
お前もか、ブルー○ス
義之は落胆している
まぁそれも仕方ないな、杏と茜が結託して意見を出すときは何かしら企てている場合が多い
まぁそれは杉並、義之、渉も一緒だが、・・・いや義之は巻き込まれてるだけか?
そして、女子2人と義之たちは仲がいいのだ
む? バランスが悪いって? 安心しろ女子にはもう1人居るから
「ついでに提案なんだけど・・・・人形劇のヒロイン役は、小恋《ここ》・・・なんてどうかしら」
杏が1人の女子の名前を出したとたん椅子が派手にこけた音が教室に響いた
クラスメイト全員の視線が音源に向けられた
「あい・・・・たたたた」
と椅子ごとこけた、小柄だが胸が大きいちょこんと出たアホ毛が特徴の女子が椅子を直しつつ、ぶつけたんだろうお尻をさすりながら立ち上がった
「え、な、なに言い出すの、急に~」
今椅子に座ったのが、月島小恋《つきしまここ》と言い、仲良し組みの最後の1人だ
因みに、3人の名前の頭文字をそれぞれ取って通称、雪月花《せつげつか》と呼ばれている仲良しメンバーだ
補足だが、義之とは小学校からの付き合いで、所謂幼馴染だ、俺達全員で仲良し12人組み(俺とフェイトとアリシアとなのはとユーノ及びはやて含めて)ってわけだ(時々俺が居ていいのかとも思うが)
気付くと、義之がうな垂れている
「あの、あの、あの~」
小恋は顔を赤くしながら戸惑っている
まぁ、雪月花の中では1番まともなんよねこいつ
性格よし、顔もよしでクラス内では<クラス内1番の良心>と言われるほど人気があり、まぁヒロイン役に抜擢されても誰も反論しないだろう・・・本人以外は
「そんなのできないよ~」
な?
「大丈夫」
「うんうん。小恋ちゃんならできるって」
「な、何を根拠にそんな~」
「ラブロマンスにするなら、相手が必要ね」
・・・なるほどね、2人の企みが分かったよ
杏がフフと笑いながら
「・・・相手役は義之で決まりでしょ」
「賛成でーす。相手役は義之くんがいーと思いまーす!」
やっぱり
「はぇ?」
なにアホな声を出してるんだよ
クラスメイトの視線が義之に集中した
「うお、マジかよ。俺じゃねーの?」
いや、お前は論外
「だめだよぉ。義之くんっていい声してるし、演技もうまいんだから」
「俺がいつ演技をしたんだ?」
それは、お前あれだろ
「仮病で学校を休んだ時」
「ぐっ」
そうなのだ。義之の奴ゲームをやりたいからって、仮病で学校を休んだはいいが、電話越しにやった熱にうなされた声があまりにも迫真の演技だったために先生が救急車を手配してしまったのだ。おかげで、義之は救急車に乗せられて病院に運ばれて先生が来る直前に脱走、結果、仮病とバレて大目玉を受けた
「いやー、あのときはさすがに焦った~。危ない、危ない」
「照れながら言ってる場合じゃないでしょ!」
まったくだ
「と、いうわけで、どうかなぁ? 小恋ちゃんの相手役は義之くんってことで」
「特に問題はないと思うけど・・・」
「ちょ、ちょっと待って~! そんなの無理、無理~! 義之がそんなのするわけないよ~。あの義之だよ~?」
お前さん、本人の前で言うか
まぁ、実際義之がこういった催し物にまじめに取り組んだ覚えは無いからな、確かに頷けるが
因みに、小恋は赤い顔を更に紅潮させつつ、義之を上目遣いに見ている
「ふむ。そうね・・・悪の根源の1人を催し物の重要な役割にすれば、悪さも半減するか」
「え~。俺ってすんごいマジメで、すんごいいい人なのに。公園のゴミとか拾うのに」
説得力0だ
「黙りなさい、このさわやかヤクザ」
新しい!?
「さ、さわやかヤクザって何?」
確かに
「さわやかな笑顔を浮かべつつ、相手をボコ殴りにする人」
なるほど?
「そ、そんなイメージなの? 俺って・・・」
ドンマイ
「・・・お化け屋敷か」
「は?」
杉並が今までの発言を完璧に無視して、さらっと言った
「ふむ、お化け屋敷。なるほど、催し物をお化け屋敷にすれば・・・、ここをこうしてと、そうだなアレは科学部の連中から拝借するとして・・・うん、これならばあの計画も・・・」
杉並が黒皮の手帳を見ながら、何かぶつぶつと呟いている
「お、おいおい・・・今の話聞いてたか?」
義之がなにか勝手に決め込んでいる杉並に聞いた
「聞いていた。月島とお前が人形劇を通じて、不毛な疑似恋愛をするという話だろう?」
「なんだか身もふたもない言い方だな。っていうかクリスマスにお化け屋敷?」
まぁ、確かにあれはむしろ夏では?
「季節など関係ない。真冬でも桜が満開のこの島で何を躊躇《ためら》うことがあるだろう、要は気になるあの子を誘って、暗闇で告白できる! 2人の密着度、MAX! そんなスーバラシーお化け屋敷を作
ることに何の異論があると言うのだ!」
と杉並の口上に、男子の野太い歓声が挙がった。
その中には渉まで居た・・・どっちだよ
しかし、杉並が色恋沙汰に手を貸すような言動をとるか?
こいつは色恋沙汰よりも、UMA《ユーマ》とか埋蔵金とかUFO《ユーフォー》とかのオカルト方面にしか反応しないはず、一体何を?
「何を企んでやがる」
義之が俺の気持ちを代弁してくれた
「やだ、なんのこと?」
「なんだ、てめぇ。その汚れを知らない天使のようなおとぼけ顔はー!」
胡散臭すぎる
「はいはい、静かにー! 杉並。その意見を出したっていうことは、あんたが責任者になってくれる。そう解釈しても構わないのね?」
沢井が騒いでいる男子を黙らせて、杉並に聞いた
「ふふふ。ホラーハウスのオーナーとでも呼んでくれたまえ」
「あ、そう」
沢井は杉並の言葉を軽く受け流した
「どのみち生徒会から目をつけられるだろうけど、でも、もう時間もないし、人形劇をやるにして、物語とか、具体的なイメージはあるの?」
沢井はずり落ちた眼鏡を直しながら、杏たちに聞いた
「ロマンチックに、夢見るように♪」
「抽象的ね・・・」
「既にシナリオ構成は出来てるわ」
そういや、杏は演劇部だったな
「なるほど。では、今2つの意見が出たわけだけど、他にはない?」
クラスの皆は人形劇かお化け屋敷で盛り上がっていた
人形劇がほとんど女子で、お化け屋敷がほとんど男子だ
因みに人形劇の場合ヒロインと主役は小恋と義之で既に決まっている、それと小恋は音楽が得意だから(軽
音楽部所属)ついでに音楽決め役にも決まったようだ
因みに小恋は困った表情をしながらお化け屋敷と言っている(チラチラと義之を見ながら)
「ね。義之くんはどっちがいいの?」
茜が義之の顔を覗きながら聞いている
「どっちでもいいけど、人形劇だったら、ちょっと大変かな」
「大丈夫よ。義之のセリフ、少なくするから」
「ホントかよ」
「覚える気ないだろうし・・・」
ごもっとも
「そ、そんなことないけどさ」
説得力0だ
「時間もあまりないから」
「いやいやいや。すまないお嬢さん方。桜内の心は既にお化け屋敷で固まっている」
と杉並が、義之の肩に手を回しながら言った
「俺もお化け屋敷で賛成だな」
「渉くん、さっき人形劇に賛成だったじゃない」
確かに
「えー。だって暗闇でドッキリだぜー? なぁ月島」
「え? あ、そ、そうだよ。うんうん」
と、いきなり話を振られた小恋は焦りながら答えている
「ほらー。月島だって、ああ言ってるじゃん」
「小恋ちゃんまで」
「だ、だって、わたし、ヒロインなんて出来ないもん~」
小恋の自信なさげな言葉に杏と茜、顔見合わせたよ
「暗闇でドッキリ・・・ああ。なんて魅惑的な言葉なんだ! 俺、絶対ドッキリしたい! ドッキリついでに、あんなこととか、こんなこととか! だぁああ、もう心臓バクバクー!」
「落ち着け、ドッキリしすぎだ」
義之が暴走し始めた渉を嗜めている
「んもう! 静かにしなさーーーい!! まったく何度言わせたら気が済むの!?」
沢井が教卓を叩きながら叫んだ
「委員長、落ち着いた方がいいわ・・・。あなたがこの議題で『静かにしなさい』って言ったのは、11月から数えて41回よ」
よく覚えてるね
「誰も数なんて聞いてないでしょ!」
「ちなみに、教卓を叩いたのは11月から28回・・・。深呼吸が必要だと思うわ」
「く、くだらないこと覚えてないで、静かにしてよね・・」
で結果、多数決にもつれ込んだが、このクラスの人数は奇数だ
で、現在半々に分かれた。最後の1人は義之だ、さてどっちを選ぶかな?
「桜内・・・」
「え、え?」
沢井が呆けていた義之に聞いた
「早く決めてくれない? あんたで最後なんだけど」
「はれ?」
お前、気付いてなかったな
「ふっ、わかっているな同志よ」
「う」
「・・・・」
「え、えと」
困ってるな
さて、どっちを選ぶのかな? それとも、新しい選択でも作るか? 親友よ
今回、あとがきコーナーは見送ります
読者の皆さん、質問や言わせたい名セリフは随時受け付けますので、ジャンジャン送ってください!
待ってます!(腹痛と熱にうなされながら執筆)