D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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ヘッドハンティング

義之side

 

「さてと、今日はどうすっかな」

 

ホームルームが終わり、放課後の校内。

 

今後の予定を考えながら、俺は廊下を歩いていた

 

と、その時だった

 

「よっしゃ、弟くん発見♪」

 

と、聞きなれた。でも、あまり嬉しくない声を後ろからかけられた。

 

「弟くん、今、暇? ってか、もちろん暇よね」

 

ぐるりと回りこんで、俺の目の前に立つまゆき先輩。

 

「え、えっと・・・・」

 

さっきは先輩から後光がさしているように見えたのに(何があったて? 聞くな)、今は悪魔の尻尾が見え

る気がする

 

「ん? なになに? あまり会いたくない人に会ってしまって、どうやってこの場から逃げ出そうか考えてる顔をして」

 

うぐっ! 鋭いっ!

 

「ま、弟くんがそんなことを考えてるわけないけどね。ね、弟くん、このまゆき先輩に偶然会えて嬉しいでしょ?」

 

ぐいっと身を乗り出して、睨んでくる。

 

「そ、それは、もう・・・・」

 

結局、そう答えるしかないわけで。

 

嫌いではないんだけど、苦手なんだよな、まゆき先輩って。

 

どうやっても、勝ち目無いって言うか、オモチャにされるって言うか。

 

俺の回答に満足したのか、まゆき先輩はふふんと笑みを浮かべる。

 

「んじゃさ、ちょっと付き合ってよ」

 

「付き合うって、どこへ?」

 

「ちょっと、そこまで」

 

そう言って、まゆき先輩は俺の手を掴んだ。

 

「そんなんしなくても、別に逃げないですよ」

 

「そう言って、昔、何回も逃げたのは誰だったかしら?」

 

ジロリと、まゆき先輩に睨まれる。

 

「あ、あはは・・・・」

 

言い訳できない……

 

「ほら、とっとと行くよ、あたしもあまり時間無いから」

 

そう言って、俺はまゆき先輩に拉致(人聞き悪い事言うな!)同様に連行されたのは、生徒会室だった。

 

「あれ? 義之?」

 

そこに居たのはフェイトだけだった。

 

コの字に並べられた机の1つのイスに座って、書類(かな?)の処理をやってるらしい。

 

「フェイトだけ? 裕也は?」

 

「裕也でしたら、バイトです」

 

「ああ、そうだったね。翠屋だっけ?」

 

「はい、そうです」

 

翠屋《みどりや》とは正式名称を喫茶翠屋《きっさみどりや》と言い、なのはの家の高町《たかまち》家が

家族で経営している年中無休の喫茶店だ。

 

「で、まゆき先輩。義之を連れてきたのはどうしてですか?」

 

「ああ、そうだった」

 

「忘れられてた!?」

 

連れてきたのは、まゆき先輩なのに!?

 

「ごめん、ごめん。実はさ、弟くんに大事な話があってね」

 

そう言って、まゆき先輩は真剣な表情をして俺の方に視線を向けた。

 

うーむ、大事な話ね・・・・、想像がつかん

 

「ま、単刀直入に言うわ。弟くん、生徒会の仕事、手伝わない?」

 

「・・・・・はあ?」

 

「ふぇ!?」

 

あまりに予想外な展開に、俺もフェイトも間抜けな声を出してしまった。

 

「いわゆるヘッドハンティングってやつ? 弟くんの力を生徒会に貸して欲しいの」

 

「いや、その・・・・」

 

予想外すぎるまゆき先輩の提案に、思考が空回りしている

 

「基本的にね、あたしは認めてるの。弟くんを筆頭に杉並、板橋、雪村や花咲たち付属3年3組の連中の能力の高さはね。だからこそやっかいなのよ。その能力の使い方を徹底的に間違えてるし」

 

「あはは・・・」

 

いや、そんなことを言われても。

 

ってか、そもそも俺を筆頭にしないでほしい。(俺は戦○BA○ARAの眼帯の独眼竜ではない)

 

「ぶっちゃけ、手が回らないのよね。今の生徒会のメンバーだけじゃ、数はそこそこ居るけど、能力的にはあんたたちに敵わないから。だから、弟くんに目をつけたわけ」

 

「・・・・なんで、俺なんですか?」

 

「んなもん、決まってるじゃない。1番落としやすいからよ、音姫《おとめ》が苦労しているのは弟くんも知ってるでしょ? さっきのやりとりを見てもわかるとおり、通常業務だけでも音姫にかかってくる負担ってのは相当大きいの。さらにクリパでは色々と問題が起きるからね」

 

そう言って、まゆき先輩はジト目で俺を見る。

 

「だから、俺は音姉《おとねえ》に迷惑をかけるようなことはしないって」

 

「それじゃあ、意味がないのよ、弟くん自身はそう思ってるかもしれないけど、杉並や雪村は弟くんを利用しようとするわ」

 

「それは、まぁ・・・・」

 

あいつら、なにかことがあるたびに俺に接触してくるしな。

 

「気がついたら、知らぬ間に弟くんが計画の中心に仕立てられている可能性も考慮できる、なんだかんだ言って、弟くんの影響力はバカにならないからね。本人にその気も、自覚もないとしてもさ。んで、生徒会としては、その可能性がある限り、弟くんのマークを外す訳にはいかないのよねぇ、それも、危険ランクAだから、それなりの人員の割り当てが必要だし」

 

「・・・・・」

 

そうだったんか……

 

「あははは・・・・はぁ」

 

「だったらさ、弟くんをさ、生徒会《こっち》に取り込んじゃったほうが安心でしょ、基本的能力が高い上にランクAの人物たちとも接点が多い、言ってしまえば、首輪の鈴としては最適な人材なんだよね」

 

「・・・・・」

 

「それに、弟くん。音姫のために騒ぎを起こさないって言ってるけど・・・・、ほんとのところさ、少し物足りなさを感じてるんじゃない? 本来はさ、生徒会《こっち》側の人間なんだし」

 

そう言って、まゆき先輩は挑発的な笑みを浮かべた。

 

微妙に反論できない感情があるところが、少し悔しい。

 

「だったらさ、正しい側の方で正々堂々と大暴れすればいいじゃない。きっと、音姫も喜ぶと思うよ? すっごく甘ったるい笑顔で、弟くん、一緒に頑張ろうね♪ とか言っちゃってさ」

 

頭の中に、まさにその映像が思い浮かんだ。

 

音姉のことを言われると、ちょっと弱いな。

 

確かに、色々迷惑とか掛けてきたし。

 

手助けしてあげたいって気持ちも、確かにある。

 

「ま、あたしが言いたいのはそれだけ、嫌なら嫌で、断ってくれてもだけどさ」

 

そう言いながら、まゆき先輩は指をコキコキと指を鳴らす。

 

「まゆき先輩!?」

 

「そ、それって脅迫って言うんじゃ」

 

「おほほ、人聞きの悪いこと言わないでよ。これは、交渉よ」

 

圧倒的力関係の差がある状況で、なにが交渉なんだろうか。

 

フェイトも、まゆき先輩の後ろでごめんって両手合わせて頭下げてるし

 

「ってことで、もう1回聞くわ。弟くん、生徒会の仕事、手伝わない? とりあえずクリパの期間だけでいいから」

 

そう言って、まゆき先輩は小首をかしげた。

 

「・・・・・」

 

生徒会の手伝いね~。

 

正直、この展開は全然考えてなかったな。

 

普通にクラスの連中とクラス出展するつもりでいたからな。

 

例のセクシー寿司パーティーが、どう転がるのかの予想が全然できないけど。

 

ま、でも、生徒会の手伝いをするという選択も悪くないのかもしれない。

 

音姉の助けができるってのは大きいしな。

 

少し面倒くさいって気持ちもあるけどさ。

 

「・・・・・」

 

俺は少し考えた後、まゆき先輩に答えを返した

 

「申し訳ないですけど、遠慮させていただきます。」

 

俺は自分の気持ちに素直に応えた。

 

「ふ~ん、このあたしが頼んでるのに断るんだ?」

 

まゆき先輩の目がスーッと細められる。

 

猛禽類が獲物を狙う時のような目。

 

って言うか、完璧に脅迫だよなぁ~、これ。

 

思わず、やらせていただきますと答えたくなってしまう。

 

「それじゃ、脅迫ですよ。まゆき先輩………」

 

「なにか言った?」

 

「いえ、なにも・・・・」

 

フェイト……諦めるのはやいよ……

 

「やりません」

 

俺は念のために、もう1回言った

 

何より、せっかくのクリパライフを生徒会の手伝いで棒に振りたくない。

 

俺が言うと、まゆき先輩の顔が近づいてきた。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

少しの間、見つめあう。

 

「・・・・・」

 

と言うか、にらみ合う?

 

戦力的に圧倒的な差があるので、にらみ合いにならないけど。

 

「・・・・・」

 

ってか、距離が近いですって!

 

吐息のかかる距離で、まゆき先輩はじっと俺の目を覗き込んでいる。

 

きりっとした綺麗な顔立ちで間近に迫られて、思わず視線を逸らしてしまう。

 

なんか、いい匂いするし。

 

「やっぱだめか~」

 

まゆき先輩がふっと、表情を和らげた。

 

「う~ん、残念」

 

「すんません」

 

「いや、別にあやまんなくてもいいよ。最初から無理だろうなぁ~て思ってたから、つ~か、もし手伝ってもらえたらラッキーくらいのイメージでいたからさ。弟くんには弟くんの都合があるもんね」

 

「そりゃ、まぁ」

 

「んじゃ、今日は帰っていいよ。時間とらせてごめんね」

 

「はい、失礼します」

 

俺はまゆき先輩とフェイトにお辞儀をして、回れ右をする。

 

「ま、気が向いたらいつでも訪ねてきてよ、生徒会はいつでも弟くんの手助けを待ってるからね」

 

俺は、まゆき先輩の声を背中に聴いて生徒会室を後にした。

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