D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

5 / 109
アテンション!
本編とは関係ありません!


IFストーリー 初めてのバイト

バイトが決まった翌日

 

明久と結華、そして裕也の三人は喫茶翠屋に来ていた

 

それはもちろん、客ではなく店員としてである

 

「ではまず、僕が見本を見せますから、見ていてください」

 

「わかった」

 

「うん」

 

裕也の言葉に二人が返事をすると、裕也は入ってきた客に近づいて

 

「いらっしゃいませ! お客様は何名様ですか? ……二名様ですね。こちらのお席をどうぞ」

 

と裕也は、二人の客を空いている席に案内すると、カウンターから二つの氷水の入ったコップとメニューを取って客の座った席に近づき

 

「お冷やとメニューです。お決まりになりましたら、お気軽に声をお掛けください」

 

と言うと、恭しく頭を下げてから下がった

 

そして、二人の居る場所まで戻ると

 

「とまあ、こんな感じですね」

 

と言った

 

「なるほど……」

 

「勉強になるね」

 

手慣れた様子の裕也を見て、二人は感心した様子で頷いた

 

そのタイミングで

 

「すいませーん! 注文いいですか?」

 

という、呼ぶ声が聞こえた

 

「はい! ただいま!」

 

裕也は返事すると、カウンターの端から伝票を一つ取って近寄り

 

「お待たせしました。ご注文をどうぞ」

 

と促した

 

「私はこのシュークリームセットのミルクティーを」

 

「私もシュークリームセットで、飲み物はアイスコーヒーをお願いします」

 

二人の注文を裕也は、手早く伝票に書くと

 

「では、繰り返します。シュークリームセットがお二つ。飲み物はそれぞれ、ミルクティーとアイスコーヒーで、お間違いないですね?」

 

裕也が問い掛けると、二人の客は頷いた

 

「承りました。では、お持ちします」

 

裕也はそう断ると、カウンターまで近づき

 

「士郎さん、注文です。シュークリームセットが二つ、ミルクティーとアイスコーヒーです」

 

と言いながら、伝票をカウンターに置いた

 

士郎はそれを受け取ると、軽く伝票を一読して

 

「わかった。すぐに作るね」

 

というと、奥に引っ込んだ

 

そして、戻ってきた士郎の手にはシュークリームが二つ有った

 

士郎はそれをトレイに乗せると、カウンター裏の棚に近寄り、カップとコップを取り出した

 

カップとコップを置くと、ティーポットに茶葉を入れてからお湯を入れて、コップには大量に氷を入れた

 

そして、大量に氷を入れたコップにサイフォンからコーヒーを注いだ

 

注がれたコーヒーは、氷により急激に冷やされていく

 

士郎は注ぎ終わると、キチンと冷えているのを確認してからガムシロップとコーヒーフレッシュを取って、コップと一緒にトレイに置いた

 

すると今度は、ティーポットを取って、カップに琥珀色の液体を注ぎ冷蔵庫から牛乳を取り出して注いだ

 

そして、カップをトレイに置くと最後に角砂糖が入ったポットを置き

 

「裕也くん、出来上がったよ」

 

と裕也に取りやすいようにと、少し前に出した

 

「ありがとうございます」

 

裕也はそれを受け取ると、片手で持ち、注文した客の席に近寄り

 

「お待たせしました。シュークリームセットのミルクティーとアイスコーヒーです」

 

と言いながら、丁寧に机の上に置いた

 

「ご注文は以上で宜しいですか?」

 

裕也が確認すると、二人の客は頷いた

 

「では、ごゆっくりとどうぞ」

 

裕也は最後にそう言うと、静かに下がった

 

そして、明久と結華の所に戻り

 

「今のが、注文を受けた際の動きです」

 

「いやぁ……」

 

「凄いね……」

 

裕也の動きを見ていた二人は、あまりの手慣れた動きに呆然としていた

 

裕也の動きは、二人にとっては遥か高みのものだった

 

「まあ、僕は慣れてますからね」

 

なお、二人の教育係は手が空いてる人がやることになっている

 

そして、今現在は手の空いている裕也が教えているという形である

 

年下の子供に教えられるという、なんともシュールな光景である

 

「それでは、最初に明久さんからにしましょう」

 

と裕也が言った直後、ちょうどドアが開いて女性客が二人入ってきた

 

服装からして、仕事の昼休みといったところだろう

 

「明久さん、行ってください」

 

「う、うん……」

 

裕也に促され、明久は緊張した様子で女性客達の方に向かった

 

「い、いらっしゃいまちぇっ……」

 

明久は思いっきり、舌を噛んだ

 

次の瞬間、裕也が明久の隣に立って

 

「失礼しました。この人は研修中でして、緊張しているみたいです」

 

と女性客達に謝った

 

すると、女性客達は明久のネームプレートの下に研修中という文字を見つけて

 

「あ、大丈夫ですよ」

 

「君も、あまり気にしないでね」

 

と返した

 

「では、僕が案内しますね。お客様は二名様で宜しいですね? では、こちらへ」

 

そう言うと、裕也は明久とすれ違い様に

 

「明久さんは、奥に下がって休んでてくださいね」

 

と裕也が言うと、明久は口元を手で覆いながらコクコクと頷いた

 

そして数分後、一通りの対応を終えて裕也が戻ると、明久は分かり易いくらいに落ち込んでいた

 

そんな明久を見て、裕也は肩に手を置き

 

「明久さん、大丈夫ですよ。最初はあんなモノです」

 

と、慰めた

 

「だけど……」

 

「誰だって、最初はミスしますよ。大事なのは、繰り返さないことですよ」

 

裕也のその言葉を聞いて、明久は視線を裕也に向けた

 

「繰り返さないこと……」

 

明久が呟くように言うと、裕也は頷いて

 

「ええ……失敗を糧にして、次に活かす。それを繰り返して、少しずつ上達してけばいいんです」

 

と微笑みながら、明久に助言した

 

すると、結華と美由希が戻ってきて

 

「大丈夫だよ、明久くん」

 

「あたしもミスったから……」

 

美由希に続けて、結華が頬をポリポリと掻きながら告げた

 

「結も?」

 

「ああ……注文の品を間違えてた」

 

明久からの問い掛けに、結華が答えると

 

「一個隣の注文と間違えちゃったんだよね。まあ、お客さんが言ってくれたから、すぐに直せたけど」

 

と美由希が言った

 

「とまあ、こんなように誰でも失敗はありますよ。あ、美由希さん。ありがとうございました。結華さんを教えてもらって」

 

裕也がお礼を言うと、美由希は手をパタパタと降って

 

「大丈夫だよ。ちょうど、私も暇になってたし」

 

と言うと、明久の肩に手を置いて

 

「明久くん。誰にでも、ミスはあるし、苦手なこともあるよ」

 

と、語りだした

 

「美由希さん……」

 

「私だって、初めての頃は失敗ばっかりしてたし。料理なんて、恭ちゃんに気絶させられてまで止められるし」

 

美由希の話を聞いて、裕也はどこか遠い眼をしながら明後日の方向を見ている

 

どうやら、なにかあったようである

 

「でも、今はこうして上手に対応できるようになってる。それはね、失敗の経験を活かしてるからなんだ」

 

「失敗の経験を活かす……」

 

明久が呟くように繰り返すと、美由希は頷いて

 

「うん……だからさ、明久くんも、めげずに何回も頑張ろうよ」

 

と、肩に置いていた手を明久に向けて差し出した

 

「美由希さん……はい!」

 

明久は美由希の手を掴むと、笑顔で立ち上がった

 

「頑張りましょう!」

 

裕也がそう言った直後、ドアが開いた

 

四人はそれを確認すると、頷きあって

 

「「「「いらっしゃいませ! 喫茶翠屋へようこそ!」」」」

 

声をそろえて、客を迎えた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。